【完結】推しの子if ~あかねちゃんと一緒にアクアを救おうルート~ 作:日ノ川
ちなみにこの話の現在の時期は明確に決めているわけではないですが、色々前倒しになっているので、大体アクアたちが高校二年生の夏休み前くらいのイメージです
監督に注力するため、タレントとしての仕事をセーブするようになったとはいえ、レギュラーとして出ていた番組はそう簡単に休むわけにもいかなかった。
深掘れワンチャンは元々三本撮りが基本なので撮り溜めするのは問題なかったが、今ガチ同窓会はそれぞれのメンバーも忙しいため、中々スケジュールが合わせられなかったのだが、先日ようやくそれも撮り終わった。
これでやっと脚本の直しやその為の関係者への取材に入れる。と言いたいところなのだが、その前にもう一つ、最も重要な仕事が残っている。
ここをクリアしないと、そもそも直しに入ることすら出来ない。
「よし」
都内某所に立つ高級マンションの前。インターホンを押して到着を伝えた後、遠隔操作で開かれた自動ドアを前に、俺は静かに気合を入れ直した。
マンションの中に入り、以前来た時と同じ道順を通って、ある部屋の前にたどり着く。
再度インターホンを押すが、直後室内から勝手に入って良いとの返事が戻り、思わず眉を寄せ、無言のまま鍵の掛かっていない玄関を開いた。
どうして人一倍セキュリティに気を使わなくてはならない芸能人に限って杜撰なのか。
これは特に演劇畑の人間に多い気がするが、この人もその例に漏れないらしい。
「お邪魔します」
一応一声かけて室内に入り、以前と同じくリビングに続く廊下を進みドアを開いた。
「おう」
相変わらず物の少ないリビングの一角、壁に背を預ける形で缶ビールを持ち上げる男の姿があった。
姫川大輝。
劇団ララライの看板役者にして、月9主演も務めた経験もある、今若手では最も有名といっていい俳優だ。
そして、俺と同じく、カミキヒカルの血を引く異母兄でもある。
「こんな時間から飲んでるんですか?」
テーブルの上に転がっていた空き缶を眺めながら、ため息を落とす。
「前祝いって奴だ」
「俳優賞でも取ったんですか?」
帝国演劇賞で最優秀男優賞を取るほどの俳優である以上、なにかしら別の賞を受賞しても不思議はない。
そんな俺の問いかけに、姫川さんは笑ったまま首を横に振った。
「違う違う。俺今教習所通っててな。仕事の合間にチマチマ行ってたんだが、仕事の方がひと段落したから集中して通うようになって、ようやく卒検ってところまで来たんだよ」
「ああ。なるほど」
当然だが酒が残っている状態では教習所には行けないため、ここ最近は禁酒していたが、卒検の日が決まったことでその日まで教習所に行く必要がなくなり、ようやく酒が飲めるようになったというところか。
「久しぶりの酒は美味いな」
「ほどほどにして下さいよ」
「んなこと言って、その土産。ツマミだろ? お前こそ未成年のくせに酒飲みの気持ち分かってんじゃねーか」
「うちにも飲兵衛がいるもんで」
前世の頃にそれなりに酒を嗜んでた記憶に加え、ここ最近やたらと絡み酒が増えたミヤコさんを思い出しつつ、土産を差し出す。
やや覚束ない足取りで立ち上がった姫川さんがそれを受け取ってからテーブルの上に置き、自分が座っていた場所の反対側を指し示した。
「とりあえず座れよ。お前は飲まないんだっけ?」
そのまま台所に向かって冷蔵庫を開けながら聞いてくる。
「……未成年なんで」
「はっ、真面目だな」
こんな状態で話ができるのか不安になるが、とりあえず言われた通り席に着いた。
「じゃ、乾杯」
「ああ」
その後、姫川さんが持って来たジンジャエールを受け取ってから、改めて乾杯した。
「卒検までどれくらい掛かりました?」
いきなり本題に入るのもなんだし、ついでに姫川さんの酔いがどのくらい回っているか見極めようと雑談から入る。
「んー、八ヶ月?」
