ブルーアーカイブ ―青でも透明でもなく銀色の世界観―   作:海軍アザラシ隊

2 / 4
クロスとコラボは考えてやれ

「「グ、グラブっちまったァァァァァ!!!」」

 

 驚嘆、哀叫、慟哭、いずれにせよ野郎二人の喉奥を通り越し、文字通り魂の叫びとも呼べる大声が部屋を響かせ、開きっぱなしになった窓から外の世界へと飛び出していく。場所が場所なら児玉まで聞こえて来るだろうが、生憎ここは都市中心部に建つ一軒家の二階。街の騒音には負けてしまう。

 

 然しながら部屋いっぱいに響き渡る男の声は同室の少女と犬の耳を塞がせるには十分な威力があったことだろう。少女はソファから飛び上がり、犬は微かに唸り声を上げ、毛を逆立てては警戒態勢に移行した。

 

「うっさいネ、オマエら! んもー、いつまでも声張り上げてないでさっさと窓閉めちゃいなさい! いい歳した男が騒ぐんじゃないの! ご近所迷惑でしょ!」

 

「お母さん!?」

 

 流石に自分達が大声を出しすぎたのを自覚したのか、野郎二人は慌てて窓を閉めるとこれまた慌てた様子でソファに座り直すと現状を受け止めるべく普段から使わない脳をフル回転で思考する。

 

「何アルか、2人ともさっきから騒いで。久しぶりの登場だからってはしゃぎ過ぎアルよ。こんなんだから、やれ銀魂は騒がしいとか、やれ教育に悪いとか、挙句の果てにはツッコミだけが生き甲斐のキャラとか言われるネ」

 

「ちょっとぉ! それ最後の僕の悪口でしょ! 明らかに特定のキャラ指してるでしょ!」

 

「そ、それどころじゃねぇよ……。どうすんだよコレ、どうすりゃいいんだ俺、どうしてくれんだよ新八」

 

「オイィ! 何どさくさに紛れて人のせいにしてんだ!」

 

 

 大の大人が2人慌てふためく状況の中。1人外を見てない神楽は事の状況を理解していない為、冷静というか驚く素振りも見せていない。

 

「これあれですよね、以前別世界に飛ばされた時と同じ状況じゃないですか?」

 

「ああ、昔グラブルコラボで向こうの世界に行っちまった時と同じじゃねぇか」

 

「やっぱりそうですよね……。どうしよう、今度は割と都会に来れたみたいだから遭難とかドラゴンと戦う展開とかは無さそうですけど、久々の復活と思えばまさかのコラボ展開だなんて……」

 

 自分達の置かれた状況を整理し、改めて確認すると以前もこのような状況、いや以前よりかはマシな状況であったからこそ段々と落ち着きを取り戻していき、熟考するほどには脳も心も冷静さを取り戻した。

 

「キャッホーイ! 私前から都会に住んでみたかったアル! これで私も春からシティーガールネ!」

 

 銀時、新八を他所に彼らが先程まで眺めていた窓を開け、外に広がる景色に心躍らせ、その場で悦びを表現してた。

 

「そんなこと言ってる場合じゃないよ神楽ちゃん。僕達が居るのはかぶき町じゃないんだよ、知らない場所にいるんだよ。もうちょっと危機感とかさ」

 

「えー何で? コラボなら連載中の時から散々してきたアルよ。北○にワ○ピにドラ○ン○ール、超有名どころの世界観を体験してきた私達に向かうところ敵無しネ」

 

「それコラボじゃないから! ウチが勝手にしてただけだから! ちょっとどうするんですかこれから。ここはビシッと方針決めないと今後の展開が迷走しちゃいますよ」

 

 神楽も一通り外の景色を堪能したのか2人と対面にあるソファにどっかりと腰を下ろし、胡座をかいて座る。対して新八は未だ今後の予定をどうにかしないと落ち着けないのか、唯一大人で長年の主人公としての感性に頼る。そんな向けられた期待を見に受け、腕を組んでは目を瞑り、何かを考える素振りを魅せる銀時。

