不定期なので気長に待ってくれると嬉しいです
アンラッキーナンバー
ルーマニア。トゥリファス。
表ではシギショアラに酷似しているが、目立った観光名所などがないためあまり目を惹かれない土地。
しかし裏、魔術世界では、
さて、そんな物騒な土地に、時計塔に籍を置き、根源を目指すことなどせずただただ「うっひゃあ!! 魔術楽しぃ!」と思いながら研鑽し、時折金稼ぎしてるだけの一介の魔術師……
魔術協会に連絡しようとしたが、どこで知ったのかダーニックが、まぁ省略すると『トゥリファスに来い』と伝えてきやがった。魔術使いの仕事用の番号から。相手にサーヴァントという弩級の戦力がある時点で俺に拒否権はなかったし、相手もそれで脅してきたからここに来ているという訳だ。
令呪が発現した俺の家、明雲家はユグドミレニアとは何の縁もゆかりもないしそもそもユグドミレニアに入るほど落ちぶれてもいない一族。これでも九百年の歴史はある家系だ。
では何故そんな俺に"赤"ではなく"黒"の令呪が発現したのかだって?多分それは俺の転生特典という名の呪いのせいなのだよ。まぁ今は置いとこう。
ぶっちゃけ敵方に
確かに、俺の経歴を知ってりゃ聖杯戦争で俺を確保したいだろう。エルメロイII世からもその要請が送られて来ていたが、もう聖杯戦争は
だというのに、ダーニックはランサーとキャスターの真名を暴露することで選択肢を『"黒"の陣営への参加』の一つのみにしやがった。ランサーはまだしもキャスターの存在を協会は知らない。もし俺が断れば、サーヴァントの真名を知るユグドミレニアの敵としてあの場で処理されていただろう。
サーヴァントが放つ殺気は
一ついいことなのはフィオレやカウレスと戦わないことだけか。時計塔でかなり深い付き合いがある二人はできるだけ傷つけたくない。獅子劫さん? あの人は別にいいよ。
とりあえず今は、万全の準備を期するため日本へと帰国し、サーヴァント──俺はアサシン担当となった──を召喚。その後色々と説明し、良い関係を築きながら此処に戻る感じかね。
頭の中でこれからの予定を積み上げるが、この先のことを考えると溜め息をまた吐いてしまいそうになる。
どれもこれもこの転生特典のせいだが、同時に今の実力も特典のお陰ということが大きいため、これを授けた女神に気軽にF◯ck youと言えないのだ。そのせいでストレスが溜まる溜まる。
そうそう、俺の転生特典だが──
◾️◾️◾️
交渉を終え、何の刃傷沙汰もなく穏便に凪斗を"黒"の陣営に参戦させることに成功したダーニックはほくそ笑む。
これでユグドミレニアの勝利はより盤石なものになった、と。
喜びの感情と笑みを隠し切れないダーニックに、佇んでいたランサーが尋ねる。
「ダーニックよ。あの者は貴様がそこまでして配下に収めたいものであったのか?確かに余の気を受けて気絶するどころか微動だにしなかったことは賞賛に値する。しかし──」
「我らユグドミレニアの者を一人抜いてまで入れた方が良いのか、ということでございましょうか」
ダーニックの返答にランサーは頷くことで肯定する。
ユグドミレニアが狙っているのは魔術協会からの独立。
そのためには魔術協会に勝つことでユグドミレニアの実力を示さなくてはならないため、ダーニックも直前までは全てのマスターをユグドミレニアの者で揃えるつもりだった。
ユグドミレニアに令呪が六つしか現れず、残りの一つが明雲凪斗に現れたということを聞くまでは。
ダーニックにとってこの聖杯大戦は六十年の集大成。必ず勝たなくてはならない聖戦だ。凪斗が此方にいれば勝率は大きく上昇することは違いなく、そのためには一族の内一人──相良豹馬を抜くことも躊躇しなかった。
「
「聖杯の仕組みが流布されたことにより、世界各地で乱発している極小の聖杯戦争、だったか」
「えぇ、その通りでございます」
話の流れからすると凪斗はとある亜種聖杯戦争に参加し、優勝したのだろう。
成程、確かに入れたくはなる。もし敵方にその戦争にいたサーヴァントがいたら、真名を知っているということだ。そのアドバンテージは大きい。
しかし、ダーニックの喜びの感情とは比例しない。あまりに大きすぎる。
ランサーの考えていることを察知したダーニックの口が回る。
「貴方の考え通り、彼は亜種聖杯戦争に参加し、優勝しております。しかし──」
「──その数と、質が問題なのです」
数。
その言葉にヴラド三世は驚愕する。
言葉通りなら、凪斗は亜種聖杯戦争に何回か参加し、その全て優勝は有り得ずとも、生き残っているのだ。
聖杯戦争の場数を複数踏んでいるのならばその分敵方の真名を当てる確率が上昇し、生き残っているということはそれ相応の実力と運を持っているという証だ。
「質ですが、私でも全ては把握しきれておりませんが、把握してる亜種聖杯戦争その全て、サーヴァントが四騎または五騎召喚されており、何れも激戦であったと聞いております」
亜種聖杯戦争での最大サーヴァント数は五とされている。
二騎、三騎などではなく、最大に近い数が召喚されている。
つまり、凪斗は英霊が四、五騎いる戦場を二度三度生き抜いたのだ。現代の人間がソレを成し遂げたのは正に偉業と言って良いだろう。
「そして数でございますが──」
「───なんと……斯様なことがあり得るのか……!?」
ダーニックの口から出された亜種聖杯戦争の数。
その数にヴラド三世は一瞬偽りではないかと疑ったが、経路から嘘は感じ取れず、その事実にダーニックのあの歓喜に納得を示し、自陣営に入れたことを心の中で大きく賞賛した。
何故なら、その数は予想していた三、四などではなく──
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俺の転生特典は──『聖杯戦争に巻き込まれやすい』だ。
お陰でこの聖杯大戦で十三回目になっちまったよ。
クソッタレが。
簡単主人公解説
明雲凪斗
型月、それもFateの方の世界によりにもよって『聖杯戦争に巻き込まれやすい』という特典を持って産まれて来てしまった男。
Zeroの時代だったら第四次、stay nightだったら第五次に、FGOだったらカルデアにスカウトされ、Fakeだったらフランチェスカの手引きで偽りの聖杯戦争に、サムレムだったら盈月の儀に参戦する運命にある。
その特典のせいで本来ユグドミレニアのみの筈の"黒"の陣営のマスターの一人として参戦することになってしまった。
五歳の頃から巻き込まれているが、幼少期の聖杯戦争で召喚したのがゴールデン、竜殺し、征服王の好敵手、東方の大英雄であったため乗り切ることができた。サーヴァント運に関してはとてつもなく良い男である。
ちなみに今までの亜種聖杯戦争の結果は優勝6敗北5引き分け1。中には抑止力が働いたものもある。