マグサリオンの殺戮劇場 大長編   作:ヘル・レーベンシュタイン

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まさか自分の目の黒いウチに、マリオRPGのリメイクが出るなんて夢にも思ってませんでした。これは買ってプレイしないといけませんね……


第十三陣 Ⅳ 異聞武器世界

 

 

 まず、感じたのは『後悔』だった。数多の祈りと記憶が星々の煌めきの如く交差する最中、見続けていたのは彼の過去だった。

 

“こいつらは口を開けて餌を待つだけの雛鳥だ。”

“弁えろよ蛆虫が。呼吸して良いと誰が言った?”

 

 彼は冷徹にして冷酷、戦える人、そうでない人も平等に殺していく。その姿を見て恐怖を覚えるし、今も殺戮の荒野を駆け抜けていると理解している。

 だけど、それを踏まえても分かっている。彼はそれだけで終わる存在ではないと。

 

 “感謝してやる。まだ幾つか足りん気はするが、貴様と出会って得るものがあったのは認めよう。”

 “面白い屑だ”

 “さらばだ。我がもう一人の兄で、父よ。”

 “面倒見を見てやる。救ってやるよ兄者。”

 

 彼は相手を見ている、決して無関心で無価値と決めつけて殺しているわけではない。むしろ相手が自覚していない真実を突きつけ、その果てにその想いを背負って前を進んでいく。奪われた未来を取り戻したんだ。

 ああ、なんで美しい姿なんだろう。こんな風に僕も強かったら、こんな事になってなかったのだろうか。そんな想いを抱き始め、次第に自分が惨めに思えてきた。

 

 

 僕の周囲に、慙愧の嵐が吹き荒れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 砂漠を抜け、謎の神殿を抜けると無慙は古めいた街へと入った。そこには生物の気配がほとんどなく、空き家だらけとなっていた。

 

ただ数箇所を残して。

 

 一つは謎の雰囲気を放つ閉ざされた部屋、通常であれば誰も入れないのかもしれないが、無慙であれば強引に入り込むことはできるかもしれない。だが……上の方にあるもう一つの部屋を優先した。

 

「何者かいるな。」

 

 “J”と書かれていたであろう看板の上に、強引に“M”の看板を被せた部屋。そこから圧倒的な闘気を感じ取ったのだ。

 その部屋を見据え、ドアを蹴飛ばして入り込んだ。すると中は、一見すると誰もいない道場だ。しかし、無慙は決して見逃さない。確かにそこに存在するものを。

 

「お前か、この部屋の主は。」

「見事、良くぞ参られた剣士殿よ。我が名はジャッキー、貴殿の到着を心待ちにしていた。」

 

 よく見れば、部屋の中心にとても小さなものがいた。名はジャッキー、その小柄な姿からは考えられないような、膨大なエネルギーを持っていた。

 

「俺を待っていた、か。」

「ああ、多くは語るつもりはない。貴殿がこの世界を破壊し尽くそうとしているのは察している。否、ならばこそというべきか。その腕前をどうか、格闘家として我が身に体験させて欲しい。」

「ほう、ならば結構。存分に味わうといい。」

「感謝する。ならばいざ、尋常に勝負ッ!」

 

 こうして、小さな格闘家ジャッキーとの戦闘が始まったのであった。

 

「ハアァァァァァ……しょうげきだんッ!」

「ッ!」

 

 ジャッキーが気迫を溜めたかと思えば、両手を突き出して気の塊を放った。咄嗟に無慙は避けたものの、気の塊は部屋の壁に穴を開け、絶壁に虚空の如き大穴を作り上げた。

 単なる衝撃波ではない、直撃すれば内側から身体の髄を解体する内部破壊の一撃。人体持つものであれば、まともに喰らえば即死の一発。この格闘家は、ハナから殺す気できていることが即座に理解した。

 

「死ねェッ!」

「ヌンッ!」

 

 その殺意を汲み取り、無慙が上段からジャッキーに向かって振り下ろす。それに対して、ジャッキーは正面からぶつかる愚を犯さず、手で円を描きながら剣戟の軌道を逸らした。

 回し受け、迫る脅威の矛先を逸らして隙を作り上げる格闘技術。

 

「しゅうしけん」

 

 そしてその流れのまま、自由の効く拳に気を集中させて拳を放った。その拳はまさに。一点集中の極み。相手の核に終焉を齎して冥府を誘う終止の一撃。

 全てが決め技の応酬、幾ら百戦錬磨の無慙といえど、格闘の極みを前には膝を屈してしまうのかと思われたが……

 