 

 

「コラボって事は仕事しなくていい……ってコト?!」

 

 暫くの沈黙の後に導き出された答えがこれ。

 

「言い訳あるかァァァァ!」

「ぶべらっ!!」

 

 横から飛んできたストレートが諸に頬を直撃し、大の大人が吹き飛ばされるという現実的にはありえないシュールな光景が部屋の中で行われた。

 

 ホコリの立ち上がった壁の傍には仰向けになって倒れた銀時、それをソファから立ち上がって新八が指を指してツッコむ。これぞ銀魂、これぞ日常である。

 

「なんだよぱっつぁん、久々のツッコミにしちゃ激しくねぇか」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! 少しは主人公の自覚を取り戻せよ!」

 

「そうは言ってもよォ、かぶき町の依頼主がこの世界に居るとは思えねぇし、俺らもまた1から知名度稼がなきゃ金稼ぐ方法もねぇだろうが」

 

「うぐっ……、結構まともな意見……。すみません殴ったりして……」

 

「いや、こんな状況だ、多少動転してても仕方ねぇ」

 

「なんか銀さん、大人になりましたよね。余裕があるって言うか、主人公の貫禄っていうか」

 

 

 着物に付着した埃を叩き落としながら立ち上がる銀時に申し訳なさそうな顔をしつつも何処か安心した表情を魅せる新八。これが13年の重みなのか、培ってきた主人公力というか、とにかく昔よりも手の速さが落ち着きを魅せた言動の一つ一つが目に留まる。

 

「うだうだ考えたって仕方ねぇよ、とりあえずお前はジャンプ買ってこい、それで殴ったのはチャラにしてやる」

 

「……やっぱりなんも変わってねぇよ、アンタ」

 

 ────────────────────────

 

 数刻を経て、万事屋一同は未だに居間から出ることは無かった。ジャンプを買わせに行かせようとした銀時はソファに寝そべり、既に読み終えた先週号を再読していたが途中で飽きたのか昼寝の体制に入っている。かくいう買い出しに出されたはずの新八は窓を開けて部屋の掃除をしていた。神楽と言えば定春とじゃれ合っている。

 

 誰一人として外に出ようとしないのは、昔のコラボで3日も何も無い荒野に放置され、餓死寸前にまで追い込まれたのが若干のトラウマになっているのだろうか。

 

「で、結局どうします?」

 

「どうするもこうするもねぇよ、下手に外出てどんな目に遭うか分かんねぇだろ」

 

「アンタそれが本音だろ、だから僕にジャンプ買わせに行かせると見せかけて偵察させるつもりだったろ」

 

「あたりめーだろ、俺ァもうひもじい思いをすんのはゴメンだね。その点お前はいいよな、腹減ってもメガネがあるんだから。中までプラたっぷりなんだから」

 

「メガネが非常食になるわけねぇだろ!」

 

「なら眼鏡が本体なんだから腹減る事もねぇだろ、餓死もしねぇから探索には向いてんじゃねぇか」

 

「メガネが本体ってなんだよ! いつまでそのネタ引き摺ってんだよ!」

 

「でも銀ちゃん、いつまでもこうしてダラダラしてても埒が明かないアル。いつかはご飯も無くなって、何をするにもお金が無くて、結局餓死するのが目に見えてるネ」

 

「……」

 

 確かに神楽の言う通り、今現在万事屋一家に残されたものは部屋の中にあるもの全て。2、3日分の食料も大飯食らいのチャイナ娘がいるだけで一日分に足りるかどうかも分からない。幸い水道は通っているようで、脱水症状に悩まされることは無いだろうが、兎にも角にも必要なのは金である。

 

 今を生きるには如何せん、金が無ければ生きていけないという経済社会にドップリ浸かった生活をしているのだから、金が無ければ飯も食えず、水もいつかは止まるだろう。何より個々が好き勝手に使える給与の支払いも滞る事だろう。まあ、傍から払っていないのだが。

