凍傷気味のみかん箱   作:凍傷(ぜろくろ)

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 ジョンガリAの名前の凄まじさをきっと僕は忘れない


ジョジョが奇妙な冒険

 それをそうと自覚した(・・・・・・・・・・)時、俺の努力の日々は始まった。

 

「おじーちゃんのいき? こきゅー? の仕方、かっこいー!」

「お、おお? そうか? ワッハハハ、そうかそうか! これはな、波紋の呼吸と言ってじゃなぁ」

「なまえがあるんだ! すっごーい! おしえておしえて! おじーちゃんおしえて!」

「ん~……そこまで言うなら教えてやらんでもないが……ホリィには内緒じゃぞ? 承太郎」

「うん!」

 

 空条Q太郎。またの名を空条承太郎。俺の名前だ。

 そう呼ばれた時、『あ、やべぇ』と素直に思った俺だ。そうであるからにはテンプレが如く前世のある底辺社畜な俺だったわけだが……努力だけは怠らん社畜であった。

 故に、俺は未来へ向けての一瞬一秒を無駄にするわけにもいかず、努力努力の日々を重ねた。何故って? ……あのー、これを見ている親愛なる同胞(とも)らよ。どうか怒らずに聞いてほしい。

 

  ……俺、ジョジョじゃ承太郎ってトップレベルで好きってわけじゃあないんよ。

 

 や、オラオララッシュとか普通に好きだし、やれやれだぜとかのやたらと語尾に『ぜ』とか『だぜ』を付けるのも好きだし、ジョジョって世界で言えばそりゃあ上位として好きだけどさ。

 言った通り、俺……努力が好きなんだ。一部のジョナサン然り、二部のジョセフ然り、なんかあんまり努力描写もなく最強のスタンドを手に入れたキャラ、という部分でどうしてもこう……ね? 腕を組んで首を傾げてグウウ……ムムウ……と唸ってしまう。

 や、ほんとどうか誤解しないでほしい。嫌いじゃないんだ。むしろジョジョって世界じゃ結構好きなキャラだ。ただ努力云々やなにかしらの苦難困難があったのかーって言われたら……決してトップレベルではない、と言えてしまうのだ。

 だったら大好きになれるよう、呆れるほどに努力した先にはどんな承太郎が待っているのか! それを証明したくなったのさ! なら努力するっきゃねぇでしょう!

 というわけで、もう波紋の呼吸はしなくなって久しいっぽいジョセフだけど、酔った時やふとリラックスした時、ついついといった感じに呼吸が波紋のものに変わるのを察知。それをおだてるようにして教えてもらった先で───

 

「COOOOOOO……!!」

 

 一分一秒をも無駄にはせんとばかりに鍛錬を始めた。

 子供の頃から自然と呼吸が出来てたジョセフは、他人に波紋を教えるのが究極的に下手だった。お風呂に入れてもらっている時に、湯船に浸かった彼の体からピィイイーン……と波紋が広がるのを見て、かっこいーとおだてまくって教えてもらったのが、精々でこう……そのー……こうしてこうしてこう吸うのじゃーっていう、ふんわりした説明と……あとは、実際に波紋を体にピリっと流してもらったくらい。

 

  だがそれで充分だったのだ。

 

 フィクションの中に産まれながらも、どうしても『自分には出来るわけがないッ!』がこびりついてしまっていた俺の中から、少しずつ前世の常識を剥がしていくには十分すぎる刺激だったから。

 だから常に呼吸は波紋を意識して、頭の中ではスタンドを意識した。

 承太郎がスタープラチナを意識したのはいつ頃からだったかな。もう覚えてないけど、上手くすれば子供の頃から発現出来るかもしれない。

 ……DIOがザ・ワールドを発現させてから、ジョースターの血統連鎖で発現したんだっけ? いや、そういうのはいい。発現出来るって信じて続ければ、出来るかもしれない。魂のビジョンを常に思い描けッ! その先に必ず、黄金の精神は生まれるのだから!

 俺が描く真実に辿り着こうとする意志は、努力の先にこそあると信じているのだから───!!

 

 

───……。

 

……。

 

 あ、ところで同胞たちよ。波紋の呼吸を知ってると、やっぱり全集中とか思い出すよね? 全集中っていうのは過去の、侍たちが居た時代の日本人の身体能力に、脈拍加速からなる身体能力増強を含めたものの総称だと思っております。

 昔の人はスゲーんです。昔の人の服って分厚かったってご存知? それの上から人を斬ってみせるってんですから筋力の時点で異常だよね。現代日本人が同じことやろうとしても、精々で骨を砕くくらいしか出来ないっていうよ?

