ワールド・クロス   作:Mk-Ⅳ

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ゲームに夢中になっていたり身内の不幸があったりとして更新できず、感想にも返信できなかったりと申し訳ありませんでした。
これからぼちぼち再開していきます。


第四十一話

「須郷伸之と新川恭二が脱走したですって!?」

 

緊急の呼び出しを受けて駆けつけた父さんの執務室で、俺は告げられた内容に思わず声を荒げてしまった。

 

「ああ。須郷伸之は昨夜精神鑑定のために移送中だったところをファントム・タスクと見られる者に襲撃された。それとほぼ同時刻に新川恭二も姿を消している」

「そんな…」

 

須郷はキリトに深い恨みを持っているし、新川は詩乃に歪んだ感情を抱いていたからな。どちらもどちらも俺とは無関係とはいえない人物だ。

 

「しかし、ファントム・タスクのやつらは何故須郷を…」

「おそらく奴が研究していたものを欲したのだろう」

「研究、ですか?」

 

確か須郷伸之はVR技術を使った研究をしていて、その被験者を求めて明日菜を始めとするSAO被害者をALOに拉致したんだったな。

機械的なことには余り詳しくないので、どういったことをしていたのかまでは知らないんだよな。

 

「ああ。須郷伸之は人間の記憶・感情・意識をコントロールするという研究を行っていた。もし、それが実現すれば人の人格を自由に変えたり、意のままに操ることも可能だそうだ。そして、それを軍事に利用すれば死を恐れない兵士を生み出せるのだそうだ」

「死を恐れない兵士…。なるほど戦争商人共には喉から手が出る程欲しがる訳ですか」

 

恐れ抱かず命令に従うだけの兵士、確かに理想といえるだろう。しかし、それはもはや人ではなく人形としかいえないのではないか?

恐怖を感じるからこそ、人は己の行いを反省し同じ過ちを繰り返さないよう進歩する筈なんだ。でばければ今頃人類は際限なく争い続けて滅びているだろう。

 

「ともかく。この事を和人や明日菜君、詩乃ちゃんに知らせなくてはならん。放課後になったらここへ連れてきてくれ軍曹」

「了解しました」

 

また新たな問題か…。まあ、起きてしまったことを嘆いてもしょうがない。どう対応していくか考えないとな。

 

 

 

 

そして放課後となったのでキリト達を基地に連れてきた訳だけど…。

 

「須郷が脱獄したなんて…」

「そんな…」

「……」

 

父さんから説明を受けた明日菜は顔色を悪くして俯いてしまい、キリトが肩に手を回し抱き寄せて安心させようとしている。

詩乃は平静を装おうとしているがその手は強く握り締められて震えていた。無理もないか、自分の命を脅かしかねない相手が野放しともなれば。

 

「本当に申し訳ないと思っている。こちらも警戒は厳重にするが、君達も注意してもらいたい。そして詩乃ちゃんに相談したいことがある」

「はい」

「報告では、新川恭二は拘留後も君に対する異常な執着心を見せていたそうだ。彼が再び君に危害を加える可能性が濃厚なため、安全確保のために現在在籍している高校から来禅へ転入してもらいたいのだが、どうかね?」

「かまいません」

 

手続きはこちらで済ませると付け加えた父さんからの提案に、詩乃は迷いなく答えた。

 

「いいの、シノのん?」

「大丈夫よ明日菜。今いる学校には友人もいないし、大した思い出もないから…」

 

心配そうに声をかける明日菜に詩乃は自嘲気味に微笑んだ。

詩乃は幼い頃に母と訪れた銀行で強盗に遭遇したのだ。そして強盗に襲われそうになった母を守るために、奪った拳銃で強盗を結果的に射殺してしまう。

無論正当防衛だし、何より当時の彼女はまだ11歳であったため罪にはならなかった。しかし、そのことが原因で母以外の者達からは遠ざけられ理不尽な仕打ちを受けてしまう。

それらから逃れるため、高校は東京の進学校を選んだが。結局そのことが知れ渡り居場所がなかったそうなのだ。

 

「では、来週までには手続きを終わらせるので準備しておいてくれ」

「はい」

「軍曹も押し付けてばかりですまないが。警戒を怠らないようよろしく頼む」

「了解しました」

 

須郷伸之は確実にキリトや明日菜も報復しようとするだろうし、新川恭二も詩乃のことを諦めてはいないだろう。

たとえ敵がどれだけ増えようが、この手の届く限り必ず守ってみせるさ。それが俺が生きている意味なのだから…。

 

 

 

 

