手向けにカトレアを   作:さわたり

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そういえば言ってなかったのですが、この共同創作はソシャゲ風という感じで作ってます。
「___」は操作パートだと思ってくだされば……ともあれ、こんな内輪小説を外の方が読んでいるなら謎ですが「#手向けにカトレアを」のタグをツイッターで検索するとあれこれ見れます。
……したい方とかいないと思うのであれですが、参加はメチャクチャ要相談です。なにせ内輪ですので。


第三話「居場所と望み」(1)

「つまり! あなたの方法で実際に素早い撃退が出来たわけですが! 移動においても有利なことがわかったわけですが!」

 

「じゃあいいじゃないですか」

 

「よかったら私は今泣きながらこれを直してないんですよォッ!!」

 

整備班の女性から声を荒げられながら、オヴィは詰め寄られていた。

彼女の後ろには、めっためたにへこんだ木造の装置が置かれたままである。……ガーデン、その地に残された遺物はほとんどが木造の製造物だ。今の技術ではどう作るのか全く分からない遺物たち。

まあ、その大事さに関しては言うまでもないだろう。修理だけで言えばできなくはないわけだが……。

 

「で~~すから~~!!!!! だああもういいですッ!! 邪魔なんで帰ってくださいッッ!!」

 

「む……そうですか」

 

必死にぎこぎこと音を立てながら修復を始める背中を眺めたのち、踵を返し立ち去るオヴィ。

一瞥して、また向き直る。少し漏れた息に「何ため息なんか漏らしてんですかッ!」と詰められ、誤解がひどくなる前に足早にならざるを得なかったわけだが。

彼の漏らす吐息は、現状そのものに対するそれだ。

 

さて、歩きながら試案を続けるオヴィのもとに、声が聞こえる。なにやら、講習のようなものらしい。近くの部屋で行われているようで、その様子が聞こえてくる。

 

「つまり、この我々が居る大陸、これをガーデン中央大陸と呼びます。これはガーデン外に残る数少ない遺物である、『ガーデン製の地図』がその正確性ゆえに各地で使われていたことが由来です」

 

聞けば、内容は新人たちに向けた講習会である。たまたま部屋の外にいい椅子があり、オヴィはなんとなくそこに腰を下ろした。

前線拠点周辺は、他の地域の調査に比べて補給などがしやすい。新人が配属しやすいのだろう。

 

「ちなみに今我々が使っている、いわゆる『共通語』も、ガーデンの遺物であると言われています。学ぶ、覚える、話す、書く……すべてがどの言語より容易にできる、とされています。大体の方がすでに母語にしているので現代では感じづらいですが、300年ほど前には……」

 

時間も、終わりかけだったらしい。少しばかり歴史の話をすると講習会は終わりとのことで、解散である。クロエと一瞬視線が合い、挨拶。

礼儀正しい彼女は、挨拶ひとつも堅苦しいが礼儀正しい。……不慣れさはうかがえるが。

……リンともども、オヴィには怒りが大人げなかった旨を謝罪していた。さすがにオヴィもそれを「苦しゅうない」と受け入れるような性格でもなく、彼なりの謝罪……いささか不愛想な謝罪で、一件は終わった。

 

そう、一件は終わったのだが。

 

見ていると、出てくる中には明らかに新人ではない、知った顔があった。橙の髪をまとめたガタイの良い男……こう見えて研究者側なのだが。

ともあれ男、こと、ソウジ・ホカ。……超のつく、問題児。

 

「こんにちは」

 

「お、オヴィだっけ」

 

現地で機械の研究を行う部隊の者である。捕獲任務にあたるヘレニウムとは、それなりに一緒に作戦を遂行する仲間だ。

……少なくとも、26歳のソウジ氏は全く新人などではない。

 

「…………ソウジさんは、なぜ、この講習を?」

 

「え? いやなんかさー? 俺が作った、ってか改造した剣? がさ、なんかすっげー怒られて。……めっちゃ強いし使いやすいのに〜」

 

「それで、最初から講習を受け直せと?」

 