「俺は死なん」

「っ!」

 

  無慙は強引に体を捻り、ジャッキーの拳の射程ギリギリまで身を引いた。そして、それだけで終わらない。

 逸らされたはずの断頭の刃が、ジャッキーの後頭部へと吸い込まれようと迫っていた。その脅威を感知し、咄嗟に前転して刃から逃れた。結果、被弾はないものの両者共に地面に転がり、そして即座に起き上がった。

 

「どうした、相打ち覚悟で攻撃を当てようとしないのか?」

「無謀に攻撃を交換する、なんて愚は犯さない。殺されずに殺すことこそが、武においては最優先に求められる。」

「ほう、それは同意だな。」

 

 無慙の挑発的な口調に、ジャッキーは冷静にそう返した。無傷の勝利こそ、理想的であると。寧ろ誰しもが求めずにはいられない夢とも言えるのかもしれない。

 故に、無慙は問う。

 

「それほどの強さを持っていて、お前は何故カジオーをに立ち向かわなかった?」

「っ!それは……」

「お前なら、勝てたのではないか?」

 

 問いかけと同時に振り下ろされる剣戟。その問いかけはきっと、ジャッキーにとって深い闇であり心の隙なのだろう。

 振り下ろされる刃を避けることができず、終止の一撃を超えた無慙の剣は彼を即死させれる威力を纏っている。故に直撃すれば終わり、これにて終幕へと至る。

 

「……そうだ、私は立ち向かえる力があったのに傍観していた。しかし、それは諦めの心からではない。」

「……ほう。」

 

 そう、ジャッキーの拭えぬ過去に終幕が降りた。これより先は彼にとっての新世界の開闢であり、秘めた想いを解放する刹那となる。

 無慙の剣を、白刃取りで受け止めていた。しかし全身から、鮮血の滝を漏らしながら。

 

「かつて私の前に訪れた男は、私を知り、私の武を超えて私に憧れを抱かせた。彼ならば、きっと世界を救えると。その決闘に力があると、一方的に茶々を入れるのは無粋だろう?」

「確かにな、だがその男は敗北した。」

「その通りだ、ならば戦える私が出向くのも道理とは言える。だが、それでも敢えて待った。師匠の意を拾い上げてくれる存在が、いつか現れると信じて。」

「そして……」

「ああ、今ここで見定んとしているのだァッ!」

 

 そう言い放ちながらジャッキーは、白刃取りの体勢を利用して巴投げを繰り出した。部屋の壁を突き破り、野外へと飛ばされる無慙。

 そして、その姿を追いかけるように空いた穴に向かって跳躍。無慙との距離を詰めれば拳の連撃を繰り出した。

 

「ジャッキーラッシュ!」

「温い!」

 

 それに応えるように、無慙もまた剣を振り続けた。既にジャッキーの内心を理解しており、彼のラッシュと比べて一歩分早い。その結果、周囲を破壊しつつも少しずつジャッキーの体を削っていた。

 しかしそれでも、ジャッキーの戦意はまだ衰えない。無人にして無限の剣戟の中、技を出すのに適した一撃を見定める。眉間に迫る一つ、その一閃を僅かな動作で直撃を回避し、流水のような無駄無く滑らかな動きで無慙の背後をとった。

 

「てつざんこう!」

「ガァッ!?」

 

 視界、そして思考の隙をついて放たれる背後からのタックル。加えて足を絡ませて転倒へ誘うというおまけ付き、それによって無慙は大きく飛ばされた。

 さらにそこへ追撃も放とうとする、三角の軌道を描きながら放たれる飛び蹴り。しかしそれは無慙も想定内。振り返りと同時に、迫るジャッキーに向かって刺突を差し込む。

 

「さんかくげり!」

「舐めるなァッ!」

 

 結果、ジャッキーの方の肉が抉れるものの、無慙の喉元に蹴りが突き刺さる。所謂相打ち、しかしそれを耐え抜いて先に動いたのは、ジャッキーだった。

 

「ウオォォォォォ!」

 

 繰り出したのは衝撃弾、それも一発ではなく連続で。瓦礫が粉微塵となり、余りの膨大なエネルギーによって空間すら歪曲し始めた。こんなものを食らえば、人間どころが異形の存在ですら形も残らないだろう。

