ブルーアーカイブ ―青でも透明でもなく銀色の世界観―   作:海軍アザラシ隊

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プロローグ
終わったものを掘り返す奴は大抵自己満


 

 

「オイィィィ!! 腐れ天パァァ!! 今日こそ溜まりに溜まった家賃、腎臓なり金○なり売って耳揃えて返しに来なァァ!!」

 

 朝から騒々しい怒号が玄関先から部屋中へと響き渡る。到底初老の女性が出せる声量とは思えないが、当人の性格ゆえなのか年齢を感じさせない。

 

 スナック お登勢の女店主にして万事屋銀ちゃんの大家である彼女は、長い間支払われてない家賃の回収に度々赴くが大抵未回収に終わる。

 

 室内に誰かいる以上は聞こえないはずも無い大声が数秒で無音へと変わるも、一向に内から返答は無い。いまだ家主は寝ているのか、はたまた居留守を決め込んでいるのか定かでは無いが、部屋に押し入ってまで取り立てに行くのは面倒臭いのか玄関先から動かない。

 

 そんな彼女を他所に、2階への外階段から上がってきた青年をかけたメガネが1人。

 

 

「おはようございます、お登勢さん。外まで声が聞こえてましたよ」

 

「ああ、新八かい。まったく、あんたんところのダメ社長にあんたからも言っといておくれよ。家賃払わないなら今度こそここから叩き出すってね」

 

「ははは……、言っときますね」

 

「じゃあ伝えるもん伝えたから、私ゃもう行くよ」

 

「はい、じゃあまた」

 

 お登勢はメガネが上がってきた階段逆に降りていき、1回にある自分の店へと入っていく。

 

 それと同時にメガネは玄関に入ると草履を脱ぎ、廊下を通って居間へと入った。

 

 居間にはソファが2つ、間にテーブルがあり、窓際には木製のオフィスデスクがあり、窓上には『糖分』と書かれた意味のわからない額縁が飾ってある。ここが事務所であり、彼らの生活圏でもあった。

 

「銀さん、神楽ちゃん、もう10時ですよ。いつまでも寝てないで起きてください」

 

「んー、まだ10時ネ」

 

「いや、もう10時なんだけど……」

 

 メガネの声に応えるようにして居間の押入れが開くと中から1人の少女が眠気眼を擦りながら降りてきた。

 

「ほら、起きたなら顔洗って寝癖直してきなよ。女の子なんだから身嗜みは整えないと。定春も、いつまでも寝てないで」

 

「んー、行くよ定春……」

 

 少女に呼応するように通常の犬より遥かに大きい犬が豪快な欠伸と共に彼女に追従する。

 

 開きっぱなしの押入れを閉めると今度は和室の襖を開ける。中央に敷かれた布団からは寝相の悪い白髪の男性がイビキをかいて爆睡している。

 

「銀さん、起きてください。もう10時ですよ」

 

 モゾモゾと布団を頭から被り二度寝に入ろうとしているのか、くぐもった声だけが布団越しに発せられる。

 

「朝っぱらからうるせえなァ……俺ァ二日酔いなんだよ……」

 

「良い歳した大人が二日酔いになるまで飲まないでくださいよ。そもそも以前の五股ドッキリで懲りたんじゃなかったんですか」

 

「馬鹿野郎オメー、それはそれ、あれはあれだよ……」

 

「それもあれもないですよ……」

 

「もういいから寝かせてくれよォ……新八の八は8時の8だろ……」

 

「新八の八に時間の理を期待しないでください。今日は久しぶりの依頼があるんでしょ。ちゃっちゃと身支度して下さい。僕は朝ごはんの用意しとくんで」

 

「へいへい」

 

 気だるげな返事とともにこれまた締まりのない面をした男が欠伸をしながら洗面所へと向かっていった。これが彼らの一日の始まりなのだ。

 

 ───────────────────

「いただきますヨー」

「いただきまー……」

 

 テーブルに並ぶは、こんがり焼かれたベーコンの上にふたつの目玉焼きが乗ったプレートが2つ、小鉢に入った納豆と生卵、沢庵、白い湯気が立つ白米と味噌汁。一般的な食事に箸をつける男と少女。

 

 方や青年の方は犬の餌を用意したあと、よく食べる少女のご飯を次々と盛っていた。

 

「ほら神楽ちゃん、もっとよく噛んで食べないと消化に悪いよ」

 

「分かったヨ、オカン」

 

「誰がオカンだよ……。あ、そうだ銀さん、さっきお登勢さんが家賃の回収に来てましたよ」

 

「家賃家賃ってどこにそんな金があるんだよ……、こっちとら原作終了して5年、アニメ劇場版最終回から3年経ってんだよ。その間にアフターエピソードなんかやってねえんだからずっと無給だわ」

 

「やめてくださいよ、急に現実的な話をするのは……。でもなんだかんだ無事銀魂終了して良かったですよね。一時はどうなることかと思いましたが」

 

「そうアル、長年続いた終わる終わる詐欺、週刊誌から外されてのWeb漫画、中途半端なアニメ放送、挙句の果てには散々文句を言ってた最終回を劇場で上映する有様、艱難辛苦を乗り越えて私達は大団円ネ!」

