「とうま、今日はがっこうないんだよね?じゃあ作り立てのお昼ごはんを食べたいんだよ」
「あのなあインデックス、もうちょっと敬意をもって頼んでみてくれない?これそろそろ我慢できる状態じゃなくなるような気がしますのことよ」
魔術師たちとの戦いの合間。休日の学生寮の一室で、上条家の内紛が始まろうとしていた。家事技
術の向上著しい上条だが、流石にガタが来ているのを感じる。インデックスの我儘に付き合い、こ
の丈夫な体も限界ということか。
「禁止にしませんか、限界疲労高校生へのワガママ発言は……!」
書き著すのも難しい顔になった上条。強いて例えれば般若、であろうか?これにはインデックスも目を見開いて、
「録画でもしておきたいくらい、貴重な表情なんだよ……」
20秒くらいは見つめあっただろうか。上条もインデックスも譲らない。
0に近い距離に、思えば近づいていた。
周囲に人がいたら、勘違いされそうな距離。二人同時に「はっ」と気が付き思わず顔を離す。
「年甲斐もなく怒って悪かったよ、ごめんな」
「お腹のことになるといつも勝手なこと言っちゃってごめんね、とうま」
めくるめく過ぎる日々の中、その少年と少女は時に離れ、
でも、すぐにまた交わっていく。
「とうま、そういえばとうまのプリンまた勝手に食べちゃってたんだけど、許してくれるよね?」
「うそだろ?!?!」
こうなってしまったらもうしょうがないか。全てのことに無感情無表情な無機質人間上条当麻がこれをもって完成しようとしていた。
「かつての一人暮らしがちょっと懐かしいなあ……」
「らくな道こそ茨の道、ってだれかが言ってたかも」
「もう茨の道にしてるのはインデックスさんでしょう?!?!」
よくある言い合いに戻ってしまった。上条家の学生寮は壁がまあまあ薄い。土御門あたりはもうい
ろいろ聞こえているだろう。
「しっかし、いつもよく見つけるよなあ……特殊な第六感でももってるんでせうか?」
「くどくなってるよとうま。頭痛が痛いみたいになってるんだよ」
「お前も割とこういう言葉使ってる気がするけどな……」
願わくばもうちょっと食欲を抑えてほしい上条ではあるけれど、
「いまはいいか。昼飯はたくさん作ってやるぞインデックス」
「しんでしまうんだよもうそろそろ食べないと!!」
まあこんな感じで一年や二年、いや十年、二十年と続いていくのだろうか。
すごく大変な毎日だけれど、こんな日常はそのくらい続いてもいいか、と思う。