楽して大金だけ稼ぎたいトレーナーと魔改造されるブリッジコンプちゃん   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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1.金稼ぎたいしトレーナーなるわ

「しょーらいのゆめは、らくしてたいきんをかせぐことです!」

 

 小さい頃から俺の夢はこんな感じだった。

 金さえあればなんだって出来る、だからこれから出来る無数の夢の為の夢として『楽して大金を稼ぐ』事を位置付けた。

 ちなみにこれは幼稚園時代に書いた『しょうらいのゆめ』への回答である……周りからはドン引きされ頭を抱えて魘される両親がいたがきっと気のせいだろう。

 

 そしてそれは小学生になっても変わらず、中学生になる頃には明確に行く大学と就職先を決めておいてそこに合わせた勉強方法で中学一年の夏には既に目標大学受験の判定は全てA判定が出せる程になっていた。

 

 しかし俺は納得していなかった。

 

 何せ就職先は確かにホワイトだ、だがそれだけだ。

 自分の理念として上げた『楽して大金を稼ぐ』にはまだまだ弱い。

 

 これはそんなある日、友人から見せられた1つの映像から始まる――

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあなあ時坂、これ見ろよ」

 

「んー?これは……ウマ娘の競技レースか。しかしまたかなり古そうな映像掘り出してきたんだな」

 

「そそ、しかもこれ公式には出回ってないお宝映像なんだぜ?」

 

「ほうほうこれまた面白い」

 

 中学三年になりその夏休み、初日に全ての宿題を終わらせた俺は同級生で友人の明路の家を訪れていた。

 コイツもまた楽して金稼ぎをしたい派閥ではあるらしく、俺に負けじと宿題は既に終わらせていた。

 そんな折に『丁度この前家族がめっちゃ古そうな蔵の中からなんか映像フィルム見つけて来たからなんやかんやしてパソコンに落とし込んだらお宝映像見つけたわ』と言われて今に至る。

 

「なんとこれ、第1回有マ記念のレース映像。ちなみに名前はこの第1回だけは中山グランプリって名前になってる。けど、当時の映像は公には紛失扱いになってるらしい」

 

「第1回、ねえ……しかもこの世に存在しないと言われた映像だと」

 

「そういう事。すげーだろ」

 

 ウマ娘レース、それも有マ記念と言ったら非常に有名だ。

 名だたるウマ娘や人気ウマ娘が集う夢のレース、1着賞金も現在の物価レートで2.5億円あるとんでもないもの。

 だがそうした専門的な道はどうにも効率が悪そうで、失敗した時のリスクを考えると手を出せないでいた。

 

「売ったらとんでもない額が出そうだな」

 

「おいやめろ。まあ良い……流すぞー」

 

「はいよ」

 

 しかし、しかしだ。

 俺のそんな小難しい考えが消えるくらい、その映像は凄まじかった。

 白黒映像で音質も画質も悪いが、それでも尚聞こえてくる熱狂、興奮、歓声……圧倒されていた。完全に。

 

「凄い……凄すぎる」

 

 たった数分に込められたウマ娘達、観客達の熱気に魂を揺さぶられていた。

 

「だろ?」

 

「ああ……間違いない!!コイツは稼げる!!」

 

「そっちかーい!!」

 

 そう、金稼ぎ的な意味合いで。

 今までどうにもトレーナーを目指すにはリスクを考えて躊躇っていたがやはり楽をするならこうした専門的な道を行くべきなのだろうと気付かされた。

 確か一度ウマ娘トレーナーの事について調べた時に、彼等の年収も見たが……

 

「いや、だってトレーナーは間違いなく稼げるだろ」

 

「そりゃ賞金の1/10がトレーナーの収入、そうじゃなくても固定給年収600万。ベース600万にメイクデビューで勝てば310万の賞金、そこで勝てなくても3勝クラスまで這い上がれば最大800万。重賞ならGIIIでもその倍は軽くある。つまり3勝クラスでは最大80万、オープン戦なら平均100万以上、GIII1勝なら200万くらいを一度に手にする事が出来るっちゃ出来るが……おいまさか」

 

 そう、やはり稼げる!!

