楽して大金だけ稼ぎたいトレーナーと魔改造されるブリッジコンプちゃん   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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52.side『P』3話「少しずつ見えてくる可能性」

「と、言う訳で!プリン!」

 

「は〜い」

 

「今年の全出走ルートを発表しようと思う!」

 

「お願いします!」

 

 次の日、わたしとトレーナー2人でのミーティング。

 トレーナーは一晩掛けて全ての出走ローテーションを考えてきてくれた、オープン競走は挟むのか、重賞だけなのか、重賞だけならどこにどうやって出るのか、たった一晩で決めてきてくれた事に大きく感謝したい。

 

「まず昨日も言った通りだが重賞短距離だと露骨にプリンはスピードが適性外だ。だから1600m未満の競走は切り捨てる。そして年末までがタイムリミットだとするならオープン競走に出ている暇も無いとふんで捨てる。ここまでは問題ないか?」

 

「おっけー。わたしとしても重賞短距離は捨てようと思ってたし、オープン競走を捨てる分トレーニングに回せるもんね」

 

「そう言う事だ。んでそこで次戦だが5月のダート1900m、平安ステークスにしようと思う。

初っ端からあまり馴染みの無い距離だがそれ以外だと長くて1500m、マイル以上の距離は無いから春に出るならほぼそこ一択だろう。夏まで待つのは今年をラストシーズンにするなら悠長過ぎるしな」

 

「分かったよ。トレーナーがそこまで考えてくれた上で合う条件がそれしか無かったのに文句なんてある訳無いよ〜」

 

 初戦は平安ステークス。

 わたし達にも馴染み深い京都でのレース。

 1900mという距離自体は芝では0と言って良いし、ダートでも殆ど無い距離だけど距離自体なら短距離でもマイルでも中距離でも走ってきた、抵抗は無い。

 

「んでその次から一気に行くが順に

・7月中旬盛岡開催、2000mのマーキュリーカップ

・9月末阪神開催、2000mのシリウスステークスor同時期金沢開催、2100mの白山大賞典

・11月初旬京都開催、1800mのみやこステークス

・12月末名古屋開催、2000mの名古屋大賞典

以上5レースだ」

 

「うんうん、1800から長くても2100m。実質1800から2000mの走り込みに絞れるし出るレースも限られてるから集中出来そうだよ〜ありがとう」

 

「まあ、白山大賞典はシリウスステークスに出られない事態が起きそうになった時の保険だからプリンの言った通り練習は1800から2000で絞るぞ。俺達には現実問題実力も時間も足りてない、だったらやるべき事は絞るべきだからな。ギリギリまで絞って絞って実質的な練習量も質もライバルより上を目指すぞ」

 

「さっすがトレーナー分かってるぅ〜」

 

 なんだったらほぼ2000mの練習に絞り込みを入れられるくらいのローテーション編成だと思っている。

 わたしは元より他の子よりズブいと自覚しているから特に2000を主体とした練習になるのは有り難い、少なくとも自分の得意な領域で相手と戦える。

 

「なおコーチには敦史のツテを使って1600から2000の神ことアグネスデジタル先生にお越しいただきます。最早俺には恥も外聞もありません」

 

「おお〜さすがトレーナー……!」

 

「待ってそれ褒めてるんだよね?貶されてないよね?」

 

「でも一晩でコーチしてくれるまでの説得出来るなんて凄すぎると思う!一体どんな手を!?」

 

 アグネスデジタル先輩……芝ダートどちらでもGIを複数回勝っている正に『オールラウンダー』に相応しい現ドリームリーガー。

 そのGI勝利数はなんと7つ*1、内訳は芝4勝ダート3勝。

 ただ今回注目するのはそこじゃなくて、丁度わたしが練習すべき『1800mから2000m』においてのプロフェッショナルであるところ。

 スタミナや瞬発力の適性が似ているならコーチとしてこれ以上無い人材、本当にどんな手を使って連れてきたのか気になるところ。

 

「どんな手を?そりゃもう……敦史への土下座でしょ」

 

「あんまりにも身も蓋もないねえ~……」

 

「さっきも言ったが俺には恥も外聞も無いからな!ふはは!」

 

 あんまりにもあんまりだった。

 この人にとって多分プライドと体裁はあって無いようなものなんだろうなあと考えてしまう。

 でも同時に、それだけしてまでわたしの為に行動を起こしてくれたんだと思うとこう……すっごくトレーナーがカッコよく見えちゃう。

 やってる事は本当に身も蓋もないけど。

 

「……でも、ありがとうトレーナー」

 

「プリンの為にやれる事ならなんだってする、それが俺だからな」

 

「わたし頑張る。絶対に重賞取ってみせるから!」

 

「その調子だ!」

 

 今度はちゃんと笑顔でレースを走れそうだ。

 そう確かに感じ取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

『平安ステークスを制したのはメテオ!8番メテオ!』

 

 

「……勝てなかった。掲示板もまた入れなかった。けれど……何も成果が無かった訳じゃない」

 

 7着……それが平安ステークスの結果だった。

 勝てた訳じゃなく、掲示板にも届かなかった。

 けれど『万年二桁着順』からは抜け出した、それはとてもとても大きな一歩である事は確かだった。

 

 

「お疲れ様、プリン。――良い顔してるな」

 

「えへへ、だって成長出来たんだもん。負けたけど確実に成長してる、それもこれもみんなの応援、それにトレーナーとデジたん先輩の指導のお陰だよ」

 

「ヒョエッ……そ、そんな!あたしが教えられた事なんてそそそそこまで多く無かったでしゅよ!?」

 

