「……」
ペンを走らせる。
「……」
ペンを走らせる。
「……」
ペンを走らせる。
「……」
ペン、を…走らせ、る――
「お、終わった…」
燃え尽きた明日のボクサーの様にテーブルに突っ伏す。
テーブルに広がっているのは、数日前の白衣の変質者捕獲作戦に関する報告書。そして始末書である。
作戦中の器物損害や爆発物、何よりパワードスーツの無断使用と言う重大な軍規違反をやらかしてしまった訳だが。幸い紫条指令や父さんが便宜を図ってくれたので、厳重注意だけですんだ。
最もやらかしたこと自体が消える訳ではなかったので、こうして始末書も書いているのだ。
多量の書類との格闘を終えたのはいいが、もうこんな時間か。時計を見ると、良い子は寝る時間はとっくに過ぎて大半の人は夢の中にいる時刻となっていた。
こ、これが管理職というものなのか…。大人の苦労を実感したぜ…。
「で、突っ伏したまま寝たら寝違えたと」
「うむ!」
食堂でいつもの様に朝食――はいいのだが、寝違いました!右向いたまま動かせません!
とは言え、そんな心配そうな目で見る必要はないんやで詩乃さんや。
「だ、大丈夫なの勇兄?」
「大丈夫だ。問題無い」
「問題しかないと思います勇さん」
何を言うか箒。これをこうしてこうすれば…。ええい、口まで運べんだと!?
「諦めることも大切なんだよ兄ちゃん」
「まだだ。まだ終わらんよ!」
優しく諭すな妹よ!なんか悲しくなるから!
「むむむ…」
「もう、しょうがないなぁ。ほら貸して」
悪戦苦闘していると、見かねた様にユウキが箸を取り上げてきた。
そしてあろうことか、俺の分のおかずをつまむと口元の運んできた。しかもニコニコといい笑顔で。
「ユウキ!?何をしている!?」
「いやいや。ちょっとお手伝いをね。はい、あ~ん」
はい。あ~んだと!?この歳で妹相手だぞ!馬鹿な、恥ずかし過ぎる!
「そ、そんなことしなくてもいい!自分でできる!」
「どうやって?」
「ぐぬぅ」
く、諦めるな俺。考えるのだ。この状況を打開する術を!
「思いついた?」
「いえ…」
現実とは非情である。この辱しめを受けよと言うのか神よ…!
「ほらほら早く早く。時間なくなっちゃうから」
「……」
これは、覚悟を決めるしかないのか…。てか、全方位から視線を感じるんですけど。皆して食い入る様に見ないで下さい。マジで。
「はい。あ~ん」
「…あ~ん」
無我の境地で口を開けると、入れられたおかずを咀嚼する。そして周りから『おお』とどよめきが起きる。何、この公開処刑?
「どう?美味しい?」
「そりゃ、美味しいわな」
ここの料理は高級料理店ばりの味だからな。だが、俺の答えに不満なのか、、むーと頬を膨らませるユウキ。
「はい、詩乃パス!」
「ん」
「え、ちょ…」
なんと、ユウキが詩乃に箸を手渡しおった!?アイエエエエ!ナンデ!?ナンデナノ!?
「はい。あ~ん」
「……。いや、あの…」
「あ~ん」
怖い。笑顔なのに怖い。断ったら蜂の巣にされそうなくらい怖い。俺に拒否権は無いと?
ええい。もうどうにでもなれ!
