ご存知、平和の象徴が出ます。主人公です。
え? オールマイト? ………………すまない。
平和の象徴。
俺らの世界でそう呼ばれる存在は、長い歴史の中でもたった一人だけ。
日本人なのにアメリカ人のような豪快さと掘りの深い顔を持ったNo.1ヒーロー、オールマイト。
個性の名は明かされてはいないものの、知っている者は知っている。
名を、ワンフォーオール。
一人はみんなのために、を冠した個性だけど、元はたった一人を、オールフォーワンを止めるためだけに継承されてきた個性。
皮肉なもんだ。
みんなのためにと名付けられた個性が、一人のために継承された力だなんて。
でも結果として、それを止められたのなら、みんなが救われるのだろうから不思議なもんだ。
さて。
こんな話を脳内でつらつらと並べてる俺は、この世界じゃ珍しい……珍しいのか? 今時転生者なんて人の脳内の数だけ居そうな気がするけど、まあともかく、ヒロアカって漫画やアニメを知っている者だ。
名前は
まあ、もうこんな名前の俺の登場で予想とか出来てるだろうけど───そう、俺は、鳩型の異形人間だ───!!
……え? 違う? いやほんとだって、顔とかめっちゃ鳩だし。
常闇くんがカラスっぽいのに対して、俺ってほんと鳩なんだって。
ただ鳩って割には白くて、鳩っていうかハトって感じのハトだけど。
で、なんだけど。
常闇くんがカラスの姿の人間で、ダークシャドウを操るのに対して、俺はというと───
「ゲッゲッゲッゲ……ヘドロゲールガー……!!」
「ヴィッ……敵だー!!」
「スライムみたいな奴だ! ヒーローはまだかー!」
「ちょっと! 今俺が説明してるでしょ!? 静かにしなさい良い子だから!!」
「…………」
「…………」
「…………」
───……【個性:平和の象徴】です。
こう、両手、というか羽を綺麗に広げて個性を発動すると、世界が平和になります。なんか俺の後ろから後光が“シュヴァフィィンッ!”って一瞬で広がっていって、世界が平和になるんです。
いや、嘘とかじゃなくて。
羽広げてる間だけ、ずっと平和です。
個性の悪用とか出来なくなるし、強盗殺傷空き巣に暴力、そのほか様々な悪が実行出来なくなります。人々の心だって穏やかに、やさしくなるんです。
たとえばそれが悪の研究とかだったら、停止して爆発したり、データがなんか突然抹消されて歴史から消えたりするし、“あいつをイジメたくってしょうがねぇYO!”なんて気分も、なんかいきなり“あいつとめっちゃ仲良くしてぇ!”な感じに切り替わったりする。……まあ相手側にとってはいい迷惑かもだけど。
どうしよう。ヒーローが息してない。これじゃヒーロー業、商売あがったりだよ……。
どうしてこんなことになったんだろう……そもそも俺、神様転生してもらって、ただギャグとして「オールマイトと並んでダブル平和の象徴! とかやってみたいんだよね! HAHAHAHAHA!」とか神様に言ってみただけなのに……!
そりゃそうだよ、願った相手、神様だよ? 神様の力がなんでそんなちっぽけなもんだとか思ってたの? そんな、目の前の誰かだけほんのちょっぴり平和にするだけの個性~だとか思ってたの? 馬鹿じゃん俺。【個性:平和の“象徴”】だよ? 神様が定義する“象徴”なんて呼ばれるものが、ちっぽけなものなんかで済まされるわけないじゃん。ちょっとは考えろよ俺……!
でもさぁまさかさぁ、世界規模で通用する個性とか思わないじゃん……! しかも個性の力が枯渇するとかそんなことこれっぽっちもないし……!
え? 個性につきもののデメリット?
