捻くれた少年と捻くれた少女   作:ローリング・ビートル

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出会い

「お兄ちゃん、はやくはやく〜!」

「いや、何があるんだよ」

「知らない。なんかあっちであるみたいだよ」

「…………」

 

 その認識でよく急ぐ気になれるなと思いながら、小町の数歩後ろを恭しくついていくと、やがて人だかりに遭遇した。

 女子の割合がやたら多い気がするが、一体何があるというのだろうか。小町もよくわからずキョロキョロと周囲を確認している。

 周りの視線を辿ってみたら、近くのでかいビルに取り付けられた巨大モニターに釘付けになっている。

 ……えっ、何?モニター見るために集まってんの?

 とりあえずモニターを見ていると、急に賑やかな音楽が響き始め、スクリーンには3人の少女の姿が映っていた。

 3人とも制服をアレンジしたかのようなオシャレな衣装に身を包み、一分の隙もない笑みを観衆に向けていた。

 

「誰だろ?新しくデビューするアイドルとかかな?」

「お前が知らんなら俺が知るわけないだろ」

「た、たしかに……お兄ちゃんが知るわけないか」

 

 我ながら無駄に説得力あると思いながら苦笑いすると、すぐそばから声が飛んできた。

 

「はあっ!?アンタ達A-RISEを知らないの!?」

「あっ、はい、すいません……」

 

 いきなりの大声に、ついつい謝ってしまう。くっ、我ながら卑屈だ……。

 だが、そんな思いもすぐ吹き飛んだ。

 目の前にいるのは真っ黒なサングラスと真っ白なマスクで顔を覆い隠した小柄な少女だった。

 黒髪のツインテール以外はキャラ付けにしちゃセンス悪すぎるだろ……とりあえずもう見て見ぬふりしておこう。怖いし。あと怖い。

 

「A-RISEってなんですか?」

 

 余計なことに小町が持ち前のコミュ力でにこやかに聞き返すと、不審者じみた少女は「はぁ」と溜息を吐いて、マスクだけ外す。何故かサングラスの向う側にあるメンバーが見開いたような気がした。

 

「しょうがないわねえ、いい?A-RISEっていうのはね……」

 

 怒涛の早口で捲し立てる少女に、小町も驚いて目を丸くしている。

 こういう時は周りの風景に溶け込み、軽く受け流すに限る。

 

「アンタ、人がせっかく説明してるのに軽く受け流そうとしてんじゃないわよっ!」

「…………」

 

 あっさり見つかってしまう。そりゃそうか。めっちゃこっち見てるんだもん!

 

「と、に、か、く!今からすごいもの観れるから画面にひたすら集中してなさい!」

 

 あまりの剣幕に小町と顔を見合わせてから、もう一度画面に目をやると、BGMが鳴り止み、3人は目を閉じた。まるで歌番組の曲が始まる前みたいなその雰囲気に自然と観衆も静まり返る。

 数秒後、真ん中の少女が目を見開くと……衝撃が走った。

 

 

 

 

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