「そーなんだよ……俺悪いかなァ!?」

 

「さあ……まあ、有益な研究をして咎められるのはいささか頭が硬いことだとは思いますが」

 

「だ~~よなァ? ったく……お偉いさんは分かってないんだからさぁ〜」

 

「でもさ、お偉いさんがお金くれないと研究できないのは事実なんだよね~」

 

急にかかった声に、ビクッと身構えるソウジとオヴィ。横にいつの間にか座っていたのはマキナ……この人物もまた、問題児系の研究者。

そんなマキナの手には、ひらひらと紙が握られていた。

 

「特殊作戦の許可……?」

 

「ふふん! 確かに部隊単位での行動なんだけど、分担が発生するから指揮をうまくやっちゃえば私がほぼ単独で探り放題なんだよね!」

 

「それがどうかしたのですか?」

 

「こーゆーのをさ、自分の手でウマくもぎ取らなきゃって話だよ! あっはは! 怒られてるうちはまだまだだよぉ?」

 

からからわらうマキナを見て、ソウジはやっぱその手しかないかと、ウムム。

同時に、ぼんやり眺めているオヴィ含めた三人に、飛び込んでくる声があった。先ほどの整備部隊の女性である。腰を抜かして震える彼女は、続けて叫ぶ。

 

「ひ、ひぇぇぇ~~~!! もうおしまいだ~~!! あの連中がそろったからにはもうこの前線基地もコナゴナになるんだ~~!! うわぁぁ~~ん!! おうちかえる~~!!!」

 

哀れなことに駆け出して逃げ去る彼女の家こそ、この前線拠点の居住エリアなわけだが。

一瞬目を合わせた『あの連中』こと三人。真っ先に、ソウジが「失礼な!」と吐き出し、マキナも「私だって発展のためにやってるのに~」と、白々しいながらも本人たちは本気であろうコメントを残していく。

 

「ほらソウジさんはこっちだよ」

 

「あ、ちょ、リン?」

 

そんなソウジの手を引っ張るのはリン。駄々をこねる彼の耳元に何かをささやくと、一瞬ソウジの動きが止まり、すごすごと彼は言われたとおりの部屋に去っていく。

何事かとひきつった顔のオヴィに気づくと、リンは手を振って。

 

「元気?」

 

「ええ。いつも通りですよ」

 

「ソウジくんはどこに行ったの?」

 

「訓練施設で根性叩き直されてるよ。ナナカマドの隊長に」

 

「ああ……」

 

「なるほどねぇ……」

 

へへ、と笑うマキナも、時計を見て、「呼ばれてたんだった」と駆け出す。リンも同じ用なのか、その後を追うのであった。

向かう先は団長の部屋っぽいようだが。……ともあれ、ひとり残され。

 

「……」

 

マキナも、ソウジも、いろいろ言われ、こってり絞られ……。

正直、手の付けられない問題児たちだ。彼らを放り出さないのはその分有能であったり、「奇人集団」を気取ることで、GRTOの独立国家などの嫌疑をかけられづらくするためだったり……。意図はいろいろあるわけだが。

 

逆に彼らの意図は簡単だ。シンプルな研究バカなのだ。

……少なくとも、オヴィはそう見えた。

 

 

『それって、自分の意思がまるでないカラッポじゃないか!!!』

 

 

引き換えに、自分はどうだ?

……果たして、どうなのだろう。『両親への嫌がらせでこんなことをしている』……。そうだと思ったことはないはずだが、思ってしまうと辻褄が合う。

 

「縁は切ったはずなんですがね……」

 

両親の、見たくもない顔が浮かび振り払い……。

いつもは浮かんだ顔がかけてくる声は「この親不孝者が」、とか。……まあ、ありきたりな想像。しかし、いや、だからこそ、今かかる声は「空虚なヤツだ」とか、そういう内容である。

別に、幻聴とかではない。……言いそうなことを一緒に思い浮かべて勝手にイヤな気分になっているだけなのだが、その『釈然としなさ』は今までよりも、明確な形と質量を伴っていた。

 

 

 

 

 

