楽して大金だけ稼ぎたいトレーナーと魔改造されるブリッジコンプちゃん   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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コンプ「……あれ?そういえばなんかあたしが炎上してたみたいに聞いたんだけど?」
時坂「あ?気のせいだろ」
コンプ「あれれ?そっか……聞き間違いかなあ」
時坂(まさかあんな三下相手にアメリカ政府が動くとは思わなかったが……お陰で全ての証拠は跡形も無く消えたしまあ良しとするか。ネットは管理してるから問題なし。棚から牡丹餅といったところか)


31.あたしは別に嫉妬なんかしてない。してないもんね

「ううーん!空気が美味しいー!」

 

「都会と比べたら何もねえけどな。ま、空気と水と食いもんは良いぞ」

 

「それだけでも良いところだと思うよ?」

 

 夏のとある日。

 帝王賞も終わって本格的にTCクラシックまで休みだなあと思っていた矢先にトレーナーからこんなお誘いを受けた。

 

 

『なんか高校の同窓会呼ばれたんだけどお前も行く?』

 

『え?あたしがトレーナーの同窓会に?別に良いけど……場違いじゃない?』

 

『あーそれは平気だ。招待状にゃ《時坂、お前成人式にも来てなかったが今暇だよな?ミツも誘って来る事になってるからそろそろ顔見せに来いよ。ちなみにミツもだがお前らがトレーナーやってるのは知ってるから担当の子達も連れて来て良いぞ、2人揃って過保護なのはアイドルウマ娘選手権でカメラに抜かれてたの見て把握してるし》って書いてあったからな。何ならウェルカムって言われてるぞ』

 

『うわぁめちゃくちゃ寛容だ……トレーナーの故郷ってちなみにどこなの?』

 

『笠松。オグリとはたまに遊んでた仲だったな』

 

『ええ……オグリキャップ先輩と一緒に遊んでたとか初耳なんですけど』

 

『初めて言ったからな。それに遊んだっても両手で足りる程だろうしそこまで気に留めてなかった。あと交流していたといっても金稼ぎの選択肢の1つにトレーナーを入れる為の社会勉強としての一環だったしな』

 

『とんだ変人だよ本当に』

 

『変人なのは今更だ。んで、来るのか?』

 

『良いなら行きたいかな。トレーナーの故郷、気になるし』

 

『分かった。んじゃ当日はよろしく』

 

 

 といった具合で、同窓会に顔を出すから一緒に来ないかって感じで。

 実際トレーナーが育った場所っていうのも気になるし、笠松と言えばみんなの憧れであるオグリキャップ先輩の地元でもある。

 気にならない訳が無い。

 

 そんな訳で着いてきたんだけど……まず、空気が良い。

 凄く気持ちが良い、それだけで心が癒されるそんな気がする。

 

「後で親父と母さんには顔見せるとして、ちなみにここが会場だ」

 

「はやっ!?」

 

「まあ中には甘味三姉妹もいるから、空気に馴染めそうに無いなら固まって話しときゃ良い。取り敢えず入るぞー」

 

「大丈夫だと思うけどありがと」

 

 実際あの文面を見る限りあの変人トレーナーと仲良さげな時点で幹事の人は間違いなくノリが良い人だし。

 それにトレーナーも明路さんも行くって判断になったくらいなんだから悪いようにはならないはず、なんて信頼感もあったり。

 

「ようお前ら、久しぶりだな」

 

「うわでた」

「よっ、年度代表ウマ娘のトレーナー!」

「楽して金稼ぎたいとは言ってたが20歳で億稼ぐとは思わなかったわ」

「お前一人で俺達の平均年収を上げるな」

「てか生ブリコンちゃん初めて見たけどマジでかわいいな」

「それな」

 

 来た瞬間男性陣の方から野次のようなセリフが飛び交っていた。

 トレーナー、学生時代は勉強ばかりしてたって話してたけれどちゃんと交友関係も多いんだなあ。

 

「よっす、ミツ達はもう取り囲まれてるぞ」

 

「おー塚山。どうよウチの担当は」

 

「初めて見たけどちっこいなあ、可愛いじゃないか。あ、俺塚山ねよろしく」

 

「よ、よろしくお願いしますっ」

 

「だろ?コイツは走る事は勿論だが愛嬌もあるからな。可愛いか否かという質問があった場合断然前者以外を選ぶ権利は存在していない」

 

「お前本当に相変わらずだな……」

 

 塚山さんと言ったその人は恐らくトレーナーに招待状を送った幹事の人なのか、気兼ねない雰囲気で話している。

 あんな感じで話してるトレーナーは明路さん以外とでは初めて見るかもしれない。

 

 ……待って今あたしの事可愛いって言った!?

 

 雑談の中に溶け込み過ぎて気付かなかったけど言ったよねこの人!?

 あーあー絶対モテてたよトレーナー、こんな何気なくサラッと言うんだもんこれでモテてなかったらおかしいでしょ。

 

「って、あらら担当ちゃん顔赤くなってんな、相当懐かれてんのな」

 

「もう2年四六時中いるから多少は懐かれるだろうよ」

 

「わお、それはそれは。てか2年もいるならコイツの変人ぶりには振り回されっぱなしなんじゃない?」

 

「え?あー……最初は四六時中ツッコミばかり入れてたけど最近はもう慣れちゃったかな……?」

 

「お前のノリに慣れられる女の子がこの世に存在してたとは」

 

 思えばアメリカクラシック三冠……特にベルモントの前にはもうすっかり慣れきっちゃってたかもなあ。

 そうなると一年以上はこんな感じでいるんだなあとしみじみしてしまう。

 

 ……それはそうと塚山さんの話しぶりだとまるで女の子にはそこまでモテてなかったような感じがするんだけど?

