人々が避難した筈の市街地を一人の少年が走っていた。
彼の名は五河 士道。来禅学園高等部に通う二年生である。
なぜ彼は避難していないかと言うと、妹である五河 琴里が避難できているか心配になり携帯のGPSで確認すると、昼食を一緒に食べようと約束していたファミレスの前に表示されたのだ。
「何で馬鹿正直に残ってんだよ…っ!」
士道は叫んで、走りながら携帯を開いた。
琴里を示すアイコンは、やはりファミレスの前から動いていなかった。
士道は琴里をデコピン乱舞の刑に処すことを決意しながら、ファミレス目指して今までの人生の中で一番速いだろうと言える程に駆けた。
足が痛み、手足の指先が痺れる。
喉が張り付き目眩がして、口の中がカラカラになる。
それでも士道は止まらなかった。危険だとか疲労だとかは思考の外に放って、琴里の下へ、ただひたすらに走る――!
と――
「…っ、――?」
士道は走りながら、顔を上げた。視界の端に、何か動くものが見えた気がしたのだ。
「あれって、PT?」
最初は鳥かと思ったが、目を凝らしてみると人の形をしていた。
ISかASTに見えたが、全身を装甲に包まれていることからPTであると考えたのだ。
だが、雑誌やテレビみるのとは形状が違っており、確かPTは空を飛べないと聞いたことがある。
などと考えていると、そのPTがこちらへ向かって来た。
「えっ!?」
まさかこちらへ来るとは微塵も思っていなかった士道は足を止めてしまう。
『そこの民間人!避難警報が聞こえなかったのか!』
目の前に着地したPTのスピーカーから拡散された怒鳴り声が鼓膜を激しく刺激した。
冷静になったことで、自分が今どれだけ危険な状況にいるかを認識できた。確かに避難勧告が出ている街を走っていれば怒鳴られて当然である。
「す、すいません!でも、琴里が妹が避難していないみたいなんです!」
『何!?』
PTから驚愕の声が聞こえる。それにしても、どこか聞き覚えがある声だと士道は思った。
『場所はどこだ!』
「この先にあるファミレスです!」
『なら俺が行くからお前は早く避難――まずい!伏せろ!!』
「え?うわ…ッ!?」
PTに無理矢理しゃがませられたと思ったら、突然街並みが眩い光に包まれたのだ。
次いで、耳をつんざく爆音と、凄まじい衝撃波が士道を襲った。
幸いPTが壁になってくれたので吹き飛ばされずに済んだが、顔を上げた瞬間士道は我が目を疑った。
「――は――?」
ついさっきまで広がっていた街並みが、跡形もなく消え去っていたのだから無理もない。
隕石が落ちてきたかの様にクレーターとなっている街の一角の、中心。
そこに何か金属の塊の様なものがそびえ立っていた。
遠めなのでよく細かくは見えないが、ゲームに出てきそうな玉座に見えた。
だが、重要なのはそこではない。
その玉座の肘掛に足をかけるようにして、奇妙なドレスを纏った少女が1人、立っていたのである。
『プリンセス。こんな状況で最悪だな…』
横に立っていたPTからそんな呟きが聞こえてきた。まるで、自身の運の無さを嘆いているみたいだった。
『おい、お前逃げろ』
「え?」
PTが士道を庇う様に前へと出ながら話しかけてくる。
その意味が理解できず聞き返してしまう。いったい何から逃げろと言うのだろう。
『いいから、さっさと逃げ――ッ!』
言葉の途中でPTの左腕の楯みたいな部分が光りだし、何かを受け止めたと思ったら真横へと吹き飛び瓦礫に激突した。
そしてPTのかわりに、目の前に玉座に立っていた筈の少女がいたのだ。
「は――?」
状況が理解できすに固まっていると、目の前にいる少女が手に持っていた剣を振りかぶった、
その剣は横幅が広く、とても少女には持てなさそうな大きさであった。
しかし少女は難なく剣を横薙ぎに振り抜いてきた。
咄嗟に頭を下げる。――否、正しく言えば、士道の身体を支えていた腕から力が抜け落ち、ガクンと上体の位置が下がったと言うべきだろうか。
「―――な」
その、今まで士道の首があった位置を、刃の奇跡が通り抜けていった。
まさに不幸中の幸い。あのままだったら士道の首は切り落とされていた。
腰が抜けている士道の耳に遠雷の様な崩落の音が響いてきた。
「…は――」
士道は錆びついた機械の様に後ろを向くと目を見開いた。
後方にあった家屋や店舗、街路樹や道路標識などが、全て同じ高さに切り揃えられていたのだ。
「ひ……ッ!?」
理解の範疇を超えた戦慄に心臓が止まりそうになる。
一つ分かるとしたらこのままでは自分は確実に死ぬことだけだった。
「じょ、冗談じゃねえ…っ!」
