楽して大金だけ稼ぎたいトレーナーと魔改造されるブリッジコンプちゃん   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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ああ!久々の胃痛タイムだブリコン!(胃薬の)おかわりもあるぞ!

時坂「お、今年は最高勝率と最多賞金の二冠か。……思えば去年エクリプス賞最優秀トレーナーも貰ってたから最高勝率とエクリプスは連覇だな!まあ興味は無いが貰える名誉は貰っといて良いか!……来年エクリプスは貰えないしな!」




35.トレーナーには全てお見通し

「はふ~やっぱり冬場はゆっくりコタツでくつろぐに限るね〜」

 

「雪の中トレーニングするなんて非効率にも程がある。風邪を引く確率を考えるならこうしてのんびりダラけるのが最も効率的な事だ」

 

「あ、トレーナーみかん剥いてー」

 

「ほらよ、あーん」

 

「あーん」

 

 今日はクリスマス。

 トレセンの中は色めき立っているのかところどころで甘ったるいピンク色のムードを漂わせる部屋が多い、やっぱりトレーナーとウマ娘がゴールインする事が多いって噂には間違いないみたい。

 あたし達はそんな事も無くいつもの様にコタツの中で過ごしてるけど。

 

 ……それはさておき、あたしは最近ちょっとだけ思う事があった。

 

 自分の適性はダートだ。

 トレーナーがそれを見初めてくれてここまで来れたのは今でこそ自覚が出てきたけど、ふと振り返るとまだ夢物語のようで正直このトゥインクルシリーズを駆け抜けるまではあんまり振り返りたくない気もしているくらいだ。

 

 でもあたしは、日本のウマ娘で、そして元々芝ウマ娘だった。

 確かにあの時はマイルまでしか走れなかったけど、行く行くは2000mまでは走りたいと思っていたし国内芝GIは憧れだった。

 皐月賞、天皇賞・秋、大阪杯……王道の中距離2000mGI、それに安田記念、マイルチャンピオンシップやNHKマイルカップ、スプリンターズステークス、高松宮記念。

 小さい頃からずっと夢見てきた。

 今でこそ封印しているけれど、これ以上の贅沢なんて言えないけれど。本当は……一度で良い、芝のGIに出たいと、そう思ってしまっている。

 

「……はぁ」

 

「溜め息吐いてどうした。もしかして悩みでもあるのか?」

 

「え?い、いや何でも無いよっ!何でも無いっ」

 

 思わず溜め息が零れてしまった。

 トレーナーには沢山お世話になってるのにこれ以上のワガママなんて、それも急な路線変更なんて言えるはずがない。

 余計な事なんて言ったらトレーナーの負担が増えちゃう……それはダメ、我慢しないと……我慢我慢……そ、そうだ話題を変えよう。そうすれば誤魔化せるはず。

 

「そ、それよりトレーナー!?そういや一度も聞いてなかったけど、なんであたしがダートで走れるって思ったの?」

 

「……今更な話だが確かに話した事は無かったか。他のトレーナーは見向きもしていなかったがありゃ見れば一発で分かるレベル、そう言えるくらいお前の脚の筋力は発達していた、あれはダートで活かせると思うくらいにはな。裏を返せば日本特有の高速バ場の芝じゃあの時点では能力が伸びないとも思った。それが決定的な部分だった。あとそういった面でアメリカの土ダートの適性も高いと睨んでた」

 

「そうなんだ……気付かなかった……」

 

「誰かに目を付けられていれば間違いなく先を越されていただろうな。そして国内ダート三冠ルートを辿っていた事だろうさ……俺ならここまで天才的なルートを辿れるがな!」

 

「そこは否定出来ない」

 

 誤魔化しはしたけどこれは本当に聞きたかった事だから本音を聞けてとても嬉しかった。

 そんなに分かりやすい特徴があったなんて……それなのにずっとスカウトされずにトレーナーと出会えたのは三女神様が出会わせてくれたお陰なのかも?とすら思ってしまうくらい。

 

「……ん?ははーん、分かったぞお前」

 

「きゅ、急にどうしたのトレーナー?そんなあたしの心が読めたみたいな事言って」

 

「実際に読めたんだよ。……コンプ、お前芝レースに出たいって思ってるだろ?」

 