 そんな馬鹿なって思うよね。でもね、過去の人たちって、女性ですら300キロの重さを背負えるくらいに身体の使い方(・・・・・・)が上手かったんだ。

 近代日本の運動全般は筋肉重視のところが多いけど、昔の人は姿勢で補ってた。もちろん筋肉が多いに越したことはなかったんだろうけどね。

 なので日本人でミュージシャンのサダオ・クージョーの血を信じて、食事の大半を野菜やおにぎり、漬物などで構築、旧時代の日本人の血の覚醒を願いつつ呼吸法も続け、とうとう5分間の吸って吐いての呼吸が可能になると、波紋が練れるようになり───

 

「スハスハスハスハスハスハおげぇえええっほげっほごほ!!」

 

 次に、一秒に10回の呼吸、10分吸って10分吐くの波紋法へと昇華。

 もちろん簡単に出来るはずもなく、ジョセフはたまにホリィさんに会いに来ることはあっても、すぐにニューヨークに帰ってしまう。

 指導してくれる人が居ない中、それでも必死に頑張って、風呂の中で潜ってみたり、小学校のプールでいろいろ試してみたりと鍛錬の日々は続いた。

 その甲斐あってか一年で……うん。一年で……一秒と十分の呼吸両方の昇華は完了。

 ジョセフとシーザーは33日以内に修めた修行を、一年とか…………い、いや、俺指導してくれる人が居なかったからだし!? ヘルクライムピラーなんてなかったから、決死の覚悟で学べなかっただけだし!? メッシーナ師範代とロギンス師範代が居なかったからこんなにかかっただけですしー!? ……はい、言い訳ですね。

 

「お母さん! おかわり!」

「はァ~い♪ 承太郎は本当に美味しそうに食べるわねっ、嬉しいわ~っ♪」

 

 しかしホリィさんの料理美味いなぁ。子供のジョータローが家に帰って母さんの手料理がいいな……と言っていただけはある。我儘言って日本食ばかりにしてもらってるけど、これも仕方のないことなのだ。ジョースターの血は、外国の血が濃いことは分かってる。けど、努力っていうのは『分かり切っているから』と結末を決めつけてしまっては歩むことすらできない。

 だから……俺は結果だけを求めていない。結果だけを求めると、人は近道をしたがるものだ。近道した時、真実を見失うかもしれない。そうなれば、やる気も次第に失せていく。…………大切なのは、真実に向かおうとする意志だ。あの警察官も言ってた。そしてそれは、俺も間違いじゃあ無いと信じている。

 ジョジョの世界の警察っていうのは大体ろくでもないヤツらばっかりだけどな。東方のじいちゃんと、アバッキオの先輩はフツーに尊敬できると思う。

 

「『姿勢』……『姿勢』だ。『姿勢』を意識しろ。黄金の回転が黄金長方形から成るように、この世界は過去、そうであったもの(・・・・・・・・)が意味を以って過去に存在することが多い。波紋に然り、柱の男の研究に然り」

 

 過去に意味を持っていたものは、過去にあったというのに未来への遺産である。

 前世ではどうだか断言できるものでもなかろーが、この世界ではそうだ。

 つまり過去の日本人がそうであったという文献や資料がある以上、それは再現できるということ。そして、再現で最も重要なことは……いいか? 重要なことは。リアリティだ。知っているのといないのとじゃあわけが違う。

 おぼろげだっていい。『できるわけがない』を破壊するには、自分の脳を書き換えるきっかけってのが大事なんだ。『できるわけがない』と信じていては、それこそ出来るわけがない。

 なによりも重要なことは『できるわけがない』を嘘くさくしてしまい、自分自身で信じられないものに仕立て上げることだ。出来ないという自分の殻こそを壊してしまえ。

 

「最初に波紋を編み出した『波紋の戦士』のことを尊敬する……通用するかもわからないのに……意味がないかもしれないのに……」

 

 彼らは抗ったのだ。そして武器を、(すべ)を手に入れた。

 マジに尊敬する。グラッツェ、波紋の戦士。まあ元は医療術だったらしいけどね。それが転じて攻撃方法になったっていうんだから、ほんとスゲーって思う。

 

「ココォオオオオッ……!!」

 

 だからこそ、波紋の常中を手に入れただけで満足はしない。

 術を得た者がするべきことは、より技術を混ぜたものを後世に残すことだと思っている。だからここからはさらなる努力の時間だ。

 

───……。

 

……。

 

 二年が経った。

 波紋を強化し、日本古来の姿勢から来る身体操作を会得……すると同時に呼吸がより深く濃くなり、心拍数が上昇。熱が上がっても倒れたりも気持ち悪くもしないことから、どうやら全集中化に成功した模様。

 それを現在、庭に用意した簡易プールに張った水で試してみているわけで。

 

「波紋の呼吸……壱ノ型、“波紋疾走”(オーバードライブ)!!」

 

 コオオ……と呼吸をし、右手に波紋のスパークを起こさせてみる。その状態で水に触れれば、パリッと軽くスパークしてみせる水面。同時に強い波紋がバッシィイァと広がっていく。

 

「弐ノ型……ズームパンチ!」

 

 次。腕の関節を外し、その痛みは波紋で和らげ、腕を伸ばす。戻す時が結構痛かったりする。つまるところ脱臼してるわけだし。簡易プール関係ねぇ。

 

「参ノ型……熱を生み出す炎の波紋! “緋色の波紋疾走”(スカーレットオーバードライブ)!」

 

 水に熱が伝わる! 沸騰まではいかないまでも、温度が変わる! これすごい! なおゲームだと本当に相手が燃えるぞ!