基地を出た後、キリトと明日菜と分かれた詩乃は勇と共に寮への帰路についていた。

特に何かを話すこともなく、ゆったりとした足取りで歩く2人を夕日が照らす中。詩乃は考え込んでいた。

新川恭二とは同じ高校に通う同級生であり、詩乃がGGOを始めるきっかけを作った人物である。

自分の数少ない理解者の1人として信じていたし、想いを寄せてくれていることに悪い気はしていなかった。だが死銃事件で彼が自分に近づいたのは、実際に人を撃ち殺した過去への憧れからであったことを告げられた。

そして彼に無理心中を図られたが、間一髪で助けに来た勇に阻止され逮捕されたのであった。

 

「……」

 

ちらりと勇の方に視線を向けると、自分に悟られないようにと気を配りながら周囲を警戒してくれている。

もし、新川恭二がまた自分を襲ってきたら、彼は迷うことなく守ってくれるだろう。

詩乃はそれが嬉しくもあると同時に不安であった。死銃事件の際も現実で自分を守るために、一歩間違えれば彼は死んでいたかもしれないからだ。

また同じことが起きたとしても。仮想世界では共に戦えても、現実ではただの少女でしかない自分はただ守られていることしかできない。そのギャップを苦々しく思う詩乃であった。

 

「どうしたの詩乃?」

 

思い込んでいるのを見透かされてしまったのか、足を止めて心配そうな顔で勇が顔を覗き込んできた。

 

「あ、ううん。何でものないの気にしないで」

 

近距離でまじまじと見つめられる恥ずかしさで、思わず目を逸らしてしまう。というかこうして見てみると、勇は神秘的で本当に美少女としか言えない顔立ちである。本人には申し分けないが、女性としては物凄い敗北感を味わってしまう。

 

「そう?ん~ならいいけど。1人で抱え込んだら駄目だよ?俺もユウキもいるんだから、遠慮なく頼ってね」

「うん。ありがとう」

 

無理に踏み込むべきでないと判断したのか、軽く念を押すだけで再び歩き出す勇。

その優しさに感謝しつつ、詩乃は後を追いかけるのであった。

 

 

 

 

ファントム・タスク日本支部内のオフィスにて。スコールが専用の椅子に腰掛け悠然と足を組んでおり、ソファーに腰掛けているヴォルフは腕を組んで瞑想するように目を閉じていた。

 

「任務ご苦労様ヴォルフ」

「ああ」

 

労いの言葉をスコールに、なんてことないといった様子で応えるヴォルフ。

 

「俺としてはあんたの方が大変だったと思うがな」

 

脱獄後この支部に連れてこられた須郷伸之は、助けに来るのが遅いだのなんだのと散々文句を撒き散らしていたのだ。

その対応をしたスコールの苦労は推して知るべしだろう。

 

「これくらいどうってことはないわ。ああいった厄介ごとを片付けるのが役目なのだから」

「そうか、だが無理はするなよ。見た目以上に歳なのだか…」

 

ヴォルフが言い終わる前にスコールが、自身のISを部分展開した蠍の尾を模した装甲を彼の額に突きたてた。

 

「年頃の女性にそういった話は駄目だって教えた筈よ?」

「…すまない」

 

ニッコリと笑顔で諭すオータムだが。放たれるオーラは仁王像が背後に聳え立つ錯覚が見え、ヴォルフですら冷や汗を掻く程であった。

そんな空気を無視するあのように部屋のドアがノックされる。

 

「どうぞ」

 

スコールが応えると、1人の男が入室する。

ビジネススーツを着こなし。男性は俳優顔負けの美丈夫で、やり手のエリートを思わせる風貌であった。

 

「失礼、挨拶をと思ったのですが。お取り込み中でしたか?」

「いえ、お気になさらずガザルス氏。ようこそ極東支部に歓迎します」

 

恭しい態度で頭を下げるヴァサゴ・ガザルスに。スコールが椅子から立ち歩み寄るとにこやかな顔で握手を求めると、笑顔で応じるヴァサゴ。

そんなヴァサゴをヴォルフは冷めた目で見ていた。

 

「戦力の増強を要請していたが。まさか貴様がくるとはな”ファイアバグ(放火魔)”」

「そう邪険にしないで下さいよストラージ隊長。共に戦う仲間同士仲良くしましょう」

「必要な範囲であればな」

 

いやにも棘のある言い方をするヴォルフだが、対するヴァサゴは笑みを変えことはなかった。

そんな中、再びドアがノックされる音が響いた。

 

