楽して大金だけ稼ぎたいトレーナーと魔改造されるブリッジコンプちゃん 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
???「この戦績…何か、変…」
???「日本走ってねえぞ栗原ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」
※『』内は現地の言葉での会話
「ねえトレーナー?」
「なんだねブリッジコンプくん」
「いやその聞き方何……よりも!どうしてあたしは日本に帰国した時は久しぶりだと思ったのにアメリカは久しぶりな気がしないのかという事に付いて聞きたいんだけど」
「そりゃオメー、日本にいたの2ヶ月も無いからな!アメリカじゃ『ブリッジコンプは日本旅行に出掛けたけど四冠目を狙いにすぐ帰ってくる』なんて言われたし面白い事言うよなアメリカも」
「もう完全にこっちのウマ娘だと思われてる……」
8月中頃、またもやあたしはアメリカへ来ていた。
勿論目的は四冠目獲得の為にだけど……
「金の事を気にするならいっそ年内はずっとアメリカにいるか?」
なんてトレーナーに冗談交じりで言われた時はさすがに冷や汗が流れたし全力で否定した。
やっぱり故郷の空気を吸うのが1番ホッとするし何より3人に会えなくなるのはとても寂しいから。
そんな訳で旅費は賞金から全力で出させていただいてます、トレーナーが出すとは言ってたけど賞金の使い道としては真っ当だしトレーナーよりお金ある……いや本当に6億以上あるってなに?とはなってるけど……お金あるから、こういうところで使った程度じゃまともに減る訳が無い。正直怖い。
それはさておき、ニュースをチラッと見たところどこかの日本マスメディアのリポーターがアメリカ……あたし達が降りる空港の恐らく昇降口付近になるだろうところで『ブリッジコンプがどれだけアメリカでフィーバーになってるか』のレポートをしてるんだけどこれがとんでもない事になっていた。
「このニュース本物……?あたしこんな事になってるの……?」
「はぁ……あのな、帰国した後も言ったと思うがお前はアメリカ史上最強ウマ娘と言われた三冠全てでレコードタイムを叩いたセクレタリアトのレコードを50何年か振りに1つ塗り替えたんだぞ?更に言えばその三冠の中でも……いや、世界で最も破られないだろう記録である『ベルモントステークス走破タイム2:24:0』と完全同タイムを生み出したんだ、もうお前はアメリカ史上でも最上位に残るウマ娘だって自覚持て」
「……うわぁ他人事にしか聞こえない」
そう言えばそんなことも言われたとふとトレーナーの言葉を思い出す。
伝説の三冠ウマ娘セクレタリアト……アメリカにもダートにも疎いあたしは聞いた事も無かったけど、残っていたベルモントステークスの動画を見てドン引きした。
何あれ本当に三冠路線のレースなの?31バ身って……31バ身差って何……?あれと同じタイム記録したの?嘘でしょ……となっていたのは想像通り。
しかも後から聞いたけど今年のベルモントステークスまで2:24台はもちろん25秒台すら0、26秒台さえ7人しか記録してない記録って聞いたし。
……ローズちゃん、確か2:25:0じゃなかったっけ?
「他人事だろうがなんだろうがお前の事だからな?さ、着陸し終わったみたいだからそろそろ覚悟しとけよ〜ドア開いた瞬間フラッシュ乱立だろうからな」
「あ、やばお腹痛くなってきた……」
「……ここまでヘナヘナな三冠ウマ娘ってのもお前くらいかもな」
「うぐぐ……し、仕方ないじゃん……こんな事とは縁遠いどころの話じゃなかったんだし」
難しい事考えて気を紛らわそうとしたけどこの腹痛はそんなあたしを簡単に現実へと引き戻してくる。
今年の2月末までは考えもしなかった出来事のラッシュだから仕方ないよね?だから情けなくても仕方ないよね?
「ほら、どちらにせよもう降りる時間だ。取り敢えずコンプは黙って笑顔作ってカメラ相手に手でも振ってりゃ良いんだよ。そうしときゃ後は勝手にあっちがそれっぽく記事作ってくれんだろ」
「わ、分かったぁ……」
でも時間は待ってくれない。
レースじゃもう緊張はここまでしなくなってきたって言うのに、やっぱりあたしのプレッシャーへの弱さは根本的には変わってないようで。
治ったと思ってたのはレースはそれ以上の大きな想いが克服させただけというオチ……そこはちゃんと成長してないんかい!
こうなったら仕方ない、トレーナーの言う通り何も喋らなきゃなんとでもなると思って行くしか……!
