楽して大金だけ稼ぎたいトレーナーと魔改造されるブリッジコンプちゃん   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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なんか聞き覚えのある連中の反応集

???「始皇帝に黄金の鎖……面白い、領土は違えど同じ王の名を持つ者として余が満足足り得る者か見定めてやろう。行くぞゾエ、遅れるでないぞ」

???「ハーッハッハッハッ!彼女の走り、実にエクセレンッ!!ボクがダートを走る事が出来たならば是非一度お手合わせ願いたかったよ!キミもそう思うだろうリュージ?」


30.炎 上 騒 動

「ふわぁ~あ。あー暇だ暇だ、働かなくて良い時期がこんだけあるとそれはそれで時間を持て余すなあ」

 

 ドバイワールドカップからTCクラシックまで、約7ヶ月という長期間今年は実質的な休みを取っている。

 というのもコンプをケンタッキーダービーからドバイワールドカップまで海外遠征でしかレースさせていなかった為疲労蓄積を考えてのロングバケーション期間という事である。

 

 ……え?帝王賞を走ったじゃないかって?

 

 国内GIならそこまで疲労は溜まらないという判断且つ長期休暇で鈍りかねない身体を動かすには丁度良い中間地点のGIだったから出走させたまでだ。

 結果は知っての通り28バ身差でとんでもない事になったが。

 予想より10バ身くらい差付けてたなあ……やっぱり休ませたのが功を奏したかね。

 あと帝王賞で1着を取ったから獲得賞金上もしも暇なら地方GIにも気軽に顔を出せるようになった。逆を返せば賞金の事で出走しない出来ないの言い訳は効かなくなった。面倒な。

 

 で、現在コンプだが12戦全勝、GI9勝。

 

 ……正直こんだけ勝ってりゃ無理させる必要が無い。

 アイツの価値は俺が世界一知ってる、だったら稼げるレースにだけ出して勝たせるのは必然という話だ。

 

「……こんな時間にスマホ鳴らすとか誰だよ」

 

 何もある訳が無い真昼間に鳴り響くスマートフォン。

 なおコンプはここぞとばかりに光利んとこの甘味三姉妹の休日に合わせて遊びに出掛けている、本来意図していた休日の使い方をしてくれていて何よりだ。

 休日もトレーニング、なんてあんまりにも非効率的だからな。

 

 ……で、ずっと放置してるけどずっと鳴ってんだよなこれ。

 

「はぁ、仕方ねえなあ。ほんとになんなんだ。……って理事長かよしかも」

 

 うわぁ面倒事の予感しかしねえ。

 もう1分くらい放置してんのに鳴り続けてるとか絶対厄介事だろ、事と場合によっちゃ元凶の事をアメリカに売らなくちゃならないなこれは。

 

「はい、時坂です。すみません野暮用でスマホ取れなかったんです」

 

「し、至急〜!!時坂トレーナーは理事長室に来るようにっ!!」

 

「うわびっくりした。……そこそこ察しは付いたんで行きますよ」

 

 あーあ絶対俺にとって面倒な事だわこれ。

 放置しててくれればその内勝手に終わるだろうに、理事長は絶対放置してくれないんだもんなあ。

 ま、そう言うところが大きく評価されてるんだろうけど。

 

 しかし予想ではあるが今回のこれは恐らく俺のスキャンダル関連だろう、逆に今まで誰もそういった事を書かなかったのが不思議なくらいだから気にはならないが何を書かれてるのやら。

 

 面倒だと欠伸をしながら向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「時坂です。お呼びですか理事長」

 

「愕然!!時坂トレーナー!キミのスキャンダル記事が出ているッ!」

 

「あーあやっぱりかよ。一応言っときますがスキャンダルらしいスキャンダルなんてした事ありませんからねー?」

 

「で、ではこれも違うのか!?」

 

 理事長室まで行くとやっぱりスキャンダルでビンゴだった。

 どうせ下らない事が書かれてるのになんで呼び出すのかねえ……優しさと言えば優しさなんだろうけれど。

 

 面倒臭いが一旦記事を確認しておくか。

 

『時坂敦史の正体見たり!!トレーナーになった理由は《金目当て》!?担当ウマ娘を金づる扱い、更に遠征先のホテルでは同室寝泊まり!!四六時中付きっきりで束縛!?アメリカ完全統一ウマ娘のトレーナーの裏の顔は金欲に溺れた下世話な人間だった!!』

 

 あ、事実しか書かれてないですねこれ。

 凄いなあどこで知ったんだろこれ、記事の内容より情報の出処が気になって仕方ない。

 

「……と、時坂トレーナー?」

 

「なんでしょうか理事長」

 

「ここに書いてある内で事実はどれだけあるか教えてもらえないだろうか……0だとは思いたいが……」

 

「全部です」

 

「はい?」

 

「全部事実ですねえこれ。いやあ凄いなこれ、情報源が知りたくて困るくらいですよ」

 

「説明……説明ッ!!求むッ!!説明ッ!!」

 

「うわうるさ」

 

 説明たってなあ……全部事実としか言い様が無いんだがどうしたもんか。

 というかその辺理事長も把握してなかったんだなあ、どうせ適当に情報漏れ出てるもんだと思ってたんだがな。

 

 いやはや仕方ない、こうなってしまっては説明しないと帰してもらえないだろうからな。

 全く面倒な。

 

「で?どこから説明します?」

 

「さ、最初から」

 

「まずトレーナーになったのは『金になるから』です。固定給が高く賞金の上乗せで今のような億を稼げる可能性を考えた時最適解と結論が出たのでやっています」

 