「あ~ん!」
ヤケクソ気味に差し出されたご飯にかぶりつく。そして『おお!』と先程よりも大きなどよめきが起きる。いや、見世物じゃないんやけど。
「はい。アミタさんパス」
「ふ、ふぇえええええ!?!?!?」
満足した様な顔で詩乃がアミタに箸を手渡す。するともの凄くビックリしたのか椅子から転がり落ちそうになっていた。
「わわわわわわわわわわ私わぁいいいいいいいいですよおおおおおおおおおぉ!?」
あたふたしながら箸を返そうとするもユウキも志乃も、いい笑顔で親指をグッと立てるだけだった。
「ああう~あううう~」
同様し過ぎたのか、目をグルグルと回しながらオロオロしているアミタ。
「いや、無理しなくていいから返しなよ」
「えとえとえと…!」
心の中で葛藤があるのか、箸と俺を交互に見ながら唸っている。
やがて決心したのか。震える手でおかずを箸で掴むと、おずおずと俺の口元まで運んできた。
「あ、あ~ん…」
「……」
涙目になりながら上目遣いで箸を差し出すアミタ。…今日死んでもいいかもしれん。
「あ~ん」
差し出されたのを食べると周囲から歓声があがった。食堂のおば様方は感動したのか泣いてるし。何だこれ?
「……」
「ん?どうした箒?」
「い、いやなんでもないぞ一夏!」
俺達のやり取りを見ていて、羨ましそうにチラチラと一夏を見ていた箒。
そんな箒の様子に首を傾げていた一夏だが、何かに気がついた様な顔をした。
「ああ。もしかしてトイレかがぁ!?」
「ああそうだな。お前はそういう奴だよなぁ!」
「いだだだだだだ!?箒足が砕けるって箒!」
見当違い過ぎることをほざいた朴念仁の足を、力の限り踏みつける箒。君らは相変わらずだねぇ。
「今日だな」
「何が?」
ブルーアイランドにある亡国機業の拠点であるビルのオフィス。
そのオフィスにある外を一望できる窓から景色を眺めていたヴォルフの呟きに、ソファーで寝転びながらファッション誌を読んでいたキリエが反応した。
「今日獲物が現れる」
「それって精霊のこと?」
「ああ」
キリエの問いかけに景色を眺めながら答えるヴォルフ。その顔はどこか確信に満ちていた。
「なんで分かるのよ?」
キリエの疑問も最もであった。ここ最近の出現パターンから算出して、次に精霊が現れるのは数日の内と見られているが、正確な日時までは不明であった。なのにヴォルフは今日この日に現れると言ったのだ。
「勘だ」
いつもの様に無表情で迷わず言い放ったヴォルフの言葉に、思わずソファーから転げ落ちそうになるキリエ。
「いやいや、勘って…」
それだけで精霊がいつ現れるのか分かるのなら、誰も予測に苦労はしないだろう。
「ヴォルフがそう言うなら間違いないな」
「ああ」
「そうね」
怪しんでいるキリエとは対象に、スコールら付き合いの長いメンバーは全く疑っていない様である。
「なんでそんなに信じられるのよ…」
「ヴォルフの勘は外れたことがないんだよ。どこに罠があるのかとか、敵がどんな動きをしているのとかが分かっちまうのさ」
「何それエスパー?」
確か自分の正体を見破った時も勘だと言っていたが、○ュータイプだとでも言うのかこの男は。
「今回は情報が揃っていたからだ。知らないことまでは分からんよ」
「それでも異常だろ」
ジト目でヴォルフを見るキリエ。いくら人工的に遺伝子を操作されているとは言え、本当に人間かどうか思わず疑ってしまう。
「それよりもスコール。例の『協力者』に連絡をしておいてくれ」
「分かったわ」
「てか、その協力者は使えるのか?」
次からの任務には、ファントム・タスクの協力者が参加する予定となっているが。ヴォルフ達はどれ程の実力を持っているのか知らなかった。
「詳しいことは知らん。分かっているのは、そいつは俺達テロリストを嫌っていることくらいだ」
「そんな奴がなぜ我々に協力をする?」
エムの言う通り、言っていることとやっていることが明らかに矛盾していた。
