二人の睨み合いで大気が揺れる。何かが起こらないと始まらないくらい張り詰めた緊張感。一つの小さな岩がコロコロと音を立てながら転がり落ちた。
「ふんっ!!」
「はあああっ!!」
「「はああああっ!!!」」
ババッ!!バチイイイッ!!!
龍技とジレンが同時に駆けた。跳躍し飛び蹴りがぶつかり衝撃波を生み武舞台はさらなる亀裂を作り出す。威力は互角で共に距離を取る。
「ぐっ!」
「…はっ!!」
ズガガガガガッ!!!
「ぬおおおおっ!!!」
ババッ!!
「はあっ!!」
ズドンッ!!!
「ごっ!!ぬ、ぬああっ!!」
「でやああっ!!」
ドガッ!!ズンッ!!ガガガガガッ!!
龍技がすぐに駆けてジレンに接近。ジレンは迎え撃つ形となりラッシュの応酬。龍技とジレンのラッシュのぶつかり合いはほぼ互角に見える。
龍技はジレンの拳打を躱しながらカウンターの拳打を何度も浴びせる。ジレンは卓越した技術を持っている。悟空も身勝手の極意で追い越したレベルの。
しかし龍技も同じように卓越した技術の武術家。さらに身勝手の極意で手に負えないレベルになりジレンの動きを見切りながらのカウンターや素早い連打を叩き込む。
ジレンは肉体の硬さでどうにか耐えている状態。
ドドドドドッ!!!
「ぐっ!こ、この男!」
「うおおおっ!!」
ズガンッ!!
「があああっ!!」
「ふっ!!せいっ!!」
ガガッ!!ブンッ!!ガッ!!
「ぐっ!」
「せいっ!!」
ブォンッ!!
「ぬおおおっ!!!はあっ!!!」
ズドドドッ!!!ボゴオオンッ!!!
「ぐっほ!ッ!」
ジレンは龍技の連撃を耐えながら後退りする。龍技は一気に攻めるチャンスだと右のフルスイングをするが読まれていたのか上半身をのけ反りながら下がることで避けられる。
大振りだったことで隙が出来た龍技にジレンは拳打と蹴打を4撃ずつ当ててから左の腕の筋肉が盛り上がりストレートを当てる。
吹っ飛び武舞台を削りながら素早く体勢を立て直した龍技はジレンを見てすぐに回避の体勢に入る。
ズアアアッ!!!ドドドドドッ!!!
「はあああっ!!!ふんっ!!」
ダッ!!バシュッバシュッバシュッバシュッ!!!
「そらよっ!!」
ギャンッ!!!ドンッ!!!
「小細工を!!なっ!!」
「はっ!!!」
ドゴオッ!!
「ぐおっ!!」
ダンッ!!クルクル!!
「ぉおおおっ!!!」
ドゴンッ!!!
「ぐほっ!!」
ジレンはエネルギー波を放つが龍技が横に跳躍して避ける。想定していたジレンはすぐさま連続エネルギー弾を撃ってくる。
龍技はエネルギー弾を片手で受け流しながら纏めていく。全てとはいかず幾つかは避けて。溜まったエネルギー弾を返すように投げつける。
ジレンは腕をクロスにして防御。ダメージは最小限で済んだがその隙に龍技が一気に距離を詰めて蹴り上げる。浮いてジレンに追い打ちをかけるように跳躍して回転しながら右の回し蹴りを浴びせる。
遠心力を利用した蹴りなのでジレンにそれなりのダメージを与える。龍技は着地してゆっくりとジレンに近寄る。ジレンも立ち上がり待ち受けるように佇む。
至近距離となり二人は睨み合う。
ドゴンッ!!
「ぐっ!!」
「な、何が起こったのですか!?」
「二人が同時に拳を繰り出したのだ。龍技はアッパー系、ジレンはブロー系の。ジレンの方が速かった」
「マズい!」
ドゴゴゴゴゴッ!!!
「ぬううううっ!!おおおおっ!!!
バゴオオオンッ!!!