 3勝クラス程度を安定して勝たせられれば安定して1戦50万以上の大金を手に出来る。

 重賞やオープン戦に縁が無くても効率的に勝てば財布は潤う。

 そしてこの、中学生にして既に日本最高峰の大学に受かるのが運命付けられてる程度の脳みそを持つ俺ならば最低限勝たせられるノウハウは身に付けられる……賭けだからと安定性を重視して敬遠していたが、欲が出てきた。

 

「やっぱり躊躇ってたのがバカみたいだわ、うん。つー訳で俺トレーナーになる」

 

「ええ……?トレーナーって激務とか聞いたんだけど……」

 

「激務?それはトレーニングメニューとか書類仕事ゴリゴリに固めて作ってるからだろ?良いか、そんなものは最低限ウマ娘に悪影響が出ないように大雑把に作っちまえば良い。書類仕事は自主トレメニュー作って余った時間でやりゃチョロいし、他のホワイト企業と比べても圧倒的にホワイトだな」

 

「おまっ、言うのはタダだけどさ……中央トレーナーになるのはお前の志望大より難しいんだぞ……」

 

「大丈夫、俺の脳みそを信じろ」

 

「凡そお前がその言動で志望大学A判定常連なのが信じられねえよ」

 

「ちなみに大学はいかない上に高校も通信制に変えるから。卒業と同時に試験受けて受かってくるわ」

 

 最早俺の目標に一点の曇りすら無かった。

 友人は目が死んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

-3年半後-

 

「今日からトレセンでトレーナーとしてお世話になります、時坂敦史です。よろしくお願いします」

 

「うむっ!分からない事があればたづなに聞くと良い!よろしくな!」

 

 あの日から3年半、俺は無事全てを攻略し尽くして理事長への挨拶を済ませていた。

 そう、今日から俺はトレーナーだ。

 今日から固定給600万円ニキだ。

 まず目指すはサボりまくって年俸1000万円ニキ、オープン戦クラスを年間4勝すれば余裕で獲得可能な計算。

 

「さて、挨拶も済ませたし早速スカウトに向かう訳だが……問題はここだな」

 

 だが問題はある。

 今の俺は高卒18歳のペーペー、つまりGIを確実に勝てると目されているウマ娘は勿論それに準ずる重賞クラスやオープンに確実に上がれる実力のウマ娘もスカウトする難易度は高い。

 いくら頭が良かったとしても立場はどうにもならない、ここでアニメやゲームならスカウト前に運命の出会いをするのだろうがそんなものに頼っているのは一攫千金を狙う俺にとって安定性も再現性も無い。

 

「じゃあどうするか?そんなもの簡単だ」

 

 ではどうすべきか。

 そんなものは簡単だ……『自分の才能を理解しきれていない、現状その枠組みにいないウマ娘をスカウトする』に決まっている。

 どんな世界にも『素質はあったのに力を発揮しきれないまま舞台を去った』という存在は多くいる。

 ならばここにも存在しているだろう、俺の脳みそはそう言っているのだから問題無い。

 

「という訳で……俺が見るのはこっちだ」

 

 多くのトレーナーが見ているところでも無ければ穴場として新人や若手がいる場所でも無い、本当に誰にも見向きされてないウマ娘数人のトレーニング場所。

 まずはここから見ない事には始まらない。

 

「ふむふむ……ん?」

 

 

「わっわっ、誰か見てるよっ」

「あれトレーナーバッジじゃない!?」

「ええ!?どうしよう……」

「みんな!折角のアピールチャンスなんだからいつも通り練習しないと!」

 

 

「……やっぱり俺の見立てに間違いは無かったな」

 

 4人中3人は現状俺が担当してもギリギリ2勝3勝出来るかどうか。

 知識として渡せるものはある、という程度。

 

 だが……1人見つけた、最高の素質を。

 

「君、少しいいかな?」

 

「え?あたしですか?」

 

 他の3人に物理的に背中を押されながらやってきたのは金髪童顔の幼さを感じさせるウマ娘。

 練習メニュー的には芝短距離・マイルだと思うが……俺の見立ては違う。

 

「ああそうだ。ところで不躾な質問にはなるが、君はダートを走った事はあるかい?」

 

「ダートですか?……練習でちょくちょく走る以外では特には」

 

「やっぱり?そんじゃ1回ダート1600m走ってみてよ」

 

「はい?」

 

「ダート1600m。俺の考えだと君の適性は芝よりダートだと思ってるんだ」

 

「……ええ」

 

 これが俺が担当する事になるウマ娘との出会いだった――




時坂敦史(トレーナー)
基本的に将来楽したいから今を投資するタイプ
幼少期から小学生時代を全て捨てて志望大学A判定100%にまで押し上げたチート&狂人
そしてその志望大学を捨ててトレーナーになった化け物狂人
とにかく楽して金が手に入るなら手段なんて簡単に変えるが身内には甘い

明路
時坂の友人
蔵から取ってきたフィルムは古い先祖のウマ娘レースらしい
第1回有馬記念…明路…あっ…(察し)

ブリッジコンプ
みんな大好きモブウマ娘筆頭
あにまんではアプリトレーナーによって芝ダート海外障害ばんえい全てのGIを制覇させられたり62億稼いだりした事にされたある意味不憫なウマ娘
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