「私があれを突破するならどうするかな? 素手で茨の塊に突っ込むのは厳しいしさ。ねえ、八木ならどうする?」
「射程外から光線を吐くか拳圧で吹っ飛ばす」
いーちゃんが髪の茨で作り出した緑の巨人を前に、B組では歓声をあげつつも考えるのは次の自主練で使われた時の対処法、だから普段なら友達には使わない能力と生け贄をあんまり捧げていない能力は除外。
あの茨、コンクリートをぶち抜いて地面を掘り進める力があるし物量が凄まじいから単純な力押しじゃ手詰まりなんだよね、触れるだけでダメージあるんだし。
「なんか凄ぇな! まあ、男だったら正面突破あるのみだぜ!」
「鉄哲君と能力と性格の二つの意味で個性被ってるね、彼」
緑の巨人ことローズ・ネピリムに向かい切島君は全身を硬化させて突っ込んで行く。遠距離攻撃手段も限られているし、一部が尖っているから鈍器以外に刃物みたいな使い方も可能なんだろう、動きだって鍛えられているのが見てとれた。
「ルールで場外がある以上は厳しいけれどね」
「おらっ! ……やべっ!」
拳と拳の正面からの打ち合い、当然の様に切島君の拳は巨人の拳を貫いて、腕が伸びきった所で全身に茨が絡み付く。そりゃあグルグルと何重にもして、足下の地面を貫いた茨によって踏ん張りも効かずに伸びた拳で場外まで運ばれて終わりだ。
『切島君場外! 勝者、塩崎さん!』
『あれは矛に見せかけた盾だよね。外に出ている顔だって埋もれちゃえば良いだけだし』
いや、彼も相当鍛えていたよ? でも増強系じゃないからダメージは防げても物量で押し込まれたら踏ん張りきれないから……ドンマイとしか。
逆にノックアウト限定の場合、どうやってダメージを通すかがいーちゃんの課題かな?
「取り合えずバンバン男性ホルモン出してガンガン鍛えないと。マッスルが足りないよ、マッスルがさ」
「いや、男性ホルモンなんて気軽には……出せるんだっけ、アンタなら」
「うん、割と気軽に。私自身、筋肉付けるのに使ってるしさ」
それこそ父さんお気に入りの彼みたいにさ。あのマッスルに貢献する為の生け贄にした高級品の豚足は美味しかったな。
「それにしても舞台がまた修繕とか、皆、派手に暴れてるなあ」
勝ち抜いた側にも重症者が出ているし、私みたいに毒ガスで眠らせる様な穏便な終わり方は望めないだろうと二回戦の組み合わせを眺めつつ思う。
「次は超パワー対冷気と熱だっけ? 派手な事になりそうだ。……負けてられないや」
あー、でもルシ様への生け贄が滞っているから傲慢はそんなに使えないかも。
奥の手その一は準決か決勝までお預けかな? 飯田君相手なら高度からの遠距離攻撃で倒せそうだし。
「相性ってあるからねー」
横槍やアクシデント無しの試合じゃ所詮そんな物、主席合格してから入学する迄の間は相当扱かれたんだし負ける気はしないからさ。
「……そんな事を思っている時がありましたっと」
そして準々決勝第二試合、私は舞台の上で呟くけれど、そうでもしないと落ち着かない程にムズムズしていた。
「む? どうかしたか?」
「いや、さっきの派手な試合を見ちゃったら次のNo.1を目指す身としては火がついちゃって」
理由はさっきの死力を尽くした試合、特に緑谷君なんか自傷ありでも伯父さんに匹敵するパワーを見せた。
轟君の事情はなーんか父子の蟠りっぽいけれど、それでも全力を出したんだ、その後に安全策で終わらせるとか有り得ない。
「君はNo.1を目指しているのか?」
「わざわざ雄英に来てまで目指さない人がいる? そこそこの順位で良いやって妥協してるヒーロー候補とかどうなってるんだって感じじゃないかい?」
「ふっ、確かにな。ならば! 互いに全力を尽くそう!」
温存とかさ、青春ならそんな事を考えなくって良いんだよ。
『二回戦第二試合開始!』
「それじゃあ会場とテレビの前の皆様、そしてヴィラン共、とくとご覧になって下さいませ! これより見せるは私の切り札!」
試合開始と同時に観客席の最上段の高さまで飛び上がった私の体に現れたのはリンゴを咥えた蛇の様な模様、それが体から離れると同時に巨大化しながら私を包み込む。
「変身」
それは球体になり、内側から弾け跳ぶ。すると其処に存在したのは……。
『ド、ド、ド、ドラゴンだぁああ! 八木が真っ黒い巨大なドラゴンに変身したぁあああ!?』
『うるさい』
そう、マウントレディに匹敵する大きさのドラゴン、これこそが私の切り札の一つ。翼のせいで横幅もあって市街地では使えないから訓練でも見せていない技だ。
高い場所からの羽ばたきが起こす風だけでミッドナイト先生や飯田君は堪えるのだけで精一杯、巨大台風の日に匹敵する暴風が吹き荒れているんだから。
「悪いね、飯田君。滅多に使えないこの技の練習に付き合って貰うよ」
「くっ! あの巨体なら誘導次第で場外を狙えるか? ならばっ!」
身を屈めて私が向かって来るのを待ち構える姿、多分ギリギリであのレシプロ何とかってのを使う気なんだろうけれど……接近戦は流石に君には使わないよ?
「接近戦は鉄哲君や物間君辺りに付き合ってもらうさ」
何かB組の席から二人の悲鳴が聞こえた気がするけれど気にしない。私はその場で尻尾を丸めて回転を始める。それで更に暴風が舞い起こる中、最高速度に達した瞬間に舞台に向かって尻尾を振り抜いた。
「カリフォルニアテイルスマッシュ!」
遠心力と回転速度を乗せた尻尾による衝撃波、それが中央に命中した瞬間に舞台は粉々に砕け、飯田君とミッドナイト先生を纏めて余波だけで吹き飛ばす。
セメントス先生の防壁も殆ど意味をなさず、観客席ギリギリまで破壊の余波は届いていた。
大きく抉れた地面、そしてドラゴンから元の姿に戻った私が降り立っても会場は静まり返ったまま、歓声は圧倒に飲み込まれて聞こえては来ない。
……あっ、やばっ。あんな雑な技に伯父さんの技名をパクったから父さんが不満そうだ。
『い、飯田君場外。勝者、八木さん』
最後に役目を果たしたミッドナイト先生は白目を剥いて気を失って、歓声が遅れて響き渡る。
「あの威力、街中じゃ出せないだろうけれど凄まじいな」
「それこそオールマイトじゃないと出せないんじゃない?」
「とんでもない逸材が現れたな……」
ふんふん、高評価高評価。さて、次の試合が楽しみだね。
久々に大技を使った解放感に受かれながら席に戻ろうとした時、通路の真ん中でNo.2ヒーローのエンデヴァーが立っていた。
「あっ、どうも。ファンサよりも仕事優先の姿勢が素晴らしいと思ってます」
「いや、ちょっと待ってくれ。話がある」
取り合えず会釈だけして隣を通り過ぎようとしたけれど、何故か呼び止められた。
何の用かと思ったけれど、あれしかないか。
「轟君には宣言した通り腹痛の呪いは使いませんよ? 第一競技は手札を見せる目的なだけだったので」
「違う」
「え? それって反抗的な息子に恥をかかせろって……」
うわぁ……。
ミリオも当然強化済み
職場体験何処が良いかな?
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リューキュー
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ホークス
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サーナイトアイ
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ミルコ