「がはあああっ!!!がっ!!はっ!」
龍技とジレンは同時に拳を繰り出した。あまりの速さに殆どの人達には見えなかった。ジレンの方が僅かに速かったので龍技の顔面が横に揺れて膝をつきそうになる。
ジレンはすぐさま拳打の連打を浴びせて蹴りで少し浮かせてからアッパーカットを龍技の顔面に喰らわせぶっ飛ばす。龍技は円を描くようにぶっ飛び武舞台に落ちる。
龍技はかなりの大ダメージをマトモに受けてしまう。普通ならこれで勝負あり。だが負けるわけにはいかない。龍技は気力を振り絞って起き上がる。
「まだ、だ…!俺は、負けるわけにはいかねえんだ!はあっ!!」
バシュウウッ!!バチンッ!!
「無駄なことを!む!」
「でやああああっ!!!」
ズドォンッ!!!
「ぬっ!ぐぅっ!!」
「はあああっ!!でやっ!!!」
グゴゴゴゴッ!!!ズゴンッ!!!
「ごあっ!!」
「ジレン!!」
「バカな!?防いだはずなのにふっ飛ばされた!?」
「はああぁぁっ!いくぞっ!!でらあっ!!!」
ズドンッ!!!
「ぐぶっ!!」
ババッ!!ダンッ!!
「でえぇいやあああっ!!!」
ドゴオォーンッッ!!!
「ぐあああああっ!!」
「ジレーン!!」
龍技は起き立ち上がり気砲を放つ。ジレンには効かない。龍技は目眩まし程度の威力しか出していない。一気に距離を詰めて左のアッパーカット気味の拳打を打ち込む。
ジレンはすぐに気づいて腕をクロスにしてガードするがガード越しでも凄まじい威力の拳打。アクトは気炎と共にジレンをクロスガード事殴り上げる。
龍技は右拳に気を溜める。落ちてくるジレンに斜め下からの拳打で殴ってまた浮かせて少し距離をとってから飛び蹴りを食らわす。
ジレンはぶっ飛びかなりのダメージを与える。しかし威力の差は歴然。ジレンはすぐさま起き上がれるほどのタフネスを見せつける。
龍技に焦りはない。右手首を左手で添えてスナップしてから強く握りしめる。拳からスパークが迸る。
「くっ!おおおおっ!!」
「はああっ!!」
バヂイイッ!!!
「ぬっ!!」
「おおああっ!!」
ゴッッ!!!
「があっ!!キ、キサマッ…!!」
「でいいやっ!!!」
「ぬぅっ!ちっ!」
ボゴオンッッ!!!
「なっ!?なんだと!?」
「バカな!?何処にあんなパワーが!」
「コオオオッ!!」
龍技とジレンは同時に駆け出し龍技はボディーブローのような拳打を、ジレンはフックのような拳打を出してぶつかる。それだけでまた衝撃波を生み武舞台に亀裂を作らせる。
拮抗していたが龍技はヘッドバッドを食らわせる。ジレンは突然のヘッドバッド攻撃に思いっきりよろめき後方にある岩盤まで後退してしまう。
龍技は追い打ちの右の正拳突きを繰り出す。ジレンは咄嗟に横に大きく跳んで避ける。龍技の正拳突きは岩盤を容易く粉砕した。
正拳突きした部分が突き抜けたや罅を割りその部分だけ砕いたではない。文字通り巨大な岩盤が砕け粉砕した。これにはさすがジレンだけでなく第11宇宙の面々は驚愕。
龍技の種族だけみればカチカッチン鋼の岩盤を砕くのはまず不可能である。それをやってのけた、龍技がどれだけ地球人として逸脱してるのかがわかる。
「はあああっ!!」
ドゴゴゴゴゴッ!!!
「ぐうううっ!!」(さっきまでと動きが違う!何よりもこの力はなんだ!?ガードの上からでも痛みが伴ってくる!)
「ジレン!」
「バカな!?あのジレンが!力負けしているだと!?」
「ぬおおおおっ!!!」
ドガガガガガツ!!!
「はああああっ!!」
「ぬううううっ!!ナメるな!」
「でやああっ!!」
ズドオンッッ!!!メキッ!!
「ごばっ!!」(この一撃はマズい!骨にまで響く!距離を!)
バッ!!