 

「肆ノ型……水中のための“青緑波紋疾走”(ターコイズブルーオーバードライブ)!」

 

 プールに突っ込んだ手で、プールを破壊しない程度で発動。……自分でジャグジーやってるみたいで面白い。

 

「伍ノ型……鋼を伝わる波紋疾走! “銀色の波紋疾走”(メタルシルバーオーバードライブ)!」

 

 ……さすがにまだ包丁やナイフに触れるのは許されていないので、ここに鋼はない。まあ台所で鋼の包丁には通せたから問題なし。鋼の包丁って切れ味よくていいよね。ダマスクスもいいよね! なんかあの模様が好きだ。

 

「陸ノ型……生命磁気への波紋疾走!」

 

 落ち葉を集めて波紋を流せば、スペード型の巨大な葉っぱの集合体が完成。

 高い位置から風に乗れればグライダーにもなるってんだから素晴らしい。

 

「漆ノ型……ふるえるぞハート! 燃えつきるほどヒート!! おおおおおっ! 刻むぞ血液のビート!」

 

 そして最後はこれである。緋色の波紋疾走で体の熱と心拍数を上げて、どこぞのギア・セカンドのように身体能力を増強。血管や関節などにかかる負担は全て波紋で打消し、およそ人間離れした行動さえ『姿勢』から成る身体の使い方の昇華で可能にし───

 

“山吹色の波紋疾走”(サンライトイエローオーバードライブ)!」

 

 人間なのにスタープラチナばりのガッツとパワーを持つという人間凶器さんのラッシュを模倣。右手を突き出したなら下がる左手を反動として、繰り出す拳の威力に転換。その際にみしりとかかる負担もやはり波紋で受け流し、消すのではなく破壊力へと変える。そのお陰かただ速いだけのラッシュと違い、破壊力も申し分ないものへと変化。……使ってみて思うけど、ジョナサンってほんと人間離れしてらっしゃる……!

 

「……なお、捌ノ型は深仙脈疾走予定なので使いません」

 

 臨終の時に誰かに託すのもいいかもしれないけどね。候補としては徐倫かなぁ。ドチャクソに甘やかしてやんョ。

 ……というわけで世界を一巡させるつもりはない。神父は潰す。あとはスタンドが発現してくれれば、どこぞに居るであろう典明くんとズッ友になれるんだけど。

 

「なんとかならないかなぁ。こう……体も呼吸も仕上がったし、あとは成長するだけって段階なんだよ? 出てこれません? ほらー? ───スタープラチナッ!!」

『オォラァッ!!』

「……………………出たし」

 

 なんか出た! ……出たので、再び努力の日々が始まった。

 ……ちなみにタウンページで花京院を探してみても、なんか別に見つからんかった。

 

───……。

 

……。

 

 星の白銀(スタープラチナ)。公式で最強認定されている、最初はワムウみたいな口調で喋ってた伝説のスタンド。

 俺の隣に現れたそれは、なんかパミー! とか言いそうなくらいちっこい……まあ俺と同じくらいの大きさだった。

 が、そんなでも拳の威力は一級品だし、スピードも操作性も見事なもんだ。

 原作のようにアヴドゥルの炎にやられた際の防衛本能無しに自由に操れる。

 ……たぶん、全集中常中会得のための、臓物がまろびいづらんほどの激痛苦痛によって、とっくに発現出来てたんだと思う。俺が気づかなかっただけで。

 こんなアホな話がありますか、まったくもう。

 

「………」

『………』

 

 ジョジョでよくありそげな、ゴゴゴゴゴ……と雰囲気を出しつつ、超至近距離で顔を近づけるアレをやってみる。……なんの意味もない。

 ほんと意味はないんだから当然だ。気を取り直して……よし、時間を止められるかやってみよう。たぶんあれはスタプラのAct2的な能力だとは思うんだけどね、それでも。

 成長しきってないのにいきなり時止めとか無理だって。

 

「……でもエンヤ婆は時を止めて当然、って考えることが重要的なこと言ってたもんな」

 

 僕らにしてみりゃスタプラは時を止めて当然。今さら信じる信じないの話をされてもなあって感じだ。それに人間としての精神の成長なら、もう鍛錬の時点でしまくってると思うし。

 

星の白銀・『世界』(スタープラチナ・ザ・ワールド)!!」

 

 スタンドのパワーを全開だ! な気分で発動させてみる。発動させてみる、というのはこう、スタンド出してるとね、通ってるパスみたいなのを感じとれて、そこからなにかが少しずつ吸収されている気がするのだ。つまりそれを一気に供給することで、スタンドのパワーの消費とする、ということで。

 

  直後に、ドォーーーン!! とばかりにほんの一瞬、世界が灰色になり、すぐに戻った。

 

「───」

 

 出来た。途端に目が回って、ザムゥ~と倒れた。スタプラが支えてくれたけど、そっと俺を地面に寝かせたら消えた。

 ……出来ちゃったよ。やっぱもうこれAct2にシフトチェンジしてるんじゃない?

