「はぁ〜……すごかったね、お兄ちゃん」
「……ああ」
A-RISEという三人組のアイドルグループのパフォーマンスの余韻は未だに残っていた。
何というか……すごかった。
テレビに出るようなアイドルと遜色ないパフォーマンスとか超絶歌唱力とかいうのではないが、ただ素人目にも鍛錬を積んでいるとわかるパフォーマンスに集まった観衆は惹きつけられ、それが俺を含めた周りに浸透していった。
「はぁ……」
A-RISEの情報をくれた謎の不審者……もとい女の子もうっとりとした溜め息を吐いていた。サングラスとマスクの下の恍惚とした表情が想像できた。顔知らないけど。
「そろそろ帰るか」
「あっ、そうだね。教えてくれてありがと♪」
「子供扱いするんじゃないわよ!多分あんたらより年上よ!」
「「えっ?」」
もう改札の方に向かおうとしていた俺まで思わず声を上げてしまった。
小町と顔を見合わせると、女の子はずかずかと歩み寄ってきて、バッとサングラスを外した。
「ほら、どう!?」
「「…………」」
いや、どうって言われましても……。
装備の下から出てきたのは……くりくりとして愛らしいが、どこか勝ち気な瞳。そして、可愛らしく整っているが、どこか皮肉めいた笑みが添えられた小さな唇。
それらを見せられても結果は変わらず、年上には見えなかった。
「ようやくわかったようね。このにこにーの放つ年上の魅力が!」
「そういや、帰り何か買って買えるもんあったか?」
「あー、確か洗剤がもうなくなりそうかも」
「そっか。じゃあ帰りにいつものスーパー寄ってくか」
「って無視かーい!」
色々教えてもらっといて何だが、ここは一刻も早くずらかったほうがいい。にこにーとかいう謎の単語がなんかやばい。もしかしてアレがあの人の一人称?いや、聞き間違いかもしれない。
するとマイシスターが一歩前に出た。
「お姉さん、めちゃくちゃ可愛いですね!」
「ふふんっ、あんた見る目あるじゃない」
無駄に目をキラキラさせて急に褒め言葉を口にしているあたり、碌な事考えてないのはわかる。
「あの、私比企谷小町って言います。こっちは兄の八幡です。あ〜そうか〜その手があったか〜」
「や、矢澤にこよ。えっ、何?何なの、この子?」
「そうなんですよね〜。ちょっと変な人でも変な人同士上手くやれるかもしれませんよね〜。類は友を呼ぶらしいですし」
「なんか失礼なこと考えてない?」
「…………」
とりあえず、登場人物変な奴しかいねえのかよ……えっ?俺も含まれてんの?
スクールアイドルの余韻が変な空気にかき消されそうなのが割と残念だった。