ワールド・クロス   作:Mk-Ⅳ

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少し前にたまたま本屋に寄ったら、ISの最新刊が発売されていました。
正直このまま打ち切りになったらどうしようって、ビクビクしていたので嬉しかったです。
ISの新刊が出ないとこの作品も死にますからね。
まあ、まだ読めてないけどね!



第二十五話

リディアン音楽院の上空に転移してきたインスペクターの機動兵器。機種は”ソルジャー”と呼称されている以前にも現れたのと同様である。

青色と赤色の二種類があるが、青はA型(アサルトタイプ)、赤はB型(バスタータイプ)と分類されている。

数は12機程。対するこちらは俺と風鳴の二人。テイルレッドは民間人と同じ扱いなので、戦力としてカウントしてはいけない。数の差もそうだが、一番の問題はまだ周りに民間人がいることだ。

どうにか避難させる時間を稼ぎたいが、既に奴らはこちらに向けて武器を構えていた。

 

「全員、シェルターまで走れェ!!!」

 

事態が飲み込めず呆然としている生徒らに力の限り叫ぶのと同時に、ソルジャーが手に持っているライフルからビームが発射される。まるで雨の様にビームが避難が終わっていない校庭へと降り注いだ。

 

『させん!』

『うおおお!』

 

降り注ぐビームに向かって風鳴とテイルレッドが跳躍すると、風鳴は手にしていた刀を大型化させエネルギーの刃を放って撃ち落とし、テイルレッドは髪留めのリボン状のパーツから紅の剣を召喚すると切り払った。

ビームの何発かが俺の方にも飛んできたが、背後には立花と小日向がいるので回避はできない。なので、左腕のサークル・ザンバーで受け止めるが、防げなかったビームの一発が右肩装甲を抉り熱が肉を焼いた。最も痛みを感じている余裕は無かったが。

 

『勇さん!?』

「大丈夫だ!いいから早く避難しろ!」

 

悲鳴に近い叫び声をあげている立花に怒鳴る様に告げると、テスラ・ドライブを機動させ飛び上がり、ソルジャーへとショットガンを乱射する。ろくに狙いをつけず、距離も離れているため大して当たりはしないが、とにかく奴らの注意をこちらに向けられればそれでいい。

目論見通り敵の攻撃が俺へと集中しだしので、回避に専念するが数が多すぎるのですぐに限界がきてしまう。どうにか打開策を考えないと…。

 

『――ここからは我々の領分だ!お前は退がっていろ!』

『でも、あなた達だけであの数は…』

『幼子を戦場(いくさば)に立たせられるか!ここは我々に任せろ!』

 

風鳴の通信機を通じてテイルレッドとの会話が聞こえてきた。俺としてもあの子にも避難してもらいたいが、説得している余裕も無いのが現状だしな。こうしている間にも敵の攻撃を各々が捌いている状態だ。

どうすべきか考えていると、飛来してきた弾丸がソルジャーにダメージを与えた。

 

『遅くなった』

「折紙か。すまん助かった」

 

CR-ユニットを装備した折紙が、アサルトライフルを撃ちながら俺の前まで移動すると、テリトリーを壁として展開し敵の攻撃を防いでくれる。

すると今度は、新たに飛来した閃光がソルジャーの一体を貫き爆散させた。あの方角はIS学園か!

 

『聞こえるか天道軍曹?』

「ええ、聞こえます。織斑先生」

『オルコットに狙撃で援護させる。こちらからもできる限りのバックアップをする。山田君周辺の状況を送ってくれ』

『はい、織斑先生』

 

周辺の避難状況と言った、交戦空域に関するデータが送られてきた。こういった些細な情報でもあると無いのとでは、雲泥の差なのでとても助かる。

それに、元々オルコットのブルー・ティアーズは遠距離からの攻撃を得意としている。なので、この前みたいに前に出られるより、後方支援に徹してもらった方が助かる。

 

『天道軍曹』

「どうしました?風鳴司令」

 

こんどは特異災害二課からの通信だった。指令の切羽詰まった様子から、ただごとでは無いみたいだ。

 

『ブルーアイランド基地からの連絡で、あちらも敵の襲撃を受けているとのことだ。すまないがこれ以上の援軍は期待できない、君達だけで対応してもらうことになる』

「了解。問題ありません」

 

やはりそちらも攻撃を受けているか。俺達と本隊を分断して各個撃破を狙っているのか?