……あのね? 人ならぬ、神の
だからデメリットはゼロです。
羽毛に覆われちゃいるけど俺の身体能力とか筋肉とかもバケモンみたいだし、正直個性とか使わんでも手羽先ビンタで敵を一発KOとか出来ると思う。
たぶん100%のオールマイトとガチンコバトルとか普通に出来るよ、うん出来る。
でもさぁ……ヒロアカってそうじゃないじゃん……。
違うよ……違うんよ神様……いや平和の象徴とか言っちゃったの俺だけどさぁああ……!
「……こんな姿な所為で恋人も出来んし。ヒロアカ世界に転生って聞いた時は胸躍らせてたのになぁ……」
あ、ちなみに今、志村菜奈世代です。
デクのデの字もありゃしない。なんならまだオールマイトだって誕生してねーよ。
どうすんだよこれ。もうどーすりゃいいのこれ。
なに? 八木俊典くん探して、おまんヒーローになるっちゃ? とか勧誘すればいいの? 俺ハトだよ? 次の平和の象徴に、お前がなるんだYO! とか言えって? おいおいおいおいヘイヘイヘイヘイ、ヘソで茶を沸かしてしまうぞ!? いや厳密に言えば沸かすのはお湯なんだけどネ! だって茶を沸かす日本人なんてこの世に居るかい!? なかなか居ないよねぇ! HAHAHAHAHA! ハトジョーク!
やべぇマジでなにしていいか分からん。
でもとりあえず平和がいいから平和にはしておこう。
はい、翼を広げてハトフラッシュ!
なんかどっかのハゲドクターの研究成果がいきなり爆発して、ドクターが凄まじい勢いで鼻水噴き出す光景が頭に浮かんだ気がしたけど気にしないことにした。たぶんまだ生まれてないだろうし。
こんな調子で定期的にハトフラッシュは放っておこう。
脳無が量産されることがないよう、研究資料とかもなんかいきなり抹消するように。
平和が一番さ。
あ、でも一度志村菜奈さんのあのマッスルっぷりは見たいな。いつかは見れるだろうけどそれがいつになるやら。
ともあれ、今日もヒーローとしての仕事(パトロール)を終えて、自宅へ帰る。
そこで設定温度をちょい低めにしてある冷蔵庫から、よぉおおおく冷えた缶ビールを取り出し、カシュッと開けて、
「アサシィ、スープゥー、ドゥッルァーイ……!」
お決まりの言葉を唱えつつ、チャピチャピと飲んでいった。
いろいろ飲んでみたけど結局これだ、Asashiスープードゥルァイ。
などとプチ宴会やってたら、コチャリと扉を開けて入ってくる何者かの気配。ありゃま、もう帰ってきたのか。
「ただいまー、って、早速飲んでる」
「やあなっちゃん。マッスルになる気ない?」
「ないったら」
事務所兼我が家の扉を開けて入ってきたのは志村菜奈さん。まだまだ全然マッチョじゃない、フツーのおなご。ちなみに同い年で、結婚とかもまだ。付き合ってる人も居ないとくる。ワンフォーオールを継承してないから、そのための筋肉もつけてない。
筋肉つけないと四肢が爆裂四散するっていうしね、なっちゃんのあのマッチョっぷりはそういうところから来てるんだと思うよ。なので今のうちからマッチョにならない? って言ってるんだけど、なんでか頑なに断ってくる。
そういやどういう経緯でなっちゃんにワンフォーオールが継承されたかとか知らんのよね、俺。元の個性は浮遊で、今もふよふよしながら俺にいろいろ物申してきてる。
「まぁま、仕事も終わったし、つまみも作るからなっちゃんもどう? アサシィ、スープゥー、ドゥッルァーイ!」
「…………飲むけど」
唇を尖らせながらも、差し出せば受け取る。
間接チッスとか気にしないのよこの子。まあ俺口っていうかクチバシだから、間接キスってイメージ全然沸かんのかもだけど。
あ、うん、幼馴染ってやつです。昔っから同じクラスだし隣の席だしそもそもお家がお隣さんだったしで、縁ってものがありました。
俺の個性が平和の象徴って知った時は大層笑ってたし、俺らしいとかモノスゲー納得したりもしてくれた。そんなこんなあって、高校卒業しても大学卒業しても、ずーっと隣でワイワイガヤガヤ。こやつの旦那ってどんな人なんだろーなーとか思いながら、腐れ縁みたいな関係を続けております。
