そういや天草視点書いてないなという訳で、天草達視点です
ジークくんマジどうしよ……
※少し変更しました
時は夜。
トゥリファスで赤と黒の陣営の戦闘が勃発した時。
ゴーレムを通したユグドミレニア、直接赴いたルーラーの他にもう一人が、その戦闘を観戦していた。
その者は"赤"のマスターであり聖堂協会から派遣されたシロウ・コトミネ──もとい、天草四郎時貞。彼は己のサーヴァントであるセミラミスが契約した鳩を遣わせ、"赤"のセイバーや敵サーヴァントの真名や能力把握をしていた。
「ほうほうほうほう! 何とも面白いモノを作ったものですね敵マスターは! サーヴァントに非ずの身にてサーヴァントに対抗する! そしてソレが単純でありふれた見目麗しきではなく異形の怪物! 赤雷の騎士の前に立ち塞がるは毒呪を振るいし大蜘蛛、騎士道物語にありがちな使い古された展開ではありますが騎士がサーヴァント、そして怪物が現代産まれとなれば話は別! 現代で産まれし怪物は名を遺した英雄にその鎌を届かせることはできるのか!どう思いますかな女帝殿?」
「騒がしくてならん。キャスター。今すぐその口を閉じるか舌か腕が腐れ落ちるかどちらかを選べ」
「おぉ、何とも作家泣かせなことを! となれば代筆でも誰かに頼むとしましょう。しかし舌か腕を無くして宜しいので? 我輩のスキルや宝具的にどちらかが欠けたらもう何もできないそこにいるだけの無能となりますが?」
「此奴に何を言っても無駄であったか……」
モードレッドに対抗している、サーヴァントの霊基を保有はしているもののサーヴァントではない蜘蛛丸を見てシェイクスピアは少々興奮しながらその舌を回す。
彼の好きなものは『非凡』『逸脱』。
滝夜叉姫との合作であるものの現代で産まれた使い魔である蜘蛛丸が、サーヴァントにはサーヴァントでしか対抗できないという
彼の延々と続く言葉に鬱陶しく思いながらも、セミラミスも蜘蛛丸へと、具体的には蜘蛛丸が扱う土蜘蛛毒へと目を向けていた。
「あの毒は東洋、マスターの故郷由来の毒か? 何処ぞの神霊に端を発する呪いも混ぜておる。中々のモノであるな……どうかしたか、マスターよ」
「……いえ、少し予想外……いや、一回は予想内に入れたのですが流石にないかと思い外したものが現実となるとは思いませんでして……」
「何とも珍妙なことが起きておりますな!」
毒についての簡単な分析を述べ、セミラミスは映し出されているもう一方の画面の前で頭を抱える天草に声をかける。
いつもの彼らしくはない彼の画面の前には、凄惨な笑みを浮かべる男──明雲凪斗の姿があった。
「彼奴か? 確かにアレの笑みは大したモノだが」
「いやはや何とも、凄惨かつ
十二回の亜種聖杯戦争である。
「……彼の名は明雲凪斗。第八秘蹟会の中ではちょっとした有名人ですよ」
「マスターは面識が?」
「私が一方的に知っているだけです。協会から彼がいるという情報は送られていましたがまさか本当だとは……」
第八秘蹟会においての凪斗の扱いは『とりあえずコイツがいればある程度は丸く収まる』である。魔術協会も◾️◾️◾️も同じようなもの。凪斗は泣いていい。
「しかし何か問題でもあるのか? 此方には大英雄が二騎揃っている。今のところ相手のサーヴァントをセイバー、アーチャーのみしか確認できていないが、セイバーはランサーの鎧を貫くことができぬことが確定している。アーチャーの力はまだ未知数ではあるが、ライダーならば何の問題もなく対処できようぞ」
「……問題は二点あります」
「一つ目は、私たち赤の陣営のサーヴァント
「何ッ!?」
「これまたマスターがあぁなるのも納得ですなぁ!」
サーヴァントにとって真名がバレることは隙を晒すに等しい。
生前遺した逸話から考えられるスキル、宝具の内容、どう討たれたかから得られる弱点。ジークフリートやアキレウスが例としては分かりやすいだろう。
源為朝や本多忠勝がロボだったり宝具を死因から持って来たりと逸話頼りも信頼性が無いのは確かではあるが今は置いておくとしよう。
「これは不味い、非常に不味い! 聖杯戦争の醍醐味であり各陣営が躍起となる真名予想があっという間に終わる物語クラッシャーが現れるとは! 特にライダー殿が不味……いや不味くはありませんな。あの速さは流星さえも置き去りにする程! むしろ彼の踵をぶち抜ける輩がいたら我輩ドン引き」
「冷静に考えたらそうではあるな」
「私も彼が負けると思ってはいません。しかし戦争にはもしもがあります。警戒するに越したことはないでしょう」
「しかし、そのような知識はどこで身に付けたのだ? マスターのような能力ではあるまい」
セミラミスの極真っ当な質問に対して天草は真面目に返した。
「十二回の亜種聖杯戦争ですよ」
「………は?」
その予想外な答えにセミラミスは普通の反応をし──
「ハハハハハハハハハハハ!!!! それはもう、あの笑みが出来るまでに対する回答としては満足なモノですなぁ! マスター、今すぐ彼の元に向かって取材してもいいですかな!? 「駄目です」貴方はどのような英霊に出会ったのか! どのような生き様を見て、魅せられてきたのか! そしてその亜種聖杯戦争の中に我輩はいたのか!? いたとしたら随分酔狂なマスターに呼ばれましたないやもうそのマスターは変わっていたのでした! ハハハハハハ!!」
シェイクスピアは爆笑した。それはもう、今日一五月蠅い程に。
しかし凪斗に今までの亜種聖杯戦争を聞きたいということは真実だ。
この聖杯大戦において呼ばれた時、彼は随分と感情が昂った。
歴史に名高き英雄達が、それぞれの胸に願いを抱えるマスター達が、どのような物語を描くのか。
亜種聖杯戦争、規模は劣るものの、十分人生に一回あるかないかの体験。
それを十二回!