「ヴェッ!?」

 

 いやいや、いやいやいや待ってほしい。

 なんでこの人そこまで読めてるの怖いんだけど。

 だって芝レースの話なんて今までただの一度もした事無いのに。

 エスパーか何かかこの男は。

 

「ほーら図星。大当たりってね」

 

「な、なんで分かったの!?」

 

「だってお前は元は芝レースを目指してたウマ娘だろ?だったら少しくらい芝への未練が残ってても不自然じゃない。特に勝てると分かった後のウマ娘は良く言えばどこまでも貪欲になる、お前はそういうのがあまりなかったから寧ろ嬉しいくらいだよ」

 

 うわぁ完全に思考読まれてる、凄すぎて引くという行為すら出来ない。

 しかも素直に嬉しがってるしトレーナー……ちょっと可愛いかも。

 って違う違う、寧ろ嬉しいなんて言ってるという事はだ。

 この男は……そう、『その想定をしていた』事になる訳で。

 

「……ね、ねえトレーナー?」

 

「なんだいブリッジコンプくん」

 

「もしかしてとは思うんだけどさ、まさか芝レースのプラン用意してる、なんて言わないよね?」

 

「おー、勘が良いじゃないか。丁度主要ダートレースは完全制覇しちまって今更国内主体も面白味も金もねえからな。今のお前のポテンシャルなら国内高速バ場でもマイルまでなら走れると思うし更に言えば……」

 

「更に言えば……?」

 

 あ、これ絶対まずいやつだ。

 サウジダービー後にケンタッキーダービーにほぼ強制決定させられたあの日を思い出してしまう。

 

「年明けのペガサス、サウジ、ドバイの後2ヶ月の休養後――走るぞ『安田記念』。それに『ムーラン・ド・ロンシャン賞』『凱旋門賞』をな。その為のプランは用意してある」

 

「ちょっと待てえええええええええええ!!!!」

 

「なんだそんな大声出して」

 

 大声だって出したくなる。

 安田記念1つならまだしもシレッとフランス遠征入れてるのは何?バケモンかこの人は。バケモンだったわ。

 

「なんでそんなに入念にお出し出来るの!?今話したばっかだよね!?」

 

「えー?だってURAが帝王賞国際ダートGIにして他の国際ダートGIと合わせて賞金増額してくれるんだからそれに見合ったお返しはしないとダメじゃん?まあ走るの芝なんですけど。あとお前の思考はお見通しなんだよ、トレーナーナメんなよ〜?」

 

「ああ……久しぶりだこの胃痛……慣れちゃったと思ったけどやっぱりこの人がおかしいのは変わらなかったよ……」

 

「おかしいとは心外だな?走りたかったんだろ、安田記念」

 

「うっ……ま、まあそうだけど……」

 

 いや走りたかったには走りたかったし嬉しいよ。

 でもフランス遠征付いてるのは脳みそがバグ起こすのよ。

 

「ちなみにフランス遠征だが、どちらも芝の中でも世界一特殊と言われているロンシャン芝だ。――ダートウマ娘が理論上有利とされている、な」

 

「ま、まさかこの男……」

 

「コンプ、お前は日本勢初の凱旋門賞ウマ娘になるんだよ」

 

「あ、本気だこの男」

 

 確かに噂程度ではあるけどパリロンシャンレース場の芝は日本ウマ娘的には芝よりダートの方が合うっていうのは理論上で聞いた事はある、あるっちゃあるけど……

 

「で、でも確か今まで好走してきた日本のウマ娘は全員芝ウマ娘じゃ……」

 

「それは海外で実績を残せたダートウマ娘がいなかったからだ。だがコンプ、お前は違う。ここまで無敗10冠、凱旋門賞を走る頃にはダート国内外で13冠だろう。ああ、芝も含めれば15冠だが」

 

「サラッと全勝前提でリッキー先輩のGI勝ち数抜いてんのよ*1

 

「それお前の事だからな?」

 

 正直言って説得力があるから言い返せない。

 ここまで勝ってて自信持てないなんて言い出したら恐らくはっ倒される、自分でもはっ倒すと思う。

 

 ……まあでも、出たかったのには違いないし。

 凱旋門賞は、全ウマ娘の憧れのレースだし。

 出れるなら、そりゃ。

 