「ふっ!」
グンッ!!
(は、速い!なんだ今のステップは!?だが懐に入り込みすぎだ!これなら先程のボディーブローは!)
ギュンッ!!
「ぬあああっ!!!」
ズドオンッッ!!!メキャアッ!!!
「ぐぼああっ!!」
「ジ、ジレーン!!」
「バカな…!?何が…!何が起こったんだ!?」
龍技の力強いラッシュにジレンは押されてしまう。反撃をするが攻守は龍技の方が攻めている。ジレンの大振りの拳打を避けて一気に懐に入りボディーブローを浴びせる。
脇腹に痛烈すぎる一撃は骨を軋ませるほど。あまりの激痛にジレンは思いっきり距離を取り近寄らせないようにしようとした。
だがそれよりも速く龍技は驚異的なステップでジレンを肉迫する。しかしあまりにも近寄りすぎた。身体が密着するほどの至近距離を取ってしまいこれでは先程のボディーブローはできない。
誰もがそう思っていた。だが龍技は遥かに超えていた。腰を捻りより片足を前に出して至近距離からのボディーブローを叩き込んだ。
先程よりも強い一撃、骨に罅が入るほどの破壊力にジレンは吐血するように唾を吐き出した。
(バ、バカな…!?こんな、至近距離からこれほどの力を!どうやって!?)
「ふん!!」
ガッ!!ドゴゴゴゴゴッ!!!
「でぃやあああっ!!!」
バキャアッ!!!
「があああっ!!!」
ジレンが苦悶の表情をしてる隙に龍技は右の後ろ足払いをして浮かせる。そのまま連続で右の後ろ回し蹴りを連打する。上段、下段、中段、蹴り上げ、踵落とし気味の蹴打の連撃。
トドメは飛び後ろ蹴りをしてぶっ飛ばす。ジレンにかなりのダメージを与えられた。ジレンはすぐに体勢を立て直して起き上がる。
龍技は予測していたのか驚異的なステップで一気に詰め寄る。
「だああああっ!!!」
ドドドドドッ!!
「ぬおおおおっ!!!」
「ふんっ!!はあっ!!」
ズゴンッ!!!ドドドッ!!ドンッ!!!
「ぬっお…!!ごああっ!!!」
「ジ、ジレン!なぜだ!なぜジレンがあそこまでダメージを負う!?確かに強いが力は!」
「それは彼、龍技君の技術の高さによるものですよ」
「何?」
「確かに地力では圧倒的にジレンの方が上です。技量という点に置いては二人は全くの互角でしょう。そもそもな話、戦闘力という部分に置いてはジレンはここにいる悟空君やベジータ君とほぼ同じですよ。ジレンを上回ってるといえばブロリーくらいですかね」
「確かに、そうだな。オラやベジータはジレンとほぼ同じくらいだ」
「ですが、技量ではジレンの方が上です。無駄のない動き、攻撃する瞬間のインパクトの差などですね。それの積み重ねが差を生み出し力の差を作ったのです」
「ふん…!」
「ですが、龍技君は地球人としての力が低いことをしっかりと分かっていて力よりも技量を重点的に磨いてきました。地球の格闘技を学び修得したことで足りない部分をカバーしました。お二人はサイヤ人としての戦闘力に任せた闘い方が多い」
「確かに、孫悟空とベジータは技量よりもサイヤ人としての闘い方が色濃く出ていますね」
「龍技君は格闘技と技量でそれらをカバーすることで差を埋めていきました。さらに潜在能力を開放することで弱点を克服。足りない力を補うことで第7宇宙でトップクラスの実力者になることができました」
「ふふん…!流石は儂じゃの。悟飯も龍技も儂のおかげというわけじゃ」
「さらに身勝手の極意を修得したことにより龍技君は技量に置いては間違いなくジレンを上回るでしょう」
龍技の連撃は的確にジレンに攻撃させない。たとえ反撃してきてもすぐさま返しのカウンターなどを与える。軽い連撃と重い一撃を上手く噛み合わせてジレンに着実にダメージを与える。
龍技の技量にウィスは褒め称える。しかしそこはジレン、ただでやられるわけはない。
ドドドドドッ!!!
