楽して大金だけ稼ぎたいトレーナーと魔改造されるブリッジコンプちゃん 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
「そ、それでそれで!?タルマエさんのトレーナー様はなんと!?」
「え、えっと……『僕には君しかいない。だから君が良い』って」
「きゃーきゃー!ロマンチックですわ〜!!シャイなのに決めるところは決めるのもカッコよくて憧れますわね!!」
「おお〜」
季節は12月も後半。
そろそろクリスマスも近付いて来ているこの季節にあたしはのんびりと寮で過ごしていた……リリちゃんと、あとローズちゃんと話しながら。
この12月のチャンピオンズカップ、このレースにローズちゃんは海外招待選手として来日して2着のセイウンムラクモちゃんに5バ身の圧勝劇をしていた。
これでGI通算9勝、アメリカの歴代で見てもとてつもない記録なのはアメリカウマ娘レースの歴史に疎いあたしでも分かる。
リリちゃんはトレーナーズカップ後に休養に入りクリスマス後の東京大賞典で復帰するらしい。
良く良く考えると休養と言っても2ヶ月も無いから普通のクールタイムのはずなんだけどそれは果たしてツッコミを入れるべきかどうか……まあ、リリちゃんの事だから本当に休養だと思ってそうだけど。
リリちゃんは他のウマ娘と比べても練習量が少ない。
曰く『他の子は分からないけど、わたしは実戦で鍛えられる。むきむき』との事。
多分それが出来るのはあなただけだと思うんです。
「それで……2人に言う許可は先輩から取れてるんだけど……年明けに入籍発表するんだって!」
「まあ!入籍ですの!?ラブラブですわ〜!!」
「……わたしのトレーナー、タルマエ先輩のトレーナーより1個年上なのにそーいう話、0。わたしはトレーナーの事が心配になる」
「それは本人が知ったら多分ショックで立ち直れなくなると思うからやめたげて?」
それで、あたしは1月末のペガサスワールドカップまで休養中で丁度3人集まれるからって事で女子会中。
話は女の子が集まれば自然と恋バナになって、今はタルマエ先輩の話になっている。
プリンとケーキとスモモは丁度地方遠征中らしい。
引退してからというもの、先輩と小牧さんのデートが撮られる事が多くて見る度に微笑ましい気持ちになっていたけど遂に年明けに結婚するんだとこの前あたしに報告が来た。
幸せそうでなによりです。
「?……そーいえばそれよりも、コンプちゃんと時坂さんはどーなの?とっても仲よさそーだけど」
「そうですわね!ワタクシも気になりますわ!」
「え!?あたしとトレーナー!?」
いやいやいきなり何聞いてるのさこの子は!?
それにローズちゃんまで乗って来てるし……全くもう、あたしとトレーナーはそんなじゃないのに。
「うんうん、ほんとのとこはどーかなーって」
「いやあ、無い無い。確かに相性は良いと思うけど今までそういう感情持った事無いもん」
「……あの雰囲気で恋愛感情0?」
「おおー、それはふしぎ」
「不思議かなあ?」
……一体周りからあたし達はどんな感じで見られてるのやら。
もしもこの2人みたいに思われてたら恥ずかしいんだけど。
「んー……あのねコンプちゃん」
「ん?」
「もしもトレーナーさんが他の女の子と仲良く歩いてたら、どう思うのかなーって」
「他の……ええ……想像付かない……あの人恋愛には本当に興味無いって言ってたしお付き合いも全く無いらしいし」
「あらそうなんですの?あんなに顔が整ってて甲斐性もある殿方そうはいませんのに、今まで女性経験すら無いとは。あ、ワタクシの好みはバトラーですけど!」
「ローズ、ラブラブ」
「それ程でもありませんわ!」
まさかトレーナーに限って恋愛なんて無いだろうし、そもそも想像が付かないから想定のしようも無い。
同窓会であんな断言されたら仕方ないと思うけど。
……もしも、もしもそうなったらあたしはどんな反応するんだろうなあ。
分かんないかも。
「……コンプちゃん、トレーナーの良いところとりあえず言ってみて?」
「え?まあ……良いけど。まず顔が良いでしょ?典型的な王子様タイプのイケメンだしあたしの好みではある。次に優しいとこだよね、変人だし突拍子もない事するけど肝心なとこでは優しいし欲しいと思ってる言葉をタイミング良くくれるし。あとノリも良い、あたしと年齢もそんなに違ってないからちょっと年上のお兄さんみたいな感覚で緊張しなくて済む。
それ以上にあたしの事理解してくれるのが好きかなー。ベルモントの時に意思を汲んでくれたり、コンディションを完璧に理解してくれてたり、過保護だけど安心させてくれたり――」
「……これで恋愛感情0は無理ですわブロッサムさん」
「だよね。わたしもおもった」
「あれ?どうしたの2人とも?」
「……ほ、ほんとに恋愛感情ありませんの?そんなに沢山言ってて?」
「うーん……多分そうだと思うんだけどなあ」
あれ?これくらい普通に言える事ない?