 あ、でもだめ、スタンドのパワーを使いすぎる。出たばっかのスタンドエネルギーじゃあ補えきれんわ。

 

「……回復するかは分からんけど、波紋の深呼吸しとこ」

 

 はい、コオオ……と。

 

……。

 

 しばらくして、状態も回復したので……まずはスタンドを出しておくことから慣らしていくことにした。といっても常時傍に立たせる~とかではなく、体に重ねる程度に、輪郭がブレるかも……? くらいに。

 そして前から気になっていたアレも試してみる。

 

「基本、スタンドはなんでかフワフワ浮いている。で、スタンドは主人と重なった状態だと、跳躍時に大きく跳躍したり出来ることから……この浮いている状態(・・・・・・・)を利用すれば…………よしっ! 予想通りだっ! 浮いたぞッッ(・・・・・・)!!」

 

 DIO戦の謎の舞空術、といわれているシーンがある。それは承太郎とDIOが、なんか空飛んで追いかけっこをしている~とかそういう場面のこと。

 でもあれってさ、考えてみれば簡単なんだよな。だってスタンドに地面を蹴らせて高く大きく跳躍することが出来る時点で、そもそもスタンドが宙に浮いている時点で、勢いさえつけば空飛べるの当然なんだもの。承太郎が軌道修正で壁を殴ってる場面があったけど、あれはあくまで浮けるのであって、(・・・・・・・・・)飛んでいるので(・・・・・・・)はない証拠だ(・・・・・・)

 やってみたけどやはり自由には飛べない。DIO並みに人外のパワーがあれば、どこも蹴らずに殴らずに、“スタンドを前に進ませる”、という力だけで体を引っ張れるのかもだけど、今の俺にそれは出来なかった。

 

「やべぇ楽しい……! 筋力も勉学もだけど、努力すれば伸ばせるものが明確に傍にあるって、なんて嬉しいんだ……!」

 

 前世のあだ名は努力魔人。誉高きあだ名だと受け取ったよ。自分にとってそれは努力だ成長だと思えることは大体こなしたつもりだ。もちろん休憩する努力だって忘れなかった。

 結果は、まあ。俺に嫉妬して狂った先輩に駅のホームで突き飛ばされて───って感じ。まあ生きる努力を諦めなかったので、瞬間的に振り向いて相手の手ェ掴んで、それで先輩だったって気づいて、殺意に対抗する努力をして、なんとか踏み止まろうとしたんだけどね。予想以上に強い力で、というか身体全体で圧されたっぽいのと、先輩に踏ん張る力が無かったことが災いした。結果、二人揃ってドグシャア・ギャアーみたいな感じで死亡。アホだね。

 ただ言っておくなら、俺は先輩とも仲良くなる努力を忘れなかった。ひょろいしガリィしぶちぶちぼそぼそ小言を言う人だったけど、仕事は出来たスゲェ先輩。他人はどう言おうが俺は尊敬してたし、それを隠しもしなかった。真正面からどんだけスゲェか褒めまくったし、どこに尊敬してるか、シビれるか、憧れるかをきっちり伝えた。

 めっちゃテレテレしてたし悪い感じはしなかったんだけどなぁ。

 ただまあうん。先輩が惚れてたっぽい女性が俺にアプローチかけてきた時から、なんかすっげぇ俺のこと睨み始めてきてさぁ……。

 成績で抜いちゃった時だって『お前相手なら嫉妬も馬鹿馬鹿しーよ。スゲーじゃん、やったな』って、珍しくも歯ァ見えるくらいニッて笑って褒めてくれたのに。

 ……好きな女性だけは譲れなかったらしい。いや、俺べつにあの人のこと好きだとか、そんなことなかったからね? なんならあの人が男性のこと手玉に取ろーってこと給湯室前で聞いちゃって、距離取ろうとしてたくらいだから。

 

「『オラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!』」

 

 心の奥に溜まった鬱憤を、スタンドのラッシュとサンライトイエローとでラッシュし合って発散する。セルフでどんどん両拳にダメージが蓄積するけど、痛みは波紋で和らげてるので問題ない。

 ガンゴンドゴドゴドゴドゴとスタンド相手にラッシュの速さ比べをするかのように、けれどお互いがお互いなので、どこに来るか、打ち込むかが分かる分、拳がぶつかり合うことにしかならなかった。ただ、拳の速度を目で追う練習にはなった。あれだな、高速とかで車に乗り続けていると、速さに慣れてしまうアレ。それに常日頃から慣れておけるようにと、その鍛錬も続けた。もちろん、その速度に自分の反射神経もついていけるように。

 

……。

 

 ある日、ランニングと称してスタンドを自分に重ね、地面を強く蹴りながら高速で移動する練習をしている最中、超特徴的な髪型をしている少年を発見した。

 思わず足を止め、ズザァザザザザと音を鳴らすくらい豪快に止まり……驚きつつこちらを見ている少年を、俺も真っ直ぐに見た。

 

「……………」

「……………」

 

 ゴクリ。なんでか喉が鳴る。だが同時に思い出してもいた。

 ジョジョ4部ではもはや有名な言葉だ……スタンド使いはスタンド使い同士ってのは引き合うって話。…………こんなことをここで言ってもどーしよーもないことだけどな。いいか、間違えるんじゃあない。間田が言ったのは『引き合う』であって、『ひかれ合う』って言ったのは仗助だ。引かれ合うでも惹かれ合うでも断じてないッ! 間違えるんじゃあないぞッッ!!