いずれにせよ、このメンツなら十分に対応できる戦力だ。やってみせるさ。

 

『なぜわたくしがこのような地味な役割を…』

『何か不満か、オルコット?』

『い、いえ。そんなことはございませんわ、織斑先生!』

 

オルコットがぶつぶつと文句を言っていたが、千冬さんのドスの効いた声に気圧された。

ヤクザも真っ青なくらい怖いとか言ってはいけません。三途の川に送られます。ソースは俺。

 

『勇太郎からの指示だ。現場の指揮は勇君に任せるとのことだ』

「俺が、ですか?」

 

俺が指揮を取れって、かなりの無茶をおっしゃいますね風鳴司令。一応父さんからレクチャー受けてますけど、俺まだ新兵なんですけど…。

 

『お前なら問題ない。やってみせろ』

「そこまでおっしゃるなら、引き受けますが。責任取れませんよ織斑先生?」

 

俺に期待しすぎじゃありませんかね?まあ、やるだけやりますが。

 

『誰か異論のある者はいるか?』

 

風鳴司令の問いに反論は無かった。風鳴もオルコットも、自分の上役である指令と千冬さんにそう言われると黙るしかないんだろうけど。

さてと。指揮官のコツとしては、まず味方の能力を把握すること。それを基に誰に何をしてほしいのかを考えること。そして一番大事なのが、仲間を信じることだったな。

敵は中隊規模。1機撃破されているので11機で3小隊に別れているな。ならば――

 

「折紙とオルコットは左側の敵を牽制しろ。まずは右の方を片付ける。俺は空から攻撃し奴らを地面に降ろす、そこを風鳴が叩け。それと風鳴」

『何だ?』

「テイルレッドにどうしても戦うなら、俺の指示に従うことが条件だと伝えろ」

『この子も戦わせる気か貴様!!』

 

怒って当然だけど、耳が痛いんで怒鳴らないで下さい。俺だって嫌だけど、退がってくれないんだから仕方ないじゃないか!

それと、こうして話している間にも攻撃が続いているんだ。オルコットが狙撃で抑えてくれているが、これ以上は防ぎきれなくなるんだよ!

 

「だったら何とか退がらせてくれ!それでいいですか司令?」

『…致し方あるまい。許可する』

 

指令もあんな幼子を戦わせたくはないのだろうが、状況が状況なので認めてくれた。

許可が出た以上従うしか無いので、風鳴がテイルレッドを説得を開始する。

 

『…その条件で構わないそうだ』

「分かった。お前はその子と一緒に行動してくれ。では、行くぞ!」

 

俺の合図と共に折紙が背部のポッドから、複数のミサイルを発射する。

それに対してB型も、背部のポッドからミサイルを発射し迎撃される。

ミサイルの爆発で発生した煙を目くらましにし、一気に右翼側に接近するとA型の一体をザンバーで両断する。

そして周囲のソルジャーにショットガンを撃ちまくる。散弾を受けて怯んだ敵機を蹴り飛ばして他の機体にぶつける。

中央と左翼の部隊が援護しようとするが、左翼はオルコットの狙撃と、その合間を縫った折紙の攻撃によって満足に動けず、中央の部隊も折紙が適度に牽制してくれているので、俺は右翼の部隊への攻撃に専念する。

俺達の攻撃に耐えかねた右翼側が高度を降ろし、地面との距離が縮まったところで風鳴が仕掛けた。

 

『舞え、刃よ!』

 

逆立ちと同時にコマの様に回転し、展開した脚部のブレードでソルジャーを切り裂いていく。

風鳴が仕留めきれなかった敵機を、テイルレッドが剣で切り倒す。これで右翼は片付いた。

 

「次、中央を叩く!」

 

風鳴にあることを指示すると、気を抜くことなく中央の部隊へと襲いかかる。ショットガンの残弾がゼロとなっていたので投棄し、両手にサーベルを装備して突撃する。

A型の一体と切り結ぶと、背後に回った別のA型が斬りかかってきたので、左手のサーベルを逆手に持ち直して受け止める。

そこにB型の二体が大型のライフルを俺へと向けてくる。味方ごと撃つ気か、無人機ならではの戦法だことだな。だがな――

 