どのような英霊を召喚し、どのような英霊と対峙し。そしてどのような願いを叶えたのか。あぁ気になる、気になって仕方がない!
シェイクスピアの好奇心が溢れて止まらないのを他所に、セミラミスは続けて問う。
「しかし亜種聖杯戦争とやらは幻霊さえも召喚されるのだろう? この聖杯大戦に比べ質は落ちるのではないか?」
「それが、聖杯自体の質は比べるまでもないのですが、彼の参加した亜種聖杯戦争で召喚されるサーヴァント自体は何故か遜色ないと言っていいです。それに伴い、彼の力量も右肩上がりなのですが……」
「ほうほう例えば?」
「資料で見たのですが、彼はギリシャの地にてランサー・◾️◾️◾️◾️◾️を召喚し、セイバー・ヘクトールとの同盟ありきと言えど、ライダー・ペルセウスを撃破しています」
唐突に出てきた三つのビッグネームに二人は目を丸くする。
ギリシャ神話においてヘラクレスに並ぶ大英雄であると言えるペルセウスに、トロイア戦争においてライダー──アキレウスを苦しめた大英雄ヘクトール。そしてそのヘクトールに勝るとも劣らない大英雄である◾️◾️◾️◾️◾️。
その三騎がギリシャの地という知名度補正を存分に受けられる戦場で召喚され戦う。想像を絶する戦いが繰り広げられたのだろう。シェイクスピアの目が更に輝く。
「それでそれで、二つ目は何ですかな!?」
「……随分とテンションが高いですね」
「騒々しいにも程があるぞキャスター……」
「これは失敬! しかしこの好奇心を止めろというのはあまりにも酷! 彼が辿りし道を見たいと思うは必然と言えましょう! あぁ、できればその戦いを見たかった! 不可能を言っているのは勿論分かっておりますが!! そのような戦い、劇作家としても男児としても心が踊る!マスターもこの気持ちは分かるでしょう!?」
「否定はしません」
凪斗の
「はぁ……それで二つ目は何なのだ?」
「彼の切り札に当たると思われる魔術ですが、
本日幾度目かの驚き。
流石に驚き疲れたのかセミラミスは額に手を当てる。
「何というか……現代の人間にしては出鱈目過ぎぬか?」
「属性てんこ盛りですなハハハハハ!!」
◾️◾️◾️
天草が凪斗の切り札を見たのは京都の亜種聖杯戦争だ。
監督役は派遣されてはいたが、バーサーカー・悪路王の暴走により聖堂協会も魔術協会も隠蔽に大忙し。鬼の頂点の一つである悪路王の暴走による被害は協会・教会の予想を容易く上回り、奔走する隠蔽役の一人として天草もその場にいた。
そして隠蔽の最中、天草は神話の戦いを見た。
平安最強の神秘殺し、源頼光。
鎮西八郎、剛勇無双、源為朝。
戦国最強の一人、本多忠勝。
神変大菩薩、役小角。
悪鬼を退治するために集い、力を合わせる一度は聞いたことがあるだろう大英雄達。
その中に、凪斗や他のマスター達もいた。
凪斗が発動したその切り札たる魔術。
それは悪路王による被害が広がったことで十数分しか見れていないが、サーヴァント達への援護としては最上級のものであったと断言していい。
龍神の子、酒呑童子、鬼神魔王、大嶽丸と同格とされる
ダーニックに並ぶ最大の障害が此処で現れた、現れてしまった。
しかし、此方には強力な手札が二つ揃っている。
マハーバーラタの大英雄、カルナ。
トロイア戦争の大英雄、アキレウス。
本人達の力は勿論のこと、それに加えてそれぞれ黄金の鎧、不死の肉体を所持している。
ジークフリートの剣は黄金の鎧には届かず、アキレウスの肉体を貫くことが出来るのは今のところ神性を持つアーチャー──ケイローンのみ。
二騎が並べば、たとえアレであろうと、大抵の敵は容易く蹴散らせるだろう。
だが、油断も慢心もしない。
最後に足を掬われることは何としてでも避ける。
全ては、全人類の救済のために。
シェイクスピアむっっっず!
作品からの引用とかできそうにないんですけどアーーーーーッッッッ!!!???
怠慢……そう言われれば、ソッスね……
◾️◾️◾️の中身は皆さん当然分かりますよね?