 だが、それでも無慙は不変なる無の男。

 

「……それはもう、知っている。」

 

 振り下ろした斬風が灰燼を、空間を、そして気の塊を裁断する。前述したように既にジャッキーへの理解を得ているため、彼に対する特攻力が理不尽な程に高くなっているのだ。

 故に、ジャッキーもまた覚悟を決めた。ついに決別の時が来たのだと悟り、最後の一撃を放たんとする。

 

「ならば、我が究極の拳を貴殿に捧げよう。故にどうか、最後に名を教えてほしい。」

「無慙。」

「無慙か、承知した。これより先を進むというならば、どうか我が屍を越えるがいい!いくぞぉオォォォォォッ!」

 

 地を蹴り放たれる究極の拳。音を超え、光を越えてそれは蜃気楼のように残像を描き、拳に渾身の気を込めた一撃だった。言うなれば、終止拳を超えた終止拳。無慙といえど直撃すれば死にかけない拳だった。

 

「見事、その拳覚えておく。」

 

 それを、無慙は正面から刃を被せて拳を割いた。そしてそのままジャッキーの身体ごと両断し、彼の背後の地へと降りた。この街は既に二人の戦闘でほぼ崩壊し、完全な瓦礫の山となっている。

 

「さ、らば……無慙。どう、か………師匠の、仇を……」

「ああ、必ずカジオーは俺が殺してやる。」

 

 そう言い放ち、背中越しにジャッキーの最期を看取れば、無慙は先へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 更に無慙は歩を進める、天を駆け、崩壊した王国を見定め、そして生命の息吹を感じさせない火山を探索していた。遂に頂へ辿り着いた、その時だった。

 

「ハーハハハハハ!異界から現れた殺戮者よ、貴様の善行もそこまでだ!」

「……」

 

 突如、巨大な斧のような戦艦が無慙へと迫り、その頭頂部には5人の怪人の姿が見えた。上がってこい、そんな所作が見えてそれに応えるように無慙は戦艦に乗り込んだ。

 

「この世の悪を……」

「死ねェッ!」

「うおぉ!?」

 

 怪人達が名乗りを上げようとした瞬間、無慙は全速力で殺意を露わに剣を振り下ろした。漆黒の斬撃が繰り出される最中、怪人達は散り散りとなってそれを回避する。

 あまりに不意な出来事に、リーダー格であろう赤い怪人が声を荒げる。

 

「ちょちょちょちょちょっ、何してるんですかねぇ?俺たち今、名乗りをしようとして……」

「そんなの殺し合いでやろうとするのは馬鹿だろう、単なる隙ではないか。」

「身も蓋もないことを言ってくれてありがとうございます!それはそれとして、名前くらい聞いてくれませんかね!?」

「どうせアレだ、斧をモチーフにしているからグループ名は“オノレンジャー”だろう?そしてそれぞれのカラーリングに合わせてレッド、ブラックとか……」

「もうバレてるー!?」

 

 無慙のあまりに的確な指摘に、レッドは大きなショックと共に図星を突かれる。そんな彼を見かぎり、黒い稲妻が駆け出した。

 

「御託はいい、要はこいつを始末すればいいんだろう?俺に任せろ。」

「な!?まて、ブラック!」

 

 彼はオノレンジャーのブラック、チームのサブリーダーでもありチーム内最速である。

 

「スピード勝負と洒落込もうぜ、異界の剣士様よ。」

「ほう、中々だな……」

 

 直角、螺旋、ウェーブなどの移動の軌跡をブラックは描いていた。その速度は確かに無慙を感心させるほどのものだった。

 戦闘における速度とは攻撃速度や反応速度、そして移動速度が特に重要視されるだろう。特に後者は後回しにされがちな概念だが、ブラックはそれら全てが高水準に収まっている。

 

「そらそらそらァッ!」

 

 斧によるラッシュ、時には隠し持った爆弾で無慙へ攻撃を繰り出す。圧倒的な速度と手数、それが無慙への攻撃のチャンスを潰していく。

 しかし、無慙は一切慌てる様子を見せず……

 

「どれほど早く動けようとも、捕まえられれば意味はあるまい?」

「なぁっ!?」

 

 傍から放たれた斧攻撃を、目線で確認することなく素手で鷲掴みする。それと同時に剣を振り切り、ブラックへと攻撃を当てた。

 相打ち戦法、速度に依存しすぎた者にとても有効な手段だろう。ブラックは剣戟が直撃して弾けて飛び、顔から地面に直撃した。

 

