えいりあん・ざ・ろっく!   作:galaxy

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ぼっち・ざ・ろっく、私の好きな作品です。


邂逅

 私の名前は☆◇¥#。惑星リゾルートからやってきた調査員だ。

 地球人の声帯では発音出来ない為、この星では星野銀河(ほしのぎんが)と名乗っている。

 私が地球に来た目的は、地球人の文化を学ぶこと。その情報を持ち帰り、 リゾルートの文明発展に貢献するのだ。

 

 地球にはこんな言葉があるらしい。蛇の道は蛇。地球の文化を学ぶならば、その道の専門家に聞くのが良い。つまり教育機関だ。

 というわけで、私はこの星の学校に潜入することにした。

 入学式を終え、私とその他大勢は所定のクラスに案内される。

 

「皆さん、入学おめでとう。私は担任の……」

 

 壇上で教師が何か言っているが、私はそれを聞き流していた。

 まずは案内役を確保する必要がある。この星の文化に不慣れな現状では、 一人では行動しにくい。そう思い、私は辺りを見回した。すると、一人の女生徒に目が留まる。

 鮮やかな桃色の髪をした少女だ。顔立ちは整っており、美しく輝いている。しばらく眺めていると彼女が自己紹介をするために立ちあがる。

 

「あっ、あっ……ご、後藤ひとりです……」

 

 成程、後藤ひとりというのか。そして他の者達とは違う言語体系に私は興味を抱いた。発音は同じようだが明らかに不必要な情報が含まれている。何を意味しているのか、要調査だな。

 そして後藤ひとりは額からダラダラと液体を垂れ流しながら、そのまま液状となって自己紹介を終える。

 私の番までまだ時間がある。それまで自己紹介の文でも考えて……うん? 

 

「……液状化?」

 

 周りの生徒たちがざわつく中、私はそう呟く。目に映る光景に動揺を隠せなかったからだ。

 馬鹿な、普通はあり得ない現象だ。地球人にそんな芸当は出来ないはず。 それに周りも何一つ気にしていない様子だ。後藤ひとりの液状化という現象は当たり前のことだというのか? 

 ま、まさかマインドコントロールか!? 地球の技術がそこまで発達しているという報告は無かったぞ。仮にもしそうだと言うのなら、後藤ひとりも私と同様に他の星からやってきたということか……? 

 

 我々リゾルート星人は他の星々との問題は起こさないという不文律がある。しかし他所の星の問題とは言え、侵略を見過ごすわけにはいかないな。

 

 後藤ひとりめ……貴様の好きにはさせないぞ! 

 

 

 ◇

 

 

 私の名前は後藤ひとり。バカで運動音痴でコミュ障でギターだけが取り柄のダメ人間です……。

 中学三年間で一人も友達が出来なかったし、バンドメンバーも集められなかったけど、高校では絶対に青春するんだ!

 

 そうして迎えた入学式の帰り。

 

「待っていたぞ、後藤ひとり」

 

 クラスメイトの男の子に何故か校舎裏まで呼び出されてしまいました……。

 な、何かしたっけ? あっ、もしかしたら不甲斐ない自己紹介をしたから怒ってるのかな……。

 あっ、でももしかしたら……こ、告白とかだったり!? ど、どうしよう!? 

 

「あっ、えっと……話っていうのは……」

 

 恐る恐る男の子に尋ねてみる。……そういえばこの子の名前分からないや。自己紹介の後は自分の世界に引きこもってたし……。

 目を引く綺麗な銀色の髪。眼鏡を掛けてるけど、お人形さんみたいな可愛い顔をしてる。

 

「単刀直入に言わせて聞こう。お前は地球をどうするつもりだ」

「……は?」

 

 えっ、一体何のこと……? 展開についていけず困惑していると、目の前の男の子は急に顔を歪めた。

 

「質問を変えよう。この星の人間では無いな?」

「あ、新手の罵倒だ……!」

 

 私は思わずそう呟く。まさか入学初日で初対面の子に罵声を浴びせられるだなんて思ってもみなかった。

 

「とぼけても無駄だ。お前が形状変化という地球人には見られない行動を取っていたのは確認済みだぞ」

 

 あれは緊張のあまり溶けちゃっただけなんだけど……。

 もしかしてこれって不良に絡まれてる的な状況? こんな電波系な不良っているの? 混乱した頭でそんな事を考えていると、銀髪の男の子が私に近寄ってくる。私は思わず後ずさりをしたけど、壁に背中をぶつけて逃げ場が無くなってしまった。

 

「少し調べさせてもらうぞ」

 

 そう言って彼は眼鏡のフレームをカチカチと鳴らす。するとレンズからホログラムのようなスクリーンが映し出されるのと同時に、緑色の光が私の全身を包み込んだ。

 な、何これ……。私は訳も分からず呆然としていると、彼が口を開く。

 

「……構成物質は地球人と同じか。だが、体内構造に若干の相違点が見られるな。とすると……」

 

 そう言って彼は何か考え込む様に腕を組んだ。私とホログラムを交互に見つめている。

 なんかこういうのアニメとかで見たことある気が……あっ、もしかしてこの人厨二病って奴なのかも。だとしたら納得。だってこんな電波な事言う人、現実に居る訳ないもん。厨二病って陰キャと同レベルだよね、友達になれるかも……! 

 

「お前は地球人の中でも特異個体と呼ばれる存在なのか?」

 

 厨二病の子がそう尋ねる。ん? 私が異質な存在だって言いたいのかな? 確かに私は周りに馴染めない陰キャだけど、そこまで変じゃないと思いたい……。

 

「ぶ、部分的にそう……かも」

 

 私は自信なさげにそう呟く。すると彼は納得したように大きく頷いた。そして私に手を差し出してくる。

 

「疑ってすまなかった。私は星野銀河。クラスメイトとしてよろしく頼む」

「あっ、よ、よろしくお願いします……」

 

 う、生まれて初めて男の子の友達が出来てしまった! しかもめちゃくちゃ綺麗な子! これって私もう陰キャじゃないんじゃないか!? 

 

「後藤ひとり。早速ですまないが頼みがある」

「は、はい。何でしょう?」

 

 銀河くんの言葉に私は思わず姿勢を正す。彼は少し間を置いてから口を開いた。

 

「……私に、この星の文化について教えてくれないか?」

 

 ……やっぱりこの子、変だ。

 

 

 ◇

 

 

 地球調査レポート#1

 

 今日から地球調査の進捗を記録していこうと思う。これは私にとって初めての大仕事だ。だからこそ気を引き締めて取り掛からなくてはならないだろう。

 地球に降り立ってから一日目だが、地球人の学び舎に潜入することに成功した。ここで生活していれば自ずと地球の文化に関する情報も集まるだろう。

 そして案内役を確保することにも成功した。案内役の名は後藤ひとり。地球人の中でも特異な個体だ。彼女に起こる形状変化の原因は現時点では不明である。他にもまだ能力が隠されているかもしれない。注意深く観察していこうと思う。

 最後にこの星の食事について記しておこう。栄養価の入ったカプセルを補給する我々の食事方法とは異なり、地球人は食事に対してとてつもなく手間を掛けていることが分かった。後藤ひとりの案内で私はオムライスなる物を摂取した。地球に生息するニワトリという生物の卵を材料として作っているらしい。黄身に刃物を突き立てると中からとろりとした液体が溢れ出し、絶妙な味わいが舌の上に広がった。食感も面白い。味覚のデータ収集も重要である為、今後も様々な食事を試していきたいところだ。

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