 

「……しゃーねぇ」

 

 寝転んだ姿勢を直し、後頭部を掻きながらソファを立ち上がる銀時に新八も神楽も今行っている行為の手を止めて振り返る。

 

「1回みんなで外出てみっか」

 

「……そうですよね、結局は外出て自分の目で確かめなきゃ何も始まらないですしね」

 

「ここでグダグダやってても尺伸ばしとか文字稼ぎとか言われるだけで、何もストーリ進まないアル」

 

「サラッと危険なこと言わないでくれる!?」

 

「ほれガキ共、とっとと準備しろ。こんだけ発展してりゃコンビニの一つや二つ、近くにあるだろうし、いちご牛乳とジャンプ買わなきゃよ」

 

「私、酢昆布たくさん欲しいアル!」

 

「定春の餌とトイレットペーパーも無くなりそうですし、この際必要なもの買っちゃいましょうか」

 

「おい! 日用品はともかく余計なもんは買わねぇからな!」

 

「酢昆布は余計じゃない、主食アル! そういう銀ちゃんこそ、いちご牛乳とジャンプは余計な物ネ!」

 

「違いますぅ、いちご牛乳は飲料水ですぅ。ジャンプも日々の生活を彩る為の日用品ですぅ」

 

「どっちもどっちでしょ……」

 

 バタバタと玄関に向かう三人と一匹。ここから出たら見知らぬ世界。右も左も分からないこの場所で彼らは新たな1歩踏み出していく。

 

 

 ────────────────────────

 

「あ、ありがとうございましたぁ〜」

 

 街の一角に展開されたうちの一店舗。【エンジェル24】と軒先に書かれたコンビニから出てきた3人は各々必要な物、欲しかった物(不必要な物)を入れた袋を手提げて退店する。

 

「何も臆することはねぇ、ちょっと発展した江戸と変わんねぇよ」

 

「そうアルな、いつも食べてる酢昆布とは違うけど、これはこれでイけるアル」

 

「いや、コンビニに爆弾とか鉄砲の弾とか売ってないと思うんですけど……。てか、なんであんな危険物置いてあるんだろ……」

 

「ありゃ自衛だよ自衛。最近コンビニ業も物騒になってきたって聞くだろ? どっかのテロリストだって、天人だって、オケラだってミミズだって今やコンビニ使う時代だよ」

 

「オケラとミミズがどうやってコンビニ使うんですか……。しかも銀さん見ましたアレ。店員さん、頭に輪っか浮かんでましたし、どう見ても中学生くらいでしたよ。どうなってんですかこの世界の労基」

 

「さぁな、それ言ったらどうすんだようちのチャイナ娘は。サザエさん方式で歳とらないんだし、見た目まんまガキだろ。色々事情があるんだよ、察してやれ」

 

 袋から取りだしたチョコ菓子が無造作に手に出すと口へと放り込まれる。

 

「しっかしよォ、見れば見るほど変な世界だよな」

 

 銀時のぼやきが口から漏れながら、万事屋一同は人通りの減った歩道を歩く。現在の時刻は昼前、10時に起床して飯を食い、外に出るまでに1時間ちょいを部屋で過ごしたとしたら、窓から見えた時に歩いていたアンドロイドや犬型生物の姿は見える範囲で数を数えられる程度。

 

「そうですね、人は違えど文明レベルで言えば僕らと同じ……もしかしたらそれ以上かも知れません」

 

「かと言って歩いてるワンちゃん達も言葉を話してるし、定春とは違う犬種かもしれないネ」

 

「犬種っていうか、もう人種なんじゃ……」

 

 菓子を貪る銀時、酢昆布かじりながら定春の背中二乗る神楽、呆れた物言いに肩を落とす新八。彼らがコンビニにだ取り付くまでに見かけた建物は、多少の違いはあるけれどほとんど遜色のないほど江戸 ターミナル付近と似通っている。

 

