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UA10000を超えました。多くの方に目を通して頂き感無量です。これからも頑張ってまいりますのでよろしくお願いします。
明日で四月を迎えようとしている頃、俺と一夏にアミタそして新たに折紙を加えた四人で、地下訓練場で一夏をしごいていた。
「行きますよ一夏君!」
「はい!お願いします!」
「アクセラレイター!」
アミタが高速移動で一夏の周りを旋回を始め、ヴァリアントザッパーを連射する。
「うおおおおおおおおお!」
全方位から押し寄せる弾幕を回避しながら、避けられないものを実体剣で捌いていく。
「う、うわあああああああああ!?」
しかし、次第に処理しきれなくなり、光弾の波に飲み込まれてしまった。加減してあるから問題ないけど。
ちなみに今のはいかなる弾幕の中でも、敵に接近できる様に目を慣らすための訓練である。あいつの機体は牽制用の武装がないし、防御向けの機体ではないので、いかに相手の攻撃を躱せるかが重要になるのだ。
「痛ててくっそぅ…。またダメだったかぁ」
「ま、始めた頃に比べたら進歩してるよ。そう気を落とすなって」
始めてあった頃から一夏には素質があるのは感じていた。だが、共に腕を競い合っていた幼馴染の少女と離れ離れになってしまったことで剣道に関する意欲を失い、もう一人の弟分のであるキリトが剣を捨てたこともあり、千冬の姉さんに養って貰っていることに負い目を感じていた一夏は家計を助けようと中学生の時にバイトに専念すべく完全に剣を手放してしまった。
ちなみに中学生では正式なバイトはできないので、知人の店を手伝ったりだけどね。俺も小遣い欲しくてやらせてもらったことがある。
キリトについてもそうだが、俺としては本人達の意思を尊重したかったので止めなかったが、もしもやめることなく続けていれば、二人共今頃世界にその名を轟かせる猛者となっていただろう。
まあ、何が言いたいのかというと、一夏は今歩みを止めてしまった分を取り戻している状態なのだ。焦らずとも一夏は強くなる。俺も予想がつかない程にね。
「どうしたのさ勇兄?嬉しそうな顔して」
「いや何、やっぱ人生面白いなってね」
「?」
やむを得ないとは言っても、一夏が再び剣を取ったことが嬉しくもあり、自分を超えかねない存在がこうも身近にいると言うのも自身を高める甲斐があるってもんさ。これを喜ばずにいられようか。
「にしてもやっぱその機体半端過ぎるよなぁ。近接特化型にしては機動性が一般機より少しあるくらいだし」
スペック的には十分高いが、近接一本でやってくならもっと極端に尖ってるくらいでないとなぁ。今のままの性能じゃイグニッション・ブーストが使える様になっても、ただ突っ込んでくるだけの的にしかならない。
「射撃用センサーリンクシステムが搭載されていないのも問題」
折紙も一夏の専用機”白式”の問題点を挙げる。本来兵器とはあらゆる状況を想定して開発されるものだ。近接特化型であっても、射撃武装を使用せねばならない状況もありえるし、その逆も然りである。しかし、白式には射撃に関する機能が全く備わっていないのだ。故に装備変更不能の件も合わせて、ハッキリ言うと白式は欠陥すら生ぬるい兵器としては不完全な代物だ。まあ、あのクサレ兎らしいと言えばそうなんだけど。
いや、そもそもISは宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツであって、兵器運用は想定されていなかった物だ。本来の仕様とかけ離れた現在のISは、全て欠陥機と言えるのではないだろうか?