「どうそ」

「失礼します。スコールさんヴォルフいますか…って。すいませんお取り込み中でしたか?」

 

入室してきたキリエが、ヴァサゴの存在に気づいて申し訳なさそうな顔をする。

 

「大丈夫よ。ちょうど彼を紹介するために、あなたを呼ぼうとしていたところだから。こちら新しく派遣された傭兵のヴァサゴ・ガザルス氏よ」

「どうぞ、お見知りおきをお嬢さん」

「特殊作戦部隊『シャドウズ』所属のキリエ・フローリアンです。よろしくお願いします」

 

スコールに負けず劣らずの大人のオーラを放っていたが、前回の反省を活かし落ち着いて対応できたことにキリエは内心ガッツポーズをした。

 

「いやはや。あなたのようなお美しい女性と共に働けるとは光栄です。よろしければ親交を深めるために今夜ご一緒にお食事でもいかがですか?」

「え?あの、ええと…」

 

にこやかに笑いながら、キリエの手を取り片膝を着きながら申し出るヴァサゴ。

キリエは予想外の事態に思わず頬を赤らめてしまう。

 

「(こ、これってデートのお誘い!?わ、わわ!ど、どうしよう!?)」

 

普段大人ぶった振る舞いをしているキリエであるが。なんだかんだで恋に夢見る少女である。まして元いた世界では父親以外に男性との触れ合いはなく、こちらの世界に来てから唯一といえる親しい男性(ヴォルフ)アレ(・・)なのでこういったことに対する経験が皆無であった。

 

「そんなことより、いいかげんにその演技を止めろヴァサゴ・ガザルス。気色悪くてかなわん」

 

吐き捨てるように言い放ったヴォルフの言葉に、そんなことって何よ!?と思わず怒鳴りどうになったキリエだが。ふとあることに気づく。

キリエの手を離し立ち上がったヴァサゴが、ネクタイを緩めると紳士的だった顔を血に飢えた獣ような獰猛さに変え、別人のように豹変したいたのである。

 

「そういうなよ。これも立派な処世術だぜ漆黒の狩人殿」

「どの口が言うのやら」

 

馬鹿にしたようなヴァサゴの言葉に、フンッと鼻を鳴らすヴォルフ。

今にも一触即発な雰囲気の両者に、何よりヴァサゴの変化に戸惑うキリエだが。スコールは慣れたといった様子で静観している。

 

「で、ここに来る前に拾い物をしたようだが。何をする気だ貴様?」

「いやなに、ちょっとした余興に役立つと思ってね。最高のPartyのね」

 

問い詰めるような鋭い視線に対して、まるで新しい遊びを見つけた子供のような笑みを浮かべるヴァサゴ。

 

「まあ、お前さんらの邪魔にはならないから安心しな。それじゃこれからよろしくな」

 

背を見せると右手をヒラヒラと振りながらヴァサゴは部屋を出て行くのであった。

 

「な、なんなのあの人」

 

ヴァサゴの掴みどころのない姿に目を点にするキリエ。

 

「放火魔さ」

「放火魔?」

「俺達戦争屋の中でも人を殺すことを何よりの楽しみとし、それが正当化される戦争を起こすためなら文字通りなんでもすることからファイアバグ(放火魔)と呼ばれている。10年前この国でテロが頻発になる原因を作ったのも奴さ」

 

険悪した様子を隠すことなく話すヴォルフ。どうやら以前からの知り合いらしい。

 

「彼とは色々とあってね。犬猿の仲ってやつよ」

「はぁ…」

 

キリエの心境を呼んだのか説明してくれるスコールに、なんと返答したらいいのか困惑してしまうのであった。

 

「にしても、いつも以上に不機嫌ねヴォルフ」

「む?」

 

スコールの発言に怪訝そうに眉を潜めるヴォルフ。

見た限りは普段通りの仏頂面だが、言われてみると機嫌が悪そうな雰囲気をキリエは感じ取れた。感情の起伏が少ないヴォルフにしては珍しいことと言えた。

 

「むぅ…」

 

指摘されて自覚したはいいものの。なぜそうなったのか理解できていなのか、腕を組んで首を傾げているヴォルフ。

 

「いつ頃そうなったかはわかるかしらヴォルフ?」

「そうだな…。あの放火魔がキリエに膝を突いて何か言っている時だな」

「え?」

 

ヴォルフの言葉に思わず間抜けな声が出てしまうキリエ。

つまりヴァサゴがキリエを口説いたことで、ヴォルフは不機嫌になったということになる。

 

「(それってもしかして嫉妬した…?いやいや!こいつがそんなことあるわけないし!)」

 

