小ネタ
凪斗は自分の異名の一つである
理由はユーウェインの記憶でギャラハッドを見て『自分があの騎士と比べられるなど片腹痛い』と感じたから。その異名を流した奴を見つけたら殺すぐらいには嫌ってます。まぁ呼んだくらいでは殺されませんから某傷赤さんよりはマシ──
(……やはりダーニックの決断は英断であったな)
ミレニア城塞。ヴラド三世に用意された個室。
その中でヴラド三世はダーニックと共に、アヴィケブロンが作った監視ゴーレムが先日撮った、"赤"のセイバー、モードレッドとそのマスター、獅子劫界離との戦闘記録を閲覧していた。
不幸なことに、凪斗が途中で跳弾の予測を外してしまい壊してしまったが、その途中まででの戦闘記録でも、凪斗の価値はヴラド三世とダーニックの中で大きく跳ね上がった。
ユグドミレニアにおいてダーニックに次ぐ魔術師であるフィオレを敗北寸前にまで追い込んだ強者である獅子劫を途中まで追いつめたその能力。
敵の魔術を何かしらの原理で殺す鏡に、咄嗟に致命の攻撃を防ぐ直感、ヴラド三世がダーニックとの対面時にぶつけた殺気にびくともしない胆力、亜種聖杯戦争で得たサーヴァントに対する知識、現代の人間にしては常人離れした位置にある身体能力。
十二回の亜種聖杯戦争という凄まじい経験に裏打ちされた確かな実力を存分に見せてもらった。
凪斗の使い魔である蜘蛛丸に対しても二人は度肝を抜かれた。
かつての亜種聖杯戦争において召喚したキャスター・滝夜叉姫との合作である子であり使い魔にして、フィオレ、カウレスに並ぶケイローンの最新の生徒。
元の基礎スペックに加えてケイローンが引き出した潜在能力、核である玖賀耳之御笠の遺骨と滝夜叉姫の霊基に潜む将門公から得た力を解放した時は一時的ではあるが、音に聞こえし円卓の騎士の一人であるモードレッドを追い詰めることに成功し、蜘蛛丸の存在を知っていたフィオレやカウレス含め、観戦していた全員が驚愕した。サーヴァントに作られた使い魔といえど、サーヴァントに対抗するためにはサーヴァントしかありえないという常識を覆したため当たり前だろう。
しかし、ヴラド三世が評価点を上げた最たる要因は、あの
普段の凪斗からは想像もつかないあの笑み。
実際、凪斗と交友が深かったフィオレは呆然状態に陥り、カウレスも同じような状態となり、ゴルドのように腰を抜かすまではいかなかったものの、セレニケやロシェ同様十分驚愕していた。
ダーニックでさえも一度たじろぎ、ヴラド三世は思わず感嘆の息を漏らしてしまった。
ヴラド三世には分かる。
あれは
恐怖を忘れるのではなく克服するための笑顔。
激しい
あの笑顔はその果てに産まれたのだとヴラド三世は理解した。
アレを浮かべる者は例外なく
物理的にも、精神的にも。
故にヴラド三世は彼を高く評価し、その苦難の道を乗り越えて生きてきたことに、名高き英雄達の前に
そんなことを考えていたヴラド三世の耳に、扉をノックする音が聞こえた。
「よい、入れ」
「失礼します」
「失礼しますぞ」
扉を開けて入ってきたのは、手に
「何用だ? その手に持つ物から何を願うかは予想できるが」
「そうですよねー」
「まぁ予想は尽きますな」
彼は手に持っているソレを──カメラを構え、戦闘の時のような凄惨なものではなく、極普通に笑い、言う。
「写真、撮らせてもらえませんか?」
◾️◾️◾️
凪斗の言葉に眉を歪めたのはダーニックだ。
彼の中にサーヴァントと写真を撮るという発想はなかったのだろう。そもそも彼は魔術師らしい魔術師であり、凪斗の方が異端ではあるため当然だが。
諌めようと言葉を発するが、それよりも先にヴラド三世が声を出す。
「ハッハッハッ!! 良いぞ。戦において肩肘を張りすぎるのはかえって敗北に繋がる。息抜きも大事であるからな」
「公!?」
彼は口角を上げ、愉快そうに笑いながら許可を出す。
無論、ダーニックはそれに反応する。
写真を撮ることをなぜ許可するのか、そのような意が込められた声だった。
「ダーニックよ。何か不思議か? 今はサーヴァントの身ではあるが、生前の余は確かに
「その通りでございますが、しかし……」
「それともダーニック。貴様──」
「余が写真に映らないからどうせ撮っても無駄。そう思っているのか?」
数ある
ヴラド三世は己の異名である
そして、彼自身を吸血鬼と見なすのは世のどのようなことよりも彼の怒りを引き出す行為である。
部屋に殺気が充満する。
瞬間、ダーニック
サーヴァントである呪腕のハサンは当然だが、凪斗が膝を突いていないのは『人生』という経験ならまだしも『聖杯戦争』及び『対サーヴァント』においてはダーニックに圧倒的に勝っているということの証拠だ。思わぬ殺気に身体が戦闘だと勘違いして一瞬口角が吊り上がったが。
「どうした?何か言ってみよ?」
「……滅相も、ございませぬ……!