果たして生みの親であるあの兎は、そんなISを見てどう思ったのだろうかねぇ?世の中はあいつが失踪した理由は不明と言っているが、そんなの考えるまでもないだろうに。きっと、あいつはISに夢を乗せていたと思う。それをあんな風に歪められて世界に失望したからだと俺は思う。考えが読めない奴だったが、そこら辺ぐらいは分からんでもない。いや、何であいつのことなんぞを考えてんだよ。時間無駄にしたよたくっ。
「おーう、やっとるねぇ」
余計なことを思考していたら、父さんが軽く手を振りながら歩いて来ていた。
「お疲れ様です少佐」
「今は自由時間だ、そう固くならんでいいぞ勇に折紙」
姿勢を正して敬礼する俺と折紙に、笑いながら楽にする様に言ってくれる。
「どうだい一夏、その機体には慣れたかい?」
「それが、ずっと初期設定のままなんですこいつ。何か俺のことを認めてくれていないんじゃないかって思うんです」
そう言って自信が無さそうに俯く一夏。普通ならすぐに終わるはずの一次移行が、一ヶ月近くしなけりゃ落ち込みもするわな。
「焦ってもいいことはないぞ、
「臥薪嘗胆、ですか?」
「ああ、『成功を信じて苦労に耐える』って意味のことわざさ。昔俺が所属していた部隊の隊長がよく言ってた言葉だよ」
「確かゼンガー・ゾンボルトって人だっけ?」
俺がちっこい頃に何度か話してくれたことがあったけね。あんま覚えてないけど。
「そ、当時はEOS(エクステンデッド・オペレーション・シーカー)つーPTの雛形になったパワードスーツ部隊にいてな、その人の下で働いてたのよ」
エクステンデッド・オペレーション・シーカー――
凡庸型パワードスーツ第一号として開発された。しかし、装甲が厚すぎて挙動が遅い、歩兵の武装を流用しているため火力不足、大型のバッテリーを積んでいるが稼働時間が短いと言った問題があり兵士からの不満が多く、結果新たに開発されたのがパーソナルトルーパーである。
「どんな人だったんですか?」
「頑固者」
「え?」
「テロリスト相手にする時、向こうの言い分を『黙れ!』とか『問答無用!』で押し切るし、一度決めたら何があってもやりきるけど、頭が固すぎて融通が利かないことが多くてさぁ。しょっちゅう無茶に付き合わされたよ。始めて部隊に合流してすぐに実弾演習させられたし、いきなり部隊長させられたり、
その後も延々と愚痴が続いた。よっぽど苦労したんだね父さん…。
「ま、何だかんだで実直で頼りになる人だったから、皆に信頼されてたけどね。俺も弱き者のために戦うあの人は、素直にかっこいいと思えたよ」
「弱き者のためにですか素晴らしい方なんですね!」
父さんの話を目を輝かせながら聞いている一夏。よっぽどその人のことを気に入ったのね。面白そうだから俺も会ってみたいけど。
「話は聞いたことがあります。『斬艦刀のゼンガー』今は少将として本部にいらっしゃると」
「斬艦刀?」
折紙の話に聞きなれない単語があったので首を傾げてる一夏。
「対艦攻撃用に開発された近接ブレードだよ、刃渡り3メートルくらいの馬鹿でっかいやつ」
「そんな武器があるんですか!?」
一夏とは別の意味で目を輝かせて食いついたアミタ。仮○ライダーとか好きだもんね君。
「当時はパワードスーツ開発の混迷期だったからなぁ、色んなもんが作られてたんよ。んで、あの人が気に入っちゃって使ってたんよ」
しみじみと話す父さん。そこら辺でも苦労したんかね?