「ぎりぎりじゃねぇか」
確か教習所は九ヶ月以内に卒業しなくては、一からやり直しになるはずだ。
「だから集中して通ってたんだよ。とりあえず卒検さえ受かれば、本試験は一年だったか? その間に取ればいいんだから仕事しながらでもラクショーだろ」
「そんな余裕扱いて、取りに行くの忘れて期間過ぎないでくださいよ」
「そんなバカな真似するかよ。そうだ。俺が免許取ったらドライブ行こうぜ。買う車も決めてるからさ」
「初心者マークが取れたら考えます」
「それじゃ意味ねーだろ、一人でドライブすんのがイヤなのに。大丈夫だって、俺教習所のおっさんに運転自体は上手いって言われてるから。ちょいちょい確認忘れるだけで」
「それ一番ダメなパターンでしょ」
適当な会話をしつつ様子を窺うが、今のところ、受け答えにおかしいところはない。
これなら本題に入っても大丈夫だろう。
「……姫川さん」
「ん?」
姫川さんはビールを飲みながら目だけで俺をじっと観察するように見つめ、やがてビールをテーブルの上に置き、まっすぐに俺を見据える。
俺が話があって来たことは理解していたらしい。と俺も姿勢を正し、本題に入った。
「俺は今、タレントの仕事をセーブして、ある作品の裏方──監督をやってるんです」
「あー。オッサンから聞いてるよ。舞台に誘ったのに断られたってな。役者やりきる前から裏方なんてってボヤいてたぞ」
確かに役者上がりの監督や演出家は多いが、それは大抵役者をやりきった後の次の目標として始める者がほとんどで、俺のような役者として地位も実力も足りていない若造がいきなり抜擢されて良いものではない。
若い頃に既存の団体に属するというレールに従うことを良しとせず、ララライを創設して現在の一流俳優達の団体に育て上げたくらい演技や役者に関して強い拘りを持つ金田一さんとしては、良い気はしないだろう。
いや、わざわざこうして口にするということは姫川さん自身もよく思っていない可能性がある。
だが、代わりに壱護さんが責任を取ることになった以上、俺にはこの作品を完成させる責務がある。
ここで引くことはできない。
「この作品は今、俺にしか撮れないんだ」
「……まあ、何にでもタイミングはあるよな」
「ああ。それで、姫川さんに頼みが──」
いよいよ本題に、と持ってきた脚本を取り出そうとして、手で制される。
「皆まで言うな。話は分かってる。その作品に出演して欲しいんだろ?」
メガネのブリッジを押し上げながら、唇を斜めに不敵な笑みを浮かべる姫川さんに俺は眉を持ち上げた。
「え?」
「ん?」
勘違いしていることに気づき、首を横に振る。
「いや。流石に姫川さんに出演してもらうのは予算的に無理」
映画ではなくドラマ、それもドットTV独占放送となれば予算を集めるのも簡単ではない。
とはいえカントクは、元々低予算作品も撮っていただけあって、そうした金を掛けない撮影は得意で節約方法も熟知している。
そのカントクが提案したのが登場人物を絞る方法だ。
出演料の節約のみならず、スケジュール管理や撮影時間の短縮にも繋がり、なんなら衣装やメイクスタッフの数や仕出し弁当の予算も節約できる。と妙にせせこましいことまで含めて力説された。
結果、複数人物の役割を一人に統合したり、B小町メンバーの入れ替えを無しにするなどして、脚本を直すことになっている。
そんな中、トップクラスの俳優である姫川さんを使う余裕はない。
「いやだって、不知火は出るんだろ?」
「なんでそのこと?」
確かに不知火フリルには友情出演して貰うことになっているが、まだキャストに関しては発表されていないはずだ。
本人から聞いたのだろうか。
二人がプライベートでも交流があるかは知らないが、確か共演したことはあったはず。と訝しむ俺に姫川さんは違う違う。と言うように手を振った。
「本人から聞いた訳じゃない。仕事の現場でそんな話出てただけ」