 それもそのはず、建築構造自体は変わっていたとしても天人の技術導入によって根本的な営業形態は何ら変わらないのだから、彼らが驚くことは無い。例えるならかぶき町でビル群が建ったら珍しいが中の店舗はその辺と変わらない。見かけだけかよ、と印象を抱くのと同じだ。

 

 そんな街への印象を受けつつ、彼らの中である疑念が浮かんでいた。道行く人々の大半をアンドロイドと犬猫が閉めている中で、これまで見かけた回数は1度だけ。

 

「人種で思ったけどよ、ここ俺たちの他に人居なくね?」

 

 彼らが合致して疑問視したのは人類種の少なさ。いや、自分たちと同じ"ヒト”が見かけなかったという話である。この時間、これだけの都市部であれば多くの人は仕事や勉学に勤しんでいるであろう。昼間から目的も無く外をブラブラ歩いている暇人達とは違って、大抵の人は室内にいると考えられる。

 

 そういう要因もあってか道先々では人に会う方が少なく、同じくして銀時達が自分たちと同じヒトに会う機会がなかった。

 

「確かに、僕らのようなヒトを見かけたのはさっきのコンビニの店員さんくらいでしたよね」

 

「それに見て見ろ、新八、神楽。あそこの牛丼屋、ガラス張りで中が見えるけど、客はロボットで店員は犬だぜ? どうやってロボットが飯食うんだよ。なんで犬が飯作ってんだよ」

 

「百歩譲って犬? 人? が料理してたとしても、さすがにロボットが飲食するのはどうなんでしょうね……」

 

「きっとド○えもんと同じ設定アル。食べた物は消化機能でエネルギーになるって初期設定で見た事あるヨ」

 

「やっぱ時代の先取りだよなド○えもん。一家に一台の時代が来るよ。俺もバイバインで無限にパフェ食いてぇもんなぁ」

 

「銀ちゃんも分かってないアルな。どうせ増やすなら増えるミラー一択ネ」

 

「ちょっと、何真面目な考察からド○えもん談義に話変えてるんですか……。僕は断然もしもボックス派です」

 

「もしもボックスを選ぶ奴は大抵童○だぞ。お前みたいなモテない君がスケベ心丸出しで鼻の下伸ばしながら【もしも僕だけがモテる世界になったら】とか言うんだろ。知ってる知ってる」

 

「男って不純アル、こっち寄るんじゃねーよ駄眼鏡」

 

「ち、違ぇし!! 謝れよ、全国のもしもボックスファンの人に!」

 

 いつまの間にか話の先が移り代わったのをきっかけにこの世界に来てしまったことに対する疑問や憶測が急に終わるかと思われた。

 

 ─────────────────────

 

 来た道を逆走し、帰路に着くも、相も変わらずヒトに会うことは無かった。道すがらに見える光景はどこもかしこも現代的な建築で、トタンやベニヤで作られた建物の方が珍しく、周囲の風景とは逸脱して見えるだろう。

 

 そしてまた彼らが帰ってきた万事屋も、コンクリート建築に挟まれた時代錯誤な出で立ちだった。

 

「出る時は気にしてませんでしたけど、やっぱウチだけ浮いてますよね」

 

「つーかよ、建物丸々残ってるなら下のババァ達はどうなってんだ」

 

「今朝家賃の取り立ての時はまだかぶき町でしたし、みんないるんじゃないですか?」

 

「建物だけあって人が居ねえってことはないとは思うが、一応中見てみるか」

 

 彼らの職場である万事屋 銀ちゃんはあくまでもスナック お登勢の2階部分で貸出店舗である為、彼らの職場がそのままであれば、連なる下の階もあっておかしくなかった。

 

「婆さん、いるか」

 

 暖簾を潜り、入口の引き戸を開け、中へとはいる。土間に並べられたソファとテーブル。そして酒瓶の並んだ棚とカウンター。ごく普通のありふれたスナック、BARのような内装が酒場としての落ち着きを醸し出している。

 

 そんなカウンターの奥で注文されることの多い酒を近場に並べては、加えタバコの灰を落とす女主人が1人。

 