 

「やめて! 原作者や大人の事情云々が関わってくる危ない会話するの! てか、それ何一つ内容と関係ないじゃないか」

 

「大体よォ、今更こんな小説書き始めてどうすんだよ。原作終了してから何年も経ってるっつーのに、新規読者も見込めないのに無駄労力使いやがって。馬鹿なんじゃねーの作者。初回から最終回まで15年半も走り続けたってのにまだ働かせるのかよ」

 

「ここまで来ると最早懐かしさを感じるネ。それこそああ、銀魂は俺達の青春だったってやつアル」

 

「そうだよォ、過ぎ行く年月はあっという間だよォ。気がつきゃ少年ジャンプを追ってたわんぱく坊主も一端の正社員になって、社会という歯車の1部でサビ塗れだよ。ジャンプし過ぎて少年から青年だよ、心は中年になってんだよ」

 

「いや、意味わからないんですけど……。でもこれを機に原作読んで見ようかなとか、アニメ視聴してみようかな、っていう方が増えればいいですよね。作者だってそれを思って書いてるかもしれませんし」

 

「今更そんなヤツいねぇって」

 

 そんなぼやきを他所に小鉢に入った納豆が糸を引くまで練られては、粘りのある水音が聞こえてくる。

 

 フッ、と一息肩から力が抜けたメガネは何処か呆れた様な、それでいて懐かしさを感じるこのやり取りに苦笑しながらも、自分は今朝取り忘れて置きっぱなしになった朝刊を取りに行く為に立ち上がる。

 

「それじゃ僕はちょっと玄関に朝刊取ってきます」

 

 食事が並べられたテーブルから離れ、彼は居間を離れて玄関へと向かった。残された今の中では男と少女、そして巨大な犬が食事をする度に発せられる音だけが残った。

 

 無言の食事風景の中、数分してから廊下と居間を仕切る扉がガラガラと音を立ててメガネが戻ってくる。

 

 だが彼の手には何も無く、当の本人も何処か気の抜けたまま重い足取りでソファーへと腰掛けた。若干俯き気味の頭からはメガネが滑り落ちそうになってる。

 

「んだよ、新聞取り行ったんじゃねぇのかよ。そんな湿気たツラしてたら飯が不味くなるだろ」

 

 沢庵に齧り付くと心地よい音を出しながら男はメガネへと愚痴る。

 

「あの……銀さん……、僕達っていつターミナル近くに引っ越しましたっけ……」

 

 小刻みに震える全身を抑えるようにか細い声が男に問う。

 

「何言ってんだお前、3年しか経ってないのにもう職場を忘れたんですか、迷子ですか、若年性認知症ですか?」

 

「あの……なんか……犬が二足歩行で歩いてたんですけど……」

 

「それが銀魂の設定だろうが、宇宙から来た天人っつー設定がよ。うちの下にもいるだろ、猫耳団地妻」

 

「いや……もっと原種に近いっていうか……もはやそのまんまっていうか……あとロボットがスーツ着て歩いてたんですけど……」

 

「そいつもうちの下にいるじゃねえか、人型の絡繰娘が。あいつがいるなら3年も経てば街中に絡繰が増えても変じゃねぇだろ。今どき飯屋で猫が配膳する時代だぞ? 猫は猫でもネコ型じゃねぇが」

 

 ものすごい勢いで飯をかき込む少女を他所に、男は自分の食べ終わった器を一つにまとめるといつもはメガネの淹れるお茶をすするのだが、この調子ではお茶を淹れるどころかソファーから微動だにしない事を察すると自分で茶を淹れて啜る。

 

「さっきから何言ってんだよオメーは。初回だからってわざわざ読者に設定紹介すんなよ、露骨過ぎんだろ」

 

 お茶を啜って一息入れては凝り固まった肩をを持ち上げ1周させる。すると年月の経った茶葉だったからか、わりと渋めの後味に男は苦い顔をして席を立つ。満腹感からの欠伸を噛み殺しながら口の苦味を上書きする為に、男は居間を出て台所に向かった。

 

 冷蔵庫に入っている筈のいちご牛乳を取りに行き、いざ冷蔵庫を開けるもそこに紙パックの原型はなかった。買い置きしていたと記憶していた男だったが、記憶を辿ると昨晩酔っ払って帰ってきた際に就寝前に1口飲むつもりが全部飲み干したことを思い出し、途端に落胆する。

 

 男が居間に戻る頃には少女も食事を終え、ソファーで雑誌を読んでいた。乱雑に置かれた皿と箸、そして2人が食べるには多い量で炊かれた米の入った飯台も空になり、テーブルの脇に置かれている。

 

「新八、いちご牛乳無くなってたからちょっと買ってくるわ。依頼者来たら適当に待たせといてくれ」

 

 普通社長が言わない台詞をスラスラと口にすると男は自分のデスクから財布を取り出し、足早に居間から出ていく。それほどまでにいちご牛乳を飲みたいのか、黙りこくるメガネの後ろを一瞥もせずに通り過ぎた。

