エピローグ
エピローグ
富上磐という少女が学園都市から解放されて待っていたのは頭に青筋をいくつも立てた家族親族御一同様の群れであった。
「あ、ははははは」
乾いた笑いでごまかす以外の選択肢がなく、ものすごい勢いで怒鳴られたことはもはや当然の事であった。
実家の倉に先祖が封印していた魔導書の原典を再び鎮座させて、原典が暴れない程度に人目に触れないようにする。
原典は人が絶対に読めないような状態にすることに敏感に反応する。だから、誰かが読むかもしれない可能性がほんの少しでもある状態でないと封印できない。
「……原作介入して良いのかな……」
『とある魔術の禁書目録』という作品で描かれる世界はそこら中に悲劇が満ち溢れている。学園都市の黒幕であり、旧約時代はラスボス候補とみられていたアレイスター・クロウリーでさえ、世界の悲劇の多さとその犠牲に自分の娘が選ばれたことを理解するとこの世からすべての魔術を滅ぼすしかないと考える程度には世界は不安定でさながら地雷原のようだ。
『その上条当麻含めてみんなで協力しちゃいけないのか?』
あの言葉に答えが出なかった。上条当麻の邪魔をしてはいけないとか色々なことが思い浮かぶが、上条当麻の味方は多い方がいい。当たり前の話だ。
彼女の前世というなのあやふやなCRC大暴れ寸前で途切れている知識だと、上条当麻が誰かを頼るのようになったのは新約に入って以降だ。
旧約だとそういう発想自体がなかった少年が誰かを頼る事を覚えた話が新約で、旧約の黒幕たちの援護からの脱却の話でもあった。
(だから、協力することは出来る。でもその協力で……例えばオッティが魔神として完成を阻止することが出来る? あれはグングニルの完成と失敗がキーだったし。
いや、ダメ。仮にそれでうまいこと出来たとしてもその後の上里、アレイスター、ローラ、アンナ・シュプンゲルが立て続けにやってくる。その時に妖精オッティの力を借りられないのは上条さんにとってマイナスも良いところ! えっ、じゃあ妖精じゃないオッティに味方になってもらって……どうやってッ!? 理解者を探している事も無自覚に魔神として大暴れしているあれをどうやって止めろっていうのぉぉぉお!!???)
難易度ハードモードっぷりを改めて恐れおののく少女だが、確かに上条さんの味方の1人増えても別に罰は当たらないはずだ。
(少なくとも新約10巻のボスラッシュの時に味方が1人いるだけでもあの上条さんの負担が減るのは間違いない)
ところで、そのボスラッシュに君は戦える?
(無理ィっ!!!)
事前準備次第ではステイル=マグヌスに勝てる領域にはいるが、逆に言えば準備万端でないとステイルと戦うことさえ出来ないという魔術師である彼女にとって、学園都市の無人兵器軍だのねーちんだのそんなのと戦って勝つ自信はゼロである。
学園都市の無人兵器1機くらいなら何とかなるかもしれないが、最悪オブジェクトみたいなものが出てくるかもしれないのが学園都市だ。
(私はバカ2人やHAMADURAにはなれないの!!)
世界線どころか、作品さえ違うネタに頭を痛ませながら、彼女は必死に考えて――
(――やはり、原作。原作通りしか勝たん!!!)
最初に戻った。
しかし、彼女は忘れていた。彼女という異分子がいて、すでにその存在を学園都市はおろかイギリスにもばれてるという事実を。
つまりは、アレイスター・クロウリーやローラ・スチュアート、そしてそれ以外の厄介な権力者の面々に存在が知られているということに。
唐突になるスマホ。非通知設定。
「はいはーい。だれですかー?」
不用意にとる少女。
『――「ナチュラルセレクター」管理運営委員会の物です。是非とも選手登録をさせていただきたく、ご連絡を差し上げています』
「うん?」
以上を持って本作は終了です。
なんとか、今月中完結間に合った……よね?
元々当初の予定(多分無理とは思ってた)ですと去年の10月に完結だったんですが
1年またいで1月に完結です。
原作信者の主人公が原作介入を決断するまでという感じのお話となりました。
当初の予定では、最終的にノリノリになるはずだったのですが、彼女の実力的に結局『原作通りしか勝たん』と叫ぶオチに
救いとしては彼女が得意とする富士講は、女性が悟れる。なんなら本人にその気がある限り誰もが救われるといった感じの内容なので、魔神は無理でも彼女は自分が思っている以上にまだ伸びしろがある点でしょうか。尤もそこには全く触れてないので相も変わらず『原作通り』を主張する原作信者としてしばらくはあり続けるのでしょうが
以上もちまして、本作は終了で、続編などは連載の予定がありません。
が、もしもある場合、原作主人公、上条当麻との合流は新約10巻のボスラッシュ、唐突に表れて上条さんへの愛を叫ぶ変質者になると思われます。
そんな話をいつか連載できることを未来の自分に願って、本作連載のきっかけにもなった家葉テイク様及び弥宵様主催の【#とある20th企画】に感謝をささげるとともに、上条当麻、御坂美琴、一方通行にインデックスといった原作の人気キャラクター等がほとんど出てこない本作をこれまで読んでくださった読者の皆様にお礼申し上げます。
二次創作の醍醐味としてオブジェクトを登場させようか迷ったのは内緒