楽して大金だけ稼ぎたいトレーナーと魔改造されるブリッジコンプちゃん   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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そりゃ年がら年中ずっと2人きりで過ごしててお互いここまでの作中でああいう感情持っててただのコンビとか言ってられる訳もなく

あと遂に累計入りしてました!!!
ヤバすぎて栗原とか叫んでられない(冷静)


23.クラシックの終わりと心境の変化と

「トレーナー、改めてお誕生日おめでとう」

 

「ん、あんがとよ」

 

「……ほんとは良いレストランとか予約しようと思えば出来たんだけど、良かったの?そういう事しなくて……トレーナーそういう派手なの好きじゃん」

 

 トレーナーズカップ・クラシックを優勝したその日の夜。

 あたしとトレーナーはいつもの遠征先のホテルで静かに過ごしていた、本当ならローズちゃんに頼んでお父さんのレストランの予約とか言えば取れたんだろうけど。

 トレーナーは『今日は良いや』って言って、わざわざこうしてのんびりと過ごしている。

 何だかいつもと雰囲気も違うし……大人な感じ?優しめな感じ?ちょっとドキドキするかも……

 いやそもそも毎回遠征先のホテルを同じ部屋で過ごしてる時点でおかしいと気付くべきだったんだ。

 

 

『トレセンや自宅みたいな安全性の保証された場所じゃないんだぞ?1人にさせられる訳無いだろ。あ、ゴラ逃げようとすんなバカ!』

 

 

 って……いやいやいや。

 なんであたし受け入れてんのこれ。

 年齢もっと遠いトレーナーならまだしも5歳しか違わないんだよ?常識ぶっ壊れてるってこれ。

 

「良いんだよ、今日は。たまには担当と2人過ごしたって咎められやしねえよ」

 

「そ、それは良いんだけど……近くない?」

 

 あとドキドキする理由のもうひとつは明らかに距離が近い事。

 確かにそこまで広くは無いけど、明らかにスペースあるよね?わざわざ肩と肩がぶつかるような位置までくっつく必要とは一体……

 何度も言ってるけど立場だけ見るとあたしの手を取ってここまで連れてきてくれた王子様みたいな存在な訳で、顔はそっち系のイケメンだし普通に大人しくされると意識しちゃうんだってば。

 

「なんだ、いつものスキンシップみてーなもんだろ。……ガキンチョが」

 

「そ、そうだよねっただのトレーナーと担当ウマ娘のスキンシップの範疇だよねっ」

 

「くくっ、何焦ってんだか」

 

「あ、焦ってなんかないもんねっ」

 

 焦ってなんか……いや本当はめちゃくちゃ焦ってるけどね!

 だって今日インタビュー終わりにトレーナーが来たかと思ったら優しく頭撫でてきて、その時から様子ちょっとおかしいもんこの人!

 こういう雰囲気出してるトレーナーなんてこれまで過ごしてきて初めて見たというか、いつも能天気にだらけてる姿とお金稼ぎの時だけやる気出す姿しか見てこなかったからこう、慣れないというか……!

 

「……ま、これで今年出るレースは全部だ。クラシック期、お疲れさん」

 

「ありがと。……振り返ってみれば早かったなあ」

 

 あ、少しだけ慣れてる姿出てきた。

 これならちょっとは平常心で話せるかも。

 でも思えば本当に長いようで短いクラシック期だったなあ……日本で走った記憶が無いのは気のせいだと思いたい。

 サウジダービーから始まってアメリカ無敗五冠とかこれ本当にあたしか?

 振り返れば振り返る程なんだこれとしか思えないこの戦績。

 

「前にも話したと思うが、俺は最初お前の事はビジネスパートナーだと思ってた」

 

「話してたねえ。いつの間にか仲良くなっちゃったけどね」

 

「不思議なもんだ、今じゃお前がいないと何ともしっくり来ないくらいになっている。それに俺は重賞なんて勝てなくてもオープン競走で数を勝てれば良いと思っていた、そうすれば給料は安定して4桁万円台だからな。それが気が付けば重賞制覇なんて2戦目でクリア、アメリカ遠征にクラシック完全制覇とTCクラシック制覇。俺の予想を超えてくるなんて面白い」

 

 何度かデビュー直後、サウジ遠征まで話された事がある。

 

 

『良いか、俺とお前はあくまでもビジネスパートナーだ。それ以上も以下も無い。ちゃんと覚えとけよ、良いな?』

 

 でもそれはサウジが終わった辺りからピタリと言われなくなった。

 それどころかスキンシップや軽口の言い合いが増えて、トレーナーからもその自覚があるのかこうして言われる事もある。

 凄く嬉しいと思うしあたしと言う人間性を見てくれるからとても好感も持ってる、Loveじゃなくてlikeだけど。

 

