葬送継のヒンメル   作:除外音

2 / 4
過去から送る、未来への置き手紙。


━幕間━  走馬灯

〜フリーレンの死から10年前の記憶〜

《無限に広がる、夜空の下で》

 


フリーレン、君は王都には残らないのか」

あれ…何してるんだろう、私。これは思い出の中…?

 

確か、半世紀(エーラ)流星を見た時の…?走馬灯なのかな。改めて考えると…昔からかなり変わったな、たった10年だったのに。

 

 

「旅を続けるよ」

「一人でか?」

「気楽でいいでしょ」

この時の私は魔法や魔導書にしか興味がなかったな…もっと早く気づいていれば、ヒンメルの気持ちにだって答えられた。でも、ヒンメルは勇者だ。きっと私がいなくなったって…乗り超えてくれるだろう。

 

引きずってて欲しい

 

 

「弟子を取ったりはしないのか?旅は話し相手がいた方がいい」

「時間の無駄だからね。色々教えてもすぐ死んじゃうでしょ」

 

 

今の私は、かつてと違い弟子を取ろうという気持ちが芽生え始めている。いつか死んでしまうヒンメルのかっこよさ、勇気や意思や友情や…私との大切な思い出を…この世から無くしたくなかったから。

 

 

フリーレン、また魔導書かい?

なんとね、シロップが出る魔法だよ!

 

 

 

「フリーレン、人との関係はそういうものじゃない。」

「そういうものだよ。皆との冒険だって私の人生の百分の一にも満たない。」

違う。今ならそう言える。あの貴重な10年は、もう二度と手に入らない。

 

「アイゼンなら分かるでしょ?」

「俺は…」

ごめんなさい

 

 

アイゼンは私なんかより遥かに人との繋がりというものを理解していた。私がもう少し詳しく聞いていたら…何か変わったのか。

皆にも苦労かけちゃったな、この時は…いや、今もなのかな…ヒンメル……

 

 

「はいはい、暗い話は無し!今日はめでたい日なんですから、飲みましょう!」

「酒を飲む理由が欲しいだけだろう」

「ばれましたか」

……ハイター……ヒンメルには負けるけど、最後の最後にお人好しを見せてくれたな。

 

お前はいつも飲んでるだろうが。

この生臭坊主」 

はっはっは!」

 

待って

 

 

 

 

どんどん、皆の声が聞こえなくなってくる。思考も定まらない。かつての楽しい思い出は、もはや二度と作る事は出来ないのか。私とヒンメルの旅も…ここで終わり?

 

 

魔封石か。ヒンメル任せたよ

 

ヒンメル…?流石に早いんじゃないかな

 

ヒンメル!遂にゾルトラーク(人を殺す魔法)を解析できた!
ヒンメル、これ見てよ

 

うっひょー!宝の山だ!
今なら分かる、はめるなら薬指だね

 

ここまで人間の心が理解できるようになるなんて 私が一番驚いてる

 

私も…ヒンメルの事がすき…かも…?

 

ヒンメルも魔法を覚えてみたいの?

 

負けたよヒンメル。愛してる

 

 

分かったよヒンメル、死ぬまで一緒にいようじゃないか

 

どう、今のは大人のお姉さんみたいだったでしょ!

 

 

 

 

 

 

 

 

いやだ いやだ そんなの嫌だ

 

 

 

 

いやだよ

 

 

 

 

 

 

いやだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………皆と……別れたくないよ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荒かった呼吸は逆に緩やかになり、視界は朧気になっていく。夜空の蒼色なのか、ヒンメルの蒼髪なのかも判断出来ない。もはや私の死は近いのだろう。

 

 

 

 

 

くちのなかからちがあふれてくる

 

いきがくるしい

 

 

 

「………てくれ!フリーレン!!君が死ぬなんてそんな残酷な事が…僕との旅はどうした!行くんだろ?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なにかこえがきこえる 

きっとわたしをおもったこえなんだろう

てをにぎられている 

いつか そんなこともあったっけ

 

 

 

わたしがしんで  ヒンメルもしんだら

 

 

なにがのこるんだろう なにものこらないのか

 

 

みんなとのおもいではどうなるんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だめだ   ダメだ 

 

 

 

そんなの駄目だ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識を何とかはっきりさせていく。魔族特有の驕りがない奴らに、地獄の業火を出す魔法(ヴォルザンベル)破滅の雷を放つ魔法(ジュドラジルム)は通じるとは思えない。片割れの呪いでヒンメルの動きも封じられた。どうすればいい。

 

 

 

…いや、あったじゃないか。魔王を倒す時に使った奥の手。唱えるのに多少時間はかかるが、ヒンメルならなんとかしてくれる。どうせ死ぬならやれる事だけやってみよう。私の…魔法使いとしての力を全て使うんだ。大切な人の為に。今だけは葬送のフリーレンじゃなく。

 

 

 

 

 

 

ヒンメルの、たった一人の想い人として。




大事な貴方だけには覚えていて欲しい。想いも一緒に。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。