『とある線上の世界大戦』   作:ホエール

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 大空を切り裂くジェットの轟音。アビニョンの町が溶岩にまるで沈み込む様に周囲と隔絶した空間に変貌していく。

自称ジャーナリスト達が構える携帯電話のカメラが学園都市の圧倒的な存在感であるこの風景を撮影していく。呆然とした顔をしながら。

そんなアビニョンの町のど真ん中に

 

「ローマ正教が『人間の盾』でも期待したのか、観光客の人質達を連れて行こうとしていたところを救出。日本人の女の子の姿も無事確認された」

「よ……かったぁぁー」

膝から崩れ落ちるように倒れる少女。三宅はスカートが危ういことになっている少女に気づかせようと咳払いをするが、気づく気配が無い。

 

「ま、まぁ……こちらの仲間達の無事も確認された。木靴の司祭を倒したことで主だった敵戦力はどうにか出来た様だな。……噂だと敵の本丸を攻略するためにレベル5を投入したと聞くが」

「……へーそー。ま、そっちは上条さんが関わってるし、よっぽどのヘマをしない限りみんな無事でハピエンだよね。やっぱハピエンが一番よ」

「? 知り合いがまだいるのか?」  「わかちゃんさまが一方的に知ってるだけ。あっちは名前はおろか顔も知らないよ」

「……ストーカーは犯罪だからな」  「ちがわい!!」

ついに彼女の大きな身振り手振りによって危うい状態のスカートがついにひっくり返りくまさんパンツがドーンしているが、男性教諭としては下手なやり方ではセクハラと言われる昨今、どのようにして注意すれば良いか軽い悩みどころである。

……素直に女性教師を呼べば良いのだと思い立ち、手を振って『警備員(アンチスキル)』の仲間達を呼ぶ。

 

「まぁ、女の子でしょ! そんな感じじゃダメですよぉ!」

少しふくよかな女性が少女の痴態を注意し、今更状況に気づいた男子中学生に見える童顔のJKが真っ赤な顔で国語教師を睨み付けるがそれを無視して三宅は学園都市に帰るべく仲間達と帰還について話し合いを始める。

と、そこで気がついた。この少女はどうやって日本に帰るのだろう? 家族と来ているのか、それとも一人旅か。それさえろくに事情を聞いていないと。

 

「そういえば、おまえどうやって日本に帰るつもりだ? 俺たちはもう引き上げるんだが、未成年の日本人女子の一人旅は普通に不安になるんだが」

「うん? 来たときとは逆ルートをたどるだけだよぉ~。ちょっと大変だけど、あのときは必死だったから感じなかったんだよね。まっ、頑張るよ。パスポートなんて持ってないから、色々な所に見つからないように色々と暗示を駆使してね!」

どや顔の少女。完全に固まった教員免許持ちの大人の男性、女性の一同。

 

「「「ご、ごめんね~。よく聞こえなかったみたい。も、もう一度言ってくれる?」」」

「??? だから、逆ルートをたどるんだよ。大変だけど来たときと同じように……ぱ、す……ぽーととか、ないし……」

一瞬何故大人達に囲まれているのかわからなかった表情に知性が蘇る。遅いのである。

 

Q.不法入国の現行犯。未成年の少女。教師兼治安維持部隊の人間の気持ちを答えよ。

 

A.「「「確保ぉぉおおお!! 今すぐ保護処分っ!!」」」

 

「やらかしたぁぁあああ!! えーい、ここは暗示を駆使して!」  「だから、それ、学園都市の教師相手に通じないって言っただろ!!」

「ぎゃぁぁああ! 催眠暗示くらい通じてよぉぉおおお!!」  「あなたどうやってフランスに!?」

「輸送機とか、輸送船とかにこっそりと!! 今時は電子セキュリティ頼みで逆に人は暗示でごまかしやすくて! 堂々とクルーとして振る舞って!」

「私凄いでしょ! のニュアンスで堂々と違法行為を語るんじゃなーい!!」

「近づくなぁ! セクハラだよぉぉおお!」  「同じ女性じゃない。大丈夫よ! さぁ、おばさんの胸の中に飛び込みなさい。安全に制圧してあげる!」

「このぉ!」  「おっと、仕組みはわからんが、その折り鶴は没収だっ!!」

「!? な、なんでバレてっ!?」  「いや、あれだけ堂々と使っていて、それに仕掛けがあるのに思いよらない奴はバカだろ」

「「「ご両親と学校に連絡するから、連絡先は?」」」

「っ!? そ、それだけは勘弁してぇぇえええ! お母さん怒ると本気で怖いんだよぉ!」

「やっぱり、ご両親にも学校にも黙ってフランスに来たのか!」

「何この子、凄い行動力……将来が不安」

 

かくして、輸送機の中、青筋立てた大人達に囲まれて振るえて動けなくなっているJKの姿が成立し、輸送機は学園都市へと飛んでいく。

ひとまず、説教の日々が続く事が確定した。

 

「ハッピーエンドで話がまとまってうれしいはずなのに、なんでわかちゃんさまはバッドエンドなのー!?」

「舌かむぞ。この飛行機すごごごごごごおごごごごおごごごおごごごおごご」

 

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