あくまでもヒーローになる   作:ケツアゴ

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本日二回目   そして悲惨な目に合う原作キャラが

ヴィランの女の子が好きならスルー推奨


十五話

 お昼前の街中、普段なら昼御飯を食べに出た会社員の姿がチラホラ見られる時間帯に耳をつんざくドリフト音が響き渡った。

 

「退けっ! 死んじまっても知らねえぞ!」

 

 近所の宝飾品店から強奪した品を積んだ大型のバンをハンドルも持たずに操るのはスキンヘッドの男、名を車操次。

 

 近くの車両のタイヤを操るという個性を使って限界以上にバンの性能を引き出し、同時にパトカーの追走を妨害して逃走を図ろうとしていた。

 

 

 

『ヴィランがそちらに向かったぞ! 事故を起こさぬように止めてくれ!』

 

「了解」

 

 それをビルの間で待ち構えるのは首までガードする黒いヘルメットに顔の上半分を隠す大型のゴーグル、金属を仕込んだ黒いジャケットと少々威圧感を放つ衣装の裁兎。

 これが彼女のヒーロースーツ、機能性を重視して女性ヒーローらしさを排除した品だ。

 

 ヘルメットに搭載された無線機からの指示を受けて飛び出したのは車が目の前を通りすぎる寸前、そのまま車は走り去る、その寸前に後部を掴まれ車輪が持ち上がった。

 

 

「こちらヒーロー実習生、大人しく投降するのをお勧めするよ」

 

「餓鬼が! 誰が大人しく捕まるかよ!」

 

 前輪後輪共に中に浮き、どれだけもがこうと逃れられない。それでも操次は窓から周囲を見回し、周囲の車を邪魔な相手にぶつけるべく動かして、それは裁兎が高度を上げた事で真下を通過する。

 

 

 

「ルミリオン、確保をお願い」

 

「了解、デルビー」

 

 操次の耳に届いたのはそんな声、何が来るのかと考えるよりも前に顎に拳が叩き付けられて意識を刈り取られた。

 

 

「あとは警察に引き渡すだけだね、お疲れ様」

 

「まさか職場体験初日から現場で動くなんてね」

 

「サーも俺達もデルビーが何処まで動けるか分かってるからだよね」

 

 体育祭から数日経過して、今は待っていた職場体験の初日。私は結構な数の指名の中から父さんの事務所を選んだ。

 勿論肉親だからじゃなく、私の性能をちゃんと理解して役目を宛がってくれるからだ。

 

 ……中学の頃に受けていた指導中に知り合ったヒーロー数名からも指名が来ていたし、轟君に言ったヒーローって自分の事だと思っていたのか文句を言う人も居たけれどね。

 

 まあ、そんな訳で現在はヒーロー名デルビーで活動中。そして事務所に到着するなりコスチュームに着替えて外に出ろ、だってさ。

 

「バブルガール、戻ったら書類の方の指導も頼めますか?」

 

「オッケー。じゃあ、パトロールをもう少ししたら戻ろうか」

 

 実戦も良いけれど事務作業も学びたい、流石に重要な書類は見せてはくれないだろうけれど。

 だって親子だろうと部外者だし、そもそも娘じゃなく職場体験の学生として来ているんだし。

 

 だから父さんも私も実習時間中は親子じゃなくってヒーローと実習生、ルミリオンことミリオさんやサイドキックのバブルガール達には頭が固いって言われたけれど公私混同は駄目だって。

 

「他の皆も慌ただしい職場体験を……戻るのは遅れそうだね。十時の方角五百メートル先でバイクのひったくり、三時の方角三百メートルで迷子らしい女の子の泣き声だ」

 

 研ぎ澄ませている聴覚が拾った声、伝えるなり即座にミリオさんが宙に飛び上がり、空中で体を弾き出して女の子の方に向かった。

 

「え? ミリオ君がそっち?」

 

「ほら、私のコスチュームって見た目が怖いから。迷子が余計に泣いちゃうよ。じゃあ、行こう!」

 

 指導役のヒーローが居なくては駄目だからとバブルガールを担いだ私も引ったくりの方へと飛んで行く。

 