「何か事情でもあるのだろう。どうでもいいがな。ま、足でまといになるならば切り捨てるまでだ」
特に興味のなさそうに言うヴォルフ。
ファントム・タスクとは、様々な思惑を持った者達の集まりでもある。故に仲間意識などなくとも、利害が一致するから利用し合う。それだけでいいのだ。
「協力者がいようがいまいが、俺達のやることは変わらん。獲物を狩るそれだけだ」
そう言うヴォルフの目は、獲物を求める猟犬の様であった。
「で、寝違えた訳?あんたにしてはヘマしたわね」
「自覚しているよ。慣れないことなんてするもんじゃないな」
その日の放課後に、他の人に気づかれない様に津辺を呼び出し、人気の無い校舎裏にいた。
津辺は呆れた様にジト目をしているが、一応心配してくれてはいるらしい。粗暴なところはあるが、なんだかんだで優しいところもあるからな彼女は。
まあ、首の様子はだいぶマシにはなったけど、まだ痛みが残っているな。
「それで要件は響のことかしら?」
「ああ。様子はどうだ?」
津辺を呼び出したのは、前に自分を省みらなさ過ぎる行動をしたことを咎めた立花の様子を聞くためである。
小日向でもいいのだが、彼女だと立花に勘付かれるかもしれないのでね。
「そうね。あんたに呼び出されてから、ずっと塞ぎ込んでるわあの子」
予想はしていたけど、そこまで重症だったか…。
「でも、あたしは感謝してるわよ。あたしじゃいくら言っても分かってくれなかったし」
どこか嘆く様に言う津辺、親友の身を案じても、何もできなかったことへの無力感に苛まれていたのだろうか。
「だが、俺ができるのはここまでだ。後はお前達にしかできないことだ」
無責任な話だが、今の状態の立花をフォローできるのは、幼馴染の小日向と親友の津辺くらいなものだろう。
これ以上俺が彼女にできることは無いのだ。言うだけ言って逃げるって最低だな俺…。
「それは構わないけど。もう少し優しく言ってもよかったんじゃないの?」
「そうでもしなければ、彼女は納得しなかっただろうさ。俺には他の方法が思いつかなくてね」
「あたしにはあんたが響から逃げたくて、突き放した様に見えるんだけど?」
…やっぱバレたか。痛いところを突かれたな…。
「否定はせん。立花と距離を置くべきだと考えているのは事実だ。俺の真似なんされてもかなわんからな」
「どちらかと言うと響の『想い』から逃げてるんでしょう?まさか、気づいていないなんて言わないわよね?」
「無論だ。俺は末弟やラノベ主人公の様な、鈍感スキルは持ち合わせておらんよ」
立花が俺に好意を寄せていることには気づいている。だからこそ距離を置くべきなんだ。
「俺なんかを好きになったって碌なことにならんさ。他の相手を探すべきだ」
「はぁ…」
おかしい。まっとうなことを言った筈なのに、呆れ顔で溜息をつかれたぞ?
「あんたと言いそーじと言い。どうしてそんなに自分を卑下したがるのかしらね」
「俺と総二を同列にするな。俺は彼みたいに強くはない。戦うことしかできない大馬鹿野郎だ」
どれだけ周りから異端扱いされても、ツインテールを愛し続けることを諦めない。そんな心の強さを持った総二と、戦う強さを求める俺とを一緒にするな。彼に対する侮辱にしかならんぞ。
「だったらどうして、あんなに大きなファンクラブがあるの?なんで皆あんたを頼るのよ?本当に戦うだけの大馬鹿野郎なら、誰もあんたのことを慕いはしないわよ」
津辺の言葉に何も反論できなかった。せめてもの抵抗として、貫くようなその視線から逃げない様に意地を張るだけで精一杯だった。
「他人の生き方をどうこう言いたくはないけど。友達の恋の応援をしたいから、言わせてもらったわ。あんたは誰かに愛される資格がある。だから響の気持ちから逃げないであげて」
もう話すことは無いと言う様に立ち去っていく津辺。俺はその場から動くことができずにいた。
彼女が言ったことは間違っていないのだろう。でも――
こんな血塗れの俺が、本当に俺は誰かを愛していいのかな母さん?
