凍傷気味のみかん箱   作:凍傷(ぜろくろ)

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 たまに挟まるオリジナル。
 ファンタジーの疑問とかクドクド言ったりしますが、実際どうなんだろうってところではござんす。
 興味なかったら飛ばしてOK。


だから聖女は聖人の女性バージョンであって聖女って職業じゃねぇっつってんでしょうが!

 異世界転生をしたら何々をしたい~なんて、ラノベだのファンタジーWEB小説だのを見た人ならば大体の人が思うことだろう。

 スローライフを~とか言いながらとんでもないことに巻き込まれてやれやれとか言ったり、自ら突っ込んで行って俺のスローライフが~とか見当はずれなこと言ったり。

 または勇者になって魔王を倒してみたり、倒してみたらなんか今度は自分が迫害されるような事態になったり……うーんろくなもんじゃないな、異世界転移転生。

 さて、俺の場合は何々をしたかった~っていうのは……まあ、あったにはあった。それも、あまり立派なこととかではなく、あくまでフツ~に生活してみたかったっていうものだ。

 

 一度くらいは思ったことはないだろうか。日本人に産まれ、日本で生きてきて、ちょっと外国とか自分の知らないところで暮らしてみたい~とか。俺のはまさにそれだ。趣味がキャンプだったのもそこから来ている。

 だったら前世はさぞかし様々な国の様々な場所に行ったんだろうなとか思うだろ? それがさ、無理をしない程度の大学も出て、そこそこの企業にも就職して、作れた時間と金を利用していざ住み慣れた町から別の地域へ、から始めよう、って時に、嫌な病気が広がり始めたのだ。出鼻を挫かれた。

 

 結局病気は広がるばかりで、多少は収まった~と思えば大型連休の後には感染者が倍以上にも増えている~なんて、それの繰り返し。一度そういうことになったらそうなるって分かってるだろお前らー! 俺がどんだけ外出たい気持ちを抑えて自宅待機してると思ってんだよ病原菌の駆逐に専念しようぜ!? と何度思ったことか分からない。

 というわけで、わくわく気分で取った連休の全ては外出禁止令に滅ぼされて、死んだ目で自宅でボーっとする俺だけが完成した。そんな日が何年も続き、十数年も続き、特効薬が完成した頃、いよいよ旅立てるって時に大病を患って死亡。やってられん。

 そんな俺を不憫に思ったのか、GODが俺を転生させてくれるという。ありがとうGOD。サンク・ユー・GOD。

 

  そんなこんなで───

 

 現状の俺は新しい世界に目を輝かせながら成長して、

 

「うおー! ファーンタズィー!」

 

 なんて心の中で叫びながら成長して、

 

「なんか魔物が居るってだけで、別に風景とか……なぁ? 地球の外国の逞しさ溢れる地域とかならこんなんフツーにあるんじゃないかな……」

 

 とか時々思ったりしながらも成長して、

 

「ラノ、ラノ~」

「おうおう、ソフィアは今日も元気だなぁ」

「えへへ~♪」

 

 村生活のご近所さんに同い年のキャワヨイおなごが居たりして、

 

「ラノ……お前の職業は【器用な人】じゃ」

「器用な人!? きよっ……器用な人!? 器用貧乏とかじゃなくて!?」

 

 この世界の人ならば絶対に存在するらしい職業が【器用な人】であることが判明して、

 

「え……ソフィアが聖女!? しかも勇者と旅をすることになった!?」

 

 などと幼馴染の女の子が聖女認定されて旅に出ることになって、

 

「ラノ……わたし、あの勇者ってなんだか嫌な感じがして……一緒に、来てくれる……?」

「いいですとも!」

 

 【職業:器用な人】な俺は勇者一行と旅をすることになり、

 

「【職業:器用な人】……こんな職業初めて見るな! よろしく、俺は勇者のオンディーだ!」

「オンディー!?」

 

 勇者がキャンディーの掴み取り大会に紛れてそうな名前だと知り、旅をし、旅を続け、勇者が負け知らずというか怖いもの知らずというか、勇者なら魔物に勝って当たり前、みたいな性格であることを知り、それに振り回され、無茶な戦闘に連れ回され───その先で。