「俺に集中し過ぎだな」

 

ビームを撃とうとしたB型それぞれに、地面の方から飛んできたいくつかの小刀と剣が突き刺さって墜落していく。風鳴とテイルレッドが投擲(とうごう)した物である。先程こうなった場合に備えて指示しておいたのだ。

 

「ぬおらぁ!!」

 

背後で切り結んでいたA型を蹴り飛ばし、空いた左手のサーベルを、正面のA型の胴体に突き刺してから切り捨てる。

すぐさま反転し、蹴り飛ばされて態勢の立て直せていない残りのA型へと左手のサーベルを投げつけた。

投げたサーベルは切り払われたが、その隙に懐へと潜り込み右手のサーベルで右腕を切断し、ザンバーで横薙ぎに胴体を両断する。

これで中央も全滅し、残りの左翼側は既に折紙とオルコットによって片付いていた。

 

『敵部隊反応消失。増援が来る気配はありません』

『ブルーアイランド基地より入電。こちらも敵部隊の撃退に成功したとのことです』

 

二課オペレーターの、藤尭朔也さんと友里あおいさんが状況を教えてくれた。今回はこれで終わりか。

 

『よし、皆ご苦労だった。勇君テイルレッドの説得を再開してくれ』

「了解って、ん?おい、風鳴。あの子はどこに行った?」

 

ついさっきまで、風鳴の側にいた筈のテイルレッドの姿が忽然と消えていたのだ。

 

『わ、わからん。気がついたら消えていた』

『これは…』

『どうした友里君?』

『インスペクターとは別の転移反応を検知。恐らく、転移して離脱したものと思われます』

 

転移までできるのかあの子。てか、まるで俺達から逃げたみたいな感じだな。俺達とは関わりたくない理由でもあるのだろうか?

 

『向こうには向こうの事情があるのだろう。また次の機会に話し合ってみよう。各員帰投してくれ』

「了解」

 

初めての部隊指揮だったが、個人的には上手くできたかなと思う。けど、指揮官は他の人の命を背負うってのは理解しているつもりだったけど、想像以上に疲れるな。

こんな重圧をいつも背負っている父さんや、燎子さんは凄いなと改めて感じたのだった。

 

 

 

 

 

戦闘終了後基地へと戻り、傷の治療を終えると、父さんに呼び出されたので部屋へと向かっていた。

部屋には折紙、風鳴、オルコットと今日共に戦ったメンバーが揃っていた。どうやら俺が最後の様である。

 

「遅くなり申し訳ありません少佐」

「いや、気にするな。それより傷はどうだ?」

「はっ問題ありません」

 

傷と言っても右肩が少し焼けた程度なので、リアライザを用いればすぐに治せる。

 

「皆今回は苦労だった。おかげで市街地の被害は軽微で済んだ」

「こちらの方の被害は?」

「大した戦力では無かったんで、微々たるものだったよ。基地の戦力を足止めできればよかったのかもしれん。恐らく奴らの本命は君達だったのだろう」

「自分達がですか?」

「奴らは侵略する世界で優れた技術を取り込もうとする傾向がある。ISやシンフォギアシステムにCR-ユニットに新型PT、それにこの世界のテイルギア。奴らにとっては絶好の狩場に見えたんだろうよ」

 

確かにあの場には、この世界を代表する兵器や装備が揃っていた訳だ。今考えてみると、インスペクターにとっては餌が並べられていたに等しい状況だったのか。

 

「そこで今後も同様の事態が起きた場合を考えて、新設の部隊を立ち上げることになった」

「新設の部隊ですか?」

「そうだ。有事の際、独自の判断で行動できる正規の指揮系統とは異なり、民間からの協力者とそれを統括する軍人で構成された部隊、名称は決まっていないので取り敢えず”独立混成遊撃部隊”と呼称される。君達はそこに所属してもらいたい」

 

なる程。今回みたいな突発的な事態でも、素早く対応するための部隊って訳か。

まあ、通常の指揮系統に民間人を入れても、上手く機能しないだろうから、分けた方が効率的なのだろう。

 