だって言ってる事全部事実だし……恋愛云々抜きにしても言えると思うんだけどなあ。
……確かに毎度毎度カッコイイ事してくるけど。
それこそ、あたしの貰い手がいなくて貰ってくれるって言うなら間違いなく断らないけどさ。
「ちなみにりそーの男性ぞーってあるの?」
「男性像?……トレーナーより顔が良くて優しくてちょっと過保護だけど欲しい言葉を欲しい時に言ってくれて甲斐性が人並みにあって年齢がそこそこ近くてノリが良い人、かな?」
「……コンプちゃん、既に手遅れですわ」
「ん、もうだんせーかん破壊されてる。後は自覚を持つだけ」
何かヒソヒソ話してるけどなんだろう。
「2人とも何話してるの?」
「いえ、コンプちゃんはトレーナーさんの事が大好きなのですねと思いまして」
「ん、びっぐらぶ」
「LoveじゃなくてLikeだよ。まあBIGであることには違いないけどね。あたしの事あんなに見てくれたトレーナー、あの人しか居ないもん」
ほんと、あのままあの人があたしを見つけられなかったらと思うと背筋が凍る思いがする。
デビューすら出来ずに学園を去っていたか、或いはデビュー出来ても未勝利で終わってたか……ただの直感だけども、きっとそうなっていたんじゃないかと言う思いが頭を過ぎる。
……そう言えばトレーナーはなんであたしがダート向きだと分かってくれたんだろう、思えば明確に聞いた事は無かったかもしれない。
『自分の長所に気付いていなかった』『長所を伸ばせばオープンまでは確実に上がれる』『芝よりダート向き』確かに方向性を変える事へのアドバイスは良くしてくれたけど『何がどう長所で、何がどうダート向きなのか』は未だに知らない。
知らなくてもあたしのトレーナーになってくれるなら何でもいいと思っていたのもあるけど、次第に『このトレーナーになら何だって信頼して良い』と思って聞かなくても良いと考えていたのもある。
「コンプちゃんは、もしも自分に恋人が出来ず時坂さんにも恋人が出来なかったらどうするおつもりなんですか?」
「ん?あー、その時は貰われても良いかなーって思ってる。顔も性格も好みで一番の理解者だし合わないなんて事は無いと思うし」
「……多分、時坂さんよりハイスペックで相性良い人探すのは難しい。今の内からかこっておくのが得策ー」
「得策って……ううーん、でも確かにトレーナーより良い人探すのは難しいよねえ……」
「そうですわ!0から探すよりここから愛を育む選択肢もありますわよ!トゥインクルシリーズを引退しても暫くはドリームトロフィーリーグに行くのでしょう?」
「いつ辞めるかはまだ分かんないけどそうなるかなあ。そうなると出会いという出会いも無いのはそれはそうだよねえ……」
競技者となるとトレーニングにイベントにレースだから男の人との出会いなんて無いも同然……イベントで会うにしても今まで出会ってきたのは思えばトレーナーとの仲を推すような人達だったかも……
あれ?そうなると今日までで関わってきた男の人と呼べるのトレーナーだけなのでは?
「ほ、本格的にあたし男の人との関わりトレーナーしかいないかも……」
「ですわよねえ」
「わかる。わたしもトレーナーだけ」
なんかそう思うと途端に意識してしまうのはあたしが単純なだけなのかそれとも無意識にそんな気持ちになってたのか。
いやまさかねまさか……と思いながら丁度目前に迫ったクリスマスに若干の冷や汗が流れるのだった。
☆ブリッジコンプ(現役・シニア)
トレーナー:時坂敦史(21)
中央獲得賞金:310万円
地方獲得賞金:5750万円
海外獲得賞金:1996.5万ドル(31億1050万円)
合計獲得賞金:31億7110万円
主な勝ちレース:TCクラシック(GI) ペガサスWC(GI) サウジカップ(GI) ドバイWC(GI)
受賞歴
×△年度アメリカクラシック三冠最優秀ウマ娘
WBURレーティング1位(×△年度下半期、××年度上半期・下半期)
エクリプス賞年度代表ウマ娘(×△年度、××年度)
エクリプス賞最優秀ダートウマ娘(×△年度、××年度)
エクリプス賞最優秀クラシックウマ娘(×△年度)
URA年度代表ウマ娘(×△年度、××年度)
URA最優秀クラシックウマ娘(×△年度)
URA最優秀ダートウマ娘(×△年度、××年度)
競走成績
次走予定:ペガサスワールドカップ
《通算成績》13戦13勝【13-0-0-0】
時坂敦史
合計賞金ボーナス:5億482万円
ブリッジコンプ「去年はスルーしたけどさ」
時坂「なんだ?」
ブリッジコンプ「TCクラシックからドバイワールドカップまでの4レースの合計賞金っていくら?あ、あたしの通帳おかしくなってんじゃ…」
時坂「1378万ドル、日本円換算21億910万円だな」
ブリッジコンプ「」