「……あ、胃薬……胃薬を……!」

 

 大丈夫だろうかこの人。

 急に胃を押さえ始めたんだけど。

 まあ良いや。

 

「次、金づる扱いですがこれは契約結んだ当初からサウジダービー前後まで本当に言ってたので事実です」

 

「たづなァ!!たづな助けてェ!!」

 

「いや今日あの人オフでしょ」

 

「そうだったァ!!」

 

 ちなみに今日たづなさんは休日である。

 哀れ理事長、この胃痛を共有出来る人間はいない。

 

「あ、それでホテルで同室と四六時中付きっきりもまあ概ね事実ですね。ホテルなんて何があったか分かったもんじゃないんで万が一俺が見ていなかったせいでコンプが怪我でもしようもんなら俺は躊躇無く切腹を選びますよ。付きっきりなのはお互い話してて1番楽なのがお互いだからですかね、俺が束縛と言うよりあっちがベッタリですが」

 

「過保護なだけでまともだけど切腹まではしなくて良いッ!!」

 

「はて?なんででしょうか?トレーナーは担当ウマ娘のコンディションを見極めながら成長させる仕事でもありますが親元を離れて過ごしている以上この場では親から託された保護者代わりでもあります。その託された保護者代わりが務まらず何がトレーナーでしょうか、そんな事も出来ないトレーナーなら死んだ方がマシでしょう」

 

「過激ッ!!思想が過激ッ!!」

 

 ふむ……当たり前の事を言ったまでだったんだが理事長は冷や汗をかきながらツッコミを入れてくる。

 変な事は言っていないはずなんだがなあ。

 

「……そう言えば記事ってこれ以外にもあるんですか?」

 

「え?あ、コホン!肯定!もう1ページ分あるぞ。見たところで似たようなアンチ的内容しか書かれてないから見るだけ徒労だと思うが……」

 

「構いません、見させていただきます」

 

『ブリッジコンプのURA最優秀クラシック・年度代表は間違っていた!!本当は国内王道無敗芝二冠とマイルチャンピオンシップ優勝ウマ娘テイエムクロードだった!?中には《ブリッジコンプが金に物を言わせた》と語る関係者も…』

 

 ほほう、成程成程良く出来た記事だなあ。

 

「……!?け、警備員!!警備員はいるか!?乱心ッ!!時坂トレーナー乱心ッ!!落ち着かせる為に取り押さえてくれ!!」

 

 ……何故かは知らないが理事長が呼んだ警備員複数名に羽交い締めにされ取り囲まれた。

 おかしいなあ、俺は何も害ある行動はしないのに。

 

「理事長、ちょっとだけ離してもらえません?」

 

「拒否!!離したらその記事を英訳してバラ撒く腹積もりなのではないか!?」

 

「お、良く分かってるじゃないですか。良く出来た記事だから俺達の第二の故郷アメリカにも共有したいと思って」

 

「やっぱり!!そんな事をしてみろ!殺されてもおかしくない事になりかねんぞあの出版社!!」

 

「それでどう言う反応になるかについては俺の責任ではないので知りませんね」

 

 ちょっとアメリカの出版社に英訳した記事をあげて良い記事だろ?って話のネタにするだけなのにやだなあ理事長は。

 ……それであの出版社にいる人間がどうなろうと俺は知ったこっちゃないがな。

 

「無論!教え子が可愛いのは分かる!が、道を誤ってはならないぞ時坂トレーナー!!」

 

「やだなあ理事長、道は間違えませんよ?知り合いの米国記者との話のタネにするくらいなんで。ええ」

 

「ええい私は絶対にここを通さないからな時坂トレーナー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

「前々からブリッジコンプは気に食わなかったんだ、これで少しでも燃えててくれれば……おや、こんな時間に誰だろう」

 

「手を挙げろ、我々はURAだ」

 

 

 

 

-翌日-

 

『週刊〇〇よりお詫びと訂正のお知らせ

 今週掲載のブリッジコンプ選手に対する記事が信ぴょう性を大きく欠き名誉を深く毀損する行為に当たるとして該当記事は明確に《真実ではなかった》と認め当該記事を書いた記者を解雇した上で深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした』




※結局妥協案としてURAのお偉いさんに出版社まで特攻させて社会的に殺してもらいました

テイエムクロード
・典型的なマイル、中距離芝適性の超一流ウマ娘
皐月賞、ダービーまで無敗で獲得するも菊花賞は着外に終わり適性を認識。マイル中距離路線に舵を取ってマイルチャンピオンシップで圧勝。大阪杯は3着も宝塚記念は獲得し現在天皇賞・秋に向け休養中
トーセンジョーダンやダイタクヘリオスと仲良し
「えー?わたしは別にブリッジコンプで文句無いと思うよ?無敗二冠+マイルCSよりアメリカ無敗五冠なのは当たり前っしょ?アメリカ芝路線ならともかくさ」

出版社
・何とか廃業は免れたもののそれまでのような過激な記事はめっきり少なくなった

元凶
・あの後何故か羽田空港でアメリカ行きの便に大柄でサングラスとスーツを着た男達に囲まれながら連れ込まれるのをスレ民の1人が見たらしい
何があったんやろなあ…

関係者
・デスクが喋っていた

スレ民
・そもそも時坂が畜生なのは織り込み済みだったので人間らしい理由でトレーナーをやっててくれてる事に胸を撫で下ろしているのとシレッとホテルで同じ部屋を使っている事に声にならない叫びを上げていた
多分筆者でも上げてると思う
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