「20年前、私達が子供だったときにさ、ここの結界が消えたわけじゃんっ?」

 

「そうだね」

 

「でも、いざ侵入したガーデンは危険な生物とか、人を襲う装置のはびこる謎の森……ガーデンには一体何があったのかガーデナ(先住民たち)はなんで滅びたのか……! ロマンだと思わないかなぁ!」

 

「思うけど、マキナさんその話3回ぐらいしてない?」

 

「だぁって、こんなに面白い場所なんてほかにないじゃないか!!」

 

答えになっているんだか、なっていないのだか。テンションの上がったままのマキナをよそに、リンは遺跡の中を歩む。

マキナの単独行動を許す形になりかけたわけだが、そこはさすがにハンコを押すジーリオも何も考えていないわけではない。団長の独断で出せる部隊を絡める形になったのである。

マキナは「研究さえできればいい」という点で、問題児の中では理性的だし、同時的に狂気的。……それでも、多少社交辞令的に現状について語ることぐらいはある。

 

「にしても、まさか君が来るとはねー。多少のお目付けは覚悟してたけど!」

 

「……団長が直接指令を落とせるのは……まず、ナナカマド遊撃小隊。言わずと知れた戦闘特化の懐刀集団。あとは、マクロフィラ特殊部隊。探索、偵察、観察、捕獲……とりあえず、なんでもさせてみる最強の斥候。で、ポピー評価観察部隊」

 

「……つまり、他の部隊は忙しいからってことー?」

 

「僕が暇みたいに言わないでよっ。あのね、マキナさん! 僕が君を見てるって事の意味をね、」

 

「ねえ見て見てッ! この構造物……多分この遺跡の主要な機能を制御してたんだろうね! ってことは……この施設って一般的な……例えばお店とかじゃなくて、何か大事な……」

 

長々と語り始めるマキナに笑みながらもリンが呆れる。まあ、リンの位置がだれであれ、それなりにはよくある風景だ。

……が、まあ、これから起こることも、ガーデンではよくある風景。

 

「まずっ、」

 

「え、あ来ちゃうよねそりゃ……!」

 

飛び掛かってくる影。

苔むした室内、モンスターが居ても不自然ではない風景だが、現れたのはそうではない。平べったい板状の体に細い脚……木製の防衛機械である。

 

「いででででで!!!」

 

「あだだだ!」

 

奇襲というのもあり、数体の機械に他の騎士たちともども翻弄される。"カトレア"の不死性のおかげで、『穴が開く』という形の傷はふさがりやすいが。それでも銃弾はいたい。

 

「っ、」

 

リンも、眼の剣を抜いて応戦するわけだが……。この状態ではロクな指揮も取れない。録の剣を構えて見るが、これで戦うデータは少ない。……リンの体格やスタイルに合ったもの、となるとなおさらだ。

 

「このままじゃ、結構マズいかも……」

 

「どうしようかなぁ……動けなくなったら困るし~……」

 

二人そろって固まり、背中合わせで囲まれ……。

息をのむ、その一瞬。爆散する機械2、3体ほど。飛んできたエネルギー弾の主を見れば、そこには剣を向ける男の姿。……オヴィである。

 

「今ので金属と風の破裂で……。…………まあ、こいつらならこれで十分ですね」

 

迫る機械の一撃をかわし、機能を使うまでもなく叩き切る。大したことのない、敵だ。まあ、戦闘要員であればの話だが……。

 

「……リンさん」

 

「ああ、うん、分かった!」

 

オヴィの開けた道を抜け、録の剣を握り直す。

迫る敵も、体勢を立て直した騎士たちが叩き壊す。今なら、リンも戦える。……彼なりの、戦い方(戦術指揮)で。腕輪の装置も起動し、見渡す準備はできた。

 

「あぁ~~ん!! 壊さないでぇ! 貴重な研究材料なのに……!」

 

「言ってる場合じゃないでしょ!」

 

「行きましょうか」

 

___メンバー、

 

___マキナ・ハイドレンジア

___オヴィ・D・エンス

 

___作戦開始

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