転移したらおかしな怪獣娘たちのいる世界だった 作:クォーターシェル
や、やってしまった……。気がついた時には、俺はあの金城荘の自室で半裸で寝転んでいて、傍らには同じく半裸のゼットンが寄り添っていた。ゼットンは
「えへ……♡」
と嬉しそうに笑みを浮かべている。ああ……、マジで二次元のキャラで童貞喪失してしまった。俺は虚ろな目で天井のシミを数えていたのだった……。
取りあえず落ち着いた後、ゼットンには帰って貰った。もう遅いかもしれないが、彼女には姉であるゼットン星人がいてあまりにもゼットンの帰りが遅ければ不審に思われるだろうからだ。ゼットンは
「姉など貴方に比べればゴミクズのようなものなのですが」
と言うが俺が、
「お、俺は家族を大切にする君の方が好きかな~?」
と言うと
「そうですか、では帰ります」
と素直に帰っていった。ほっ、なんとかこの場は収まったが、どうしよう?俺はこの一日の事を思い返していた。ゲームをプレイし終わったらゲームの世界に来ていたこと、ゲームの主人公同様に円谷学園に転入したこと、ゼットンと二人きりになったら彼女にキスされて、ゲームでの彼女の記憶が脳裏に走ったこと、そしてゼットンと一線を越えたこと……
こんな所か。先ず俺がこの世界に来てしまったことであるが、恐らくきっかけは直前のあの特別ルートの選択肢だろう。それが俺がこの『恋愛!怪獣娘』の世界に飛ばされた原因なのだろう。次にゼットンとの記憶の件であるが、キスが記憶のトリガーとなったがキスをする前からゼットンの様子は何かおかしかった。もしかして記憶が蘇るような現象はキス等の接触を条件としているが、好感度も元のゲームの好感度が高い状態でスタートしているのだろうか?これに関してはまだ検証が必要だろう。他の子とも交流をとってこの辺りがどうなっているか確かめる方が良さそうだ。
「まあ、取りあえず明日の準備をして寝るか」
俺は気持ちを切り替え、明日以降の事を思いながら就寝した。
そして翌日、俺が学園に登校するとゼットンが校門前で待ち構えていた。俺は身構えるがゼットンは昨日の事を気にしてないのかニコニコ(普段に比べて)としている。どうやら完全に好かれてしまったようだ。彼女はこちらに近寄って来ると俺の腕に絡みついて
「おはようございます、ハジメ君」
と挨拶をしてくる。周りの生徒達はそんな光景を目にしてざわめいている。俺は小声で彼女に
「……ちょっと、ここでそれは不味いだろ」
と言うが彼女は
「問題ありません。私達が恋人なのは事実でしょう」
と返してくる。俺は
「距離感って大切だと思うんだ……。それに別に他人にイチャつく様子を見せる趣味は無いし……」
と言うと。ゼットンは
「分かりました。でも……今夜は覚悟してくださいね」
と小声で言って離れる。俺は顔を赤くしながら教室に向かった。教室に入ってクラスメイトの面々に挨拶し、自分の席に着く。当然ゼットンが隣の席であるのは変わらないのでちょっと気まずい。休み時間になると俺はゼットンに話しかける。
「今夜って言ったけど、また俺の家に来る気なの?」
「不都合があるなら、ハジメ君が私の家に来ますか?」
ゼットンはそう返してくる。えっ?彼女の家に行っちゃっていいの!?でも……
「君のお姉さんがいるだろ?」
「確かに姉はいますが、彼女はあの部屋には入れませんから大丈夫です」
俺はその部屋とやらの事は気になるが、ゼットンが言うのだから大丈夫なのだろう。取りあえず分かったと答えておく。すると彼女は俺に顔を近づけてこう告げた。
「今夜は一緒に楽しみましょうね♪」
ああ……やっぱりゼットンは可愛いなと思いながらも俺は頷いた。
◇ ◇ ◇
放課後、俺はこの学園の生徒である怪獣娘の1人を探していた。校内をウロウロと探していると、
「あっ、いた」
俺はお目当ての人物を発見した。彼女の名はピグモン、原型となった怪獣は友好珍獣の別名がある通り人類に友好的な立場で登場することが多い存在だ。彼女は生徒の1人であるガタノゾーアと話していた。ガタノゾーアの方は今は用事はない。取りあえず今俺が用事があるのはピグモンだ。