 

「あ───」

「ソフィア……? ソフィアァアアーッ!!」

 

 『魔王軍四天王、岩のセキンガさん』の猛攻に耐えきれず、ソフィアは大地に伏した。防御ごと弾き飛ばされてばたりと倒れた、どころじゃない。腹部の大半を削られるような致命傷を負い、血を吐き、動けなくなってしまった。

 

「あ、ああぁ……ああぁ……!」

「フン、勇者が来たというからこの俺自ら歓迎してみれば、この程度か。随分と自信満々に懲悪されるべき魔物、などと言ってくれたが……どうした勇者。最初の威勢がカケラも残っていないようだが?」

「こ、こんな……うそだ……! 勇者はどんな悪にも負けず……! 立ち上がるほどに力を増して……! 諦めない心があれば、どんな相手にだって……!」

「ほう? それで? 負けず諦めず、確かに力は湧き出してきているようだが……それを扱う勇者が、突然現れた力を扱い切れねばどうなる? どうやら今まではその力の強さだけで来たようだが、貴様には決定的に戦闘経験が足りん。なにより、仲間をまるで回復させるための道具のように扱うその態度、もはや救えんな。貴様ら評するところの極悪の魔王軍とて仲間は大切にする。だが貴様のは……ククッ、やはり救えん」

「っ……うぅ、うるさいうるさいうるさい! 俺はっ……俺はぁっ!」

 

 オンディーが聖剣を振るう。けれどその聖剣の輝きは既に死に絶えて、セキンガさんの岩の体に傷ひとつつけることもできない。どころか聖剣は真っ二つに折れてしまい、その折れる音を耳にした勇者は、腰を抜かし、怯えた声をもらし……

 

「……つまらん。どぅれ、散々と調子に乗った天狗の鼻を折ってやるとしようか。柔らかすぎて、撫でただけで曲がってしまうかもしれんが」

 

 俺達の身長の二倍はある体をゴゴ、と動かし、ゆっくりとオンディーに手を伸ばすセキンガさん。それを見たオンディーは、そのゆっくりさにこそ怯え、恐怖し、悲鳴をあげて───……あろうことか、俺達の横を通り過ぎ、逃げ出した。

 

「…………へ?」

「……は? …………はほっ? はっ……ぶわっはっはっはっはっは! 逃げた!? 逃げたのか勇者が! みっともなく悲鳴をあげて、小便撒き散らしながら! しかもわざわざ味方の位置を確認し、囮にするかのように! がはは! ガハハハハハ!!」

「………」

 

 勇者は逃げた。勇者とともにあり、勇者の勇気で強くなると言われる聖剣は既にぼろぼろだ。そんな聖剣を笑いながらグシャグシャと踏みにじったのち、セキンガさんはこちらへずしんずしんと歩いてくる。

 

「確認をしよう。勇者の仲間よ……いや、もはやこう呼んでやるのはお前らに失礼というものか。見捨てられてなお、お前は勇者の仲間か、と問おうとしたが……ああ、本当に失礼な確認をするところだった。───名乗らせてもらおう、勇者とは無関係の冒険者よ。俺の名は魔王軍四天王、岩の“セキンガさん”。セキンガではない、セキンガさん、までが名前だから忘れるな」

「……っ」

 

 巨体が目の前に来て、出来るだけ目線を合わせるように屈んでくる。それだけなのにものすごい迫力だ。彼女の血がこぼれすぎないようにと傷口、どころか既に穴と言っていい場所に手を当てている俺は、呼吸を荒くしながらもセキンガさんの目を真っ直ぐに見る。

 

「……恐怖するのは皆同じだというのに、お前は味方を見捨てず残るのだな」

「……幼馴染だ。こいつを見捨てるようなら、俺にとってそんな人生はなんの意味もない」

「そうか。だが、その心も無駄になる。あと数分もせずにその聖女は死ぬだろう。散々と勇者のサポートに魔力を使い、枯渇してなお勇者を庇い、その上で勇者に見捨てられて。……あんなクズではなく、お前と静かに暮らしていれば、この聖女も幸せだったろうに」