「で? なんか帰ってきたときソワソワしてたけど、なんかあった?」
「ん? んー……かーさんにさ、ヒーロー業もいいけど、30前には結婚も考えなさいよーとか言われた」
「あー……」
女性は大変だ。
ちなみに俺の親は両親ともに普通の人間の姿なんだけど、父が【個性:九つ】、母が【個性:鳥】だったりしたため、産まれた子供が“鳩”だった。
個性:九つはなにかを九つに分ける、というだけの能力で、個性:鳥は鳥と仲良くなったり、お願いを聞いてもらえたりする程度の能力。強制的に言うことを聞かせる~とかそういうのはなかったそうな。
で、産まれたのが鳩なもんだから、二人して「「あっ! 漢字かぁ!」」なんて大爆笑したとか。
だって人から産まれてきた姿がおもっくそ鳩だったってんだから、そりゃあ驚くわ。
鳩!? なんで鳩!? ……あっ、漢字かぁ! って、病院の方と一緒になって、その場で驚いてその場で大笑いしたそうだ。
そんな平和な中で産まれ、すくすく育ってチャピチャピビール飲んでるのが俺です。
世界は平和。素晴らしい。個性黎明期? なんですかそれ。ハトフラッシュしまくってるからか、世の中案外平和ですよ?
「なっちゃん結婚願望とかあるんだ。てっきりヒーロー一筋なのかなとか思ってた」
「そりゃあ───まあ、だって───」
言いつつ、なんかちらちらこっちを見てくる。はっはっはおいおいてめぇ、俺が結婚も出来そうにない鳩だからって遠慮してんのかコノヤロウ。
「ちなみに理想のタイプは? 俺ゃこの姿だから結婚は無理だと断言できるけど」
「理想は好きになった相手だよ。一緒に居て楽しい相手~とか、気が楽な相手とか」
「おお、それは大事だな。好きじゃなきゃ恋は出来ないって言いますれば。俺はなー、好きになってもなー、みんな口々に“や……鳩はちょっと……”って引くし。お前に分かる? 初恋の子に告白したら、やべぇくらいにドン引きしながら“や……鳩はちょっと……”って断られた俺の気持ち。あの時マジで泣いたからね?」
「あっはっはっはっは!」
「ちくしょう笑うなよ!」
まあでも、こんな関係でやってます。気安いってのはいいもんだ。
「はー……ああうん、じゃあさ、鳩志さ」
「おん? どしたい改まった感じに」
「この一年、どっちにも恋人も婚約者も出来なかったら、あんたのこと貰ってやるよ」
「あ? ふざけろ浮遊女。俺が貰ってやるんだよ、穿き違えんな」
「はー!? あんた人が下手に出てりゃ付け上がったこと言ってー!」
「おー!? なんだこらやんのかこら表出ろコノヤロー!! 大体お前! 俺とお前が結婚とか、産まれてくる子供の個性が鳩で浮遊って、それ丸のまんま空飛べる鳩だろーが!!」
「へ?」
「……おや?」
「………」
「………」
間。のちに爆笑。世界は平和だった。
「あーもう馬鹿らしい。いいからさぁほらもう頷いときなさいよ。結婚とか諦めてる心の枯れた鳩に、一緒に隣を歩いてくれるおねーさんがいらっしゃいますよって言ってやってんだから」
「え? やだ。俺妥協とかじゃなく恋愛結婚とかしたいし。なっちゃんが俺のこと純粋に男として好きだーとかならそりゃもう喜んでだけど、探すのめんどいからとりあえずお前な、みたいなその態度が気に食わん」
「どこまで鈍感なんだよこの鳩はぁあああ……!!」
あーでも。ここで誰と結婚するかで、志村転孤の個性とかに影響が出たりするのだろうか。あ、違うか、あれAFOに付けられた個性だっけ。コピー個性なのに成長やばすぎるんだよなぁアレ。
「~……その」
「おん?」
「あの」
「うん」
「~~……」
さて。なにやら俺に訴えようとして、顔を赤くしたりもじもじしたり、わたわたしたりもやもやしたりしてる、珍しいなっちゃんが目の前にテーブルを挟んだ先に居るわけだけど。
やあ、なんだいキミ、そんな表情とか出来るのか、かわゆいかわゆい。
しかしキミ、それじゃまるで恋する乙女───……ホ?
