禪院甚壱成り代わり   作:相川

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極ノ番を開発したい

 真希と真依が超絶強化されたことで、当主は機嫌がいいようだった。扇の叔父貴も機嫌が良くなるのかと思ったが、甚爾と同じに至った娘を見て遠い目をしてしまっていた。アンタが当主になれないのは子供のせいなんだろ?ほら、アンタの子供は強くなったが。笑えよ。

 

 禪院家での俺の影響力も中々バカにならなくなってきた。派閥としては甚壱派となるのだろうが、当の俺が直哉の味方なので直哉派と合併されている。真希と真依が味方に付いているし、俺自身が炳の一員であり、躯倶留隊の統括に位置することから、影響力は強い。

 

 禪院家外のことで言えば、特級である夏油と五条の強さが埒外なため上層部が必死に処分しようと任務を回しているようなのだが、ぶっちゃけあの二人を殺したいならそれこそ国家が相手をしなければならない。焼け石に水だろう。

 

 五条は六眼によって消費呪力量と回復する呪力がほぼ一定であり、呪力切れという概念とは無縁であるし、夏油に関しては使役する低級呪霊たちを呪霊としてではなく外付けの呪力タンクとして利用することで、無尽蔵の呪力を得るに至った。

 

 頭がおかしい。特級二人に呪力切れという概念がない。あと呪霊の味であるが、五感を麻痺させる呪具が発見されたことで解決された。これで夏油は率先して呪霊を食って回るだろう。

 

 と言うか、呪霊を外付けの呪力タンクにするって何なのだろうか。やっていることが財宝からの魔力バックアップを受けるギルガメッシュである。このネタが分からない人はFateを見て欲しい。俺は当主に見せられた。

 

 呪霊操術の関係上、夏油は呪霊が増えれば増えるほど強くなっていく。そんな夏油の成長を見て、焦った五条は極ノ番を開発したいと色々な人に意見を聞いているのだ。

 

「茈が極ノ番ではなかったのか」

「あれは極ノ番と言うか、虚式だね」

「いや、極ノ番って言ってもいいと思うが」

「そうなんだけどさ、なんか極ノ番って言いたくないんだよね。極ノ番は僕が開発した技がいい」

 

 なんとも我儘なことを言うクソガキである。

 極ノ番というのは、領域を除いた自身の術式の奥義に位置するものである。そうなると破壊力のある技であった方がいいと思うが、無限の性質としては破壊にはあまり向いていない。まあ別に破壊力が全てという訳ではないのだが。

 

 五条の極ノ番を俺も考えてみたのだが、どうにも思いつかない。赫と蒼と茈で完成している気がするのだ。

 

「赫が弾く力、蒼が引き寄せる力だったか」

「そ」

「蒼はマイナスを作り出すことで正の空間にあるものを引き寄せるんだよな?」

「そうだけど?」

 

 マイナス一個のリンゴのような虚構を作ることで引き寄せる。言ってしまえば世界に穴を作り出し、それを別の物質で埋めるために引き寄せる効果が現れているわけだ。

 

「……なら、『無』を作り出すというのはどうだ?」

「『無』?」

 

 俺の完全なる思いつきであって、理論とかは全く分からないということを前提に話を進める。

 

「蒼はマイナスを作り出す。赫はその反転、つまり正の反応を作り出す。なら、マイナス+プラスでゼロを作り出すことが出来れば、何かしらの技が生み出されるかもしれない。」

 

 原理としては虚式に近いのかもしれないし、術式反転と順転を同時に扱い、なおかつ出力を同等にしなければ多分この理論の呪術は不可能だろう。

 

「まあ、言ってはみたがそもそも『無』はおかしいか。そんなことをする前に赫と蒼で対消滅して何も起こらないかもしれない」

「…………いや、いいこと聞いたかも。ありがと」

 

 そう言って五条はブツブツと何かを言いながらどこかへ行ってしまった。その姿を見送って、俺も極ノ番を開発した方がいいかななんて考えてみる。

 

 俺が極ノ番を開発することになったらどうなるのか。拳を使用した呪術だが、順当に行けば破壊力に特化したものになりそうである。

 

 俺の術式でできる限りの範囲を拳で埋め尽くすとかになるのか。でもそれって俺が愛用している技、【流星群】と似てるんだよな。

 流星群は無数の拳が降り注ぎ、面での圧倒的な制圧力を可能にするという便利な技であるというのに加えて、連続攻撃だからかなりダメージを通しやすいというのも利点だ。

 

 俺の術式の攻撃手段は通常の術式に加えて、【衝撃】という拡張術式も開発した。この【衝撃】というのは、本来術式で生成するはずだった拳を俺自身の拳に重ねることで威力を大幅に増加させると言うものだ。

 戦闘において俺の術式はかなり汎用性があり、俺自身の拳をお見舞いすると同時に複数の拳を生成したり、攻撃対象の死角から拳を生成してお見舞いする等、シンプルながら強力な術式であると思う。

 

 そんな俺の極ノ番となるとどうなるのか。

 

「分からん」

 

 極ノ番は領域を除いたその術式の奥義。奥義と言うからには防御を無視した一撃とかであったらいいなあなんて思いながら、俺はこの場を後にした。

 

 そう言えば、直哉が反転術式を覚えたから投射呪法の術式反転に関して相談したいみたいなことを言われていたことを思い出した。

 

 投射の反転となるとどうなるのか。

 

 俺はそんなことを考えながら、高専の寮へと足を運ぶのであった。

 

 




無下限呪術の理屈がいみふ。
調べれば調べるほどよく分かんなくなる。
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