「………」

「質問をしよう。お前らは何故わざわざ死地へと赴くのだ? 勇者だから、聖女だから、剣聖だから賢者だからと、何故お前らが死地へと赴く? 言ってはなんだが、二十年も生きておらん子供を魔物や魔族の討伐へ向かわせるその意味が分からん。何故熟練の戦士を向かわせようとは思わんのだ? お前らの国に住まう人間どもは、誰も彼もが資格を持って生まれた者しか信じないのか? 産まれてから二十の歳を鍛錬と戦闘に費やしていれば、国という規模で我らに攻め入ることが出来ただろうに、それをしようともせず、子供数人に任せるのは何故だ? 頭が湧いているのか、お前らの国王は」

「………」

「生まれながら、産まれながらにして全ての者がレベルという世界の恩恵を授かっている。鍛えれば鍛えるだけ、戦えば戦うだけ差はあれど力はつく。というのに、何故国という規模で戦士を育てようとしない? 自分は勇者じゃないから、聖女じゃないから、剣聖では、賢者ではないから。理由は考える時間があるだけどれほどでも吐き出すのだろうな」

「………」

「だが少年よ。おかしいとは思わないか? お前らの王は、魔王様を狙っているのだろう? 我らが王は強いぞ。慢心せず、王となってからもさらに高みを目指している。だがお前らの王はどうだ? 玉座からは動かず、日々怠惰し、子供に魔物を討伐しろと唾を飛ばしては自分はなにもしない。遠視魔法で見たことがあるが、あんな有様では無邪気に駆け寄ってきた幼児にすらナイフひとつで殺される。あれが人の王か、これが人の王かと魔族全員で腹を抱えて笑ったわ」

「………」

「分からんのだ、少年よ。何故あんなクズを崇める? 何故あんなクズの命で動く? 動いた先にどんな価値があるというのだ。他者が生き、王という存在が確立している群を討たんとするなら、何故王が雑魚のままなのだ。理由がある筈だと、慎重に探りを入れてみれば頭は湧いているわ精神はクズだわ、度胸もなければ虫一匹にも腰を抜かす有様。今まで、我らの同胞はあんな奴の指示の下に殺されてきたのだと知った時の、魔王様の激怒がお前に分かるか? 頂点が強者ならば理解もしよう。争う者同士なのだ、いずれ王同士が戦い、我らの王より強いのならばと頷く者とて出てくるだろう。だが───」

 

 だが。奴はクズだ。そう言って、セキンガさんは立ち上がった。

 

「王城の奥に潜み、兵が居なければ安心も出来ないクズが強者の上に立つことなど有り得ん。強くあること以上に特性があるわけでもない。頭がいいわけでも別の魅力があるわけでもない。正真正銘のクズには我々魔族は誰も従わん。……ああ、分かりやすく言ってやろう」

「え……?」

「このくだらない争いをあっさりと終わらせる方法が、遥か昔から一つだけあったのだ。それは、どんな理由や条件を出すよりもひどく簡単であっさりとしたものだ。王と王が戦い、そちらの王が勝てばそれで済んだ話だ。あんな姿を見てしまった、人の王にしてみれば難しいかもしれんが───どんな条件よりもシンプルだ。自国を思う真の王ならば、然程難しいことでもなかった筈だ」

「ぁ……」

「勇者が小便を撒き散らし、逃げ、聖女が腹を削がれて死にかけている現状。それを作ったのは、怠惰した王だと知れ。魔王様は王の挑戦から逃げたりなどしない。宣言すれば、いつだってその挑戦を受けただろうに。お前は王と、それらに従う腐った風習と、それに連なるものに人柱にされたのだ」

「………」

「それでもなお人の世に生きるというのなら……強く生きろ、少年。もはや死んでゆくのみとなった者にトドメを刺して恨まれるような趣味はない。せめて最後の瞬間まで、傍に居てやるといい」

「………」

 