い、いやいや、鈍感とかよくなっちゃんに言われるこの鳩ではございますが、さすがに恋愛事には敏感であるつもりだよ?
大前提として鳩に恋愛的な意味で惚れる人間なんざ居るわけがねー、と決めつけてた部分があるとしたって、そんなお前……ねぇ?
初恋云々のことだって元はなっちゃん相手だったし、でも鳩だからってそんな気持ちをなんかちょっとは関係が深いかなー、的な女友達にぶつけてみたら、や……鳩はちょっと……ってドン引きされた鳩ですが。
……なんかいろいろ最低だな俺。
「───」
しかしお待ちよ? ワタクシ象徴。
平和の象徴が歩みを止めては世が荒むってもんです。
ここは男らしく、あの頃の初恋のトキメケをヌムヌムと膨らませ、ハワ~、ハガ~と謎の奇声をあげながら目の前の幼馴染よりも先にぶつけてやることこそ幼馴染男子の矜持ってもんだろう。
「つ、つまり、だな。なにが言いたいかっていうとっ……!」
「なっちゃん」
「なふぁっ!? な、なななんだ?」
「んー───……小学四年生の頃から好きでした。俺と付き合ってください」
「ェ───…………」
きちんとあの頃の想いを胸に、真剣に、真っ直ぐに。
お酒飲んだのは失敗だったかなーと思わんでもないけど、まあ勢い勢い。
ともあれ、真剣なる告白をしたわけですが、
「……小学四年って……。お前が初恋の子に振られた、とか言ってた頃じゃん……」
「俺鳩だし、下手に告白してお前との関係壊したくないからって適当に告白して、ドン引きされてきたアホです」
「………………アホじゃん。ほんと。それで初恋相手に“初恋相手に振られたー”とか嘘ついてたのか?」
「お前が友達と話してるの聞いちゃってねー。鳩志のこと男として見れる~? とか訊かれてたの、覚えてる?」
「うっっっぐ……!!」
「“鳩だし鳥だし男っていうかオスだろ”。ハイ、これがキミのオヘンジ。これで脈があると思える男子が居るなら出会って話して乾杯してみたいわ」
「あっ、あれはっ! 茶化されるのが嫌でっ! わた私だってあんなことは言いたくっ……いやっ、……っ……~……ごめん……っ!」
泣きそうなくらいに申し訳ない顔で、あ、いや、涙出てる! 泣いてる! やべぇよっぽど罪悪感あったみたいだ! でもこれで鈍感とか俺に言うのはお角が違うって分かってもらいたい!
