『とある線上の世界大戦』   作:ホエール

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最終章 17.

   17.

 さて、そんなこんなのごたごたの中でこっそりとその場を離脱する面々がいる。

 

「超大変でした」

暗部から召集された面々だ。あのままあの場にいた場合、『警備員(アンチスキル)』や『風紀委員(ジャッチメント)』につかまる羽目になっただろう。

上から何と言われようがあの場だと絶対融通が利かないに違いない。仮に後で釈放される流れになったとしても面倒ごとになるのは目に見えている。

とはいえだ。

 

「顔覚えている人はいるだろうね」  「超面倒です。これからすっごくやりづらいですね。その辺『電話の声』は超考えているんでしょうか」

そんな絹旗の愚痴に反応したのかは知らないが、電話がかかってくる。噂をすればなんとやら。『電話の声』だ。

 

『 こいつときたら(・・・・・・・)、面倒だけど今から指定する場所に行って、荷物を受け取ってきてくれない?』

「荷物です?」  『 そ、人間が2人。といっても意識が無いからそこは気を付けてね』

どうすんだよ、これ、やんの? という空気が漂うが、仮にも指示されたことだ。わざわざ逆らう必要性も薄い。

かくして指定された場所に行くと確かに2人の人間がそこに横たわっている。

よりにもよって、『警備員』と『風紀委員』相手にドンパチを重ねた『ジャーム』とかいう暗部組織の能力者2人組だ。

 

「……ま、まぁ、怪力小学生や自分を溶かしながらガス攻撃する奴じゃない分だけマシ」

本当にマシなのか? とも思わなくもないが、とりあえず郭が肩に担いで2人を運んでいく。

 

「こいつらを回収って事はまだまだこいつらには利用価値があるって事かね」  「まぁ忍び込むのには有用な能力だと思いますよ」

 

 

 

『イギリス清教』『必要悪の教会(ネセサリウス)』は、魔術サイドの警察のような存在であり、特殊部隊のような存在だ。

やらかした魔術師を世界各地で捕まえ、時に処理する。ただし、あくまでも『必要悪の教会』はイギリス清教の一部門でありイギリス清教は魔術サイドにおける十字教系三大勢力の一角に過ぎない。

 

「うーん、始めてきたけど、こいつはぁ……世界のどこにでもある死に満ちている町だなー」

『必要悪の教会』所属のブードゥー魔術の魔術師イザベラから見る学園都市は、言われているほど世界有数の安全地帯ではなくどこにでもある悲劇に満ちたただの場所に見えた。

なるほど、魔術サイドとは方向性が違うかもしれない。けれど、科学サイドは科学サイドで闇を抱えている。ここはそういう場所だと。

 

「まっ、いきなりバチカンを含むアペニン半島を消しちまうような魔術テロをもくろむバカが大騒ぎするこっちとは違って表向きだけだとしても平和を維持できるっていうのは、良い都市の証拠といえば証拠かな? どうせ核兵器級それ以上の物は作ってるんだろうけど」

イザベラはそんなことを思いつつ、囚人護送のための特別船を通信霊装で請求する。特典SSこと外典にも登場した巨大霊装を日本列島に呼び寄せる。

 

「さて、学園都市はなんでも巨大な輸送潜水艦って奴を持ってるらしいけど、その姿を拝むことは出来たりするかな~」

『イギリス清教』『必要悪の教会(ネセサリウス)』は魔術サイドにおける治安維持の側だ。けれどヒーローではない。

彼らはやるときは容赦なく一般人だって巻き込んでたくさんの死を振りまく。

 

「さて、こんなとこだけど、あの女の子は来てくれるかな~。来てくれたら楽になるなぁ~。いつだって人手不足だしね」

ゆえになんとなくだけわかる。あの娘は来ない。少なくとも嬉々として拷問の類が出来るタイプの魔術師ではない。せいぜい、現地協力者程度だろうと。

 

 

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