9.
人さらい専門の暗部組織『ジャーム』撃破直後の事だ。警備員や風紀委員がそこら中にいる状況で、こっそりとその場を離脱しようと物陰に隠れる3人組の携帯電話が全部一斉に鳴り出した。
大慌てで電話をとり、思わず電話相手を罵倒しかける。
『追加のお仕事を持ってきたわよ。もしかしたら、お仲間に会えるチケットを手に入れられるかもね』
「は? 超何をいってるんです?」
絹旗最愛が思わずそんな間の抜けた声を出して
『ロシア、そこにアイテムのみんなが集まっているわよ。あの麦野でさえも――』 「――! い、生きているのですか!? 超、あの状態で!?」
『そこで何が起きるか、正直わからない。でも、もしもって奴があれば……また、全員で仲良く出来るかもね。当然前とは違うだろうけど。で、どうする? 行く? ロシアに』
『電話の声』はとても優しげで、絹旗は何も言えなかった。
「あの……お仕事、受けたいです。ダメですか?」
エステルという女が電話を終えてそんなことを言い出す。
「今、たぶん私しか出来ない仕事だと思います。なら、やらなきゃたくさんの人の迷惑になります」
「……私はどっちでもいいよ」
いまいち活躍できなかったといじけた調子の郭がエステルに賛同し、絹旗も仕事を受けることにした。
内容は
『これから、ガサ入れが入る場所に行って、
「超無茶苦茶です」
だが、仕事だ。一応潜入方法として、地下通路の情報まで渡されているので、それに従うしかない。
けれどそれはそれで大変だった。ひっきりなしに『帝政薬学』が自社で開発製造運営まで行っている無人兵器が走っているのだ。
『プロテアーゼ』と表記のある多脚兵器が走って行くのを物陰に隠れ見送りながらの移動は想像以上に時間をかけてしまう。
(フレンダがいれば、超速かったのに)
思わずそんなことを考えてしまう。
そして、たどり着いたのは巨大な空間。無数の地下通路が合流し、ちょっとした避難所として利用されている体育館にも見える。
何しろ至る所に簡素な仕切りや簡易カーテンで空間が作られ、色々な段ボールが積まれているからだ。
が、そこに似合わない存在がいた。
「ん? 可哀想な巻き込まれた第3者? それともお仕事で来た暗部、どっちだ?」 「た、たすけ――ぶtっ」
人間が目の前で、粉みじんの肉片になって吹き飛ぶ。
一輪車に乗った女子高生だった。尤も一輪車の上で足を組んで座っており、全然ペダルをこいでいない。
「超、くそったれです」
絹旗も郭もカーテンに隠れ、それぞれ一輪車の音に耳を傾ける。車輪の音にあいつがいる。
「なんなんですか、散弾銃が効かない!? 山ほど撃ち込んで!?」
郭が困惑の声を上げる。……散弾銃を真っ正面から大量に撃ち込んでも無傷の女だ。『
新たな足音がした。
全員の視線が向けられる。完全武装、ただし埃まみれ、粉まみれの警備員の男がたった1人で現れた。