「鈍感になる理由もわかるだろ? お前が俺のこと好きなわけないって思うのも当たり前だろ。だって初恋相手に、鳩だし鳥だし男っていうかオス、なんて言われた男の誰が、お前に告白しようだなんて血迷えるんだよ。ちなみに初恋自覚したの、その時な? 自分が鳩であり鳥である、なんてことは自覚してたけど、お前に男として見られてなかったって知った時に初恋自覚した。告白出来るわけないじゃん。だから、どうしようもない気持ちを他人にぶつけて、振られたって落着をとりあえず得たんだよ」
「───……」
顔を覆って泣いてしまった。
そんな彼女の前で、山鳩のようにホーホー……ホッホーと喉を鳴らしたのち、これからのことを話すことにした。
「で、肝心なことだけど。お前っていつから俺のこと好きだったの?」
「ひぐっ……えぅっ……んぐっ……しょふ……小学、三年の……頃……」
「ホッ!? お前俺より先だったくせに、照れ隠しとは言えあんまりにもあんまりじゃない!? いくら俺が鳩でも人から産まれたからにはオスじゃなくて男のつもりですよ!?」
「うぅううう……うゎあああああ!! ごめん! ごめん! ごめんなさいぃい!」
「………」
オールマイトの師を泣かせた罪悪感が、理不尽にも俺のハト胸を突き刺す!
まだオールマイトのお師匠でもなく、お酒を飲めるようになったばかりのベイビーな心を宿したままの未熟な精神ならそれも当然なのかもしれません。
「あーもうわかったわかった、じゃあお互い悪かったってことで。でもあの時にきちんと話し合おうとして俺が乗り込んだとしても、絶対にお互い意固地になって、今のこんな関係にさえ到着しなかったと俺は思う」
「……それは私も」
お互い難儀な性格しております。平和の象徴っていったって俺だって人間だ。今鳩だけど。中身だって元人間だし、どーしたってイラッとすることはあるし、勢い任せに“そうしたいわけじゃない選択”にばかり突っ走って、俺の馬鹿アァアァァと頭を抱えることだってございましょう。
そして、目の前のこやつだってオールマイトの師匠、なんて意識の前提があってしまってるのは、今のこの俺だけなのだ。志村菜奈は立派なヤツ。そんな意識を、いぞり投げどすこーいってうっちゃってやらにゃあいけません。
そのために必要な期間は、今日までで十分に稼げた筈だから。だってこいつ思ってた以上にポンコツなんだもの。
朝は弱いし酒癖は悪いし、頭だってそんないいわけじゃないし、子供の頃なんて運動音痴だったし、そんなだから口癖が「私は飛べるからいいんだもん!」だったし、最近なんて事務所の風呂勝手に使ってタンクトップ姿でうろうろしたり、髪乾かしてーとか言って俺に甘えてきたり───あ、なんだこれ、アプローチすげーあったじゃん、なるほど俺鈍感だわ。
「じゃ、立ち上げて大して経ってない二人ぽっちの事務所だけど。これからは夫婦の事務所ってことで」
「え゛っ……いや、ほらっ……ここはその……恋人から、とかじゃ───」
「これまでの会話、そもそもお前が母親に結婚しろとか言われてるって言うから始まった話題なんだが!?」
ああうん。やっぱこいつポンコツだわ。
なお結婚話も話題作りのデマであることが判明した。
───……。
……。
チャコチャコチャコチャコ……
「ポポロッ♪ ポポロッ♪ ポポロッ♪ ポポロッ♪ ポポロッ♪ ポポロッ♪ ポポロッ♪ ポポロッ♪ サ~ラスパ~ラッ・サ~ラスパ~ラッ・サ~ラスパ~ラッ・リャッティャッリャッティャッ♪ サ~ラスパ~ラッ・サ~ラスパ~ラッ・サ~ラスパ~ラッ・ポッポッロッ♪ 今日はァ~サラダの日ぃ~♪ サァ~ラッスッパァ~のっ日ぃ~♪ サラダ~のっためのっサラスッパッ♪ ポポロッサァ~ラッスッパッ♪ ポポロッサァ~ラッスッパッ♪」
「なんの歌なんだそれ」
とある日。精力的に世界を飛び回り、人々を助けることを続ける鳩こと俺、鳩群鳩志は今日、相変わらず人の出入りは少ない我が家件事務所にて、妻となったなっちゃんがわくわくして待つ中、料理をしていた。
いや……まさか俺が結婚……しかも子供が出来るたぁねぇ。
「それで? なんか今日、活動が終わったら話したいことがある~とか言ってなかった? 連絡来た時、なんだろってちょっと身構えちゃったけど」
「ああうん死亡フラグみたいに聞こえるもんねぇ。なんのこっちゃって思うかもだけどね? なんか今日もいろいろ飛び回って救いまくってたら、救助した相手に“あなただ……あなたしか居ない!”とか言われて、飲み物ご馳走になったの」
「? ほんとなんのこっちゃだね」
「うん。そしたらね? ………………継承しちゃった……!!」
「?」
頭抱えた。そういやどっかで見たことある姿かも……って姿だったけど、まさか俺に来るとは思わないじゃん!? なんであんなところに居たの
夫を誰かに殺されたからコタロー(我が子も同じ名前だった。命名、なっちゃん)を信頼おける誰かに里子として出すことになったんだとしても、早すぎない!? もうちょい自分だけでOFA強化出来たんじゃない!?