「ピグモンさん、後でいいのですがちょっと話したいことがあるのですが……」
と俺はピグモンに話しかける。ピグモンは
「はい!分かりました。じゃあ、この後に私の部屋に来てくださいね」
と言ってガタノゾーアの所から離れ、俺に手を振って去っていった。俺はそれを見て、少しホッとした。ちなみに後で知った事だが彼女は学園の寮で1人部屋らしいので他の生徒と相部屋になることは無いらしい。そして俺はピグモンの部屋に向かうのだった……。
「それで話って何ですか?」
とピグモンは聞いてくるが、その前に彼女の部屋にお邪魔している事を言っておこう。ピグモンは
「いいんですよ。ここって他に誰も居ませんからね」
と俺にお茶を出して勧めてくる。俺はそれを飲みながら彼女に聞いた。
「ピグモンさんは……、正直俺のことどう思ってますか?」
と。彼女は
「うーん、私としてはいい人だと思ってますよ?」
と返す。俺は質問を続ける。
「じゃあ、もし俺と付き合うとしたらありですか?なしですか?」
ピグモンは顔を赤らめて、
「その、ハジメさんはゼットンさんといい雰囲気だと聞いたのですが……」
と言う。俺もまあちょっと悪いこと言ってるなとは思っている。しかし、ゼットンに起きた現象が彼女特有のものなのか確かめておきたかったのだ。それで試しとして、温厚なピグモンに白羽の矢を立てたのだ。最悪ピグモンには嫌われてしまうがその時はその時、少しでもこの世界のルールが知りたい。
「俺はゼットンとは仲が良いですけど、それ以上ではないですよ」
嘘である。実際はゼットンに襲われる形だったけど思いっきり行為に及んでます。もしもゼットンにこの場を見られたら殺されかねないだろうなあ……。俺はそう思いながらもピグモンの返事を待つ。彼女は
「そ、そうなんですね。まあ、ちょっと羨ましいかなって……」
と答えてお茶を一口飲む。俺はごくりとつばを飲み込むと
「じゃあ……俺と付き合ってくれますか?」
と言った。ピグモンは驚いた様な表情で俺を見るがすぐにこう返した。
「はい!私で良ければ喜んで!」
ああ……ピグモンさんマジ天使だわぁ……と思いながらも俺は彼女に抱き着いた。そしてそのまま彼女に口付けをする。ゼットンにされたディープな奴では無く、軽いキスだ。そして、
「ぐっ!?」
「痛っ!?」
激しい頭痛が来た。それと共にゲームでのピグモンとのイベントの記憶が頭に流れ込んでくる。……やっぱりゼットンの時と同じだ!この世界のヒロインとキス等をするとどうやらゲームでの記憶が入ってくるらしい。ピグモンも同じようで頭を押さえている。そしてしばらくして頭痛が引くと、ピグモンが
「あはぁ……♡」
と嬌声を出す。そして、
「思い出しましたあ……、私、既にハジメさんのものだったんですねえ……」
と言う。やっぱり、ゲームでの記憶の再生は彼女にも共有されたらしい。そうだな、取りあえずこれを踏まえて今後の行動をどうするか考えるか……。そう思った俺は
「じゃあピグモンさん、今日はこれで」
とピグモンに言う。するとピグモンの顔から表情が消え、
「えっ?」
と彼女は呟く。そしてピグモンは
「ハジメさん……。ここは私とエッチなことをする流れですよね?」
と言ってくる。
「いや、ここでエッチなことに踏み切るのはなんか違うかなって思って……」
と俺は言い訳する。しかしピグモンは
「キスもしたのにですか……?」
と悲しげな顔で俺に言う。俺も男だ、ここで止めてしまうのはあまりにも残酷である。しかし俺は
「ごめん……、実は君との記憶の他にも俺には他の子と付き合った記憶があるんだ。だから今すぐピグモンと付き合うことは出来ない」
と俺は真実を告げる。ゼットンとやってしまったのは事故みたいなもんだし、ピグモンの好意は嬉しいが、俺にも考える時間が欲しいのだ。するとピグモンは
「それって……、特別なのは私だけじゃなかったってことですか……?」
と尋ねてくる。俺は
「そうだな……、他の子との記憶が再生する可能性はある」
と答える。ピグモンは
「そうですか……、そうですか……」
と消え入りそうな声を出す。俺はピグモンに