「んでさーちっこい頃の勇をみてさぁ『お前の馬鹿が伝染らなさそうでよかったな』って言ったんだよ、酷くね?」
「そこは同意する」
「そんなこと言わないでよおおおおおおおお!!!」
いい年してガチで泣かないでよ…。てか俺会ったことあったんだ。
このまま泣かれても鬱陶しいので、皆して慰めていたら日下部隊長が険しい顔をしながらやって来るのが見えた。
「少佐!」
「ん?日下部大尉どうした?」
「どうした?じゃありません!ブリーフィングがあるから勇と折紙を呼びに行って来るって言ってから、全然帰って来ないから迎えに来たんです!」
「あ、そうだった」
「こりゃうっかり!」って言いながら、舌をチロって出しながら自分の頭をコツンと叩くおっさん。やめろ気色悪い。
そんな父さんを「全くもう…」と言いながら額に手を当てる隊長。ご苦労様です。
「皆待っていますから行きますよ。勇と折紙も来て頂戴」
「はーい」
間の抜けた返事をして隊長に付いて行く父さん。その姿は引率する先生と園児にしか見えなかった。それでいいのか父よ…。
何とも言えない気分になりながら、アミタや一夏と別れて、俺も着いて行くのであった。
「え~皆さんにお知らせがあります」
場所は変わってブリーフィングルーム。壇上にいる父さんが、集まっているASTのメンバーへと朝のHR感覚で話しかけている。
「近年このブルーアイランド周辺への精霊出現率増加に対して、以前から検討されていたISの投入と特異災害対策機動部との連携が正式に決まった。以後この二名が君達と行動を共にすることとなる。紹介しよう入ってくれ」
父さんの声に合わせてドアが開き、二人の少女が部屋へと入ると壇上へと上がる。
一人は如何にもお嬢様と言った雰囲気で、IS学園の制服を着ていた。
「イギリス代表候補生セシリア・オルコットです。以後よろしくお願い致します」
オルコットと名乗った少女は、無駄無く流れるような動作でスカートの裾を軽く持ち上げながら礼儀正しくお辞儀する。イギリスってことは貴族なんかね?
「特異災害対策機動部二課所属の風鳴翼です。よろしくお願いします」
もう一人のリディアン音楽院の制服を来た少女が、教本にでも載っているかの様な程見事なお辞儀をする。まるで、刃を思わせる雰囲気を身に纏いどこか儚さを感じられた。
私立リディアン音楽院――
ブルーアイランド建設と合わせて開校した小中高一貫の学園。通常は、高等学校としてのカリキュラムの中に、音楽科を設けるものであるが、リディアン音楽院は、まず各種音楽教科を中心に据え置き、そこに一般教科を組み込むという独自のスタイルが特徴である。
つーか、風鳴翼って確か日本を代表するツインボーカルユニット”ツヴァイウィング”のだよな。二年くらい前にメンバーの天羽奏が亡くなってからはソロで活動してるけど。話に聞くとシンフォギアシステムってのは歌に共鳴して力を発揮するそうだけど、やっぱ歌の上手さとか関係してんのかね?
にしてもアーティストとして人々に希望を与えながら、影で平和のために戦ってるのかぁすげーな、俺にはとても真似できないわ。
見た感じ、彼女はちゃんとした場数を踏んでいるようだし心強いが、問題なのは…。
「少佐質問してもよろしいでしょうか?」
「発言を許可する」
「失礼ながらなぜ日本の国家代表ではなく、イギリスの代表候補生が派遣されたのでしょうか?」
折紙が皆が思っていたことを代弁してくれた。
ブルーアイランドには世界の心臓とも言える次元エンジンがあり、それを管理している日本の重要度は他国と比べ最も高い。故に軍備も最新鋭の物が揃えられており、最新式のPTであるMK-Ⅱが配備されたのもそのためだ。
普通ならば、ブルーアイランドに最も近い日本の国家代表が派遣されるべきなのに、わざわざ遠くのイギリスしかも候補生が派遣されたのには納得できなかった。
他の隊員達も同意見のようで、頷いたりしてくれていた。
「あー日本の国家代表は、本土防衛のためこちらには参加できない旨が政府から連絡があった。また、ISの余裕が無いので、候補生も送れないそうだ」