「……あ、サングラス壊れた。鬱だ、死のう。あとは任せたリーダー。」

「オイィィィ!?何勝手に戦線離脱してるんだよ、もうお前いい加減防弾サングラス買えよ!」

「もうだらしないわねぇ、今度は私が相手になるわ。」

 

 次に動き出したのは、緑色のオノレンジャーであるグリーンだった。斧を杖のように翳せば、辺りに冷気が満ちていく。

 

「カチカッチン、凍りなさい。」

 

 足元から不意に噴き出す、吹雪の如き凍結の息吹。それに包まれて無慙は氷柱の如き氷柱となる。だが……

 

「温い」

「ッ!?」

 

 裏拳一閃、それだけで内側から氷柱を粉砕する。

 

「俺を止めたければ、荒れ狂う海ごと凍らせてみろ。もっとも、それでも止まるつもりはないがな。」

「キャァゥ!?」

 

 そう言い放ちながら、更に威力を上昇させた一閃をグリーンへと放った。斧で咄嗟にガードするもののそれごと斬られて深い重傷を刻まれた。ピクピクと痙攣しながらグリーンは横たわる。

 

「ごめんレッド……私、貧血だからもう戦えない……」

「もはや貧血どころじゃないだろそれ……」

「次はおいらの番でゴワス」

 

 次に現れたのは、太ったオノレンジャーであるイエローだった。足場が揺れるほどの衝撃を散らしながら、無慙へと近づいていく。

 

「ハアァッ!」

「ヌンッ!」

 

 無慙の正面からの攻撃に対して、イエローもまた正面から受け止めた。押されはしているものの、グリーン止めたければ違ってしっかり喰らい付いていく。その姿に、無慙も少し感心したような表情をした。

 

「ならば、これはどうだ?」

 

 無慙はそう言い放ちながら、足を使ってイエローの足を払った。すると当然、足元がもつれて体勢が崩される。そしてその隙を狙って、無慙が攻撃を繰り出して直撃した。

 

「グウゥッ!?なんの、まだまだでゴワスよ!」

「フン」

 

 痛みに苦悶の表情を浮かべるも、即座に立て直してイエローは突撃した。然しそれでも攻撃が当たらず、悉くが回避からのカウンターで迎え撃たれる。これこそが第二戒律の効果、隙を見定めて殺し殺されないための隙の概念を見定める力である。

 そして数分後、イエローは肩で息をしながら倒れた。

 

「レッド、おいらもう限界でゴワス……お腹減ったから、カレー食べたいでゴワス……」

「いや戦闘での離脱じゃないんかーい!」

「ああもう、見てられないわね。次は私よ!」

 

 そして次に動き出したのは、桃色のオノレンジャーたるピンクだった。彼女が斧を突き出せば、桜吹雪とシャボン玉が吹き荒れ、無慙の全身を包み込む。

 

「この桜が包み込めば貴方はキノコとなり、シャボンが全身を包めば醒めない夢へと堕ちていくわ。さぁ、これをどうするのかしら?」

 

 実際、基本的に斬り進む彼にとっては相性が非常に悪い力と言えるだろう。だが、今の彼は万象を支配する覇者。己以外を己の理で塗り潰す。その力の一端を解放した。

 

「腐敗しろ」

「なぁ!?」

 

 漆黒の業火、無価値の炎が全身を包んで桜とシャボン玉を腐敗し消滅させた。そしてそれが周囲に伝播し、己の理で上書きする。

 そしてそれを見たピンクは、瞳を輝かせる。

 

「ちょっとレッド」

「おい、戦闘中に何してるんだよお前?早く続行しろ。」

「そんなの私の負けでいいわよ。それよりも、彼に○INEやってるかか聞いてきて、私と交換するように話してきてよ。」

「あの黒い炎で頭でも焼かれたのかお前!?あんな殺意の権化のような奴が、コミュニケーションツールなんて使うわけないだろ!」

「い・い・か・ら・き・い・て・こ・い」

「あー、もう!」

 

 ピンクに強引に押されてしまい、無慙と対面する形となったレッド。なんとも言えない空気感が、オノフォースの戦場で漂っていた。そして無慙は、その様子をただ黙ってみている。

 