その問いに対する答えの代わりに、空間震警報が鳴り響いた。
「まさかここに現れるとはな」
MK-Ⅱを身に纏い、半壊している校舎を見つめながら俺は呟いた。
そう。今回精霊が現れたのは、我が母校でもある高等部内であった。
校庭がすり鉢状に抉れており、その周囲の校舎の一部や道路が綺麗に削り取られていた。どうやら精霊は校庭に出現後、校舎内に入った様である。
周囲では既にPT部隊とノイズによる戦闘が発生しており、あちこちで銃声や爆音が響いていた。
そもそも、何故空間震が発生するとノイズが出現するのか。そしてそれ以外での出現率が上がっていくのか、はっきりとしていないのだ。
ある科学者が、空間震によってノイズのいる世界と、この世界との境界線が崩れてしまっているのではないかとの説を唱えている。
最も人類がノイズについて把握していることは、『異世界からやって来て人間だけを襲う化物』程度のことだけであり。捕獲を試みても発生から一定時間が経過すると、ノイズ自身が炭素化して自壊してしまう。このことからノイズに関する研究は一向に進んでおらず。目的や生態系と言ったことは、30年前に特異災害と認定されてから一切不明なままとなっている。
「にしても動かんな」
俺達遊撃隊とASTで校舎を取り囲み精霊の様子を見ている。精霊との戦いは僅かなミスでも命取りになるので、慎重に慎重を重ねなければならないのだ。
反応では今回現れたのはプリンセスの様だが、校舎に隠れてその姿を視認できていない。
建物内では動きを制限され数の理を生かせないので、向こうから出てきてもらうのを待っているのだが。一向に動きを見せないでいた。
『待たなくても、こちらから攻撃して炙り出してしまえばいいのに…』
前回の雪辱を早く晴らしたいのか、オルコットが焦れた様子で言う。
『世論の目もあってな。無闇に建物を破壊すると騒ぐ連中もいるんだ。『こうせざるを得ない』というアピールも必要なんだ』
風鳴司令の言う通り、精霊が相手だからってなんでもしていいと言う訳ではない。好き勝手やると、反発する人達が出てくるのも事実である。それに弾代だってタダでは無いのだ。世知辛いがね。
『そろそろいいかしらね。各員攻撃準備!精霊を炙り出すわよ!』
頃合いと判断した日下部大尉の合図に合わせて、各々の得物を構える。
俺は手にしていたGインパクト・キャノンを、胸部のコネクターに接続し、チャージを開始する。
『攻撃開始!』
一斉に放たれた砲火が校舎に殺到し、残されていた原型を崩していく。
間もなくチャージが完了するので、トリガーに指をかける。いくら精霊でもこいつの直撃なら有効打になる筈だ。
外壁が崩れていき精霊の姿が晒される。そしてその側に、少年と見られる人間が――
「人間だと?」
思わず訝しげな声をあげる。おかしい。避難警報は発令されている。周囲に民間人の反応が無いことは何度も確認している。二度あることは三度あるなんてことにはならない筈だ。なのに彼はどこから現れた?