 ……と、なんでもない場所で、探す目的もなくジョギングをしていた筈なのに、こうして突然出会った、っていうことはよォ~~~……そこになにかしらの意味が、引力があったっつーことッスよねぇ~~~……?

 

「…………空条、承太郎」

「…………花京院……典明」

 

 ドシュンッ、と。スタンドを出しながら名乗った。

 なにかしらの予感があったんだと思う。二人で顔を見合わせた瞬間。だから俺達は、今まで出会ったこともなかったにも関わらず───澄んだ目をしたまま、ツェペリさんとダイアーさんが若かりし頃にそうしたように、腕を奇妙に絡ませ合って笑ったのだった。

 …………え? もしや中身が前世で一緒に死んだ先輩なんじゃって? いや、先輩なら地獄行きだったから転生はないと思う。なんか死んだ瞬間、たくさんの手に捕まって叫びながら闇に飲まれる姿を見たような記憶が残ってるから。……今思えば、あれってあの振り向いてはいけないアレだったのかなぁって。

 

……。

 

 典明……アキはあまり口数の多い感じじゃあなかったけれど、慣れれば解説付きでいろいろ話してくれる、自分の知識を語るのが好きな男だった。子供の頃からこの髪型だった、っていうのは有名な『自分は違う』の回想アニメ回で知ってたけど、目の前で見ると改めてこの髪型のスゴさが、スゴ味が分かるっていうか。

 

「アキはさ、名前とかつけた? これに」

「……正しい道をゆく道徳心、って意味で……法皇。丁度母さんがタロットカードに興味を持っていた時に、意味を教えてもらったんだ」

 

 家の庭の地面に文字を書いて教えてくれる。

 縦に、法皇。で、その横にハイエロファント、と。

 

「そして、見ての通り緑色だから……翠。エメラルド。ぼくの幽霊の名前はハイエロファント・エメラルド」

「ほおおお……格好いい名前だ」

「ふふっ……だろう?」

 

 名前を褒められて嬉しいのか、どこか照れくさそうに、けれど嬉しそうに笑う。

 もちろん俺も名前を教えた。星の白銀、と地面に書いて、隣にスター・プラチナ、と。

 

「色、大事だからね」

「うん、大事だ」

 

 アキの言葉に頷いて返す。そう。色、大事。見た目で判断出来る材料っていうのは、本当に大事だ。なにせ印象が違うからね。

 

「けど、星か。たしか母さんがやってたタロットにも、星ってカードがあった気がする」

「そうなんだ。じゃあ、タロットっていうのでも繋がってるんだな、俺達」

「………」

 

 俺の言葉に、アキは大層照れて、鼻の下を人差し指でごしごしやる伝説のアレをやっていた。漫画の少年って照れるとなんでアレやるんだろうね。でも花京院のアレは、子供の時とはいえ相当レアであると断言できる。目に焼き付けておこう。

 と、そんなわけで……俺達はそれからも交流を続けた。

 学校は違ったけれど、学校が終われば会い、ともに互いの家で遊び、時にゲームをし、時にスタンドを合わせて普通じゃ出来ない四人対戦のボードゲームをやったり。

 その頃にはアキにも俺と同じ鍛錬をしてもらっていて、スタンドの精密さ、操作性、身体能力ともにバク上がりを果たしていた。勝負は彼がエジプトに行くまで───と、思っていたのだが。

 

「エジプト旅行? ああ、やめたよ、ぼくだけキャンセルだ。だって、ジョジョとこうして遊んでいたほうが楽しいしね」

 

 ……いざ、その時が来た際。カキョーインはあっさりとエジプト行きを蹴った。

 そうだった。

 花京院典明って男は、普段はどこかそっけない感じなのに、惚れたら女性以上にゾッコンになるシーザーみたいな男だった。

 真に気持ちが通った友人、という存在を心から願っていた彼だ、そりゃあ家族旅行なんぞよりもこっちを選ぶか。

 そんなわけで、俺達は俺の家、空条家で鍛錬を続けた。アキにも波紋と全集中の呼吸は教えてあるし、なんならエメラルドスプラッシュと波紋の相性が良すぎて、アキの強化は留まることを知らない。

 しかしながら俺はちょっぴり気になっていることがあったので、それがいつかは分からないなりになんとかしないととは思っていたんだけど───……あ、うん。それとは別になんだけど。

 

  ……なんか、花京院夫妻が、へんな老婆から記念に矢を売ってもらったって。

 

 息子が、自分たちには見えないなにかを気にしている気がする~とか夫妻が話し合っていた時、それを聞いたらしい老婆が『これはそんな息子さんの願いを叶えるかもしれない矢ですじゃ、どうぞ息子さんにプレゼントしてみてはどうですじゃぁ?』などと言ってきたらしい。

 ……おい。いやおいエンヤてめぇ。お前まさか花京院に自らスタンド使いを作らせるつもりだったんじゃああるまいな。

 吉良の親父の行動を思い出すに、適正のあるヤツに鏃を向ける修正がこの矢にはあった筈だ。あ、今はその矢、俺の手にあります。ちょっと見せてくれ~ってアキに言って、見せてもらっているところだ。