「とにかく、時間をくれ。返事は必ずするから」
と言う。するとピグモンは、
「くふふ……、ふふふふふふ……」
と笑いだす。俺は
「ピグモンさん?」
と尋ねるが、ピグモンは
「分かりましたよ、ハジメさん。今日の所は帰って大丈夫です!」
と明るい表情でそう言う。俺は若干不穏なものを感じたが、取りあえず帰ることにした。しかし、外に出ると、
「ハジメさん」
と声をかけられた。振り返るとそこにはピグモンが居て……
「くふふ……♡」
と笑いながらこちらを見ていた。俺は寒気を感じながらも家に帰るのだった……。
◇ ◇ ◇
「ハジメさん。私は貴方を強引に独り占めできない程弱い怪獣です……」
「だから、決めました」
「私1人で無理なら、皆で貴方を“囲って”しまえばいいんです♡」
「ハーレムは……、人間の夢ですよね?」
◇ ◇ ◇
俺は家に帰り着くと、自分の部屋に居たゼットンに軽く挨拶をする。ゼットンはいつも通りの様子で返事をしてきたが、若干機嫌が悪そうに見えた。そんなゼットンを他所に俺は今日の出来事を振り返る。ゲームでの記憶の再生は恐らく、『恋愛!怪獣娘』のヒロインなら誰でも起こり得る。そして、好感度も高くなっているようだ。それが分かったのは幸いだった。じゃあ、俺はこれからどうすれば良いのだろうか?
「ハジメ君?」
ゼットンが俺に声をかけてくる。俺は
「ああ」
と返事をして彼女の方を向いたが、彼女は
「何かありましたか?」
と聞いて来る。俺は少し迷ったが彼女にも相談することにした。ピグモンとの出来事を話すと彼女は
「……そうですか」
と言うだけで後は特に何も言わなかった。……あれ?なんか怒ってない?いや、俺は浮気同然の事をしたのだ。怒られてもどう考えてもこちらに非がある。俺は
「そうだ、ゼットン。今夜君の家に行く約束だったが、また後日でもいいか?今日はどうもそんな気になれなくて……」
とゼットンに言う。ゼットンは
「そうですか、では上半身をはだけてもらえませんか?あっ、胸を見せるだけでいいですので」
と言ってくる。俺は首をかしげながら、
「これでいいか?」
と言って服をはだける。するとゼットンは俺の胸を見て
「ピグモンにその胸は見せましたか?」
と問う。俺は
「いや、そんな事はないけど」
と答える。ゼットンは
「そうですか」
と言うと、自分の人差し指を立て、その指先に火を灯す。彼女の怪獣としての能力だろうか。そしてゼットンはおもむろに人差し指を俺の胸の中央に押し付けた。ジュウウ……という音と共に指を押し付けられた箇所に熱と痛みを感じる。俺は突然の事に驚き
「痛っ!!熱っ!!」
と言う。ゼットンは指を離すと
「浮気をしたペナルティーです。貴方の魅力を考えればいつかこうなるとは思っていましたが、こんなにも早いとは……」
と言う。俺は火傷の痛みで涙目になりながら、
「やりすぎじゃないか!?」
と訴えるが、ゼットンは
「貴方が他の女と交わることは百歩譲って許します。ですが、貴方の胸を見た女は貴方の真の番が誰か知る事になるでしょう……」
と言う。随分凶悪なマーキングだな……。しかし、事と次第によっては彼女に消し炭にされかね無かったのも事実……。命が助かっただけマシと思うか。
「それで?貴方はこれからどうするのですか?」
とゼットンは俺に聞いてくる。俺は
「取りあえず、他の子達とも交流を深めていこうと思う」
と言う。するとゼットンは
「そうですか……」
と言った。そして彼女は続けて
「しかし、私は貴方を手放すつもりはありません。他の女には渡しません……貴方も忘れないでください。貴方が純潔を捧げた女は誰なのかを」
と言う。俺は
「分かってるよ」
と答える。ゼットンは
「ならいいのですが……。他の女に現を抜かさないように気を付けてくださいね」
と言うが、既にピグモンにキスして告白までされてるから手遅れなんだよなぁ……と心の中で思うのだった……。そして、これからはゼットンともしっかり交流を持つようにしなければとも思ったのであった……。
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