「IS学園から派遣してもらうことはできないのでしょうか。あそこなら日本の管轄ですし、訓練機を含め余裕がある筈ですが?」
「そっちも要請したら、イギリスから今年IS学園に入学する専用機持ちの子がいるから、その子参加させてよって話があって日本がそれを受諾した訳」
折紙からの質問に、オルコットに不快感を与えない程度にうんざりした様に説明してくれる父さん。
つまり、日本の政治家さんは自分達の身を守りたいので代表は送りたくない。そこで、イギリスがIS学園に送った新型の実戦テストしたいし、日本にも恩を売りたいから参加させてよって話を持ちかけたのね。日本にしてみればIS学園の戦力を動かさなくていいし、イギリスの手の内も見れるから万々歳ってか。
とんだこしぬけだなオイ。いや、知ってたけどさ。これで精霊が倒せなくて、自分達がいる国会議事堂や、IS学園に精霊が現れたらどうする気なのかね?まあ、そこなら避難すればいいし、建物も顕現装置ですぐに直せるからいいけどね。
最悪なのは示現エンジンの近くに現れた場合だ。現状、空間震を察知できても防ぐ手立てが無いから万が一エンジンが破壊された場合、構造が複雑過ぎて顕現装置でも修復することはできない。
そうなれば人々は生活する術を失い、下手をすればこの世界の人類は滅亡するかもしれない。
精霊がどのタイミングで現れるか分からない以上。俺達が送っている日常は明日にも壊れていてもおかしくないのだ。
「お待ち下さい!!」
折紙の発言が気に入らなかったのか、オルコットが声を張り上げて睨みつけてきた。
「先程の言い方ではわたくしではご不満とおしゃるのかしら!?」
「そう」
「なっ!?」
一切の遠慮なく言い放った折紙に、目を見開いて固まるオルコット。流石にそこまでハッキリと言われるとは思わないだろうなぁ普通。
「おい、折紙…」
「な、なぜですか!」
このままだと不味いと思い、折紙を止めようとしたらオルコットが、俺を突き飛ばして折紙に詰め寄って来た。痛いんすけど…。
「あなた実戦経験は?」
「ありません。それでも役目は全うしてみせますわ!」
あ、やっぱ無いのね。ISって要であるコアがブラックボックスになってて製造法が不明で、開発者も開示しないで行方を眩ませてるから、量産することができないんだよね。
万が一コアが失われると代えがきかないので、余程のことがない限り戦線に投入されることはなく、市民の不満を和らげるためのスポーツとして行われる”ISバトル”に用いられている。なので前線で命懸けで戦っている一部の兵士からは「タダ飯喰らい」「宝の持ち腐れ」とか言われているそうだ。
「そもそもイギリスの”第三世代兵装”は、一対多が基本の精霊との戦いでは有用ではない」
第三世代兵装――
操縦者のイメージ・インターフェイスを用いた特殊兵器。これを搭載したISを第三世代と呼び、次世代機そして現在各国で開発が進められている。しかし、搭載した兵器を稼働させ制御するにはかなりの集中力が必要で未だ実験機の域を出ず、正式に採用されるまでにはかなりの時間がかかると見られている。
イギリスが開発している兵装は”ビット”と呼ばれる遠隔無線誘導型兵器である。
「そんなことはありませんわ!このわたくしが足でまといになるなどと――」
「では、連携訓練はしているの?その時のあなたの役割は?ビットをどんな風に使用するのか?味方の構成は?敵の想定レベルは?連続稼働時間――」
「折紙!」
放っておいたらそれこそ一時間以上指摘しかねなかったので、肩を掴んで無理矢理言葉を遮った。
いや、オルコットが言い返せなくて放心状態になっている時点で手遅れか…。
「お前なぁこれから仲間になる奴に言い過ぎだろう!言うにしてももっとマイルドにだな」
「彼女が聞いてきたので答えただけ」
「手加減をしろ!手加減を!見ろ彼女心が折れかけてるじゃねぇか!」
きっと歓迎してくれるだろうなぁって期待してたのに、まさかの洗礼で泣きそうになってるじゃん!
てか、風鳴さんは興味ねぇよって感じで目瞑ってるし!少しでもフォローして下さると助かるんですがね!