 

「ジョジョ、きみはこれがなんなのか、知ってるのか?」

「ああ。矢……『聖なる矢』、なんて呼ばれてるものだ。宇宙から飛来した隕石を削って出来た鏃が本体で、これで傷つけられた生物にはウィルスが回り、それに打ち勝った存在にだけスタンド……いわゆる俺達で言う幽霊が備わるって言われている」

「なっ……そうなのか!?」

「ああ……本当だぜ。そしてそのウィルスや特性の性質なのか、スタンド使いはスタンド使いと引かれ合う。なんて言われてる。俺とアキが出会ったのも、スタンドの導きなんじゃあないかって思ってる」

「スタンドの導き………………なるほど、気持ちが通じ合う、だなんて思えるわけだ」

「それと、もう一つ特性があってだな」

「もうひとつ? 特性?」

「一度スタンドを発現させ、精神的に大きく成長を遂げた存在がもう一度矢に貫かれると、スタンドが進化する、とかなんとか」

 

 実際のところは、そこんとこだが俺にもわからんって部分だから断言はできないわけだけど。

 




 続きを書こうとは思ったけど、いつになるか分からんのでとりあえずここに上げてしまう。

 ………………。
 そういえばよォ~~ッ……
 緑色の赤ちゃんの元の骨ってばさァ~……
 あれってそもそもジョナサンの骨の筈なんだよな~~~……
 …………するってことはよ? それってばさァ~……
 スタンド発現させてるジョースター家の者が、14の言葉とか唱えたらさぁ……スタンドの~……強化? 進化? 出来たりするってことなんじゃあねぇのォォォ~~~?

 などとほんのちょっぴり考えてみた。
 え? 罪人の用意? …………知りなさい。人とは既に罪深い生き物なのです。なのでそこらのなんか知らんうちに極罪を犯してた浮遊霊のタマスィーで十分だと思うの。 
 というわけで発動すると……副作用として、なんか一部の骨が体の中を駆け巡ります。
 このルートのジョジョはオーバーヘブンを発動させるに到るので、エジプト旅行は相手側が地獄を見ることになります。
 ちなみに中学の頃には花京院とともに矢を使ってレクイエムへ移行。

……らせん階段、カブト虫、廃墟の街、イチジクのタルト、カブト虫、ドロローサへの道、カブト虫、特異点、ジョット、天使(エンジェル)、紫陽花、カブト虫、特異点、秘密の皇帝
「……なぁジョジョ。ちょっとした疑問なんだが。……単純な好奇心からの質問なんだが。どうして喋り方にそんな、奇妙な熱と力がこもっているんだい?」
「オールスターバトルの速水さんの言い方がスゲーっ好きなんだ」
「オール……? って、ジョジョ? きみ、その体……どうした? スタンドも───」
「え? ……お、おおおっ!?」

 高校の時、14の言葉をスタンドのパワーを全開にしながら唱えてみたら、スタープラチナ・レクイエムが変異。重力操作の能力を得る。
 その後、仲良くなったホリィと花京院の親とで旅行を、という話になり、新月の日が重なるように日程を誘導、遠い外国の地にて『位置が来る』のを体感し、オーバーヘブンを発現。
 花京院は緑色の赤ちゃんもとい、『ジョースターの骨』が無いのでシームーンチックな昇華の先には行けなかった。しかし、遠い外国の地での冒険が彼らの友情に火をつけ、二人は一層に仲良くなった。

 そして運命の日。
 ……の前に、仗助に会いに行き、オーバーヘブンでスタンドの力に苦しむ仗助に活力を与えて救うと、以降、仗助はリーゼントではなく髪に融合するような帽子を身に着けるようになったとか。
 そして運命の日、苦しむホリィをオーバーヘブンで治して、でもそれはそれとしてDIOをブチノメすためにエジプトを目指した。
 ポルナレフは仲間にした上で、カメオに土人形を作らせたあとにそれにオーバーヘブンをかけて妹を復活させた。どうでもいいけどカメオってなんでシェリーの姿とか知ってるんだ。アヴドゥルはともかく。ポルナレフの記憶の中のシェリーを引きずり出した感じ? ならOK、一層に……オーバーヘヴンは加速する!
 そんな感じで普通に旅行をして、襲われない限りは急ぐこともせずに歩み、アヌビス神は刀の状態のままオーバーヘヴンして持ち主をきっちりポルナレフへ変更。常時アヌビス二刀流状態にしたお陰でパワーアップした。

 なお、鋼入りのダンは痛覚をオーバーヘヴンで破壊された上でオラオララッシュの餌食となった。
 苦戦する筈だった相手も、大体がハイエロファント・グリーン・レクイエムであっさり探知された上でおしおきされて終わる。
 死神13は───うん。

