免許未修得者の個性の使用は原則厳禁、基本的には街中で使ってたらお巡りさんだって注意をしなくちゃ駄目な程度だけれど、襲って来た相手だろうと個性で反撃したらNG。
ヴィラン連合の襲撃でさえ、命の危険があっても尚、あの特別な場所だったからセーフ、殺す気で凶器を向けて来ても(個性自体が凶器足り得るけれど)殺してしまったら正当防衛じゃ済まない。
それが個性という危険な道具を八割が所持して手放せない個性社会の治安を守る為、個人の正義での制裁を防ぐ為だ。
まあ、肉体的に異形系にも分類される私の場合は素の能力扱いだから何処でも問題は無いんだけれどね。まあ、個性なんて物が広まる以前の格闘選手位の扱いはされるけれど。
そんな私は昔からヒーロー志望、但し推薦首席みたいな口実が無ければ父さんだって本格的に訓練はつけるのは難しかったし、実戦訓練なんてヒーローやヒーロー志望者が利用するジムでのスパーリングとか程度が真っ当な方法。
じゃあ、真っ当じゃない方法って何かって聞かれたら……まあ、限られてるよね。
「あれ? 若くなってる?」
「元から若いだろうが! 十代後半からすりゃ二十代後半はオバさんってか? 女子高生だからって調子乗るな、ぶっ殺すぞ」
あっ、思わず口にした言葉が思ったよりもダメージが大きかったらしい。
取り敢えず挨拶だけしておこう。
「どうも、ミルコさん。お久し振りです」
「おう。私の誘いを蹴りやがったテメェがまさか協力者として来るなんてな。……後でデコピン十発だぞ」
……ぴえん。
その真っ当じゃない方法ってのが不良をボコったり、人目につかない場所でヴィランを返り討ちちにしたりとかで、周りへの警戒が薄れたタイミングで見付かっちゃったのが目の前にいる女性ヒーローで一番ランキングが高いミルコさん。
尚、今は筋肉質な女性からマッチョな男(ウサギ耳)になっちゃってる。ついでに高校生位に若返ってお肌だってピチピチに……ひぇ、殺気!?
「いや、だってミルコさんって指導経験そんなに無いでしょう? サー・ナイトアイは成績が振るわなかったルミリオンを学園最強にしたって実績があったし」
「あぁん? 散々組手の相手をしてやっただろうが」
「させられた、の間違いじゃ?」
ヒーローに見付かってお説教かと思いきや、面白そうだと蹴り掛かって来たんだよ、この人って! そりゃ私が戦っている理由を見抜いての事だったし、見逃してもらったけれどさ。
「……前から疑問だったのだが、二人はどういう付き合いで?」
尚、母さんと父さんとお祖母ちゃんと一応伯父さんには秘密、お祖父ちゃんは孫にチョロ甘だから多分平気。
「「偶々出会った訓練相手」」
そして出会いを切っ掛けに、スケジュールが合えば組手の相手をさせられたんだ、ミルコさんだって楽しめる相手との殴り合いは訓練になるからってさ。
……拒否したらバラすって鬼か、この人は。その上、筋力アップに必要なホルモンの増大までさせるんだから。
「時々気晴らしで通ってたジムの一つに見所のある奴がいるし、鍛えれば面白い練習相手になると思ってよ。そっちだって将来性を見越して唾付けた感じだろ? 折角体育祭の前から誘ってやったのに体験に来ないんだからよ、コイツ」
「……そうですか。まあ、追求は止しましょう」
あー、絶対怪しんでる奴だ。ヒーローと実習生じゃなくなったら絶対追求して来るし、終わったら即座に逃げよう、母さんに連絡されるとかは考えないその場しのぎスタイル!
