あくまでもヒーローになる   作:ケツアゴ

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二十四話

「いやー、参った参った。まさか俺が学生にしてやられるだなんてね」

 

 緑谷・爆豪・塩崎の三人で挑む対ホークス戦だったが、試験終了のアナウンスが流れたのは残り時間三秒前だった。

 

 超パワーも爆破も広範囲を包み込む茨でさえも自由自在に動く羽とホークスの起動能力を前に歯が立たず、教師陣からはスタンドプレーに走ると思われた爆豪が開始当初から連携に応じても届かない。

 

「けっ! わざわざ高度に制限を掛けたアンタに勝ったとは思ってねえよ。次だ。次に機会があれば俺だけで制限無しのテメェを倒すし、あの角女にも一人で勝つ」

 

 遥か上空から一方的に攻撃可能なホークスが飛行高度に制限を掛け、空中戦に適正の有る爆豪を主に置いても指先すら触れられずにいたが、今ホークスの腕にはカフスが填まっている。

 

「えぇ……。俺、あの子より下判定なんだ。いや、オールマイト相手にサシでやって一番先に合格したみたいだけれどさ」

 

「「なっ!?」」

 

「ええ、彼女ならオールマイト相手に出し抜くのも可能でしょう。手段を選ばず努力を惜しまない天才ですからね」

 

 二人が驚く中、後方理解者面の塩崎は何処か得意気にしながら会場に散らばった茨を回収している。これがホークスを出し抜いた方法だ。

 大規模な包囲でホークスを追い込んで二人に再生可能な茨ごと攻撃させると見せ掛け、ブザーがなるギリギリ迄隠していた千切れた部分の遠隔操作。

 

 体育祭では裁兎の補助があって短時間可能となった技を身に付け、二人の猛攻でホークスの優れた探知能力を阻害した所で二人の服の中から飛び出してカフスを填めたのだ。

 

 

「勝ったとはいえ時間ギリギリ。コレでは評価が厳しそうですわね。私、まだまだ基本スペックと咄嗟の動きが足りていません」

 

「それなら僕もフルカウルの動きに無駄が多いし……」

 

「基本掌から攻撃が来るってバレてんのは痛ぇな。せめて汗の遠隔か時限爆破を……」

 

「最近の学生は向上心が凄いなあ」

 

 ルール縛りと手加減というハンデ有りとはいえトップランカー相手に勝った事に対して三人が見せたのは今後の課題への反省。

 特に爆豪のまるで自分は通過点だとでも言わんばかりの態度、それも先に居るのは同じ一年だという傲慢とも取れる態度ではあるがホークスに気にする様子は無い。

 

 

「こりゃ俺も油断してたら直ぐに抜かされそうだな」

 

 

 

 

 伯父さんとの試験を終え(合格者一人目だった、イエーイ!)、今はモニターで皆の試験を観戦中。

 硬化系個性の二人をパワー系の佐藤君が振り回してセメントス先生に立ち向かうのは騎馬戦を参考にしたのかな?

 

「こっちはガチで潰しに来てるなあ……」

 

 八百万さんと轟君という協力だが扱いが難しい個性の持ち主と組んだ物間君は動きが悪い。住宅街の戦闘だし、ただ全力でブッパすれば良いって話じゃないからね。

 

「こうやって見てると滾って来たよ。終わったらミリオさんにガチバトル頼んじゃおうかな。オールマイトとの殴り合いは楽しかったけれど不完全燃焼だしさ」

 

 ヒーローの卵としての試験だ、合格を優先するのは当然。寧ろヴィラン退治を優先して目的達成が疎かになる方が問題……だけれども個性由来の欲求で力を振るう事、特に戦闘が楽しく感じてしまう。

 

 いやはや、こんな危険人物はヒーロー業以外には就くべきじゃないよ、全く。

 

「おっ、いーちゃん達は苦戦してるね」

 

 まあ、ホークス相手だから当然ではあるんだけれど……。

 

「アンタも相変わらずだねえ。落ち着きが無い所までオールマイトに似ちゃってさ」

 

 おっと、リカバリーガールに叱られちゃったよ。

 

 流石に脇腹に風穴開いて肺も損傷した半死人なのにトップを維持する働きっぷりのワーカーホリックと似ているってのは酷くない?

 

 私は可能な範囲で無茶をしているだけなのにさ。限界を越え続ければ無理は無理じゃないのさ。

 

 え? そういう所? うーん、そうかな? そうかも?

 

『おい、俺だ! 俺が良い事を教えてやるから感謝しやがれ!』

 

 はいはい、頭の中で響くんだから落ち着きなよルシ様。今は皆の戦いを観戦してる真っ最中なんだからさ。

 

『あぁん? さっきから話題に出てるオールマイトについてだぞ! この俺がわざわざ知らせてやってるんだ! どうも力の通りを悪くしてたモンが弱まったみてえだぞ』

 

「……へぇ」

 

 ルシ様ことルシファーの能力は『傲慢』。ドラゴンに変身したり爆発するビーム吐いたりするのがオマケに感じる程に協力なのが時間の操作。

 物でも人でも時間を捻じ曲げ巻き戻す概念系、トレーニングの負荷まで戻るから自分には滅多に使えないけれど伯父さんの個性との相性が悪くなければ平和の象徴は復活していた筈なんだ。

 

 それが通るって事は……。

 

「いや、アラフィフだから驚く事でもないか」

 

 個性因子が弱まって来ているんだろう。そして個性が邪魔な以上は伯父さんの時間を怪我する前に巻き戻しても個性は弱まったままだと思う。

 それでも十分だけれど、伯父さんが無個性になっても無茶しそうだし、母さん達に伝えておかないとね。

 

 もう五十代なんだし少しは落ち着けば良いのに。

 

「伯父さんもあんなんだから年齢と彼女居ない歴がイコールなんだよ」

 

 私と違って異性への興味が無い訳じゃないだろうに。良い年して若い女のファンにデレデレしてるの知ってるんだぞ?

 

 

「うっ!? 今、何処からか精神攻撃された気が」

 

「疲れてるんじゃないですか? オールマイト」

 

 

 

 社会の裏も表も揺るがしかねない事に悩みつつ観戦を続ければ次々と合格者が出始める。早朝と放課後に組み合わせを入れ替えながらのチーム戦を経験しているからか連携はそれなり、後は不利をどうやって覆すかだ。

 

 結果は悲喜交々、試験を突破しても内容から駄目そうな子も居るし課題の克服が求められる。そして最後にいーちゃん達がギリギリでホークスにカフスを填めて試験終了。

 

 さてと、試験は終わったし次は……。

 

 

 

 

 

「体育祭の優勝特典でi・アイランドのプレオープンに招待されたんだけれど、別口で既に知り合いから招待されててさ。いーちゃんは誘ったけれど一名枠が空いてるけれど誰か来る?」

 

 はい! 試験が終わればお疲れ会(B組女子限定)。カラオケのパーティルームで歌の合間に言い出せば視線が集まった。

 

 誰とかは分からないけれど、夏休み中に友達と旅行とか楽しみだなー。

 

職場体験何処が良いかな?

  • リューキュー
  • ホークス
  • サーナイトアイ
  • ミルコ
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