「そうだな、スゲー心が痛むぜ。こんな赤子に攻撃をするだなんてな。だから……もう大人にした(・・・・・・・)
「エ? え……あ、え?」
「スタープラチナ・オーバーヘヴン。殴った対象の運命、引力は既に書き換えた。そう……もう、これで」
「そう。これで心は痛まない。一旦キミを大人にすれば、もうどれほど痛めつけても全然卑怯じゃあないわけだな」
「あ、ア……アーーーッ!!」
「OHMYGOD! ワシの孫はなんつーことを考えるんじゃあーっ!!」
「おしおきの時間だよベイビー。───ハイエロファントグリーン・レクイエム!!」
「ウッガァアーーーッ!!」

 ハイエロファントのしなる腕で空に弾かれ、エメラルドスプラッシュではなく幾重にも分かれた鞭のような腕で、空中に浮いたまま殴られまくり、再起不能へ。
 能力自体はいろいろ考えたけど、まあそれは謎ってことで勘弁してください。ちゃんちゃん。

 結局のところ、一番苦戦するのはヴァニラアイスだと思う。
 ので、アヴドゥルを消そうと姿を現し始めたところで時を止めて、ボコるに限るわけで。

「オラオラオラオラオラオラオラオラ! 山吹色の波紋疾走!!」
「オッガァアーーーッ!?」

 例の如くDIOに首を繋げてもらったようなので、あっさり波紋で勝利した。
 ヌケサクに棺を開けてもらうという段階においても、とりあえず時を止めて自分で棺を開けてみたら、中に居たDIOと目が合った。

「!? 貴様ッ! 我が止まった時の中に入門───」
「入門? 違うな。既に免許皆伝済みだぜ、DIO。……さて、何秒時間を止められる? 2秒か? 3秒か? …………4秒、といったところか」
「……! な、なんだ? 身体の動きがにぶいぞ……? いや……にぶいのではない! 動けん! ば、ばかなっ!」
「悪いがうだうだとくっちゃべるつもりはないぜ。言いたいことだけを言って、さっさと終わらさせてもらう。……てめーがもし、血の目潰しのあとにした攻撃がスタンドによるものでなければ、勝ってたのはてめーだっただろうぜ。吸血鬼である自身の体で攻撃すれば、足を砕かれようがすぐに再生できたろーに。スタンドで攻撃するから精神の形を破壊されて、再生できねーほどにバラバラになるハメになった。体は吸血鬼だろうと、精神は人間のままだからな。やれやれ……」
「な、なにを……なにを言っている……!?」
「既に有り得ることない別の未来の話だ。てめーが知る必要は、これっぽっちもない……な」
「っ……承太郎……ッ……貴様ァァァァッ!!」
「最後にてめーに贈る言葉はたった一つ。たった一つのシンプルな言葉だ。───テんメ友情を感じてたくせに100年経った今ではジョナサンをジョジョって呼ばないとかどういう了見だコラァアアアアッ!! 俺は3部においてテメーのその一点がなによりも許せねぇんだ死ねオラァッ!!」
「な、なっ……!? なにを言」
「なにがプッチだなんか急に友達作りやがっててめぇの思想のほうがよっぽど便所のネズミのクソにも匹敵する思想だマヌケがァ!! 一生後悔して二度と友情とかほざくなダボがぁ!! スタープラチナ・オーバーヘヴン!!」
「おぐっ!? あっ……がぁあああっ!? このDIOが! このDIOがぁあああっ!!」
「…………違うな。てめーはもうDIOじゃあねぇ。書き換えさせてもらったぜ……馴染ませたがっていたジョースターの血をな」
「なんだっ!? 身体が燃えるように熱いッ……貴様、なにをっ……!」
「俺は既に天国へと到った。これはその能力だ。そして───てめーは地獄行きだぜ。せいぜい今まで吸った血の量でも思い返して消え失せな」

 ……やがて、逆立っていた金色の髪は黒く染まり。
 気づけばそこに、筋骨隆々の、一人の紳士が立っていた。

「……やれやれ、どうやら成功したようだぜ。───時は動き始める」
「ここは……はっ!? ぼくは……ッ! ディオはっ!? エリナはっ……」
「やれやれ……まず、どこから説明したものかな。……いや、ここはおじいちゃんに投げるか。浮気なんぞをした罰、ってやつだぜ」
「……? きみは? なぜか、どこから懐かしいような気持ちになるきみは……あっ、すまない。ぼくはジョナサン・ジョースター。現状をどう説明したらいいのか、言葉に迷うんだが───」
「~……この真っ直ぐさが、少しでも血に残っていればな……やれやれ」

 きっとリサリサ側の血が強すぎたに違いない。
 そう思うことにして、承太郎は旅の終わりを思った。

 なお、こののちにジョナサンを空条家に連れて帰ることになるのだが、ジョセフから語られるエリナのその後を聞いて静かに涙し、悼み、スピードワゴン財団のことを聞くと、スピードワゴンの歩んだ道を自分のことのように喜ぶとともに感謝し、日本での暮らしに困惑しながらもやがては馴染んでいった。
 ……ちなみにスタンドはハーミットパープルのような茨のもの……───を束ねたザ・ワールドだった。ストーンフリーみたいになってた。時も止められるし茨状になって射程を伸ばすことも出来て、波紋も流せるから近距離パワー型のくせに茨が届く位置からならいつでも山吹色の波紋疾走ラッシュが出来るわけで。
 のちに日本をいろいろ見て回りたい、と言った彼が訪れたM県S市杜王町にて、殺人事件───が起きるや茨のスタンドを使って痕跡を追尾、あっさり吉良吉影へと到達して紳士的にオーバードライブした。
 なにせ触れられて爆弾に変えられ、爆発された───瞬間には時を止めて、爆発した腕をスタンドの手刀で自ら斬り落とす、なんて冒険を生み、その爆発力を以って実力行使で相手を瞬殺。
 腕は仗助にあっさり治してもらって事なきを得た。

