大変だ! 異世界にあなたちゃんが!

(4/10 あなたちゃんお誕生日特別作品)

1 / 1
異世界あなたちゃん

あなたちゃんです。

 

朝目が覚めると、あなたちゃんは全く知らない町の中にいました。不思議ですね。昨日はお家のお布団にくるまってぐーすかいびきをかいていたはずなのに、知らない町の中。とってもびっくりです。でもでも、あなたちゃんですので慌てません。自分に自信を持って、とりあえず胸を張ります。

 

ですが周囲にいる人がちょっとだけ視線を向けてくれただけで、特に何も起きませんでした。むしろあなたちゃんへの『社会からの好感度』が下がったような気がします。不審者と思われてしまったようですね。かなしい。まぁあなたちゃんはあなたちゃんなので、気にせずもう一度胸を張っておきます。理由? そうしたかった以外に必要でしょうか。

 

さてさて、ずっと胸を張っていれば疲れてしまいます。そろそろ自分の状況や、周囲の様子をより深く確認すべきでしょう。

 

あなたちゃんはとりあえず胸を張るのをやめ、自分の体を観察し始めました。

 

どうやら昨日着ていたはずのパジャマではなく、お気に入りのワンピースを着ている様です。ちゃんと靴下も、お靴も履いています。お出かけ用のお気に入りセットではあったのですが……。残念ながら自分で着た記憶がありません。深夜にお腹が空いてしまって寝ぼけながら冷蔵庫の中身を食べちゃうことはよくありますが、服を着ているのは初めてのこと。

 

あなたちゃんは自分の成長に感心しながら、次は周囲を探ってみることにしました。

 

周りをキョロキョロと見てみますが……、どうやらここはやはり、あなたちゃんの知らない町のようです。それもあなたちゃんが普段生活している地域とは、違う文化を持つ場所かもしれません。だって街中を歩いている人々の服装が違います。建物も違います。高いビルは一つもありませんし、スーツを着ている人もいません。あなたちゃんが難しくて使えないあのスマホ、というモノを覗き込んでいる人が一人もいないのです。

 

これはあなたちゃんもびっくりでした。

 

なんて言ったって、人間さんのスマホ大好き率は異常です。なぜかみんな持ってますし、多くの人が立ち止まった瞬間にスマホに手を伸ばしています。あなたちゃんも昔はスマホに負けないように、みんなの前で踊ったり歌を歌って歓声をその身で受けたものですが……。ライバルがいなくなるというのは、少し悲しいモノかもしれません。

 

さて、そんなわけであなたちゃん。

 

現在あなたちゃんは全く知らない町の中にいて、おそらくあなたちゃんの知らない文化で構成された町にいます。言葉も通じるのかちょっとよくわかりません。そんな時あなたちゃんは、どうしますか?

 

 

 

①とりあえず誰かに話しかける

②頑張って元の町に帰る

③まだ寝足りないのでねる

④星ごと爆発する

 

 

 

おっとあなたちゃん、思ったよりも選択肢が多くなってびっくりのご様子。いつもはたい焼きの中の餡子を粒あんにするか、こしあんにするか悩むぐらいですものね。さすがにあなたちゃんでも、倍はびっくり、そして悩みます。どれも捨てがたいですからね……。

 

うん? あぁ、それは良かった。どうやらあなたちゃんは名案を思い付いたようです。早速行動に移すようですよ。

 

片足を大きく上げて、両手を地面と水平に。

 

そうですね、“並行世界”のポーズです。

 

即座に高速回転を始めたあなたちゃんは、全部の選択肢を選ぶために、世界を四つに分割しました。よくパーティゲームとかである、一つの画面を四分割して遊ぶようなものです。あなたちゃんですからね。これぐらい余裕なのです。

 

では早速①から順番に……、おっとあなたちゃんからストップが入りました。

 

どうやらあなたちゃんは天邪鬼の気分のようで、逆からお話を進めることを提案している様子。別に無視してもいいのですが、そうすると確実にあなたちゃんは拗ねてしまうでしょう。あなたちゃんが拗ねた場合、何が起きるか解ったものではありません。おとなしくしたがっておくのが吉でしょうね。

 

では④から。

 

 

 

『④星ごと爆発する』

 

 

 

とりあえず何をすればいいのかわからなかったあなたちゃんは、とりあえず爆発してみることにしました。かの著名な建築家、ベイクドもちょちょ太郎西方先生も仰っていました。『行き詰ったときは、すべてを破壊し考え直すべきだ』と。あなたちゃんは建築に関して欠片も知識を持ち合わせていませんが、この言葉には深い感銘を受けました。

 

ということであなたちゃんは、即座に地球破壊爆弾に変身。カウントダウンを開始します。

 

10、9,8……。おっと失敬。あなたちゃんは待ち時間が嫌いでしたね。では3210。

 

 