タレント本人は守秘義務の観点から余計なことは言わないが、関わっている全員がそれを守れるとは限らない。
専業の女優ではなくマルチタレントではあるが、知名度や芸能界の地位としては姫川さんに負けず劣らずどころか一歩上に行っている不知火フリルが、この規模の作品に出るとなれば話の種にはなるだろう。
その上でそのクラスのタレントが出演できるなら、予算は潤沢だとでも思ったのかもしれない。
「不知火は俺の妹のクラスメイトで、仲が良いから友情出演って形で最後の方にちょっと出てくれるだけです」
「ふーん。だったら何だよ。話って」
自信満々で言った内容が外れたのが悔しいのか投げやりな態度を見せる様に呆れつつ、俺は先ほど出しそびれた脚本を改めて取り出した。
「おいおい。出演依頼でもないのに、脚本見せて良いのか?」
「問題ないです。むしろこの脚本の内容を確認して貰って、名称使用許可を貰うのが俺の目的なんで」
「名称?」
「ええ、今回のドラマはドキュメンタリー仕立ての再現ドラマ。その中には俺たちの父親も出てくる」
受け取った台本を捲り、最初の登場人物欄を見た姫川さんの表情が変わった。
「主役は、B小町のアイ?」
「いつだったか金田一さんが言ってましたよね? ララライが主催してたワークショプ。そこに行ってたんですよ」
「ああ。失敗だったとか何とか言ってた奴か、そういや結局何が失敗だったか聞きそびれてたな」
その失敗とおぼしき内容も含まれているのだが、俺は敢えて何も言わずに続きを読むよう促した。
「なんだ。親父どころか母親。俺も出てるじゃねーか。それで名称使用許可か」
最初のページに載っているのはアイやB小町のメンバーや壱護さんなどアイドルとしての活動中に関係があったメンバーであり、その次のページに載っているのがワークショップ中に知り合った面々、つまり姫川さんたちも載っている。
そして──
「少年A。お前が演じるコイツだけ、実名じゃないのは?」
「理由は色々あります。相手が故人で遺族から使用許可を取るのが難しいこと。当時未成年であること。……何より、そうやってあえて隠して世間の注目を集めれば、後は大衆が勝手に調べてくれる。そうしてそいつが誰なのか公表されれば、社会的に抹殺できる」
ここで隠し事はするべきじゃないと、本心さらけ出す俺に姫川さんは苦笑する。
「穏やかじゃないな。コイツに恨みでもあんのか?」
「ありますよ。殺したいほどの恨みが。そいつは──俺の母親を殺した」
「お前の、母親?」
以前は教えなかったが、その答えもこの脚本を読めば分かる。
ほんの一瞬だけ本当にこれでいいのか考える。
姫川さん自身知らないはずの秘密。
それを俺が教えて良いのか。
とっくの昔に気持ちの整理が付いていたことを蒸し返されて不愉快になるどころか、激昂しかねない。
それでもここを隠したまま名称使用許可を取るのは、フェアじゃない。と自分に言い聞かせ、改めて脚本を指し示した。
「そいつが、俺たちの本当の父親です」
☆
詳しい説明はせず、内容を読めば分かると言った星野の言葉に従って脚本を読み進める。
活字を読むのは苦手だが、有馬辺りから話を聞いたのか、殆どの漢字にルビが振ってあったので何とか読むことができた。
この内容がすべて真実だとすれば、俺がこれまで認識していた両親像を根底から揺るがすことになる。
だが、そんな衝撃的な内容にも関わらず、俺が最初に抱いた感情は納得だった。
「なるほどね」
両親が心中した詳しい理由は不明だったが、おそらく親父の女遊びが原因だろう。と漠然と考えてはいた。
オッサンが何かと俺を世話してくれているのも、劇団の代表としてそんな親父を止められなかったことを悔い続けているからだとも。
だが一つだけ、納得できないことがあった。
売れない役者だった親父が、才能ある若いタレントを食い物にして自分を慰めていたのは、昔からだったはずだ。
