あくまでもヒーローになる   作:ケツアゴ

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二十三話

「私は超強い!」

 

 目の前で崩壊するビル,飛び散る瓦礫。それを行った相手に対し、ビルの崩壊より前に私は飛び出していた。派手な登場をした相手に対して先制のドロップキック。

 暗示による身体強化を乗せた蹴りは予想していたとばかりに顔の前に翳した腕に防がれ、弾かれる勢いを利用して飛び退けば空中に飛び出して追って来た。

 

 当然、私もそれを読んでいる。

 

「カルフォルニアスマッシュ!」

 

「ドラゴンテイルスマッシュ!」

 

 空中で回転する事によって発生した遠心力を乗せた強力な打撃に対し、私も尻尾のみをドラゴンに変化させての似た様な技で迎え撃つけれど、パワーの差は向こうが僅かに上、技量は更に上って事で押し負け吹き飛ばされそうになるけれど、拮抗が崩れる瞬間に尻尾を元に戻して伯父さんの振り切った腕に絡み付いた。

 

 うわ、根元への負担が半端無い。裂傷は負ってそうだね。

 

 だが、それだけだ。千切れてもないし、ましてや戦闘不能なんてなっていない。尻尾を支点にしてぐるっと回って衝撃を殺し、回転の勢いを乗せて背後に回るなり手刀を振るう。

 

「ベルスラッシュ!」

 

「うわっ!?」

 

 手首から先はエネルギーによって発光し、伯父さんが咄嗟に空を蹴って身を捩ればヒーロースーツの背中部分に切れ目が入って薄皮が切れたらしく血が滲んでいた。

 

 ……市街地での戦闘って事で逃げ遅れた人が居る事を想定すればモッさんの力による怪力には制限が掛かる。相手はヴィランだから遠慮は無しに力を振るって来るんだけれど。

 

「HAHAHA! 体の一部だけの変身と……今の手刀は素晴らしいね、ヒーロー。情報とは随分と違う!」

 

「日々己を更新してこその英雄だよ。昨日の自分に勝てないままだなんて許され……」

 

 会話の途中で伯父さんは視界から消え失せ、真横から強烈な一撃を叩き込もうとしたのを羽ばたいて避ける。風圧に飛行が乱れそう? 気流の荒い場所をホークスから聞いて訓練に使っていたから平気さ。

 空中でバランスを崩そうものなら即座に捕まって時間切れ、だもんね、

 

 ああ、それにしても……。

 

 

「情報を持った格上に対策されるってのは本当に厄介だよ」

 

 『暴露』を使おうにも相手に意識を集中させる隙なんて与えてくれはしない。って言うか飛行能力持ってないのに力技で跳んで対抗するとか本当に厄介だ。

 

 ミリオさんや父さんを相手取る時とは別の厄介さに私はワクワクしていた。そもそも何故伯父さんと戦っているか、それは少し前まで遡る。

 

 

 

 

 

 期末の実技試験当日、例年通りの対ロボは無いってのが私達の共通認識だったけれど、試験会場に勢揃いしたA組B組の前に教師陣が現れた時は顔を引き攣らせたのが何人か居たよ。

 

 あっ、物間君が早速何人かに触れてる。ストック可能な時間も伸びたから先生達も止める気は無いみたいだ。

 

 

「あー、既に予想していたみたいだが昨今の情勢を考えて例年通りの対ロボは合理的じゃないとの意見が出た。もう分かっているだろうが俺達教師陣とAB混合の二人か三人で戦って貰う。……例外はあるがな」

 

 ヒーロー科は一人行方不明で計三十九名。数が多ければ有利に見えて急造の連携じゃ足を引っ張り合うだけだ。そして例外、その言葉と共に皆の視線は私に向いた。爆豪君でさえ舌打ちをしながら睨むだけで何も言わない中、遠くから翼の音が高速で接近する。

 

 現れたのは……ホークス。

 

「やあ。初めましての子も居るから一応名乗らせてもらうよ。速過ぎる男ことホークスだ。宜しくね」

 

 うん? この流れからするとホークスと私が空中戦でもするのかな? 飛行能力を持つ人は少ないし空中戦の経験を積みたかったから嬉しいかなと思っている中、緑谷君が高速でブツブツとホークスの情報を呟く。

 

