楽して大金だけ稼ぎたいトレーナーと魔改造されるブリッジコンプちゃん   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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神「流石にお互いに少し無自覚が過ぎたなあ…せや!」
<トクダイバクダンハイリマース!


37.クリスマスが大丈夫でも第二波が大丈夫だったとは言ってない

『では勝利者インタビューに移りたいと思います!まずは優勝、ペガサスワールドカップ連覇、そして無敗11冠おめでとうございます!』

 

『ありがとうございます!』

 

『今回はベルモントステークス以来最小バ身差となる5バ身までサンライズローズ選手に迫られました。やはり気迫は感じていましたか?』

 

『そうですね、ローズちゃんはやっぱりあたしのライバルだなあって感じます。バ身差とか関係無く、いつも後ろから感じる気迫には気を抜けないですし』

 

 年明けのペガサスワールドカップ、後ろから迫ってくるローズちゃんやいつもの様にヌルリと出てきたリリちゃん達から必死に逃げながら何とか勝利して連覇が出来た。

 毎度思うけどローズちゃんの気迫は本当に怖い、普段はあんなにお茶目で可愛いのに……いやまあそこがローズちゃんらしいところなんだと思うけど。

 

「ぐぬぬ……次は負けませんわよー!!」

 

「はいはいローズ様、インタビューの邪魔なので我々は帰りましょうね」

 

「あ、待ってくださいましバトラー!ちょっと〜!」

 

「あはは……」

 

『サンライズローズ選手とはライバルで親友との事ですが、アメリカ遠征の時はやはりプライベートでも過ごす時間は多かったり?』

 

『はい、異国で仲良しなウマ娘がローズちゃんだけなのでベッタリかも知れないですね〜』

 

『なるほど〜』

 

 脇からやってきたローズちゃんがトレーナーのバトラーさんに連れていかれる、なんてコミカルな一幕もあって和やかにインタビューは続いていた。

 今回もこのまま終わるんだろうなあ、なんて考えていた。

 

 そう、この時までは。

 

『続いての質問ですが、今やトップスターウマ娘であるブリッジコンプ選手。そのトレーナーである時坂トレーナーが我が国の《結婚したい著名人ランキング・男性著名人部門トップ100》に於いて10位を獲得していますが、ご存知でしたか?』

 

『ヴェッ!?……し、知らなかったです』

 

 はい?トレーナーが結婚したい男性著名人ランキングで10位?

 いやいや去年の同窓会では高校生の時までは何一つモテてなかったって聞いたはずじゃん!どうしてこんな事に……あ、あたしのトレーナーなのに……

 

『そんな中でやはり、一番近くでその時坂トレーナーを見ているブリッジコンプ選手から見て彼の魅力というのは?』

 

『え、えー……そうだなあ』

 

 ま、まあ?でも?こうやってトレーナーの魅力を聞かれるのは嫌じゃないし……恋愛云々抜きにしてもトレーナーの事は今はあたしが独占してるんだもんね。

 ここぞのアピールして、悪い虫が寄り付かないようにしとかないと……良さがバレたらそれこそ終わるぞあたし。

 上手い事誤魔化しながらアピールせねば……

 

『変人ではあるけれど負担の無いトレーニングメニューを考えてくれて、ノリが良くてちゃんと保護者してくれてるところ……かな?面倒見良いですから』

 

『当たり前の事してるだけだがな』

 

『うわトレーナー!?いつの間に……』

 

『と、言うとお兄さんのような存在?』

 

『に、近いんじゃないかなあ』

 

 うんうん、実際ちょっと過保護なお兄ちゃんみたいな存在ではあるし間違いじゃないんだよねこれ。

 ただ色々思い返すと明らかにあっちが兄以上の激重感情抱いてそうなのが分かって恥ずかしいやら嬉しいやらあるけど。

 まあそれにしたって恋愛感情は無いだろうけど。

 

『兄……兄ねえ』

 

『おや、トレーナーさんは違いますか?』

 

『…………いや、それで良いでしょう』

 

 ……あれ?