 とはいえ。

 それはそれで不安な事もある。

 そうなったが故の不安。

 包み隠さずに言うならちょっとした独占欲にも近いそれ。

 言うなんて恥ずかしいけど、言うなら今しか無いとも思ってる。

 

 だから、なのか。

 自然と口から零れたのは。

 

「……トレーナーはさ」

 

「どうした」

 

「来年からはあたし以外の子もスカウトするって言うのは、考えてたりするの?」

 

 トレーナーという職業上複数人担当は別に変わった事じゃない。

 実力が認められれば5人1チームの『自分の登録したチーム名』に所属するウマ娘達を束ねるチームトレーナーにもなる。

 かなり珍しい例ではあるけど3年目からのチームトレーナーもいたりするし、何なら有能なトレーナーが単独担当しているとチームを作って欲しいっていう催促も来るなんて話も聞くくらい。

 

 ……もし、トレーナーがそうなるなら少し寂しいとふと感じてしまった。

 賑やかになるのは嬉しいけれど、2人であーだこーだ言い合う時間は無くなるんだろうなと思うから。

 

「……?お前がいるのに追加スカウトをする必要があるのか?」

 

「ほら、だって実力あるとチーム持てって上から催促来るって……」

 

「ああ、アレな。昨日理事長から電話あったが断っといたわ」

 

「は!?ちょ、大丈夫なのそれ!?」

 

 ……で、このバカトレーナーは何をしてるんだと。

 あたしの不安返せよと言いたい、それはそれとしてめちゃくちゃ嬉しくてニヤけるのを必死に抑えてるけど。

 

「あ?へーきへーき、ついでにチャンピオンズカップにも出ないかって話されたけどコンプが卒業するまでは単独担当させろ、卒業後にはチームトレーナーになる。チャンピオンズカップも疲労を考えたら回避する。認めてくれなきゃアメリカトレセンに移籍するぞーって冗談半分で言ったら土下座するからそれだけは勘弁してくれそれで認めるからって言われたわ。冗談半分だったのになあ……チームトレーナーになるってところが」

 

「ヤバいってこの人ほんと」

 

 あとトレーナー、多分それ冗談半分になってないから。

 アメリカ政府が何とかして現役中高生でもグリーンカードを発行出来ないかとかあたしの写真を出しながら真剣に議論してるのをニュースで見た時は我が目を疑ったとかいうレベルじゃなく乾いた笑いしか出なかったもん。

 で1番真剣に議論してたのが大統領だったし。なにこれ。

 

 というかチームトレーナーになる方が冗談ってのが1番ヤバいでしょこの人普通にペテン師だよそれ。

 

「俺はお前の引退と共に引退する。何言われたって逃げ切るからな」

 

「あたし以外を担当する気は?」

 

「ガキはコンプだけで充分だ。お前がいりゃそれで良い」

 

「~~~ッ!」

 

 で、トンチンカンなこと言ったと思ったらこれだからなあ。

 素であたしが欲しがってる言葉サラッと出すんだから困る、絶対トレーナー学生時代モテてたよこれ。

 

「あん?顔真っ赤だぞ?風邪でも引いたか?」

 

「んな訳無いでしょぉ!!朴念仁!!」

 

「うわうるさ」

 

 結局恥ずかしがってギャーギャー言い合ういつもの感じに戻っていく、でもそれが1番しっくり来るから良いかもしれないと思う。

 少なくとも今はそうだって思える、きっと。

 

 そうしてあたしのクラシック期は終わりを告げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「朴念仁ねえ……本当に朴念仁だったらここまで優しくしねえだろ……まあ今は俺の気の迷いって事にでもしておくとするか」

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ アメリカ国会中継一部始終と日本トレセンの某ウマ娘達

 

『次の議題ですが、現在グリーンカードは高校卒業以上の年齢にならないと取得出来ません。このグリーンカードの年齢引き下げ、これを早急に推し進めるべきでは無いでしょうか。如何ですか大統領』

 

『そうですね……その前に1つ話をしましょう。アメリカでは半年前の5月、とてつもない事が引き起こされました。我が国の誇る伝統のGIウマ娘レース、ケンタッキーダービーのレコードが50年以上の時を超え更新されたのです。それもこれまで一度の優勝も無かった日本のウマ娘がやってのけました。そして彼女はそのままプリークネスも勝ちベルモントではあの伝説のレコードと同タイムを叩き出し、更に無敗四冠にグランドスラムも付け今やアメリカ無敗五冠』

 