「そ、そうですわ!そこの男?はついこないだまで民間人だったそうですわね!そんな者よりは役に立って見せますわ!」
再起動したオルコットがこっちに噛み付いてきた。つーか、男の部分をやけに強調してきたなおい。今時女性優位思想なんて流行らんぞ。後何で疑問形なんだよれっきとした男だよ俺は。
「彼の実力は既に証明されている問題ない。それに彼を男なのかと考えたあなたは間違えていない」
「そこだけフォローすんじゃねえ!他にもするところがあるだろうが!」
俺の容姿については話が進まないからこの際放っておけや!
「だったらわたくしの実力を証明しましょう!そこの男に決闘を申し込みますわ!」
「断る」
「なっ!?」
拒否したら再び目を見開いて固まるオルコット。受けて立つとでも思ったのかね?
「わ、わたくしに恐れをなしたのかしら!?」
動揺を隠そうと強がっている様だけど、もう手遅れだよここにいる皆にバレバレだから。
「俺は大切な人を守ることにしか力を振るわない主義なんでね。君と戦う理由が無い。腰抜けと言いたければどうぞ」
折紙と戦ったのはMK-Ⅱという力を手にするために必要だったし、入隊するためにはどうしても戦わねばならなかったからだ。
ぶっちゃけ彼女と戦うのに俺には何のメリットが無いし、必要性を感じない。
「くっこの…!」
「あーそこまでにしてくれる?話が進まんから」
尚も食らいつこうとするオルコットだが、そこで父さんが止めに入った。
流石に父さんには反発しないのか納得していない様子だが、一先ず静まったみたいだ。
にしても何だやけにプライドが高いと言うか、ただ焦ってる様に見えるんだよね。自分を認めさせたくて空回りしてる感じがする。
「そうそう特異災害対策機動部との連携に伴って、二課の方々が後方支援についてくれるのでそちらも紹介する」
父さんがそう言って壇上に設置されているボタンを操作すると、スクリーンに父さんと同年代と見られる男性が映し出された。
『初めましてASTの諸君。私は特異災害対策機動部二課司令の風鳴弦十郎で、そこにいる翼の叔父でもある。翼共々よろしく頼む』
「司令余計なことは言わなくて結構です」
今まで沈黙を保っていた風鳴が少し恥ずかしそうに口を開いた。ああいうこと言われると結構恥ずかしいよね、俺も経験ありすぎるからよく分かるよ。
風鳴司令が「すまんすまん」と大らかに笑っていると、父さんが「親馬鹿め」と呆れていたけどあんたが言うな。
「今後の作戦行動中は彼が指揮を執ることになるけど、教導隊に入る前からの俺の同僚なんで信頼できるから安心してくれたまえ」
教導隊前って例のゼンガー少将の部隊にいる頃からなのか、そりゃ心強いね。
『それとこちらが二課技術主任の…』
『はーい、天才考古学者櫻井了子でーす!どうぞよろしくねー!』
風鳴司令の言葉を遮って押しのけるように眼鏡をかけ、白衣を纏った女性がアップで映し出された。自分で天才って言う辺り凄い自信家ですね…。
『んーあ、あなたが天道少佐のお子さん?T-LINKシステムに強烈に干渉できるだけの”念動力”を持ってるって噂の』
「え、えっとそうですけど。どうして俺のことを…?」
物凄く輝いている目で俺を見ながら、画面を突き抜けてきそうな勢いで画面越しに迫って来る櫻井女史。すごく…怖いです。
念動力――
超能力の一種で「サイコキネシス」の和名。手を触れずに物体に干渉するという、強力な念力のこと。
ヒュッケバインMk-II2号機に搭載されているT-LINKシステムは、その念動力を機体へと伝わせる機能を持ち、それにより装着者の能力を更に高めることができる。
『システムに異常反応を起こさせるだけの能力者だって、この業界じゃ結構有名よ?ねえねえ、ちょとだけでいいから私にも調べさせてくれない?大丈夫!ちょっと頭の中覗くだけだから!』
「怖い!?この人怖いよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
目を血走しらせて鼻息を荒くしながら、手をワキワキと動かして物騒なこと言ってるよあの人!?何!?なにされるの俺!?