「ありがとう、仗助。きみのスタンドは本当にやさしいスタンドだね」
「いや、なんつーか照れるからやめてくださいっスよ。何度も言ってるじゃあないっスか」
「人に感謝をして、口にすることはとても大事なことなんだ。届かなくなってしまってからじゃあどうしようもないからね」
「…………なんっつーか……ジョースターさん、いや……ジョナサンさんって不思議な人ッスね。血統がどうとかは聞いたッスけど、今まで見たこと、いや、接したこともないような人柄……っつーのか」
「ぼくのことはジョジョで構わないよ。父さんにもそう呼ばれていたんだ。それから……人柄、というのなら、ぼくは産まれた家、そして出会った人に恵まれた、ということなんだと思う」
「え……それって、えっと、でぃお……? とかいうやつともっつーことッスか?」
「ああ。こんなことになってはしまったけれど……彼は、友人であり義理とはいえ……兄弟だったから。もし、様々な結果、彼の心境が違っていたなら、きっと……」

 奇妙な友情すら感じた死の間際を、彼は覚えていた。
 けれどそこから続いた因縁のことも、正しく聞いた。
 悲しいと思う。苦しいと感じた。けれど、あの時に感じた気持ちは気の所為などではなかったから。
 せめて、死者を憎む、などということはしないよう、彼は……ディオ・ブランドーという一人の男性の死を悼んだ。

「おい、あー……ジョジョ、と呼ぶのも少し抵抗があるが───」
「うん? やあ、承太郎。別件で調べごとがあった、って言っていたけど、なにか分かったのかい?」
「ああ。ディオの子供についてだ」
「───! ディオの!? 子供がっ……結婚していたのかい!?」
「いいや、血を吸う対象を、気が向いた時にってところだろうぜ。それと、あー……言いづらいことだが。体はジョジョ、あんたのものであったことから、ジョースターの血が流れていると考えていい」
「───………………エッ?」
「だから。つまり。その子供っつーのはだ。…………あんたの子供ってことになるな。名前は汐華初流乃」
「─────────ブボッシュ!」
「おわぁっ!? ちょっ……ジョジョさん!? ジョジョさーん!? ~……っどォーするんスか承太郎さん! ジョジョさん吐血してぶっ倒れちまいましたよ!?」
「……やれやれ。エリナさん一筋の英国紳士には、ちょいと刺激的な話題すぎたようだぜ……」

 いっそお土産を漁っている花京院のようにはっちゃけたい。彼は静かに頭を抱えてやれやれ……とこぼした。
 ちょっとした国内旅行と称して来ていたのだ、友達とのなんでもない旅行……嬉しくない筈がなく……!
 ちなみにポルナレフは矢のことになんぞ踏み込まずに五体満足で故郷で楽しく過ごしている。妹の墓については改めてあれやこれやをして、シェリーは完璧な状態で復活を果たしている。
 Jガイルに襲われた記憶もきっちり無いし、なんなら襲われる前の状態で復活したのでこれでOKね?
 なおこの後、ジョナサンが康一くんと一緒に外国へ旅立ち、ジョルノと出会い、かばんを奪われたことで───ジョナサンの中に爆発的な冒険が生まれた!! 彼はヒューハドソン校で鍛えられたダッシュ力と長らく吸血鬼となっていた身体能力とで地を蹴り走り、走り始めた車にあっさりと追い付き、吸血鬼となったディオでさえあっさりと吹き飛ばし、慈愛の女神像へと突き刺すこととなったタックルで車を破壊。紳士的にジョルノを引きずり出すと、まず窃盗を行なったことを怒った。
 怒られたジョルノは何故かそんな怒りに温かさを感じていて、ハッとして持っていた写真を取り出すと、なんとそこには今自分を怒る者、ジョナサン・ジョースターの後ろ姿があるではないかッ!(オーバーヘヴンでいろいろ書き換わった所為)

「……パードレ?」
「え?」
「いや…………あなたはジョナサン・ジョースターですね?」
「……!? …………そういう君は、汐華初流乃くん……だね?」

 怒りながらも、どこか違和感というか、奇妙ななにかを感じていたジョナサンは、困惑しながらもディオとの出会いを思い出していた。順番は逆だったけれど、どこか懐かしむように、彼はジョルノという存在を認めた。

 そう、このお話(5部)は……ギャングスターに憧れる少年と、その父親(になってしまった紳士)が織りなす、なんかいろんなことが紳士の精神内に潜む爆発力がとてつもない冒険(物理)を生むことで解決していく、奇妙な物語である……!





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