そんなわけで……なっちゃんではなく俺が七代目になってしまった。
力込めれば、体に赤白いスパークみたいなのが走っていく。ハトなのに。
いやさぁそりゃさぁ子供も出来たよ? めっちゃ可愛がってるよ。時に厳しく、でも平和に成長させてるよ。でも相談もなしにいきなりDNA入りお飲み物はひでぇと思うの。いったい何入れたんだよあの飲み物に。
っと、さて。ボウルで欲しくなる絶品サラスパの完成でぃ!
「まあ誰かに言いたかっただけだから。これからも平和の象徴として、家族も人々の平和も、守っていきますさ。さ、ご飯にしよう。弧太朗は?」
「部屋で両手広げて平和のポーズの練習してる。あんたみたいになるんだーって、個性も発現してないのに毎日毎日」
「……ぶっちゃけ、どんな個性になると思う?」
「…………鳩、とか? 鳩に変身して、空飛べるようになるとか」
「変身ヒーロー! しかも空も飛べるとは!」
「親が上位ランカーだからねー、そりゃ鼻も高いわよ。憧れる気持ちもまあ分かるし」
「まあ異形ってだけで嫌う人も居るから、No.1ヒーローにはなれないだろうけどね。そもそも俺、順位とかにクソほども興味ないし」
「知ってる。てわけでちょっと味見していい?」
「コタ来るまで待ちなさい」
「えー、いーじゃーん。鳩志の料理、私大好きなんだもん」
はっはっは、こやつめ。嬉しかったので、このハト手ずからあーんしてやった。
大変嬉しそうに頬を染めて食べおった。
……。
時は流れる。
「破竹の勢いでヴィランを倒し、事件を解決する鳩ヒーロー、ピ・ジョン・ドゥさん! 素晴らしい活躍ですね!」
「あ、突撃インタビューってやつですか? すいません、俺それで動けなくなるより平和について行動したいんで───平和フラッシュ!!」
「うおまぶしっ!? ───き、消えた!?」
時は流れる。
「グラントリノ……デカッ!? 背ぇ高ッ!」
「? 会って早々になにを言っている……?」
時は流れる。
「あ、あの……父さん。俺、付き合ってる、人が居て。その。今度、紹介しても、いい……かな」
「!? ホッ……ホォォアァアアア!?」
「はーいはいはい。処理しきれないとホォアア言う癖直しなさいって言ってるでしょ? ……それで、弧太朗」
「うん」
「……かわいいの?」
「……すっげぇ大好き」
「よっしそれだけ聞ければいいっ! 連れてきなさい、歓迎するからっ! あ、パパがね」
「キミさぁいい加減料理のひとつくらい覚えない?」
「無理。私、鳩志の料理が世界一好きだし」
「ごめん父さん、俺も」
「ちくしょう俺も大好きだ」
時は流れる。
まさに誰もが知る平和の象徴……!!
でも未完で埋もれてました。
書いてた頃、まだヒロアカも連載中でしたとも。