 いつもは断言し切るトレーナーが含みを持たせた発言するなんて珍しいなあ。そこは『永遠不滅のパートナー』とか『教え子』とか適当に流しとけば良いのに。

 

 うーん……なんだろうこの違和感。

 何だか少しだけ嫌な予感がしたけどまあ良いかとその後もインタビューに答えて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ~……つっかれたー。今日はお休み貰ったしどっか出掛けよトレーナー」

 

「疲れたって言っときながら出掛けるのかよ。ま、俺は構わんが」

 

 次の日。

 いつものようにあと何日かアメリカに残るからトレーナーを誘ってショッピングでも行きたい気分だ。

 ということで有言実行、善は急げってね。

 最早各地のレース場付近の地形は覚えてしまっている、下手に行った事の無い日本国内より余程歩けてしまう。

 おかしい、あたしは日本人のはずでは……なんて考えながらも身体は勝手に動く、あっちにはジュエリーショップ、あっちにはブティック、服屋さんも豊富だし……

 

「やっぱり目移りして困っちゃうな〜」

 

「目移りするのは結構だが手は離すんじゃねえぞ。迷子とか洒落なんねえからな?分かってるな?」

 

「分かってるって。だからちゃんとぎゅって繋いでるし」

 

 それはそうと手を繋ぐのはデフォになっている。

 この過保護お兄ちゃんはこんな時にも警戒は怠らないらしい、担当冥利に尽き過ぎてちょっぴり嬉しい。

 

「ほら、どっちに行くんだ?」

 

「んー……あっ、ウェディングドレスある!ちょっと見て良い!?」

 

「分かった分かった、分かったから引っ張るんじゃないウマ娘の力で」

 

 そうして歩いていると、見つけた……純白のウェディングドレス。

 やっぱり女の子としてはこういうのは特別視しちゃうもので、どうしても目を惹いてしまっていた。

 

「きれ〜……あたしもいつか着るのかなあこういうの」

 

「……嫌だな」

 

「え?」

 

 良いなあ、なんて見つめてついついそんな独り言を口にしてしまっていた……まあそれくらいなら普通の独り言、そんな感じで終わっていた……はずなんだけどなあ。

 トレーナーの今の言葉があまりにも不意打ちで反射的に聞き返してしまっていた。それくらい驚いてしまうのは仕方ないと思うの。

 絶対トレーナーから聞く事が無いと思ってたし、一体どんな感情になったらそんな言葉が漏れ出てくるのか……

 

「あっ……ゴホン!ゲホン!あー、あー、似合いそうだなって言ったんだよ」

 

「いや今間違いなく嫌だって……」

 

「……いーや俺は言ってないね。あとお前にそれは絶対似合う」

 

「サラッとものすごい褒めちぎりしないで!?恥ずかしいから!!」

 

 そしてそれが無意識の内に言っていたらしいのが何よりも衝撃的だった、いつもトレーナーは打算と意識した本音しか喋らないからこんなうっかりで焦る姿なんて初めて見た。

 でも焦りながらでもちゃんと本音で刺しに来てるのはいつものトレーナーって感じがするというかそんなド直球に『お前にウェディングドレスは似合う』なんて言われたら嬉しくない訳が無い。

 

 ……というかそんな褒められたら、その。

 意識して脳内を空っぽにしようとしても想像しちゃうんだよね……ウェディングドレスを着たあたしの隣にいる、タキシード姿のトレーナー。

 おいコイツはなんてもの想像させてるんだ本当に……本当に……あれ?しっくり来過ぎてないこれ?脳内だけだけどここまでしっくり来るのは怖い。

 

「とにかく、俺は最初から『似合いそうだな』って言っていたんだ、それ以外は全部幻聴だから」

 

「無茶を言うな無茶を」

 

「大丈夫大丈夫、頑張れ」

 

「せめてもう少し誤魔化す努力をしろ」

 

 ……とはいえ、とはいえだよ?

 もしも、トレーナーの言っていた『嫌』が他の男に取られたくないの意味で言ってたとしたら……え?つまりトレーナー……え?

 つまりあたしの事を好……いやトレーナーに限ってまさか……まさか……とは言えないくらい心当たりがあるからどうしようってなっちゃう訳で。

 

 

 ……もしもトレーナーが他の女の子に取られたら、かあ。

 今まではそんなの想像もつかなかったけど、昨日のインタビューを聞く限りそれも現実味が増しているんだよね。

 

「……嫌だな」

 

「なんか言ったか?」

 

「え?あ、え?い、いや別に?」

 

 ってあたしまで無自覚に言葉漏らしてどうする!?

 

 ま、まあ良いもんね。

 結局のとこ誰かに取られなきゃ良いだけなんだから。

 

 いつも軽く済ませてた行事を、少しだけ気合い入れるだけなんだから。

 

 ……ところで肝心の手作りチョコの作り方知らないんだよねあたし。

 別に本気で作る訳じゃないけど、なんて誰に対して言うでもなく後でローズちゃんに電話掛けて聞いてみよう、なんて思うのだった。

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