「…………」
殺気が解かれる。
ダーニックは膝を突いた状態のまま、久しく感じた『死』を思い出しながら、激しく呼吸を繰り返し、肺の中へと空気を取り入れる。
「疾く退室せよ。それで此度のことは不問とする」
「……承知、いたしました……!」
ダーニックは汗を浮かべ、その原因となる凪斗を睨みつけながら退出した。
「……何か悪いことやっちまったな……」
「良い。奸計に対する進言であるならばまだしも、あの発言はあ奴は余が是としたものを個人的な意思により否にしようとした。此度の現界において余はサーヴァントではあるが、あ奴が余を主としたのならばあの対応に可笑しなところはないであろう?」
「そういうもんですかねぇ……」
「そういうものだ」
ヴラド三世が肯定的な発言をするが、凪斗はそれでも納得いかないようだ。
(一マスターの個人的な趣味を諌めようとしたらサーヴァントの殺気を近距離で受けるのは流石に割に合わなくないか……?)
そう思って仕方ないがウジウジしても進まないので割り切る。割り切らないとやってらんないのが幾つもあったので凪斗は割り切りが早い方だ。
「それじゃあ写真撮影、始めてもいいですか?」
「うむ。余の姿を存分に撮るとよい」
「私は茶でも淹れてくるとしましょう」
「……暗殺者が茶を淹れるとはな……」
「呪腕さ……じゃなかった。アサシンの人柄って本当に暗殺者かってなりますよね。あ、ポーズどんなのがいいとかあります?」
「ふむ、こんなのはどうだ?」
「おぉ、いいですね! 威厳を出す感じで周りに杭生やすとかは──」
サーヴァントの写真撮影会というものが始まった。
長くなりそうになったんで後は次の話で。ダーニックが不憫な回でした。写真撮影部分は多分カットです。そこら辺の表現調べても分かりませんでした…
ちなみにヴラド三世のテンションがちょっと上がってます。理由は言わずもがな。
他に書くことないんで一旦凪斗の亜種聖杯戦争の経歴の整理。
一回目
静岡亜種聖杯戦争
バーサーカー・坂田金時 敗退
二回目
ノルウェー亜種聖杯戦争
セイバー・シグルド 勝利
三回目
フランス亜種聖杯戦争
ライダー・ダレイオス三世 敗退
四回目
イラン亜種聖杯戦争
アーチャー・アーラシュ 勝利
五回目
ポルトガル亜種聖杯戦争
ライダー・ユーウェイン 敗退
六回目
韓国亜種聖杯戦争
アサシン・◾️◾️ 敗退
七回目
中国亜種聖杯戦争
キャスター・滝夜叉姫 敗退
八回目
エジプト亜種聖杯戦争
セイバー・◾️◾️◾️◾️ 勝利
九回目
ロシア亜種聖杯戦争
ライダー・◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️■ 勝利
十回目
ギリシャ亜種聖杯戦争(魔境)
ランサー・◾️◾️◾️◾️◾️ 引き分け
十一回目
京都亜種聖杯戦争(魔境)
アーチャー・源為朝 勝利
十二回目
インド亜種聖杯戦争(魔境)
アーチャー・アシュヴァッターマン 勝利
十三回目
聖杯大戦
アサシン・呪腕のハサン ?
……サーヴァント運めちゃくちゃ良いけどよくコイツ生きてたな!!