それを間近で見て理解していたはずの母がどうして急に無理心中という極端な選択をしたのか。
もちろん単純に我慢の限界が来たとも考えられるが、母も同じ役者畑の人間として、そんな性に奔放な連中を常日頃から見ていたはずだ。
それを急に飛び越えた何かが、俺には想像が付かなかった。
しかし、逆だったとすれば理解できる。
母ではなく、親父が逆上したことが心中のキッカケだったとすれば。
「自分が女遊びするくせに、やられると我慢できない奴ってのはいるからな。それも托卵までとなったらなおさらな」
ともすれば俺の存在が最後の引き金を引いた。と言われたも同然だが、それでもやはり怒りや憤りは沸いてこない。
以前オッサン……金田一さんに言われたことを思い出す。
俺や星野の演技は、欠けている人間の演技。
マトモじゃない奴が真人間のフリをして周りを観察し、世の中に順応しようとしてきたからこそ出来る芝居だと。
元々自覚しているところはあったが、だからこそ普通の人なら激昂してしかる場面でも落ち着いていられるのかもしれない。
「なるほど」
もう一度呟き、改めて脚本の登場人物欄を見返して聞く。
「結局、この少年Aってのは誰なんだ?」
「覚えてませんか? 去年の年末にあった芸プロの社長が殺された事件。あの被害者です」
何となく覚えがあったが、被害者の名前までは覚えていない。
とりあえずスマホを取り出して検索をかけてみると、被害者の顔写真が載っているページにたどり着いた。
その顔には確かに、星野の面影がある。
同時に載っている名前を見て、俺は思わず目を細めた。
「神木、輝。……ああ、そうか」
読みこそ違えど、俺と同じ漢字が使われている。いや俺の方がコイツと同じ漢字を使っていると言うべきか。
俺の名前を付けたのは母親だと聞いていたので、腑に落ちると同時に、金田一さんが未だに両親の件で自責と後悔に苛まれている訳も、星野が俺に直接会いに来た理由もピンときた。
「お前は名称の使用許可だけじゃなく、この内容を公開する許可も貰いに来たってことで良いんだよな?」
母親の名誉はもちろん、ともすれば俺の芸能生活にも影響が出かねないと思ってわざわざ直接説明に来たのだろう。
そう考えての問いに、しかし、星野は首を横に振った。
「いや、そうじゃない。それは改訂前の脚本で、俺たちの母親が残したDVDに残っていた情報を元に作った、いわば真実に一番近い内容です。ただ、これをそのまま放送出来ないので、大幅な改良を加えることになる。今その直しをやっているところです」
「それは局の圧力とかで?」
内容は色々衝撃的だが、特に俺の母親である姫川愛梨の性被害問題と、それを自分より下の立場にいる少年カミキヒカルに転化させた負の連鎖は、いわゆる芸能界の闇として未だ似たような事が起こり続けている。
現在上の方にいるお偉いさんには、似た経験をしている者もいるからこそ、こうした暴露系の内容に待ったが掛かるとも聞くが──
「いえ、今回予算を出すドットTVは新興のネットメディアなので、そっちはまだ何とかなるんですが……」
「ふーん。じゃあ何で?」
重ねて問うと、星野は一度目を伏せてから覚悟を決めたように顔を上げて語り出す。
「そこに載っている俺たちの出生の秘密、アイとカミキの子供だってことは公表しないことになった。大きく内容が変わるのはそれが一番の理由。これは俺たちの母親の名誉を守るためでもあるが、俺たち自身の保身の為でもある」
保身と言ってはいるが、コイツの性格上それは自身のことではなく、どちらかというと、妹である星野ルビーの為だろう。
要するに自分たちは保身を優先するのに、俺だけ真実を公表させるような真似はできないということだ。
復讐だなんだと物騒なことを言う割に、変なところで真面目な奴だ。
だが、それでは駄目だ。
「……条件がある」