「なんだい銀時、ようやく家賃返しに来たのかい」

 

 同じくタバコを吸いながらカタコトで話す猫耳の生えた中年女性がソファでくつろいでは悪態を着く。

 

「無駄デスヨ、お登勢サン。1度踏み倒したヤツは、何度デモ踏み倒しマス。性根の腐りガ毛根マデ出てマスヨ」

 

 そしてもう1人。老年女性の経営する、酒と健全なエロを嗜む親父の聖地で唯一の紅一点とも言える若い娘が箒で地を掃く。

 

「おはようございます、銀時様、新八様、神楽様」

 

 スナック お登勢の店主と従業員、彼女ら3人もまたこの世界に介入していた。だが、明らかに普段と同じ日常風景が違和感を感じさせる。

 

「こういうのってレギュラー・準レギュラーとかが呼ばれるもんだろ。譲歩してもタマは分かるが、ババアと猫耳団地妻のコラボとか誰得だよ、明らかに詐欺だよこれ」

 

「開口一番人の事詐欺扱いするじゃないよ!! 一体何を騒いでたんだい、上でガタガタ、ギャーギャー喚き散らして。下まで聞こえてたよ」

 

「お登勢さん、さっき上に来られてから外出ました?」

 

「さっきって……取立てに行ったきり外には出てないけど」

 

 新八が感じていた違和感の正体。それは妙に落ち着いているスナックお登勢のメンバー達の様子だった。自分達の住む世界が一変した時、銀時と神楽はまだ室内で惰眠を貪っていたが、事務所だけでなく自宅として兼用して住んでいるのだから窓を開ける前の外の様子を知らないのは当然。

 

 だが新八は別に住居があり、そこから通っていたからこそかぶき町と街の変容にいち早く気づいた。故に時を同じくして外を経由していた一度は鉢合わせたお登勢が落ち着いていることへの疑心が生まれた。

 

「あの、お登勢さん……。外、見ました?」

 

「外って……外になんかあんのかい」

 

「いや、見てないなら1回出た方がいいかも……」

 

「なんだいさっきから、おかしな連中だね」

 

 いつの間にかカウンター席に座り、並べられた販売用の日本酒を勝手に注ぐ銀時の頭を通り際に引っ叩くとお登勢は外へ出ていった。キャサリンもまた加えていたタバコを目の前の灰皿で揉み消すと、お登勢に続いて外に出た。彼女も外に出てなかったようで追従する形で外を見に行った。

 

 

「で、今度はどこで何やらかしたんだい」

 

「なんで俺がやった前提で進めんだよ、濡れ衣以外の何もんでもねぇよ」

 

「とぼけんじゃないよ。アンタが持ってんくんのは大概問題だけ。いいからさっさと元に戻しな、これじゃ商売になんないよ」

 

 年の功というかなんと言うか、最年長なだけあって動揺した様子は見せなかったが、これまでの77巻分の歴史と出来事、死線を乗り越えて来たからこそ動じない精神力があると言ってもいい。あとは彼女の言葉通り、大概の問題は万事屋の周りで起き、それに巻き込まれる事が度々あった為、目の前の男がまたやらかしたのではないかと憶測が持っていた。

 

「いい加減にしてくんない? 今回ばっかりは何にもしてねぇって言ってんだろ。だから嫌なんだよ、年寄りは話は聞かねぇし、何かと人のせいにするし、説明しても理解しねぇし、ババアだし」

 

「ババアは余計だよ!!」

 

 やる気のなさそうな顔で酒を舐める銀時を後目に新しいタバコに火をつける。表情にこそ出ていないが火を付けたタバコを大きく吸い込み、深く吐き出す所を見ると煙草による酩酊作用を求めている様子は、深心では気を紛らわせようとしているのだろう。

 

「そういやタマ、アンタさっき窓拭きしてただろう。なんも気づかなかったのかい」

 