士道は、抜けた腰を引っ張る様にして後ずさる。少しでも早く、少しでも遠くに逃げるために。
「――お前も…か」
「…っ!?」
目の前の少女から酷く疲れた様な声が漏れた。
その声に釣られて少女を見た士道の動きが止まった。
歳は自分と同じくらいだろうか。見たこともない材質でできたドレスと鎧を合わせたかのようなのを纏い、不釣合いな大剣を手にした少女。
状況の異常さ。
風貌の奇異さ。
存在の特異さ。
どれも、士道の目を引くには十分過ぎた。
だが、そんなものはどうでもよくなるまでに――美しい。
死の恐怖すら忘れる程に、少女は美しかったのである。
「――君、は…」
呆然と。
士道は、声を発していた。
少女が、ゆっくりと視線を下ろしてくる。
「…名、か」
心地のいい調べの如き声音が、大気を震わせた。
しかし。
「――そんなものは、ない」
どこか悲しげに、少女は言った。
「―――っ」
その時。士道と少女の目が初めて交わった。
それと同時に、名無しの少女が、酷く憂鬱そうな――まるで、今にも泣き出してしまいそうな表情を作りながら、カチャリと言う音を鳴らして剣を握り直す。
「ちょっ…、ちょっと待った!」
その小さな音に、旋律が蘇ってくる。士道は必死に声を上げた。
だが少女は、そんな士道に不思議そうな目を向けてくる。
「…なんだ?」
「な、何しようとしてるんだよ…っ!」
「それはもちろん――早めに殺しておこうと」
さも当然の如く言った少女に、顔を青くする。
「な、なんでだよ…っ!」
「なんで…?当然ではないか」
少女は物憂げな顔を作りながら、続けた。
「――だってお前も、私を殺しに来たんだろう?」
「は――?」
予想外の答えに、士道はポカンと口を開けた。
「…っ、そんな訳、ないだろ」
「――何?」
そう言った士道に、少女は驚きと猜疑と困惑の入り交じった様な目を向けた。
だが、すぐに眉をひそめると、士道から視線を外し、横へと顔を向けた。
つられる様に士道も目を向け――
瓦礫が崩れ落ち、先程吹き飛ばされたPTが飛び出してきた。
PTは少女へと突撃しながら手に持っていた銃を投げつけると、頭部に備え付けられた銃口から弾丸を打ち出し、銃を破壊した。
それにより一瞬だが少女の視界を遮ると、士道を抱えてその場から離脱した。
「うわわぁ!?」
体感したことのない速度で景色が変わり、目が回りそうになるが、ふと速度が緩んだ。
どうやら安全と思える場所まで移動した様で、瓦礫の影になっている場所に下ろされた。
『おい、大丈夫か!?』
「あ、はい。大丈夫です」
切羽詰まった声で聞かれたので、取り敢えず無事であることを伝えると、そうかと安堵した様だ。
『ここでじっとしていろ。すぐに救助部隊が来てくれる』
そう告げると踵を返そうとするPTに、さっきの少女のことが気になり声をかけた。
「あの子は一体何なんですか?」
『…詳しくは言えんが、あれは人類の敵だ』
「人類の敵?」
『奴が存在し続ける限り、多くの人々が危険に晒される。だから倒さねばならんのだ』
そう言うと背を向けて飛び上がって行くPT。それにしても先程の話は、まるで自分に言い聞かせているかの様だった。
「あの子が敵…?」
そう口にしてみると、あの少女の悲しそうな顔が思い起こされる。
あんな目をしている子が敵だなんて、士道にはどうしても納得することができなかった。
以前、話の区切りのいい所で、スパロボの中断メッセージみたいなのをやってみたらどうかとの意見を頂きました。
そしてこの話を書いている時、ふと「あれ、十五話で一区切りついてね?」と思い、今更ながら書いてみました。
今後も区切りのいい所でやっていくので、こんなのをやってみて欲しいって方がいましたら、活動報告に意見欄を近い内に設けますので、書きこんで下さいませ。
MK-Ⅳ「参戦作品を一言で紹介してみよう!」
勇「イエーイ!」(ドンドン!パフパフ!)
勇「まずはインフィニット・ストラトス」
MK-Ⅳ「ハイスピード・ラブ・朴念仁」
勇「ソード・アート・オンライン」
MK-Ⅳ「見ろ、ヒロインが使い捨てカイロのようだ!」
勇「戦姫絶唱シンフォギア」
MK-Ⅳ「着いて来れるものだけ着いて来い!」
勇「ビビット・オペレーション」
MK-Ⅳ「ビビットアングル」
勇「魔法少女リリカルなのは」
MK-Ⅳ「最終的にタイトルから少女が消えてなくなる」
勇「デート・ア・ライブ」
MK-Ⅳ「スト―カがどんなのかがよく分かる」
勇「俺、ツインテールになります。」
MK-Ⅳ「ツインテール」
勇「以上。…これファンの皆さんに怒られない?」
MK-Ⅳ「その時は一緒に焼き土下座しようぜ!」
勇「やだよ!」