「現在のメンバーはここにいる者達となる」

「現在はと言うことは、今後もメンバーが増えるのですか?」

「ああ。本来なら中国の専用機持ちの代表候補生も昨日IS学園に入学して、参加する予定だったのだが。先月中国で発生したノイズとの戦闘で機体が破損してしまい、到着が遅れているんだ。他にフランスやドイツの専用気持ちの候補生の参加も決まっているが、こちらは機体の調整が遅れているそうだ」

「中国やフランスにドイツがですか?」

 

代表候補生という言葉にオルコットが反応した。自分のライバルと言える存在だから当然と言えるが。

 

「そうだオルコット君。君と日本の代表候補生を入れると、一学年だけで五名の専用機持ちの候補生が在籍することとなる。これはIS学園史上最高人数になるな」

「そんなに多いのですか?」

「多いな。例年なら一人か二人いるかどうかだ。専用機を持っていない候補生の方が多いくらいだ」

「原因は一夏ですか?」

「それもあるな。史上初の男性操縦者だ。少しでもその秘密を知りたいと、どこの国も考えているのだろうさ。それに、今は第三世代の試作機が完成している時期だからな、IS学園でデータ取りをするついでみたいなもんさ」

 

つまり、男性操縦者の登場と、新型ISの完成時期が偶然一致した結果ってことですか。

 

「別に男性操縦者など興味はありませんわ」

「へえ。IS操縦者なのに?」

「ISを動かせようが弱ければ意味はありませんわ。ISが動かせると言うだけで、ちやほやされているだけの(やから)など、せいぜい見世物のパンダにでもなっていればいいですわ」

「厳しいねぇ~。ま、その通りだけどさ」

 

ISに限らず、パワードスーツを身に纏う者に求められるのは強さだ。ISの世界でただ動かせるってだけで、世間から注目されている一夏を快く思わない者は多いのだろうな。

喜んでいるのもISを管理している委員会に、研究者や企業のお偉いさんと言った、現場外の人間が大半ってところかな?

 

「話が逸れたが、新設部隊の隊長は天道軍曹。お前にやってもらいたい」

「え?じ、自分がですか?入隊したての新兵ですよ!?」

 

入隊して数ヶ月で部隊長とか聞いたことないですよ!無茶ぶりはやめて下さいよ!

 

「この部隊は前例の無い構成になる。故に、既存の常識に捕らわれない運用を試してみるべきだと司令は考えていてな。お前なら年も近いしメンバーと何かと接しやすいだろう?指揮能力も先程の戦闘で問題ないと判断しての人選だ。二課やイギリス各国も了承している」

「二課はともかく、各国がよく認めましたねそんなの…」

 

よく新兵に自国の大切な人員と装備を預ける気になったな…。

 

「それだけ期待されているってことさ」

「期待ですか?俺に?」

「天道少佐の息子だから期待されているのだと思う」

 

意味が分からず困惑していると折紙が説明してくれる。知っているのか、折紙!って言いそうになったけど、真面目な話をしているのでやめておく。

 

「どういうことだい折紙?」

「少佐はPTの開発に深く関わり、それ以前からも数々の武勲を重ね軍内部で”英雄”と呼ばれている。その息子である勇が期待されるのは必定」

「…つまり少佐の息子(・・)だから期待してるってことね」

 

それって俺自身(・・・)のことは見てないってことかよ。なる程、そういう風に見られてるのね俺って。

 

「そんな連中の思惑は知らんが、お前は昔から人を引っ張るのが得意だったからな。お前以外の適任者はいないと俺は思う。どうだ?やってくれんか」

 

そこまで言われると断りようが無いじゃないですか。これは腹を括るしかないみたいだ。

 

「了解しました。その任お引き受けします」

「結構。他に軍属がいないんで、副隊長は鳶一軍曹ってことになるけど、誰か異論はあるかな?風鳴君とオルコット君はあくまで民間からの協力者なので、不服ならこちらからの命令を拒否してくれても構わんけども」

「了解」

「私は自分の戦いをするだけです。誰が指揮官だろうと関係ありません」

「今回従ったのはやむを得なかっただけですわ。このセシリア・オルコットのみの力でも、戦い抜いて見せますわ!」

 