「そんな事無いよ〜、だからほらこれからもお願いしますの意味を込めてちょっとだけ抱き着いちゃいま〜す。ぎゅー」

 

「おぼぁっ!?あ、あたしこんな幸福な行為受け取って良いんですかぁ……!?長年ファンだったプリンちゃんに抱き着かれているなんてきっとなにかの夢……いひゃい!?これは夢じゃない!?ひょ、ひょえ〜……」

 

「お目目ぐるぐるになってるデジたん先輩かわいいなあ~」

 

「なるほど、こういうのを役得って言うんだなあ」

 

 アグネスデジタル先輩……略してデジたん先輩は面白い人だ。

 最初はわたしだってかなり恐縮しっぱなしだったけど気が付けば距離が近くなって、ちょっとしたノリで「デジたん先輩って呼んでも良いですか?」と聞いた日には涙を流しながらめちゃくちゃ恐縮していたけど快諾してくれたし。

 コーチしてもらうとはいえ過度な緊張はしたくなくて固過ぎる空気にはなりたくなかったからトレーナーには感謝してもしきれない。

 

「……こういうのが役得になるの〜?」

 

「男からしたら楽園だぞ。気心知れたプリン達相手だから言えてるがな」

 

「じゃあデジたん先輩は?」

 

「半ば気絶してるから多分聞こえてないでしょ、大丈夫大丈夫」

 

 ……感謝もしてるしカッコイイとも思ってるよ?

 それはそれとしてトレーナーって割とオタク方面のスケベ気質あるのでは……?と感じてしまう事がある。

 普段時坂さんもトレーナーも揃いも揃って22歳とは思えない……というか最初高卒一年目……?とすら思えるくらいの精神性だったけど少なくともトレーナーは時折こうして良い意味でおバカだったり年相応のスケベ心を見せてきてくれるから割と安心感はある。

 

 血の繋がりが無い仲良しのお兄さん相手にここまで思ってる時点で相当トレーナーの事を身内だと思ってる証拠だと確信出来る。

 ちょっとしたスケベを見せられたところで何も思わないどころか「あ、ちゃんと男の子なんだなあ」と思ってしまってるところとか、特に。

 

「これからもご指導お願いします、デジたん先輩!」

 

「ふぁ、ふぁいぃ……」

 

 ……お兄ちゃん呼び、今度してみようかな?

 

 なんて、ちょっとだけイタズラ心が芽生えたりしたが別の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

-オマケ 一方その頃ドバイワールドカップまでを三連覇していた主人公組-

 

「こんなの絶対おかしいよ」

「何がだ?」

「だって!!あたしの通帳が!!絶対におかしい事になってるんだって!!トレーナー何したの!?」

「最高効率で稼げるGI三連覇しただけだが?」

「おかしすぎるわ!!」

「大丈夫大丈夫、お前は無敗で引退するからもう少し上乗せされるぞ」

「何も大丈夫じゃないよぉ!!」

*1
当時GIIだった全日本2歳優駿(当時の名称は全日本3歳優駿。ウマ娘内では全日本ジュニア優駿)をGIとしてカウントしている為6では無く7になっている。




☆ブリッジコンプ(現役・シニア)
トレーナー:時坂敦史(22)
中央獲得賞金:9310万円(ダート310万円)
地方獲得賞金:1億3250万円
海外獲得賞金:4572.5万ドル(70億4995万円)+155.7万ユーロ(2億6350万円)
合計獲得賞金:75億3905万円
主な勝ちレース:TCクラシック(GI) ペガサスWC(GI) サウジカップ(GI) ドバイWC(GI) 凱旋門賞(GI)
受賞歴
×△年度アメリカクラシック三冠最優秀ウマ娘
WBURレーティング1位(×△年度下半期、××年度上半期・下半期、×□年度上半期・下半期)
エクリプス賞年度代表ウマ娘(×△年度、××年度)
エクリプス賞最優秀ダートウマ娘(×△年度、××年度)
エクリプス賞最優秀クラシックウマ娘(×△年度)
中東年度代表ウマ娘(××年度、×□年度)
カルティエ賞年度代表ウマ娘(×□年度)
カルティエ賞最優秀シニア賞(×□年度)
カルティエ賞特別功労賞(×□年度)
URA年度代表ウマ娘(×△年度、××年度、×□年度)
URA最優秀クラシックウマ娘(×△年度)
URA最優秀ダートウマ娘(×△年度、××年度、×□年度)

競走成績
次走予定:宝塚記念
《通算成績》23戦23勝【23-0-0-0】



時坂敦史
合計賞金ボーナス:9億6843万円

時坂「宝塚記念のブリッジコンプへの投票が止まらないんだけどトゥインクル引退前に出てみないか?……まあ、最後ですし出てみるのも悪くないか」


※前年末の揉めた年度代表ダイジェスト
フランス
「イギリスと大いに揉めたが我がスノーフォールに勝ったブリッジコンプ以外有り得ないからな。押し通させてもらった」
「まあスノーフォールはアイルランドですけどね」
「最後までそれ言う!?」

アメリカ
「ところで今年の年度代表はどうするつもりだ!?我がステイツの魂は1レースしか走ってないのだぞ!?更に言えばサンライズローズも今年の主戦はイギリス!1戦1勝で選出してしまっては逆にあの子に失礼になってしまう……!」
「そう言うと思いましたので」
「き、君は日本の週刊記者くん!?」
「ペガサスワールドカップ3着、ホイットニーステークス、トレーナーズカップ・クラシック1着のリリカルブロッサムがいるじゃありませんか」
「ッ!?その手があったか!!」
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