他の人達も気がついたのか、次々と攻撃の手を止めていく。
「五河?」
少年の顔には見覚えがあった。五河士道――前回の精霊との戦闘中に保護された少年であった。
誰もが戸惑う中。折紙が突撃しそうになっていたので、キャノンとの接続を解除し、慌てて立ち塞がる様にして止める。
「待て折紙!」
『どいて!士道が!』
普段の無機質さを感じさせるのではなく、感情的な声をあげる折紙。
「落ち着け!下手に精霊を刺激すると、逆に彼が危険に晒されるぞ!」
『――ッ!』
俺の言葉にハッとした様な顔をする折紙。そこまで頭が回らない程に感情的になっていたのか。それだけ五河が大切なのだろう。
幸い精霊が五河を傷つける様子は無い。と言うか寧ろ楽しそうに話し合っている様に見える。
『はい、民間人が精霊の側に。間違いありません』
この状況は、自分の判断だけではどうにもならないと考えた大尉が、紫条指令や父さんと連絡を取り合っていた。
現状の装備では、五河を傷つけずに一撃で精霊を仕留めることができない。五河に危険が及ばない限りは、今回は見逃す方針になりそうだな。
そう考えていた瞬間。空から降り注いだ光が精霊と五河がいる場所へと降り注いだ。
時は少し遡り。高等部校舎の二年四組の教室内に二つの人影があった。
一つは精霊プリンセス。そしてもう一つは五河士道である。
ラタトスクの交渉役である士道は、同組織のサポートを受けて校舎内に潜入しプリンセスとのコンタクトに成功したのだ。
そして名前が無いと言うプリンセスの求めに応じて、《十香》と命名し良好な関係を築いていた。
すると突然、けたたましい音と共に教室の窓ガラスが割れ、銃弾やらレーザーやら斬撃の様な物が士道ら目掛けて襲いかかってきた。
どうやら予想よりも早く軍の攻撃が始まった様である。
十香からは逃げる様に言われたが、この機を逃せば、次に会えるのがいつになるか分からない。何より士道の心が逃げてはいけないと訴えていた。なので会話を続行した。
銃弾やらが吹き荒れる教室で、女の子と向き合いながら話す。当然生まれて初めての経験である。
十香の力なのか分からないが、攻撃は二人を避ける様に校舎を貫通していた。
そんな中十香のなんてことのない質問に士道が答える。ただ、それだけの応酬で、十香は満足そうに笑っていた。
そしてフラクシナスのAIが十香の好感度が一定値を越えたので、司令の琴里から十香をデートへ誘うように指示が出た。
琴里が曰く精霊と共存するためには、デートをしてデレさせないといけないらしい。
それでどうやって空間震の問題を解決するのか、士道には皆目検討もつかないが。それ以外にどうすればいいのか分からない士道には、他に選択肢が無かった。
しかし生まれてこの方恋愛どころか、異性と遊んだことすらない士道にとって、このミッションはベリーハードであった。
渋る士道をはやし立てる様に、フラクシナスのクルーからのデートコールがインカムから流れていた。
そして遂に覚悟を決めた士道は口を開いた。
「あのだな、十香」
「ん、なんだ」
「そ、その…こ、今度俺と」
「ん」
「で、デートしないか?」
十香は、士道の言ったことの意味が分からないのか、キョトンとした顔をしていた。
「デェトとは一体なんだ」
「そ、それはだな…」
なんだか気恥ずかしくなって、視線を逸らし頬を掻く。
その時、右耳に少し大きな琴里の声が入ってきた。
『――士道!敵が動いたわ!』
「え…!?」
目前にいる十香にも聞こえてしまっているだろうが、士道は構わずに声を発していた。
その瞬間。十香が士道を脇に抱えて、軍の攻撃によって崩されて外壁から外へと飛び出すのと同時に、空から降ってきた光が屋上を貫き士道らのいた教室を飲み込んだ。
「なぁ――!?」
十香が助けてくれなければ、自分もあの光に飲み込まれて消滅していただろう。そのことを考えると、背筋がゾッとした。
「無事かシドー」
「あ、ああ。助かったよ十香。ありがとう」
「礼はいい。それより――」
十香が険しい表情をして視線を空に向ける。
釣られて士道も視線を負わせると、空に浮かぶ人影があった。
十香と初めて会った日に、自分を助けてくれようとしたPTに似ているが。色が黒く、右腕で抱えるようにして大型の砲を持っていたりと、細部が違っていた。
『流石に逃げられるか。まあ、期待はしていなかったが』
PTがスピーカ越しに話しかけてくる。その声は勇と違い、どこか淡々としていた。
「なんだ貴様は。メカメカ団の仲間か?」
十香がPTを睨み付けながら問いかける。ちなみにメカメカ団とは軍のことである。
『いや、違う。だが、俺は貴様の敵だ』
PTが抱えていた砲を十香へと向ける。それに対して十香は、自身の武器である大剣を召喚し構える。
『狩らせてもらうぞ、貴様を』
PTがトリガーを引くと、砲からビームが十香目掛けて放たれた。