「俺に出来ることなら」
頷く星野に俺も一つ頷き、脚本を指で示す。
「姫川愛梨の部分は変更しないでこのままやってくれ」
「でもそれじゃ、姫川さんが……」
「良いんだよ。お前の母親の秘密ってのはさ。結局のところ自由恋愛の範疇だ。もちろんアイドルとしてファンを裏切ったどうこうって言う奴はいるだろうけど、アイドルだって人間だ。少なくとも罪に問われるようなことじゃない」
この内容だけで判断するなら、アイの方もカミキに想いはあったらしく、カミキも母に負わされた心の傷をアイとの繋がりで癒せていたと思えばなおさらだ。
しかし、俺の母親──姫川愛梨は違う。
「母のやったことは許されることじゃない。夫がいる身での不貞行為ってだけでもあれだけど、未成年への性加害は普通に犯罪だ。自分がやられた時はそのまま泣き寝入りするしかなかったからって無関係の奴……ましてや子供相手にやり返していい訳ない。そんなことやってるから、今でも芸能界の闇なんてもんが蔓延ってんだよ」
ハッキリ言って母のやったことは父以下だと一度言葉を切り、ため息を吐いてから続ける。
「今回の件だけで、それが解決できるなんて思わねーけど、やらないよりマシだろ。それにほら、そういう告発した奴って評判が広まれば、女受けもよくなるしな」
最後に冗談めかして言うが、星野はどこまで本気なのか見極めるように眉を顰めた。
「なんだよそれ」
「俺はあれだよ。飲みの場では女の子を守る側に立ってるからな。飲み会警察としちゃこんなの見逃せねーってこと」
再度茶化すように言うと、星野はこれ以上追求しても無駄だと思ったのか、諦めたように何度か頷いた。
「はいはい。他は?」
「軽く流すなよ。後は──やっぱり上原清十郎の役は俺にやらせてくれ」
少し考えてから言う。
「……いいのか?」
「ああ。正直、これを見た後でも、親父のことは嫌いだ。なんも知らん若いタレント引っかけてたのは事実だしな。でも俺にとってはやっぱ、親父はアイツだけだからさ」
今の話を聞いたからといって、カミキヒカルを父親だとは思えない。
だからこそ、親父の役は俺が演じなくてはならない。
「……分かりました。鏑木Pには俺から話しておきます」
「なんだったら俺も友情出演で良いぞ? いや、兄弟出演か? なあ、弟よ」
「兄って呼ぶなって言ったのはそっちでしたよね?」
「細かいこと言うなよ。あ、じゃあついでにもう一つ条件だ。兄さんと呼べとは言わないから、その似合わない敬語やめろ。さっきからちょいちょい素が出てたし、そっちの方が楽でいい」
俺の提案に星野は一瞬嫌そうに顔を歪めたが、直諦めたように息を吐いた。
「……分かった。でも弟って呼ぶのホントやめてくれ。特に人前では」
星野たちの出生を明らかにしない以上、仕方ない。
ならせめて──
「じゃあ、アクアって呼ぶわ。出演の方はよろしく頼むぜ」
「ああ」
互いに頷きあったところで、俺は手を叩いて意図的に空気を変え、同時にまだ開けていない缶ビールに手を伸ばした。
「よし。じゃ、改めて飲み直すぞ」
「まだ飲むのかよ。……ちなみに卒検っていつなんだ?」
早速敬語を辞め、ふと思いついたように問われ、首を捻る。
「ん? 明日の朝からだけど?」
瞬間、アクアの手が伸びて、ビールを雑に奪い取って行く。
「何考えてんだよアンタは。没収だ、没収」
「ははっ」
心底呆れたようなその表情は、今までの先輩俳優に向けるものとは違う、出来の悪い兄に向けられるもののような気がして、思わず笑ってしまった。
・
『上原清十郎役』
俳優 姫川大輝……予定
原作では異母兄弟であると告げた後は姫川さんにタメ口を利くようになっていたアクアですが、今回は一応頼み事をするために来たので言葉遣いに気を付けていた感じです
キャスティング編はなるべくメインや原作から変わった人だけにするつもりなので後、二、三話で纏める予定です