 考えた。王が腐っている。そんなことは分かっている。

 考えた。子供に戦いをさせて、じゃあ大人はなにをしてくれるっていうんだと。

 考えた。結果がこれだ。俺やソフィアより強い兵なんてたくさん居たのに、彼らは王を守るために今も王城に立っているだけだ。

 考えた。見逃してやる、というからには攻撃してくる心配はないようだ。

 考えた。回復薬を飲ませても、腹の大半が吹き飛んでしまっている今、効果なんてあるかどうか。

 考えた。飲ませたところで食道のほぼが血で埋まってしまっている。むしろ呼吸できていることが奇跡に近い。

 考えた。よくある口移しポーションは、意識の無い相手には気道を塞いで窒息死させる最大奥義であることを知っている。実際にやればトドメを刺す結果にしかなりはしない。

 考えた、考えた考えた考えた───!

 考えて───濃厚な死の感覚を目の前にした俺は───

 

「……ソフィア、ごめん」

 

 背を向け、ずしんずしんと去っていくセキンガさんを一度見たのち、ソフィアをうつ伏せ状態にする。そして───

 

「けほっ……ごほっ……! ぅ……ひっ!?」

 

 動かした所為か、ソフィアが目を覚ましてしまった。けど、時間がない。悲鳴も聞かない。痛みに声をもらす彼女の血に染まった衣服を剥ぎ、血が抜けすぎて血色の良さも見る影もない肌に悲しさを覚えながらも、そのお尻に触れ───

 

「ゃっ……! や、めっ……げほっ! うぁっ……な、なんで……!? どう、して……!? や、だ……やだ、よぅ……! こん、なのっ……!」

 

 ソフィアは瀕死の体で必死に抵抗する。当然だ。突然衣服を剥ぎ取られ、お尻を突き出すような格好をされているのだ。羞恥と、なにより幼馴染であり、信頼していた俺にこんなことをされていること自体に、裏切りと絶望にも似た感情が、きっと彼女の内側で湧き出しているだろう。

 けど俺はそんな彼女の悲しみを無視して、そのまま───

 

  ───ブスリ♂

 

「みゅうっ!?」

 

 ……お尻に、エクスポーションを突っ込んだ。

 トク、トクトクトク……と水色の半透明の瓶から回復液が流れていくと、ソフィアがその冷たいものが流れ込んでくる感覚に、仰け反り、顎を上げ、震えながら「あ……ぁ、あぁあぁぁ……!」と声を漏らす。

 そんな彼女の絶望と困惑をよそに、風穴が空いていた彼女のお腹はまるで逆再生するかのようにヴジュルルルルシャキィーン♪ と塞がり、元の彼女の綺麗なお腹が再生した。

 それを確認して、瓶がからっぽになったことも確認。ぽんっ、とお菊ちゃんから瓶の先端を抜くと、「ふみゅうっ!?」とカワイイ声が漏れた。

 もちろんすぐさま彼女の衣服……聖女の法衣というらしい、をきちんと戻すと、仰向けに寝転がらせ、頭は俺の膝の上に。さすがに法衣は再生しない。そりゃそうだ。

 

「……ラノ?」

「ごめん。口から飲ませたんじゃ、絶対に無理だったから」

「……えっと……え? 痛みが……き、傷も? え? なんで……」

「口から飲ませてたんじゃ無理だと思ったから。ものから摂取する栄養とかは、胃じゃなくて腸から吸収するものなんだ。ソフィアはお腹が結構削られちゃってたから、胃に流してたんじゃ……ああ、うん、まあ、こぼれたり、無駄になるかもって」

「…………それで、おしり?」

「……ごめん」

 

 前世の記憶で初めて活かせたのがサポジトリとかって、正直すっげぇ虚しいです。

 でもおかげで幼馴染であり好きな子を守れたんだから、そこは喜んでおこう。

 ……や、うん。そりゃね? 筋トレとか勉強とか、細かなところで活かせた知識はあったよ? でも人の役立つ~とか、誰かを救うなんて立派なことが、よりにもよって座薬式吸収法とかってさぁ……。

 

