6.
元々学園都市という場所は、アレイスター・クロウリーが作った第2のテレマ僧院なのは新約で語られた隠された真実と言う奴だ。
だが、同時にこの町が『魔術』を『廃滅』するために色々な研究開発を推し進めている兵器開発研究所の側面もまた真実である。
そんな学園都市で活動できる魔術師は必然的に一流か化け物で無ければ無理というものだろう。
「な、何が起きているんですか……」
『
もうさすがにうんざりというところだ。
「ええい、『無人兵器』の制御系を乗っ取ってやろうと思ってましたけど、それは後回しで」
「ふむ。それが良いと思うぞ」 「とにかく、まず負傷者が何人いて何処にいるのかを把握する方が先です。例のナノデバイスを逆利用すれば」
「ふむ。それはダメだと思うな」
一体、誰だ。
当たり前のハズなのに、その当たり前に気づかなかった。自分だけの場所では無い。けど、自分以外の声が、無い。いや、一人だけ自分以外の声がある。
けれど、聞き覚えが無い。
思わず周囲を見渡して、必死に悲鳴を飲み込む。声を出しちゃダメだと、本能が警告を叫び続ける。
それは、ギリシャ彫刻さえイメージさせるほどに立派な筋肉質の男だった。半裸の黒人男性だった。
そして、芸術品の一種では無いかと思うほどに全身入れ墨で構成されている男だった。
「ふむ。負傷者を救出するために居場所を特定するというのは、救出するための人員や準備が整っているから意味があるのであって、それが不十分であればその行為はいたずらに犠牲者を増やすだけだ。トリアージというのがあるだろ。居場所を特定するだけだとトリアージが出来ない。救出には順番が必要だ」
「誰ですか!?」 「『王』だ」
白、赤、青、黒。4つの色のリボンが無数にふよふよと浮かんでいる。半裸の黒人男性がどこからか取り出したようだが、一体どこから出したのか。
何かの能力か。それとも嫌なところに隠していたのか。いや、それにしてもきれいなリボンの布は全部きれいでとても長い。
「ふむ。予は『王』だ。皆に望まれた『王』だ」
リボンが半裸の男性に次々と勝手に巻き付いていき、ちょっとした服もどきを形作る。赤いリボンが帽子のような物になった。
かぶる。たったそれだけなのに強い熱波が周囲に広がっていく。
後に学園都市は『大熱波』に襲われることになる。だが、少なくともこの場にいる者達にとってはアレよりは楽だと感じる物がそこにあった。
帽子以外のリボンが解かれ、結び直されて色柄が変わっていく。
「ふむ。かのフレイザーは『神聖王』という概念を作ってくれたが、きみはそれを知っていると大変ありがたいのだが。『王』たる予としても犠牲は少ない方が良い」
初春にはどれほど言葉を飾ろうと、男の存在そのものが『脅迫』に見えた。
<警告、学園都市統括理事長アレイスター・クロウリー様。現在、ロシア第3攻撃部隊の一部が通常の指揮系統より逸脱して行動しています。推定目的として、ロシアの戦略核兵器の確保と使用を考えている物とみられています>
<ロシア戦略核兵器使用予想ポイントより算出いたしまして、『
<現在、学園都市運営上の問題として、『
<対応策として、死亡者ゼロではありますが、ナンバー000を発令するとともに、多数の『暗部組織』を動員する案が上がっています。またロシア侵攻用部隊も一部転用――
――――六枚羽と四枚羽を投入し、『
――――『木原』の投入が主張されていますが――
――魔術結社対策として、イギリス清教、『必要悪の教会』より戦力が介入します。ご注意ください>
またしばらく間が開きます。