必死に否定しようと首をブンブンと横に振るキリエ。しかし、自然と心臓が高鳴り嬉しさが込み上げてくるのを自覚してしまう。

 

「ふふ、それを嫉妬って言うのよ」

「嫉妬?なぜ俺が奴に嫉妬せねばならない?というか顔が赤いぞ大丈夫なのかキリエ?」

「だ、大丈夫よこの馬鹿!!」

「なぜ心配したのに罵られなければならないのだ?」

 

下せぬと言いたそうな顔で?マークを浮かべているヴォルフを見ながら、あらあらと我が子の成長を喜んでいるかのように微笑むスコールなのであった。

 

 

 

 

ヴォルフらの挨拶を済ませたヴァサゴは、日本支部の地下空間に設けられた研究室を訪れていた。

室内はガラスで区切られており、入り口側には数人の研究員がおり。それぞれが計器を操作したり、何かの書類を運んだりとせわしなく作業をしていた。

 

「よう。そっちはどうだい須郷さんよ」

 

そんな研究員達を気にせず歩き進んだヴァサゴは、この研究室の長である須郷伸之に話しかけた。

 

「ああ、ちょうどいいところに来たねヴァサゴ君。これから始めるところだ」

 

ヴァサゴの存在に気づいた須郷は歪んだ笑みを浮かべると、ガラスで隔てられた反対側の部屋に視線を向けた。

反対側の部屋には被験者用の椅子が何台か並んでおり。その内の1つにヴァサゴが脱走させた少年――新川恭二が腰掛けていた。彼の手足は金具で固定されており、頭部を覆うような機材が装着されている。

 

「それでは新川君。準備はいいかね?」

『ああ。始めてくれ』

 

須郷がマイクのスイッチを入れて呼びかけると、決意を固めたかのような力強い返事がかえってくる。

そのことに満足した様子で頷いた須郷が指示を出すと、研究員の1人がパネルを操作すると恭二の頭部に装着されている機材が稼動を始める。

 

『ぐ、ぁあ…がぁぁぁああああああああああ!!!』

 

すると、何かに耐えるかのような表情で苦悶の声を上げ始める恭二。

 

「おいおい、大丈夫なのかよ?」

「僕の理論に問題はない。後は彼しだいさ」

 

ヴァサゴが不安そうな様子で須郷に問い掛けるが。それは決して恭二の身を案じてではなく、せっかく手に入れた道具が壊されないか心配してのことであった。

 

「心拍数、脈拍共に異常なし」

「脳波にも異常は見られません」

「よし、次の段階に移れ」

「はい」

 

恭二のバイタルを計測していた研究員の報告に、そうでなくては困るといった様子で指示を出す須郷。

 

『が、うがぁぁぁあああああああああ!!!』

 

指示を受けた研究員がパネルの横に設置されているレバーを操作すると、白目を剥いて絶叫する恭二。

 

「で、こんなんで強くなれんかよ彼?」

「ああ。この僕が考えた『ゲイム・システム』に適合させすれば、彼は今より遥かに強くなれる」

 

ヴァサゴの問いに、迷い無くに答える須郷。よほど自身の研究に自信があるようであった。

 

 

 

 

「あああああああああああああああああ!!!」

 

頭の中をシェイクされ、こねくり回されているかのような不快感が恭二には無意識の内に苦悶の声を上げていた。

それでも後悔はなかった。なぜならこれは自らが望んだことであるから。

 

「ぁ…あさだ、さん」

 

思うは自分のものになる筈だった1人の少女。

 

「あさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださんあさださん」

 

自分と同い年でありながら、人を殺したことのある本当の強さを持った憧れの少女。

だが、彼女は奪われた突然現れた1人の男によって。

 

『彼女は強くなんかない。どこにでもいる普通の女の子さ』

 

そう言って奴は彼女を否定し、騙して奪い去ってしまった。そんなことは許されない、自分こそが彼女を唯一理解することができるのだ。

 

「アサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサン」

 

しかし、彼女を取り戻すには力が足りない。悔しいが奴が自分より強いのは認めなければならない。だから須郷伸之の提案に乗ることにした。どのようなリスクを負おうとも、奴を越える力を手にするために。

 

「テンドウイサム――」

 

憎きあの男から彼女を取りもどすためなら、喜んで悪魔とも契約してやろう。

 

「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス――コロシテヤルゾ、テンドウイサムゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!」

 

恭二はひたすらに増悪の炎を燃やし続けた。きたるべき復讐の時に備えて――

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