『そして今や彼女はアメリカでは老若男女知らぬ者がいない英雄として歴史に名を残す事が確実視されている。このウマ娘、ブリッジコンプにグリーンカードが現状制度上渡せない。このままでは我が国に於ける戦後最大級の損失の1つになりかねないでしょう。我々はこの危機を乗り切り必ずやブリッジコンプとアメリカの友情を永遠のものにする、これをこの現時点を持って私のマニフェストに追加し任期を終えるまでに必ずや実現する事をここに誓う!!ここに上院も下院も関係ない、垣根を超えて手と手を取り合うプロジェクトになるだろう!』

 

『そして我々は!デビュー前誰にも見向きもされずそれでも諦めずに夢を掴んだ彼女に倣い今こそ団結しこの国における様々な問題に立ち向かい全力で解決していくべきだ!!中学生の彼女に『諦めない』という事が出来て大人の我々に出来ない道理などありはしない!!諸君、今こそ我がアメリカ政府は立ち上がる時だ!!』

 

『やってやろうじゃないか!』

『アメリカは今日この時を以って変革期を迎える!』

『彼女に誇れる国にせねばならないな』

『この大統領なら何かしらやりかねないとは思っていたが……面白くなってきたじゃないか』

 

 

 

「…………」

 

「グラス?グラス〜?どうしたんデスか〜?箸を持ったまままるで信じられないものでも見たような顔で絶句してますデスよ〜?」

 

 

 

 

「当たり前デース!ケンタッキー州の大英雄ブリッジコンプにグリーンカードが渡されないなんて間違ってマース!ワタシは今の大統領サンを支持しマスよ!!URAも何かしら動くべきデス!!」

 

「そういえばタイキ、ケンタッキー州出身だったと言っていたかしら。……初めて見るわ、ここまでの剣幕のタイキは」




グラスワンダー
そら聡明であればある程冷静に考えたら絶句するわ

タイキシャトル
ケンタッキー州出身の彼女が見たこの年のケンタッキーダービーでの反応がどんなものであったかなんて誰でも想像付くと思うんですよ
若干たじろぐくらいのオーラが出る剣幕で真剣に国会中継を見る彼女の事が『まるで十代とは思えなかった』とは隣にいたサイレンススズカの談

大統領
小学生の時に生で観たセクレタリアトのアメリカクラシック三冠の走りに脳を焼かれていた生粋のウマ娘レース大ファンであり毎年ケンタッキーダービー前には自らケンタッキー州に出向いてスタッフ等に労いをしている
勿論今年の三冠ロードで脳が破壊されベルモントステークスは全ての仕事を放棄して生で見に行っていた
どうなったかは勿論お分かりですね?


アメリカクラシック四冠ロード上位者の会(ブリコン世代、又は変態走行者達の集い)

ブリッジコンプ
言わずもがな世代最強どころか世界最強の大逃げド変態
但し胃の耐久性は未だにジュニア期からあんまり変わっていない
「あたしがアメリカ無敗五冠…?改めてあたしの身に何が…?」

サンライズローズ
三冠全てで2着と人類代表としてブリコンと戦ったと思いきやベルモントステークス走破タイム2:25:0で人外側だったご令嬢
しかも1200から2400まで距離調整要らずで走るド変態
「ダートであればワタクシに走れぬ距離など無いのですわ〜!オーホッホッホ!!」

ロイヤルダーツ
なんか知らん内に全員がハイペースで上がっていくから何故か後方ポツンになったがやっぱり割と大体落ちてきたのでトラヴァース2着になって手応えを感じた一応人類側。但し「あれ?もしかして後方ポツンってバ群に埋もれなくて楽なのでは?」というお告げこと横山典弘がインストールされてしまったので本当に人間と言えるかどうかは若干怪しい
ドイツ出身で親戚に某ウマ娘がいる
モデルはサンデー四天王の一角ロイヤルタッチ
「漆黒の閃光…フラッシュちゃんみたいで嬉しいです」

リリカルブロッサム
正真正銘人類代表の日本ウマ娘
ベルモントでは化け物2人にとんでもない差を付けられながら3着好走、トラヴァースでもシレッと掲示板キープしていった
なおコイツもコイツで2:27前半という歴代優勝者内にも中々いない走破タイムだった
但しトラヴァースステークスと不来方賞を連闘して(凡そ10日後)その数日後にアイドルウマ娘選手権の授賞式でキレキレのダンスと歌を披露している等ローテーションが人類のやる事じゃないとドン引きされている
しかもほぼ全て本人の意志でローテーションが決められているのでトレーナーの胃はマッハでヤバいらしい
ちなみにブリッジコンプに全く脳を焼かれてない化け物精神の持ち主でありただのちょっと自分より強いお友達だと認識している
「コンプちゃん?…お友達、ぶい。また一緒に走りたいからトレーナー、年明けはアメリカで」
<ウソデショ…
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