「あ、今搭乗機からブリッジコンプ選手と時坂敦史トレーナーが降りてきました!!」
『うおおおおおおおおお!!ブリッジコンプ!!君はアメリカの大スターだ!!』
『アメリカに帰ってきてくれてありがとう!!』
『偉大なるアメリカウマ娘!!』
『おかえり!僕達のヒーロー!!』
『スーパーフェクタになってくれ!!』
『U・S・A!!U・S・A!!U・S・A!!U・S・A!!』
「いや〜アメリカの皆様方お出迎えありがとうございますハッハッハ!!勿論ですが俺は彼女に四冠目を取らせるので是非とも期待していてください!ハッハッハァ!!」
……いや何これ。
ニュースの中継映像で見た時より多くない?どれだけメディアとファン集まってるのこれ。
ここまで集まってるの見るなんて超一流のスター芸能人くらいじゃない?これほんとにあたしに向けた声援なの?
……ブリッジコンプ連呼されてるしあたしかぁ。
取り敢えずで必死に笑顔を作って手を振る。
『ブリッジコンプが笑顔で手を振ったぞ!!』
『彼女は些細なファンサービスも欠かさない正に心の芯までのスターだ!』
『しかもとても可愛い!』
ちょっと手振っただけだよねこれ?
声援が5割増しくらいになったんだけど気のせいかな?
あと所々から聞こえてくる『プリティー』『キュート』って単語くらいはさすがに分かるんだけどめちゃくちゃ恥ずかしい。
ウマ娘はみんな美少女美人とは言うけど際立って言われた事今まで無かったのに……どうしよう嬉しいのと照れるのと恥ずかしいのと緊張とで感情ごちゃごちゃになるんだけど。
『トラヴァーズステークスへ向けて自信の程はいかがでしょうかトレーナーさん!』
『仕上がりは現段階で8割。残り2割は現地でじっくり完成させますよ、俺にはそれが出来る』
『自信たっぷりのお言葉ありがとうございます!四冠達成となれば史上2人目、無敗達成となれば史上初になります。現状史上唯一のスーパーフェクタ、ワーラウェイ氏へ何かお言葉などありますか?』
『今何かを言うのは時期尚早と思われるかもしれませんが、直に貴方の仲間が出来ます……とだけ申しておきますか』
今凄くニヤリとしたけど何話したんだろ……ワーラウェイとかいう聞き慣れない単語も聞こえてきたし困るなあ話が分からないと。
『ものすごい自信だ……』
『彼はビッグマウスだが彼女の事を良く見て発言している。これは期待が高まるな』
『しかしワーラウェイの婆さんほんと元気だよな……』
『二代目スーパーフェクタ誕生、期待しています!ブリッジコンプさんからも何か一言いただけますか?』
「え?はい?」
「お前からも何か一言欲しいんだとさ。四冠目に向けての意気込みでも喋っとけば?」
急に振られたみたいで焦ったけどトレーナー頼りになるぅ!
英語得意だもんねトレーナーは、こういう時バイリンガルな人が身近にいると助かるなあ。
「よ、よし……え、ええと、皆さんの期待に応えられるように頑張ります!応援してください!」
『期待に応えられる走りをしたいので応援してください、だそうです』
『宜しければワーラウェイ氏に向けても、何かお言葉をもらえますか?』
「こ、今度はなんて?」
「アメリカでも日本食を食べるのかってさ」
うん?なんでそんな質問をこのタイミングで……いやいや、純粋に気になって聞いたとかそんな感じかな。
記事にも載せやすい質問だろうし答えとこ。
「えー……?う、うーん……えーっと、なんでそんな事を……?ま、まあ良いや……食べます!」
『食ってやるそうです』
『!?!?!?!?!?なんて自信に溢れたコメント……これは凄い記事になりそうだ!インタビューにお応えいただきありがとうございました!!』
『いえいえ、ではこれで我々は失礼します。本番をお楽しみに』
よ、よし……乗り越えられた、乗り越えたぞ……!
あとは練習して!四冠!目指そう!
意気揚々とホテルへと向かっていくのだった……翌日あんな事になるとも知らずに。
翌日の朝刊の見出し(を日本語訳したネット記事)
『ブリッジコンプ、スーパーフェクタ獲得へ自信は十二分!まさかのワーラウェイ氏へ「食ってやる」超強気発言も!?無敗四冠達成で文字通りワーラウェイ氏を「食ってしまう」のか!?前人未到へ全米が注目している!』
「おいゴラトレーナー!!!どこ行ったァ!!!」
事務局ネキ「……」
事務局ネキ「^^」