 まったく、さっきの強盗もだけれどNo.1ヒーローの元相方が活動する地域で事件を起こすなんてね。

 

 

 

 

 

「ご苦労、報告を聞こう」

 

 パトロールを終えて事務所に戻れば少し顰めっ面になった父さんが書類作業中、部屋は相変わらず伯父さんのグッズだらけのオタク部屋で笑えるね。

 親子の時は見せない顔、これがヒーローとしての父さんなんだと思いつつ報告するけれど、あのパワハラ上等な擽り機が嫌だなあ。

 

「強盗一件引ったくり二件喧嘩三件迷子六件、以上です!」

 

「結構。バブルガール、報告書の作成を教えてやれ」

 

「は、はい!」

 

 さてと、書類作業を終えればお昼前か。ヒーローの仕事を考えれば時間通りに食べられるとは……またか。

 

 

「事件か?」

 

「二時の方向の路地裏でチンピラが女子高生をナンパしたみたいだけれど、その子が刃物を出して切り掛かったみたいですよ、サー」

 

 あー、ヤダヤダ。広範囲の声を聞き分けて何が起きてるか考えるのって頭が疲れるのに、そうじゃないとヒーローが間に合わない事件があるんだから。

 

 

 まあ、そんな愚痴を言うならヒーローを目指すなって位に特別視される職業だけれどさ。

 ぶっちゃけ伯父さんによるヒーロー特別視化の影響だよ。

 

 

「そうか。では、私が出よう。着いてこい、デルビー」

 

「了解!」

 

 入り口を使う時間も惜しいと窓から飛び出す父さんに続いて私も飛び出す。

 方角だけで分かったっぽいし、不良が屯しそうな場所は把握してるって事か。

 流石は父さん、参考になるよ。

 

 

 

 

「あれって良い所を少しは見せたいって事かな?」

 

「サーの事だし、指導の一環じゃないかな? 少しはそれがありそうだけれどね」

 

 

 

 

 私は耳は良くても音の反射だけで遠くの道の構造までは未だ分からない、だから路地裏の入り組んだ道を迷いなく進むのは難しいけれど、父さんは迷い無く進んで辿り着いた。

 

 

 

「うん? ヒーローですか? ちぅちぅしてる最中なので待って下さい」

 

 現場に来ればそこは惨状、個性で暴れた痕跡が残っているのに数人の男が地面に転がって血が飛び散っている。

 それを引き起こしたらしい女の子はさっき聞いた声と同じだ、この子が犯人で良いんだろうけれど……。

 

 何故か血を吸うって言った通りに口を近付け個性的な笑みを浮かべている。

 吸血衝動? じゃあ、血を吸うのが条件の個性かな?

 

 

「この人数相手だし、正当防衛で済む可能性も高いから大人しくしてくれるかい?」

 

 つまり大人しく吸わせるのは危険、父さんも同意見なのでポケットに手を伸ばせば相手が動く。

 

「やです」

 

 流れる動きでナイフの投擲と同時に迷い無しに逃走開始、あの動きはプロヒーローにも匹敵しそうだ。

 

「止めろ!」

 

 でも、無駄さ。ナイフが彼女の指から離れた瞬間には父さんの印鑑が弾き飛ばし、そのまま指に命中。骨にヒビが入っただろう。

 それでも彼女は逃走を続けようとして、その場に崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

ブリリ、ブチブチ、ブボボボボボォ、プピピピピ、プリリリ、ブグチュゥゥ!

 

 そう、腹の中の物と水分と体力とかをぶちまけて。

 

 この技、相手に集中する時間が長い上に消費も激しい糞技だけれど、濃厚な匂いが漂ってたから助かったよ。

 増強系や異形系の内臓強いのにも効きが悪いしね。

 

「強制脱水•下痢羅。随分と血の匂いが染み付いてるから容赦無しでいかせてもらったよ」

 

「確かに容赦無しだが……同性相手にあれを使うとは」

 

「身のこなしからして油断出来ない相手だったし、男女平等って事で」




一人くらい (尊厳が)死んだ! この人でなし! ってコメントくれるかな?


オリジナルもよろしく 活動報告で漫画載せてます

職場体験何処が良いかな?

  • リューキュー
  • ホークス
  • サーナイトアイ
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