あくまでもヒーローになる   作:ケツアゴ

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二十一話

「さて、期末試験の組み合わせだが……どうすべきだろうな」

 

 夏休みを目前に行われる期末試験。職場体験明けで成長したヒーロー科の生徒達の相手は例年通りならロボットが相手をするのが実技試験の通例。

 

 だが、最近起きた変態同盟もといヴィラン連合による襲撃事件。公衆脱糞によりステインの言葉に賛同する意見の広がりこそ無かったものの、今後の情勢の変化を考えて相性が悪い教師と二人一組で挑む事になりそうなのだが……。

 

「八木さんの弱点って何かしら? 敢えて挙げるなら消耗? カレーやリンゴでチャージするエネルギーを消費して使う技が多いし」

 

 その中で頭を悩ませるのは裁兎の相手。異形系としての基本能力としての飛行および高い身体能力に加え、筋肉の増強に自分含む味方へのバフや敵へのデバフ。

 広範囲の声を聴覚で捉え、相手から情報を隠さずに聞き出す力と色々あって。

 

「最近では新たな力にも目覚めたと言っていたな。本人曰く力の多くは相手への集中が必要な点と個性因子を鍛えている程に効きが悪い事だそうだが……」

 

「じゃあマイクが遠くから大音量で攻めるかオールマイトが近接戦を挑むか位か……」

 

「……私ノ分身ナラ大抵ノ力ハ防ゲルカ? 出来ル事ガ多過ギテ生徒側ニ制限ヲ掛ケルノハ問題外ダガ……強制脱糞ハナ」

 

 エクトプラズマの言葉に一同が押し黙る。体育祭の際に一学年全員を足止めし、職場体験中は指名手配中の犯人を捕縛した【暴露】の力の一端。

 教師相手だろうと必要なら使うであろう事はこの場の全員が予想出来た。

 

「良くも悪くも躊躇いが無いからな、八木は。……オールマイト、彼女は昔からあんな感じなんですか?」

 

「あ、ああ。時間を巻き戻す力の実験として自分の足の骨を折って怒られていた位だからね。校長、どうしますか?」

 

 このまま話していても結論が出そうに無いと会議室中の視線が根津へと注がれる。

 

「そうだね。彼女の場合、弱点らしい弱点も無いから寧ろ……」

 

 

 

 

 

 

 

「死ぃねぇえええええええっ!!」

 

 突き出される爆豪君の手。爆発の閃光が私の視界を遮る直前、その上を飛び越した私の足が顔を挟み込んで固定、空中に飛び上るとバク転の勢いを乗せて彼の背中を床に叩き付けた。

 衝撃で肺から空気が押し出されて一瞬白目を剥きそうになったけれど、流石の負けず嫌い。唇を噛み切った痛みで意識を保って至近距離からの爆破を放つ。

 

「おっと、危ない危ない。先読みしてなければ喰らっていたよ」

 

 但し、彼が予備動作に入った瞬間には既に飛び退いていた私は爆発で自分の視界も遮った彼の頭を掴むと暴虐の力を込めて真上へと放り投げた。其処へ伸びる荊。そう、いーちゃんの髪だ。

 普段は棘だらけなのにネット状に編み込まれた場所だけツルツルになっていて彼を受け止める。投げられた勢いを受け止める辺り、柔軟性やらも加わってるのかも?

 

「未だですわ! 爆豪さん!」

 

「俺に指示すんなや、棘女!」

 

 受け止めた勢いのまま伸びた荊のネットは限界まで伸びた所で勢いを乗せて爆豪君を地上の私へと弾き飛ばす。その勢いに空中での爆破の加速そして回転を加えた彼の必殺技が放たれる……その寸前に飯田君が横合いから鉄哲君を背負って突っ込んで来た。

 

「レシプロバースト!!」

 

 地面を蹴って最高加速状態での跳躍、その勢いを乗せて鉄哲君を放り投げた。爆豪君は私への攻撃の為に加速していただけに咄嗟に空中で切り返しが効かずに命中。

 

 

「これで私所属のチームが十連勝って事でっ!」

 

 最後にいーちゃんを私がぶっ飛ばす。棘のパワードスーツを体育祭の時よりも素早く纏うけれど私の拳には耐えきれず膝を折った。

 

 現在、期末試験に向けて自主練での模擬戦の真っ最中。今朝はクジで決めた参加メンバーで四人チーム戦だったんだけれど……。

 

 

 

 

 

「あはははは! 流石はB組のエース! A組最強の彼を圧倒じゃないか!」

 

「おいぃい! 早々にオイラに捕まっておいて何言ってるんだよ!」

 

「捕まったのは君もだけれどねぇ!」

 

 向こうはいーちゃんと爆豪君と峰田君と切島君で、こっちは私と飯田君と鉄哲君と物間君。因みに今喋ってる二人はコピーと本物で互いに拘束しあって動けない状態だ。切島君? 鉄哲君ハンマーを振りかぶったら股間に命中しちゃって最初にノックダウン。ごめんね?

 

 

 

「おい! もう一戦だ! 次は絶対ぶっ殺してやる!」

 

 結構ダメージあっただろうに元気な爆豪君は凄いやる気だ。そうそう、No.1ヒーローを目指すんならこのくらいにイカれた精神じゃないと駄目だよね!

 

 

 

「いや、そろそろ準備しないと朝の授業に遅刻しちゃうよ? まあ、対戦もクジだから私と当たるとは決まってないし……それに言っただろう? 放課後は野暮用で居ない私の代理でスペシャルゲストのミリオさんが皆の相手をしてくれるって。体力温存しておきなって」

 

「テメェに模擬戦で勝ち越してるって奴か。ハッ! 上等だ。先にその先輩をぶちのめしてやんよ!」

 

 うんうん、そうそう。こうじゃないとね。無理だとは思うけれどさ。

 

 

 

 

 そして放課後、期末試験の追い込みで皆が頑張る中、私は……山盛りのカレーを食べつつチャイを飲んでいた。尚、周囲が見えない状態にして連れて来られた場所で、目の前には知り合いのヒーローが居る。

 

 

 

「それで、目隠しさせた女子高生を連れ込んで何をさせる気なんだい? ホークス」

 

「言い方ぁ!? 確かに目隠しと耳栓して連れて来たけれど、言い方ぁ! ……絶対楽しんでやってるでしょ!?」

 

「うん」

 

 第一、私を何処か分からない様にして連れて来たって事から予想は着くんだけれどね。途中から曲がった回数と距離で特定されない様にホークスが運んだし。

 

 

 

 

「しかし初対面で馴れ馴れしく話し掛けて来る不審者が公安所属とはあの時は本当に驚いたよ」

 

「俺もオールマイトの身内が強力な個性持ってるからって調べに行ったら腹を下しながら目的を言う羽目になるとは思わなかったよ、うん……」

 

 だっていかにも怪しい相手だったし、当時は小学生だったから別に良いかって不用心だったよ。下手すれば口封じされるって焦ったもん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで仮免すら持っていないヒヨコ未満の有精卵に何をさせたいのさ? いや……誰に何を喋らせたいんだい? 誤魔化すならハゲか一生EDか選ぶ事になるよ?」

 

「恐ろしいな!?」

職場体験何処が良いかな?

  • リューキュー
  • ホークス
  • サーナイトアイ
  • ミルコ
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