「……にしても私とした事がしくったぜ。いや、言い訳をさせてもらえば徹夜で貯まった書類を片付けた後だったんだよ。んで、便所に立ち寄った駅の近くで朝飯でも何処かで食うついでに眠ろうかと思ったら……」
「男装っ娘&男の娘コレクターの被害を受けたと」
「煙を吸ったのが一瞬だったから若返りは少しだったし、周りがパニックになってなきゃ追ったんだがな。どうも男の体だと調子が悪ぃ。玉と棒がはみ出したしたしな」
「それは地獄絵図。じゃあ、戻しておきますね」
想像したよ、推定高校生のムキムキ男子がバニースーツになっている姿をさ。
ぶっちゃけエグい。見ずに済んで助かった。
女性ホルモンを大量に分泌させてミルコさんの肉体を女に近付ける。
完全な性転換は無理でも違和感をどうにかするには充分だろう。
「おっ! こんな真似も出来たのか。良かったぜ、男だとどうもムラムラしちまうし、小便とか難しくって便所汚しちまったからな」
これで今の彼女は普段よりお肌が瑞々しい女子高生時に近い。ジャーズ姿なのがちょっと惜しい位だ。
そりゃヒーローとして飛び回ってたら規則正しい生活も栄養バランスもお肌のケアも難しいから肌荒れになっても……。
「余計な事を考えてねぇか?」
「犯人の名乗るままに呼んだら馬鹿が感染しそうだし、会話の中だけでも変態王とかの呼び方で良いかなって考えてました」
犯人、何を考えて性癖丸出しのヴィラン名を名乗ったんだろう?
そしてミルコさんに実は読心能力がある疑惑が、お肌が荒れてるとか曲がり角が近そうとか考えてるのが通じちゃってるし。
「言っとくがテメェだって将来は……うん? ホルモン分泌操作するって事は……」
「美肌ホルモン出し放題」
実は母さんとお祖母ちゃんにちょっとだけ、お金と手間をかければ可能な範囲で。
「その話詳しく」
あとはまあ、伯父さんを通じて厄ネタとして極秘事項にしているけれど不老とか若返りを一時的に他人に付与可能。
伯父さんは個性因子が何故か邪魔して怪我する前に戻せないのが残念だけれども。
「そろそろ本題に入っても良いでしょうか、ミルコさん。デルビーも実習中は真面目にする様に」
「あっ、すみません、サー」
やばいやばい、ちょっと喋り過ぎた。職場体験の評価が悪くなってしまうね。
そんな訳で始まった変態王の捜索。
この時、ちょっと大きな事件に関わる事になる事を私達は知らなかった。
だって父さんの個性は私には効かないし、ミルコさんだって風呂や便所を男に見られるのは嫌だろうから当然じゃないか。
未来予知系の能力って創作では扱いが面倒なんだよね。
「所で防犯カメラに映ってたっていう犯人の見た目はどんなのです?」
ぶっちゃけ奇抜な衣装着ている愉快犯はご自慢の衣装を糞まみれで台無しにしてやりたい。
大体、芸名みたいな役割のヒーロー名と違って特別な名前名乗るヴィランとかコミックに影響されてるんだよ。
「シルクハットにパピヨンマスクに蝶ネクタイ……」
「ふんふん」
物間君のコスチュームと似た感じ? ヴィラン名は変態だけれど夜会に出る英国紳士気取りかな?
「そしてレース付きのブラに赤褌の中肉中背だったな。それと首からは一眼レフ下げてた」
「なんだ、ただの変態か。個性使わなくても逮捕されない、それ?」
コミックはコミックでもギャグ漫画の類じゃないか。それも絶対下ネタ多い奴だ。
「え? それ、追いかけなくちゃ駄目?」
「気持ちは分かるが公安からの依頼の上に罪状も凶悪だ。被害が出る前に捕まえねば。……気持ちは分かるが」
人生、何があればそんな事になるか分からないし、分かりたくもないけれど、この時の私達の気持ちは1つだ。
心底関わりたくない!
「確かヒーロー殺しのパターンからして保須市にヒーローが集まる筈。奇抜な格好した少年少女は素晴らしい! 私のコレクションを増やす良い機会だ!」
職場体験何処が良いかな?
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リューキュー
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ホークス
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サーナイトアイ
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ミルコ