「ラノはいろんなこと知ってるよね……わたし、聖女に選ばれて、少しは対等になれたかもって喜んでたのに」

「対等って。俺は一度でも対等じゃない、なんて思ったこと、ないよ?」

「うそ。だって昔からラノは頭もよくて、勉強だって大人顔負けなくらい出来て、わたしにもいろいろ教えてくれてたじゃない」

「その分、俺だってたくさん教わったよ。俺は年下だろうが年上だろうが、自分に出来ないことを出来る人を尊敬してる。クズの所業に憧れることはないけど、すごいなって思った人は大体尊敬してて、ソフィアだってそうだ。そんなソフィアが、いっつもちょっぴり背伸びしようって頑張ってたことだって知ってる。俺だって、ソフィアの横に立ちたいからっていっつも置いてかれないように背伸びしてたんだから」

「…………うそ」

「ソフィアが思ってるほど立派じゃないよ、俺。いっつも勇者のこと優先してるの見てて、嫉妬してたし」

「うそほんと!?」

 

 うそなのかほんとなのかどっちなのか。

 がばーっと起きたソフィアを前に、とりあえずほんとです、と頷いた。

 そしたら彼女、ヨシッ……! って軽くガッツポーズ取るじゃないですか。

 

「……ええっと? つまり嫉妬させたくてわざとやってたと?」

「ア」

「………」

「………」

 

 罰としておっぱい揉んだ。真正面から雄々しく。

 悲鳴あげられた。なんならビンタくらった。

 そのくせいよいよセキンガさんの根城……岩石の魔窟を出ようと歩き出すと、俺の腕にギュミーっと抱き着いてきて、俺を見上げては「えへー……♪」とへにょへにょ笑顔をするのだから、まったく。

 

 

───……。

 

……。

 

 ひとつの旅が終わった。

 とりあえず世界的に聖女は死んだってことになっているらしい。

 なにせこの世界、称号っていうか……職業と言っていいのやら微妙なものだけど、俺のでいう【器用な人】の部分が結構更新されるのだ。

 更新される文字列を見るに、俺の職業は“最初は”【器用貧乏】だったようで。けど、職業確認をするまでに経験を積んでいく内に【器用な人】になったっぽい。たぶん、最終的には【器用万能】にはなれるんだと思う。

 そしてソフィアの職業は、【勇者に裏切られた聖女】になっていたのだから、きっとオンディーの職業もひどいことになっていることだろう。

 なにせ魔族に怯え、聖剣を折り、回収もせずに仲間を見捨てて逃げたのだから。

 あ、ちなみにセキンガさんに踏みにじられた聖剣は一応拾ってきた。勇者がどれだけクズでも、剣に罪はない……といいね。

 

「………」

「ねぇラノ。もしかして、【勇者に見捨てられた器用な人】、って書かれてないの、ショックだったり?」

「そほっ、そんなことないし!?」

 

 そんな俺達は今、とある森の泉の傍に作った家に住み、のんびり暮らしている。

 魔王討伐? 知らん知らん、そんなの勝手にやっとけボケってレベルでのんびりしている。元々俺達は自然とともに生きる存在。人間のあーだこーだなんてどーでもいいのだ。

 ……? あ、申し遅れました、わたくし、エルフ族に転生したラノという少年にございます。で、隣で俺から離れない聖女がソフィア。俺の幼馴染さんだ。

 前世は多少医学薬学を齧っていた俺だけど、正直こっちの世界じゃ向こうの知識なんて大して活かせないのよ。だって自然物とかの名前とか成分自体がそもそも違うんだもん、どうしろってのさ。

 だからこっちのエルフ的自然薬学を学んで、多少似通っている部分から探していくしかなかった。エクスポーションはその集大成で、完成品はあれ一本だけだった。普通に飲むとめっさ苦い。ごっさ苦い。エクストラ苦いポーション。だからエクスポーションって思えるくらいには苦い。

 医学薬学で俺SUGEEE出来る転生者は恵まれてる。似た成分とか自然物があってよかったねって拍手くれてやりますドチクショウ。だってこの世界、この効果ならこれと合わせれば……! なんて前世知識で行動してみれば、大体ひどい結果になるのだ。“ものを合わせた時の反応”がそもそも違うんじゃ、知識なんて活かせるわけねーべョ。

 





 口から飲ませるのが無理なら、速攻チャージのサポジトリングポーション!
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