折紙の背後に隠れながら震えていると、周りから「可愛い…」とか聞こえてきたけど気にしている場合じゃないよねうん!
『了子君。彼が怖がっているからその変にしておきなさい』
『はーい』
風鳴司令に諭されて渋々といった感じで引き下がられる桜井女史。た、助かったの?
『騒がせてしまってすまない。彼女はシンフォギアシステムを始めとする二課の主要技術を担当していてね。だから君の得意な力に興味があるんだけで悪気はないんだ』
そう言って苦笑いしている風鳴司令。あの人の性格に苦労している様ですね…。
「桜井君には戦闘時の敵の分析や場合によっては、機体の整備を手伝ってもらうこともあるんでそのつもりで。んじゃ次は――」
その後、新しく入った二人を組み込んだフォーメーションを考えたりして解散となった。
折紙がやらかしてくれたおかげで、不機嫌だったオルコットはさっさと帰っていってしまった。まあ、俺にも原因はあるかねぇ。
「おーい、風鳴ー」
「…何だ?」
一人で帰ろうとしていた風鳴に折紙を連れて声をかけると、興味無さそうな目でこっちを向いて下さった。
「せっかく一緒に戦うんだから、ご飯でも食べて親睦深めようよぉ」
しかし怯みはせん!ちょうど昼食の時間だったし、食事に誘ってみるぜぇ!
「遠慮する。私はお前達と仲良くするつもりは無い」
「えー何でよ?」
「防人に馴れ合いなんて不要。ここに来たのは風鳴司令の命令があったからだ。精霊だって私一人でも倒してみせる」
はなっから俺達とは協力する気は無いってかおい。道理でさっきフォーメーションの確認とかしている時に、どうでもよさそに聞いてた訳だよ。
「精霊はそんな簡単な相手じゃないぞ。お前一人でどうこうできたら誰も苦労してねぇよ」
「私には力がある。群れることでしか戦えないお前達とは違う」
隣にいた折紙が掴みかかろうとしたのを手で制する。おーおー言ってくれるじゃないのよ。まあ、実際本来の役目を果たせてないから言い返せないけどさ。
「なら防人さんの実力に期待させてもらうよ」
俺の言葉に答えることなく風鳴は去っていき、そんなやり取りを折紙は不満そうに見ていた。
「どうして止めたの?」
「いや、ここで喧嘩しても得することなんてないじゃないの」
年長者である俺が怒られるだけだって絶対。
「悔しくはないの?あんなことを言われて」
「まあ、多少はね。でも、俺達が弱いのは事実だしなぁ」
精霊に歯が立っていないのが現実だし、そこはしっかりと受け止めるべきだと思うよ俺は。
そんな俺の態度がお気に召さなかったのか、軽く睨まれてしまったでござる。
「それに彼女も俺達みたいに、大変な思いをしてきたんじゃないかなぁ多分」
どうにも風鳴からは他者と関わるのを極端に恐れている様に見える。大切な人が側からいなくなることが怖くて、自分から遠ざけているんじゃないかな?
俺もそんな時期があったから彼女の姿が自分と被って見えたんだよなぁ。折紙の時みたいにさ。
折紙も分かってくれた様で、とりあえずは納得してくれたみたいだ。
「にしても、戦力が増強された筈なのに不安要素の方が多いって、これからどうなるやら…」
オルコットも風鳴も自分なりに背負ってる物があるみたいだけど、それに縛られ過ぎてるんじゃないかねぇ。
結局俺の呟きに答えてくれる人はいなかった…。
本当は入学式まで行きたかったのですが、長くなってしまったので次回とさせていただきます。申し訳ございません。
それと、突然ですが設定の変更をしたいと思います。
第一話で来禅高校を原作通り国立にしましたが、これに俺ツインテールになります。の私立陽月学園を合わせて小中高大一貫性の”私立来禅学園”とします。今後もこのような変更があると思いますが、どうかお許し頂きたく思います。それでは次回をお楽しみに!