爆発。

 

 

あらら、どうやらここは異世界だったようで、星ごと全て消えてなくなっちゃいました。悲しいですね。まぁあなたちゃんはあなたちゃんなので普通に復活します。かわいいですね。

 

では次のあなたちゃんを見ていきましょう。

 

 

 

『③まだ寝足りないのでねる』

 

 

 

3番のあなたちゃんは、どうやらまだ寝足りないようです。確かに昨日は遅くまできのこの山とたけのこの里、このどちらが真に美味しいお菓子なのかという議題で、あなたちゃんとあなたちゃんでディスカッションを行っていました。最終的に『朝ごはんがパンのときにお味噌汁を出されるとちょっと微妙』という結論に落ち着きましたが、睡眠時間は削られてしまったことは確か。

 

ここは優雅に二度寝が得策です。

 

地面にぱたんと倒れ、青空を眺めながら暖かい日差しに包まれていく。

 

自然と睡魔がより強くなり……。

 

 

 

気が付けば114514年も眠ってしまいました。

 

流石のあなたちゃんでも、これは寝すぎです。どうやらあなたちゃんが寝ていた星の寿命が来てしまったようで、即座にしめやかに爆散。あなたちゃんはあなたちゃんのため無傷ですが、ちょっと寝すぎて体が痛い様子。お家の近くにある白黒でダーツが得意な藪医者の所に行って、マッサージをしてもらうことに決めたようです。

 

まぁとにかく、こっちも爆発しちゃったのでおしまいですね。

 

次の②に移っていきましょう。

 

 

 

『②頑張って元の町に帰る』

 

 

 

②のあなたちゃん、思い出してしまいました。実は今日、とっても大事な用事があったのです! 季節は春、ちょうどお花見の季節だったあなたちゃんは、大事なお友達とお花見をする予定でした。別にあなたちゃんは約束をすっぽかしても『あなたちゃんだしな……』と許してもらえるぐらいにはあなたちゃんです。まぁすっぽかしたことなんてあなたちゃんないですけど。

 

とりあえず大事なお花見、お弁当を持って桜の木の下で大モンゴル空中相撲をすると決めていたのです。スペシャルゲストとして現横綱の“さくらんぼの海”さんも呼んでいます。何としても遅れてはなりません。

 

こんな知らない場所でうにゃうにゃしてられない、そう考えたあなたちゃんは、秘密兵器を使用します。

 

そうですね、『次元パンチ』です。

 

あなたちゃんのパンチは一発で星を崩壊させる威力があることで有名ですが、本気で殴れば次元に穴をあけることが出来ます。これを応用すれば、即座にお花見会場に移動することが出来るでしょう。

 

というわけでパンチです。

 

あなたちゃんの拳が世界の壁を貫き……、おっとやり過ぎてしまったようです。そのまま世界自体に罅が入ってしまい、星どころか世界が爆散してしまいました。風流ですね。まぁあなたちゃんはあなたちゃんなので無傷。そのまま元の世界に帰ってさくらんぼの海さんと大モンゴル空中相撲を楽しんだご様子。

 

では最後のあなたちゃん、1番のあなたちゃんを見ていきましょう。

 

 

 

『①とりあえず誰かに話しかける』

 

 

 

まずは情報取集だと感じたあなたちゃん、ここは誰かから話を聞こうとしましたが……。その動きが止まります。そもそもあなたちゃんは、“あなた”ちゃんです。“誰か”に話を聞くなど、言語道断です。あなたちゃんならば、あなたちゃんに話を聞くべきでした。

 

ということであなたちゃん、全世界の人間を全てあなたちゃんに変えます。

 

あなたちゃんがいっぱいで楽しいですね。

 

そしてあなたちゃんが増えるということは……、あなたちゃんの分だけ、先ほどの四つの選択肢が浮かび上がるわけです。つまり早い話、2~4番までのあなたちゃんが、同時に発動します。

 

あらら、この世界どころか、お隣さんの世界まで爆発しちゃいました。まぁあなたちゃんですからね、仕方ないね。

 

というわけであなたちゃん、今日は四つのあなたちゃんを見てきたわけですが……、どうでしたか?

 

 

「あなたちゃんだった!」

 

 

おぉ、それは良かった。とてもあなたちゃんですね。

 

じゃあ今日はこれにてお開きということで。ちょうどいい時間なので晩御飯にしちゃいましょう。メニューは……、焼きそばにしましょうか。ちょうど活きのいいソバが手に入ったのです。一緒に火あぶりにして食べましょうね。デザートにはプリンをご用意しています。

 

ではでは皆さん……、あ。ごめんなさい。

 

 

“あなた”も、あなたちゃんでしたね。

 

 

ではあなたちゃんたちも一緒に晩御飯にしましょう。

 

ご飯を食べる前はちゃんと手を洗うんですよ~。

 

 

 


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。