 

「あの〜……」

 

「ん、どしたよブリッジコンプちゃん」

 

「その、トレーナーって学生時代どれだけモテてたんですか?」

 

「モテてた……?いやいや、コイツはマジで浮ついた話一つ無かったよ、もしかして聞いてない?」

 

「ええ!?全く聞いてないです!」

 

「まあ聞かれなかったしな」

 

 トレーナーがモテてなかったという言葉に思わず目をぱちくりとさせてしまう。

 あんな『欲しい言葉』をサラッと言う女ったらしみたいな性格と王子様タイプの甘いイケメンフェイスしときながらモテてないってどれだけ変人だったのこの人……

 

「コイツは昔っから口を開けば金儲けの話しかしなかったからなあ。なあ塚山?」

 

「おうミツ。そーそっ、そんな訳でこんな高級フェイスしときながら男子と金の話ばっかしてたんだよ。お陰で女子からは一切モテなかったね。……ただ、今は別らしいが」

 

「時坂くん、ニュースで良く見るよね」

「うんうん、この前の番組では推定年収なんかもあったけど凄かった……」

「え!?いくらいくら!?」

「これは狙いどころでしょ」

 

 スッと話に加わってきた明路さんも塚山さんもそう言うならモテてなかったんだろう……学生時代は。

 しかし今は……今は確かに『別』だとあたしの目から見ても良く分かるくらい女の人達が色めき立っている。

 

 なんだろう凄くこう……モヤモヤする。

 

「なんだお前、タコみてーに頬膨らませて」

 

「え?」

 

「あはは、こりゃ嫉妬ってやつか」

 

「ミツんとこの子達は自覚ありきで嫉妬してたが無自覚もそれはそれで微笑ましい光景じゃないか」

 

「なんだ嫉妬か」

 

「し、嫉妬なんかじゃ」

 

 そう嫉妬なんかじゃない。

 ちょっと自分だけ見ててくれてるのが嬉しかったのに他の女の子に目移りするんじゃないかって思ってそれはなんか嫌だなあとか考えてた訳じゃないんだから、ち、違うんだから。

 

「全くお前と言うやつは。良いか、俺は恋愛なんかかったるくてこちらから願い下げなんだよ。それに彼女なんざ作ったところでコンプが完全に競技者引退するまでは同伴し続けるから時間なんてねえっつーの」

 

「……そ、そう?」

 

「そうだとも」

 

「全く律儀な奴だねえ時坂は」

 

「だな」

 

 ……そしてそう言う事を言われて少しホッとなんてしてないんだから、そうこれは気のせいだから気のせい。

 

「そもそもだ、俺の理想の相手は金目当てでも無く俺のノリに着いて来られて今後コンプと過ごす時間にも不満を言わずに尚且つ顔と性格が俺好みで年齢も俺と同じか少し下の奴だからな。理想がいないなら恋愛なんぞしなくても不利益は無い」

 

「いや時坂目の前目の前、目の前にいるからそれ」

 

「敦史の場合ボケなのか素なのか分かんないんだよなあ」

 

「へぇ〜理想高くない?」

 

「いやそっちもかい」

 

「揃いも揃ってほんと……」

 

「良いだろ?手に入れられるものは全て手に入れるのが俺の主義だ」

 

「トレーナーらしいっちゃらしいよね」

 

 そう言えばそれはそうとトレーナーの好みの顔なんて聞いた事も無かったなあなんて今更ながらに思う。

 ……どんな感じの顔のタイプが好きなのか想像も付かないなあ、まあまずこの人が恋愛してるところが想像付かないところから始まるけど。

 

「ま、お前もミツも変わりなくて良かったよ。んじゃ改めて今日は楽しんでいけよな」

 

「おう、まあぼちぼちやってくわ」

 

 チラリとトレーナーを見る。

 ……ところであたしが恋愛するとしたら、まずこのトレーナーよりイケメンで甲斐性があってあたしを理解してくれていて欲しい言葉をくれる人間じゃないと満足出来ないと思うんだけどどうしようか……なんて思ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ 実家に寄ったトレーナー

 

「あら〜やっぱり凄く可愛いじゃないのコンプちゃん!」

 

「どうだウチのとは?仲良くやれてるか?アイツは粗相を働いてはいないか?」

 

「え?えーっと、仲良くやらせてもらってます、はい。とても優しいですし……」

 

「頼むから婿に貰ってやってくれ」

 

「待って今までどんだけモテてなかったのこの人」




時坂敦史
学生時代は生粋の変人として有名だった為モテた試しが無い。尤もモテる気も無かったが

ブリッジコンプ
この後三姉妹と仲良く話していた
ちょっと恋愛話に発展していたのはここだけの秘密
ぷくー顔絶対可愛い(確信)

甘味三姉妹
時坂より親近感も元からのモテ度も高かった明路狙いの女子が多くて常時ぷくーしていた

塚山
同窓会幹事をしていた同級生
明路との方が仲が良いが時坂とも普通に友人

オグリキャップと時坂
実は遊んでいたと言うよりウマ娘そのものを知る為の生態観察をされていた方に近いが多少気心の知れた顔見知りとして悪くない関係ではあった
カサマツトレセンにオグリが所属していた時は良く時坂はレース場に足を運んで生のオグリキャップから競技者ウマ娘の生態知識を得ていたとか
大抵の初歩知識や基礎はカサマツトレセンのトレーナーやウマ娘から得ている
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