 言われることなく自主的に淡々と掃除をしていた絡繰娘ことタマは話を振られるとテーブルを拭く手を一旦止める。命令されなくても行動を起こすAI搭載の彼女だが、今だ自分で何か大きな事をしたり、発言するのに躊躇がある。

 

「いえ、今より1時間52分34秒ほど前からこの土地がかぶき町とは違う場所であることは認識していました」

 

 その言葉に銀時は飲んでいた酒を吹きだし、お登勢の持つタバコの灰が自然とその場に落ちた。

 

「2時間も前って……なんでもっと早く言わなかったんだい」

 

「聞かれませんでしたので。それに別世界に飛ばされるのはギャグ漫画は日常茶飯事、他作品が銀魂に使われるのも一種のご愛敬だとデータにあります」

 

「嫌だわ、そんな世界!! それに後者に至ってはほぼパロディでしょ!!」

 

「ちなみにですが、今回はコラボではなくクロスオーバーになります」

 

「クロスオーバー? コラボと何が違うんだよ」

 

「コラボ つまるところ原作者や制作会社といった権利を持つ者同士や他企業同士で共同プロジェクトと称し、他作品と掛け合わせる事で異色性、イメージ戦略等を起草させる事で利権や商業的価値を算出する行為です。対して、クロスオーバーとは異なるジャンルや特色が境界線を越えて混じり合う事で想像性を見出し、作品に新しい流れを作る行為です」

 

「急に物凄いメタ発言するのやめてくんない。というか前半のコラボ解説云々が危険すぎる発言なんですけど、大丈夫なんですかこれ」

 

「ざっくり言いますとコラボは利益、クロスオーバーは私情です」

 

「ざっくり過ぎるだろォ!! もうちょっとオブラートに包めよ!! まだプロローグ2話にして危ねぇ橋渡らせるつもりか!!」

 

「ご心配なく、既に保険(……)はつけていますので」

 

「んで、俺たちは何すりゃいいんだ。なんかあんだろ? クロスするくれぇの理由か目的が」

 

「いえ、そこまでは私のデータにも載っていません。ですが、何をすればいいか凡そ想定出来ます」

 

「本当ですかタマさん!」

 

「でかしたアル、タマ! こんな使えない駄目天パよりも持つべきものは絡繰ネ!」

 

「なに、この空気。何でさりげなく罵倒されてんの俺」

 

「まずは始まりの村に入り、入口近くの村人に話しかける所から始めてください。そして城へ行き、王様から世界の情勢を聞くことが目標です」

 

「オイィ! こいつの何が使えるんだよ! 初期ド○クエ並のスペックだろ! 「いらっしゃい、ここは○○の村だよ」しか話せない村人Aが居るわけねぇだろ! 城どこ、王様どこ!」

 

 持ち上げては落とす、これがギャグの鉄板であるかのように途中までは良かったストーリー進行も一瞬で頓挫した。

 

「でも待って下さい、これってつまり外に出て、誰かに話を伺うって事の暗示とも読めませんか」

 

「確かに。それなら城っていうのは何アルか」

 

「城。つまり立派な建物とか行政を司る場所の事なんじゃないかな」

 

「王様は?」

 

「王様はやっぱり一番偉い人とか中心の人とかじゃない?」

 

「成程……。纏めると、まずは色んな人に話を聞いて、街の中心施設へ行き、そこで偉い人に話を聞く、そういう事アルか」

 

「大体そんな感じです」

 

「あっ、こいつやっぱ適当な事言ってそれっぽい流れになったから便乗しやがった」

 

 やることが決まれば何を待つ必要があるか。新八と神楽はお互いに見合うと頷き合い、ソファから立ち上がる。人間の会話なぞ露知らず、半分眠りに入っていた定春が神楽に譲り起こされると体を伸ばして外へと出ていった。

 

「でもまあ、やる事決まったし、面倒臭ぇけどぼちぼち行くか、新八、神楽」

 

「はい!」

「うん!」

 

 飲んでいたコップの底に、僅かに残った酒を一気に仰ぎ飲むとコップを逆さにカウンターに置く。

 