 ふんふん、前情報が手に入るのは良い事だね。

 

「全員分かってるだろうが八木の実力は既に頭幾つも抜けている。故にだ……オールマイトとの一騎打ちをして貰い、

特別試験官のホークスの相手は爆豪・緑谷・塩崎の三名だ」

 

 あー、成るへそ。コンビネーションに支障のある爆豪君に破壊範囲が広過ぎる緑谷君、そして射程は広いけれど素早い相手に接近された際の対応は訓練中のいーちゃんのトリオか。

 

 悪くは無いんじゃない? 寧ろ良い。

 

 それはそうとして体ボロボロでも未だ圧倒的な力を持つ伯父さん……オールマイト、しかもヴィラン設定なら市街地への被害を抑えるのも評価ポイントか。

 

 苦難困難大問題だね、これは。

 

 

「あはっ! 滾るね」

 

 笑みが抑えられない。今の私は最高にギラギラしていたよ。

 

 

 そして時間は進み、制限時間が半分を過ぎても勝負は付いていなかった。

 

 

 

「おいおい、正面戦闘じゃ勝てないって分かっているんじゃないのかい? ヒーロー」

 

「登場演出にビルを破壊する自己陶酔型の愉快犯が相手だからね。通常戦略的撤退は有りだけれど、今回は違うかな。他ヒーローによる避難誘導と援軍の登場。……まあ、今回はそっちの援軍も考慮すべき案件か」

 

 生徒側の勝利条件はカフスの装着かゲートからの脱出。これで三人組なら一人を逃す……現場なら救援要請に向かう感じなんだろうけれど、制限時間はヴィランの増援が来るか何かの準備が整うのを想定。

 

 試験だからって気を抜くのは駄目だ。練習で出来ない奴は本番でも出来ないんだから。

 

 さて、大規模破壊技以外にも毒ガスだってこの状況では至近距離以外では使えないし、伯父さんには何故かルシ様の『傲慢』だって効きが悪い。タイマン勝負は本当に分が悪い……。

 

「どうも自分に厳し過ぎて枷をはめ過ぎる傾向があるようだな。それでは私に勝つの……はっ!?」

 

 伯父さんの頭上に突如影が掛かる。この試験は一対一、第三者の介入はそれこそヴィランの侵入でも無い限りは有り得ないから私だけに集中していたんだろう。

 

 だから頭上から筋肉が肥大した腕を振り下ろす牛のヌイグルミみたいな存在への反応が遅れた。咄嗟に腕を交差させて防ぐけれど地面に叩き落とされて、其処に私の口から光線が放たれる。

 

「デトロイトスマッシュ!」

 

「……うわっ。光線を素手で弾いちゃってるよ、この人」

 

 流石にドン引きしつつ乱入者と伯父さんを挟む様に攻撃すれば防戦一方、戦局がこっちに傾き始めた。

 

 

 

「ちょっ!? この牛の個性? 誰!?」

 

「私の個性の一部である『暴虐』、名前はモロクでモッさんと呼んでいる。

常闇君の個性が分離可能になったみたいな物さ」

 

 技名は『召喚』って所かな? 生贄で貯めたエネルギーの消耗が激しいし出している間は能力が使えないって弱点は有るけれど、単純にマンパワーが増えるのは強い。

 

「良いだろう! この程度の窮地なら何度も乗り越えて来た!」

 

 それでも伯父さんは……オールマイトは揺るがない。左右からの攻撃を防ぐと同時に回転で弾き飛ばすと先ずはモッさんを仕留めに掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『八木裁兎 クリア!』

 

 それはそうとして試験をクリアする為にはちゃんと本気を出しているんだけれどね。伯父さんが驚いて固まる中、バレないように遠回りの隠密行動をしていたアザゼルがゲートを通り抜けていた。

 

 

 

 




裁兎の悪魔への好感度ランキング

1 モロク 五月蝿くない 使いやすい

2 ルシファー 少し鬱陶しいけれど便利

3 ベルゼブブ 使い易いけれど性格が悪い

論外 サラマンダー アザゼル 自分の一部って自覚あるならセクハラすんな

新たに芽生えた悪魔は付き合いが短いので未だ選考中

職場体験何処が良いかな?

  • リューキュー
  • ホークス
  • サーナイトアイ
  • ミルコ
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