「まあ、うん。出れるなら出たいのは本音。凱旋門賞勝ちたい、なんて全ウマ娘が一度は考えるような事だし。まあ勝てるかどうかは分からないけど」

 

「大丈夫大丈夫、お前が行くのは凱旋門の頂点(先っぽ)だから」

 

「頂点の事先っぽ言うな」

 

 とはいえ、出るからには目指すのは優勝一本。

 ここまで勝ってきたんだから欲張りに勝ちに行く。

 

「ま、安心して俺に任せとけ。芝でも世界一を取らせてやる」

 

「……任せたよ、トレーナー!」

 

 笑顔でグータッチを交わし、思い馳せる。

 

 

 

「ところでクリスマスは何も無かったな……ふぅ、あたしの思い過ごしで良か……良かったのか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

-オマケ 年度代表会議(2回目)-

 

アメリカ

「今年もエクリプス年度代表は我がステイツの魂(ブリッジコンプ)で異論は無いでしょう」

「今年は2戦しか走ってないとはいえペガサスとTCクラシックであの圧勝劇、誰も文句は言うまい」

「今年も眼科受診率は0で済むでしょうな」

「スペシャルアワードもサンライズローズで問題無いでしょうな、ブリッジコンプに負けはせどGI4勝は表彰に値する」

「君もそう思うだろ?……あー、誰だっけ?日本の……週刊誌記者くん?だっけ?」

「ハイ、ワタシモソウオモイマス」

「うむうむ、そうだろうそうだろう」

「ハイ、ワタシモソウオモイマス」

 

サウジアラビア

「中東年度代表ウマ娘会議のアラブ連邦会議では7首長及び大統領がブリッジコンプで全会一致となっています、父上の判断は」

「ブリッジコンプ以外認めぬ。以上、終わり」

「はっ。国王陛下もブリッジコンプ一択。皇太子殿下も同意見。これで書類を通しておきます。ブリッジコンプの中東年度代表は間違いないでしょう」

 

日本

「今年は帝王賞も走りましたし安心して年度代表を渡せますね」

「貴女は何も分かっちゃいない!!(2年連続2回目)」

「ええ……」

「それは最早語らずとも分かってるんですよ!そんな事より国内ダートの整備をせねば彼女は今にもアメリカに拠点を移してしまう!!帝王賞の走りを見ていれば分かるはずだ!!彼女に誇れる国である為にまずは帝王賞の国際競走化と国際ダートGIの賞金引き上げだ!!サンライズローズがチャンピオンズカップに来た事で話題になった今こそ制度改革で海外からの招待も活発にせねばならない!!」

*1
コパノリッキーは史実では11冠、この世界ではTCダートマイルが加わるので12冠である。普通抜かせる訳無いんですよ…




サウジアラビア国王
恰幅の良い威厳と知能ある王様
なおブリッジコンプの前では限界オタクという名のちいかわ化する

URA
めちゃくちゃやる気出してて時坂にも感心されているがブリッジコンプが安田記念に出る事をまだ知らない

日本の週刊誌記者くん
なんでアメリカに日本の記者がおるんやろなあ…

ブリコン「ところでさ」
時坂「ん?」
ブリコン「ムーラン・ド・ロンシャン賞って賞金自体はそんなに高くないけどトレーナー的には良いの?あたしは良いけどさ」
時坂「凱旋門賞ぶっつけ本番で走らせて失敗や怪我したら元も子も無いからな。丁度良くロンシャンのGIがあるなら安くても事前情報を得る為に走らせるのは当然だ。あとこのレースは安田記念上位3人に優先出走権が付与されて遠征費用免除になるし、そのまま居座れば凱旋門賞遠征の費用も浮くし安いながら金も手に入る。一石二鳥よ」
ブリコン「割と真面目に考えてた!?」

※ムーラン・ド・ロンシャン賞1着賞金はリアル換算25.7万ユーロ(4300万円)、この世界線では÷2で12.85万ユーロ(2150万円)になる
※時坂はこのレースを凱旋門賞遠征費用&ロンシャン芝のデータ取りと見てます、思考回路が化け物である。本来は格式高いフランスGIレースです


ちなみに今日、この作品のラスボスが決まりました
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