 コラボではなくクロスオーバー、商業的利用ではなく単なる世界の交わりとして彼等とこの世界が混じりあった世界線。終わったものと始まったものの融合が如何なる化学反応を起こすかは分からない。だが、どんな問題が起きようとも、どんな過酷が待ち受けていようとも、彼等万事屋一同に成せぬ事などありはしない。

 

 三人と一匹揃って我らが万事屋。

 

 今、学園都市に万事の理を掲げ往く! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「銀時、呑んでた酒代きっちり返してもらうからね」

「今臭い感じに〆たと思ったのに急に出てくるんじゃねぇよ!」





「はい、後書きでーす。プロローグ1話に続き、2話目を読んでくれた方ありがとうございまーす。

まず初めに作者の近況報告です。

【1話から大体4日、土日跨いでの投稿となりますが、前回も言った通り、当作者の執筆スピードは未だに遅延しております。土日挟んでもこれなんだから皆さんも大体予想は着くでしょう。何故なら作者は休日出勤、空いた時間は執筆よりもバッセン、釣り、アニメ鑑賞に忙しいからです。

いい話を書くには外に出るのが必要、とかどっかの漫画家も言っていますが、こいつは別にプロの漫画家でもなければ小説家でもないです。自分に言い訳して遊び呆けてるだけのマダオです。

ですが前回よりもやや長く描こうと倍の文字数を目指しましたが、正直後半何書いてるのかわかったもんじゃありません。

こんな調子じゃ完結どころか中途半端な打ち切りさえ見込めないとは思いますが、皆さんどうか長い目でよろしくお願いします。】

続いてこの場を借りて感謝の意を述べさせて貰います。

【えー、プロローグ1話にして大体400UA、投票者2(☆10)、お気に入り登録8、感想2、誤字報告、ありがとうございます。

正直、こんな無名で活動報告も出さず、オタクの書き殴りの様な駄文しか書けない作者の○女作に反応があるとは思ってませんでした。

ぶっちゃけ100回程度読まれればいいや、くらいにしか考えてなかったが、まさか投票で☆10が2件とお気にり登録に感想まで貰えるとは思ってなかったので初投稿から70時間くらい放置してました。すんません。

ハーメルンの投稿がどれくらい反響貰えるか、ハーメルン処○の作者には分かりませんが、反応くれ方、ありがとうございます。】


最後に頂いた感想返信します。これ前回の後書きでも言ってたんで。

【名無ツ草】 さん

「いつかの時代を思い出す令和の銀魂クロス小説いいぞお
しかしキヴォトスには既に万事屋ポジションがいるのであった……
おのれ、許さんぞ陸八魔アル」

これ、1話目書いてる時に実は作者気づいてました。【あれ、万事屋と便利屋ってほぼ同じじゃね?被ってね?】そしてやっぱり言われるとも思ってました。懐かしさ感じつつ、便利屋が出てくるの楽しみ待っててくれよなー。

【いんでぃご・いんでぃご】 さん

「銀魂のノリとブルアカのノリって案外にてるよね。
シリアスはとことんシリアスで、ぶっ飛んだ時はとことんぶっ飛んでる。
生徒達から見る「侍達」の姿はどう写るのか、気長にお待ちします。」

この人が言う通り、銀魂のノリとブルアカのノリって意外と似てたりするんだけど、ブルアカってストーリーとメモロビの寒暖差で風邪引くレベルなんだわ。そこにどう組み込むか、作者のミクロも無い技量が試される訳。


とまぁ、今回こんな感じで2話〆ます。今回も見てくれヤツら、ありがとな。

あと感想送ってくれた2人、作者の今後のテーマを見抜いた事、ネタバレ防止の為に【ゲヘナ学園付近にあるサクラばっかの星5レビュー、店員の態度が最悪な定食屋】の前に立ってなさい。

P.S.
ブルアカアニメ1話2話見ました。
あ の 髪 型 は な に ?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。