「……」

「あ、あのぉ……もしかしてですけど、LI○Eとかやってたり……」

「死ねェッ!!」

「わけないですよねごめんなさいねすみませんでしたァーー!!」

 

 無慙はレッドの言葉を喰い気味に裂き、それと同時に剣戟を振り下ろした。それを咄嗟に回避し、早口で謝罪しながらレッドは間合いを離す。

 

「たくもぅ、色々としっちゃかめっちゃかになったがこうなったら仕方ない。切り札を使わせてもらおう、オノフォースを起動する!トゥッ!」

 

 そう言いながらレッドが跳躍し操縦席につき、他のメンバーも立ち上がってポーズを決めていた。するとロボットのような頭部が起動し砲門のような口が開き始める。

 

「ふふふ、単なる砲撃と思わない方がいいぞ。このオノフォースから放たれるジャスティスブレイカーは、原理はガンマ線バーストと同じ。そしてこれによって、この世界の半分以上が破壊されていったのだ。それをまともに喰らえば、どうなるかは騙るまでもないよなァ?フフフ……ハハハハ、アハハハハハハ!イィィィィヤッハァァァァァ!ウララララララララララ!!」

「おい」

「アヒャヒャヒャぁぁぁ、んあ?」

 

 狂ったように笑うレッドを、遮るように無慙が問いかけた。不意な出来事に、ついレッドは間の抜けた口調で答えてしまう。

 

「そんな便利で強力な兵器があるなら、なんで最初から使わん?」

「…………………………………………」

「…………………………………………」

 

 無慙の問いかけの直後、沈黙が戦場の間を駆け抜けていった。オノフォースですらも、まるで『誰だってそう思う、俺だってそう思う』と言わんばかりの表情をしているような雰囲気を感じさせる。

 

「いやほら、チャージタイムとかあるからさ。」

「見た感じ精々数秒くらいだろう、お前達が戦いながらでも発動させるのだって手段の一つになり得る。」

「秘密兵器はバレると色々不都合なんだよ。」

「その秘密兵器を使って、秘密を知った奴を殺して証拠隠滅すればいいではないか。敵を逃すなんて手抜きするなよ。」

「威力高いからさ、味方ごと巻き込まれてかねないし。」

「操縦手であるお前の位置の近くに集めろよ、射撃なんだから味方を射程内に入れる必要性がむしろ無い。」

「…………あぁぁぁぁぁ、ウガァァァァァ!!!う、る、せ、えェェェ!!さっきからピーチクパーチク好き勝手言いやがって、腹立つんだよ!!ぶっ殺してやるよこの野郎ッ!」

「逆ギレかよ、オイ」

 

 遂にレッドが、無慙からの指摘に耐えきれなくなって怒りを露わにした。そして怒りの感情を乗せたまま、発射用のボタンを解放して押し込む。

 

「その澄ました顔を歪ませてやるよ、ジャスティスブレイカァァァァッ!!」

 

 砲門から放たれるガンマ線バースト。この世界の多くを破壊すると豪語するだけあって、光が地平線の彼方まで一瞬にして駆け抜け、無慙をその渦中へと巻き込む。

 無慙は光を前に、剣を盾のように構えながら防御し続ける。然り万象を貫く破壊の光が、それだけでは完全に防げないと言わんばかりに光の嵐を放ち続ける。

 

「なるほど、確かに今までの屑とは違うな。」

「は、はぁ!?馬鹿な……ジャスティスブレイカーを喰らって無事なんて、カジオー様以外は……」

 

 しかし、光の嵐を喰らっても無慙は生きている。無の身体がガンマ線バーストを喰らっても生き抜く体となり、ゆっくりと前進しながらオノレンジャー達との距離を詰める。

 絶えぬ殺意が無の身体を肯定し、攻撃中こそが最大の隙と見定め、そしてこの場全員の殺意を集め、奇跡の勝利を齎す。

 

絶し不変なる殺戮の地平(サォシュヤント・アウシェーダル)

「ギィヤァァァァ!?」

 

 殺意が力へと変換され、漆黒の斬撃が光を裂いてオノフォースごとの破壊を齎した。砲門ごとレッドをはじめ、オノレンジャーのメンバーが殺害されて消えていった。

 崩壊するオノフォースを背負い、遂に無慙はこの世界の終点にして元凶の地点である、巨大な剣が突き刺さった城へと向かったのだった。




次回はいよいよこの旅の最終決戦……になるかもしれません。
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