 

 そして男が出てから1分もしないうち、再び居間の仕切りが開かれるとメガネよろしく男も俯きがちに部屋に入ると黙ってソファーに腰を下ろした。

 

 そして静かに一言。

 

「……新八君?」

「なんですか……」

 

「俺達、いつの間に都会っ子になったっけ?」

「知らないです……」

 

「頭に輪っか乗せた子供が歩いてるんだけど、俺達死んだの?」

「知らないです……」

 

 

 数秒の沈黙の後、男共はソファーから飛び上がると慌ててデスク後ろの窓を全開にした。本来ならばそこは裏には一本道を隔てて建物が建っている筈

 

 

 だった。

 

 

 

 どこまでも広がる都市中心部のようなコンクリートジャングル。道路は全て舗装され、街路樹や街灯が街並みに色を付け、ガラス張りの高層ビルに反射した太陽光が影を無くすほど明るく照らしている。道路には頻りに車が走行し、バスが歩行者を乗せるために端に寄る。

 

 そして江戸はかぶき町、彼らが住んでいた場所とは明らかに違う大空に悠々と浮遊している巨大な複数の輪とその下にターミナルと同等の巨大建造物。それが彼が生きている場所とは何よりも違うと思い知らされる決定打であった。

 

 歩道には見た目犬型の生物が帽子やコートで着飾って歩き、男達が知っている以上に発達していそうな高性能絡繰(アンドロイド)がスーツを着、鞄を持ち、携帯電話を耳元に傾けて忙しなく闊歩している。

 

 

 自分達の仕事場であり家であるこの場所の立地は、長くかぶき町を生きてきた彼等にとっては忘れるはずも無い。だが明らかに自分達の見知った馴染みのある土地はどこかへ行ってしまった。

 

 

 いや、行ってしまったのは彼等の方(・・・・)なのかもしれない……。

 

 

 窓から見える見違えた風景に男共は声高々に叫ぶ。

 

 

「「グ、グラブっちまったァァァァァァ!!!」」

 

 

 

 ──────────────────────

 

「侍の国」

 

 僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話。

 

 かつて侍達が仰ぎ夢を馳せた江戸の空には、異郷の船が飛び交い、かつて侍たちが肩で風を切り歩いた街には、今は異人がふんぞり返り歩く。

 

 それがぼくらの世界、それが僕らの街。

 

 そんな時代に、侍魂をもった男が一人、その名は坂田銀時。

 甘党&無鉄砲なこの男の元で頼まれればどんな依頼もこなす万事屋として眼鏡掛け器 志村新八、戦闘種族夜兎 神楽、そして巨大犬 定春は活動していた。時に破天荒に、時にシリアスに、そうして江戸を生きてきたのが僕たちの歴史。

 

 それはかつての話。

 

 これから織り成すは再び違う世界で僕達万事屋が大活躍! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来たらいいよなぁ…」

 

「出来たらじゃなくてするからぁ!!」





「はい、後書きでーす。今後はここに適当に作者のお気持ち表明とか、感想返信とか諸々書き込んでいくつもりなんで、よろしく。

じゃあまず記念すべき1話目の後書きだけど、今回は作者のお気持ち描きますんで暇人は読んでってくれよな。


【今回は本作を手に取っていただきありがとう御座いました。拙い文章での創作となりますが楽しんでいただけたのでしたら幸いです。

当方は銀魂原作全巻読破、アニメを何周したか数えるのやめた程観ていますが文章に起こすほどの器量を持ち合わせていないので思う様な描写が出来ていないと思います。

また、今回万事屋一同を登場させましたが原作通りのキャラ設定、口調、行動が取れているか、それを上手く表現出来ているかどうかは第三者の方々からの視点でしか分からないと思います。明らかにキャラ崩壊していると思った方が居たら遠慮なく感想を書き込んで指摘していいただけると修正致します。

そして原作&アニメ観返して想像性を高める為に長時間お休み貰います。

当作者は昔別サイトで小説を書いていましたが何年も前のことなので書き方を忘れ、少年の心も忘れました。社会という荒波に揉まれ、仕事場でも万年 駄文製造機な大人 マダオと成り下がりました。そんな中で最近始めたブルアカの世界観に心癒され、あらすじに書いた通り、今作の創作に至ります。

今後の展開はまだ考えてませんが気長に付き合って貰えると嬉しく思います。私の首が飛ぶその時までよろしくお願い致します。 】だそうです。

基本は銀魂節強めの日常系を目指していますが気分次第でブルアカストーリーに介入するかどうか考えてるそうです。


あとこの話は数日前から練っていたそうですが、お気持ち通り数年ぶりの創作だから筆が乗らずにダラダラと描き、気づけば数日前に「ブルーアーカイブ アニメ第一話放送」とかしちゃってる始末で、作者は全く知らなかったそうです。そしてまだ観てません。こんな話を書いてる暇があれば視聴しろって話なんだけど。


じゃ、今回はここまで。基本後書きは銀八先生方式でやってくつもりだからよろしくな」

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