折紙はいいとして、他の二人は人の意見を聞く気がない模様。あくまで民間からの協力者なので、強く言えないんだよねぇ。

 

「その結果が前回の戦闘だったんだが、それについて言いたいことはあるかな?」

「「それは彼女(この人)が邪魔をしたからです(ですわ)!」」

 

そう言って睨み合う風鳴とオルコット。折紙氏は止める気は無い模様。この部隊前途多難過ぎる気がします。

 

「好き勝手やって失敗するより、皆で協力して成功するのとどっちが有意義だと思うかね?特にオルコット君は、結果を出さないと不味いんじゃないかな?同じことが続くと二課やイギリスの立場も悪くなるしさ」

「それは、そうですが…」

「……」

 

父さんの正論に反論できない模様。ま、どんな過程でも、結果を伴わなければ認められない世の中だからねぇ。

 

「一先ず何度か実戦で試してみて、それでも嫌だっと言うのなら、編成を考え直すってことでどうかな?」

「そう言うことなら…」

「分かりましたわ…」

 

渋々であるが、取り敢えず納得して下さった様である。後は俺の頑張り次第かぁ。ちょっと胃が痛くなってきた。

 

「で、早速だが。君達に任務を言い渡す」

「いきなりですか!?」

 

発足早々に任務とか何やらされるの!?

 

「そう身構えるな。軍事的なものじゃない、変質者の調査と捕縛だ」

「変質者、ですか?」

 

父さんの言葉に無表情の折紙以外が首を傾げる。それは警察の仕事では?あ、もしかして――

 

「最近話題になっている、白衣の変質者ですか?」

「「白衣の変質者?」」

 

風鳴とオルコットが綺麗にハモったな。何だかんだで仲いいのかね君ら?

 

「うん。先月くらいから、この島にある小中学校の生徒や、保育施設の園児を怪しげなマスクを被って覗き見ている、俺達くらいの年齢の白衣の女が出没しているんだってさ。しかも、かなり血走った目をしているとか聞いたね」

「何だそれは…」

「不気味すぎて、トラウマになりそうですわね…」

 

ドン引きしている風鳴とオルコット。折紙も表情は変えないが引いているみたいである。

 

「勇の説明してくれた通り、対象はその白衣の変質者だ」

「しかし、なぜ我々に?それは警察の役割では?」

「その通りなんだが。幾度が警察が逮捕しようとしたのだがな、その度に逃げられてしまっているのだそうだ。逃げ場のない路地に追い込んでも、忽然と姿を消してしまうのだそうだ」

「忽然と姿を消す?」

「ああ。警察だけでは手に負えないと軍に協力を依頼されてな、そこで軍が調査した結果、どうやら転移技術が使われているみたいなのだ」

 

転移技術って、そんな高度な技術を覗きに使っているとか、どんな頭してるんだよそいつ…。

 

「転移技術が使われていると言うことは…」

「白衣の変質者は異世界人である可能性が高い。最悪、管理局の手を借りなければならんかもしれんな…」

 

そんなことで管理局の手を借りたくないのだろう、憂鬱そうな顔で溜息を吐く父さん。

 

「場合によっては、特殊部隊を出さねばならなくなるかもしれんが。軍としても今の情勢下で部隊を動かして市民を刺激したくなくてな。そこで独立部隊である君達の力を借りたい」

「確かに変質者程度で軍が動いているなんて知れたら、市民も不安になりますね。その分、普段は民間人として活動している我々なら、目立たずに動ける訳ですね」

「そう言う訳なので、よろしく頼む。風鳴君とオルコット君は、さっきも言った通り拒否してくれても構わないよ?」

「そう言うことなら構いませんわ。力無き者を守るのも貴族の役目ですから」

「か弱き幼子を狙う卑劣な輩を成敗するのも防人の役目。お引き受けします」

 

皆思いは同じらしい。家のユウキなんか見た目も幼く見えるから、狙われる可能性があるので放っておきたくないしね。

 

「ありがとう。変質者に関する資料を用意させるので、目を通しておいてくれ。それでは今日はこれで解散だ」

「了解」

 

俺と折紙は敬礼してから退出するのであった。軍が対応せざるを得ない変質者も現れるとは、どうなってるんだろうなこの世界…。

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