「ぬっ!ぬおおおおっ!!!」
ズオオッ!!
「ちっ!」
「力で!この俺に!勝てるものかあっ!!!」
ガンッ!!ガッ!!ドガアアッ!!!
「ぐっ!」
ジレンは気合いで龍技を吹き飛ばして重い一撃の拳打を何度も叩き込む。龍技は防御するが当たるたびにズリズリと後退りしていき最後の一撃で思いっきり吹っ飛び、やはりジレンとの力の差を思い知らされる。
それでも龍技に焦りはない。その瞳は冷静。ジレンは追い打ちをかけようと接近してくる。
「うおおおおっ!!!」
ドゴオォーンッッ!!!
「おおおおおっ!!!はあっ!!」
バヂイィンッ!!
「なっ!?」
ギュンッギュンッギュンッギュンッ!!
「ぅうおらああああっ!!!!」
ドッゴオォーンッ!!!
「ぐあああああっ!!」
ジレンの渾身の右ストレートを龍技は両腕をクロスにして防ぐ。クロスしていた両腕を縦にしてジレンの右を弾き返す。体勢を崩したジレンに龍技は自らを駒のように回転して小ジャンプしながらのアッパーカットを浴びせる。
この技は龍技が学んだ三島流喧嘩格闘技の技の一つ鬼神滅裂を繰り出したのだ。それを改良した技である。
「うおおおお!!!」
ガガガガガッ!!!
「なめるなぁ!!」
ドンッッ!!
「ぐっ!!」
「これが圧倒的力だ!!」
「力だけが、俺の全てではねえ!」
スルッ!!
「なっ!?」
ドッ!!バキッ!!
「ぐおっ!がはっ!」
「お前に教えてやる…!来いよ!」
「ふん!小賢しいことを!」
第7宇宙からはジレンを追い詰めていると思っていたが甘く見過ぎである。ジレンの方が力は圧倒的に強い。龍技もそれを理解している。
そこで龍技は闘い方を変更。先程までの攻めから受け、つまりカウンターへとスタイルを変えた。ジレンの拳打を柳のように受け流してから拳打と後ろ回し蹴りをする。
ジレンには小手先の技だと甘く見ている。
「おおおおっ!!」
ブッブッブッブッブッ!!!スルッ!
「せいっ!そらあっ!!」
ゴッ!!グルンッ!ドンッ!!
「ぐっ!ぐあっ!!」
「せやあっ!!」
バキッ!!
「ぬおっ!!このっ!」
ドドドドドッ!!!
「はああああっ!!」
「無意味な!ことを!」
グオッ!!ドンッッ!!!
「ぬがああああ!!!」
「ジレン!!」
「なんだ!?今ヤツは何をした!?何をしてジレンを吹き飛ばした!?」
「ねえねえ!何が起こったの?」
「神パッドで見てみましょう」
ジレンはラッシュを繰り出すが龍技は全て見切って避けている。大振りの一撃をいなしてカウンターの拳打を数撃浴びせて腕を掴んで背負い投げをする。
倒れたジレンに蹴りを入れる。ジレンはすぐさま起き上がり体勢を立て直すが龍技がすでに接近してラッシュを繰り出す。
ジレンに当たってはいるがあまりにも軽い。重みがなくジレンはもう強い攻撃はできないと思い込み強引な一撃を繰り出そうとした。
その瞬間、ジレンは思いっきり後方に吹っ飛び大ダメージを食らってしまう。どうなったのかさっぱりわからない観客席。神官が神パッドを使い映像をスロー再生させる。
一瞬で分かりにくいが龍技はジレンの一撃を受け流しながら逆に一撃を与えた。それだけにしてはジレンの受けたダメージはかなりのもの。
「なるほど。これが地球の武術の一つ、合気ですか。まさに見事なカウンターですね」
「おいウィス。龍技が何をしたのかわかるのか?」
「龍技君はジレンの力をそのまま相手にぶつけたのです。単純に見えてこれはとてつもない高度な技ですよ。はっきり言ってしまえば実戦で行えるものではありません。ですが龍技君は実戦レベルで使えるようにしたのです」
「なるほど。地球の武術ですか。確かに地球の武術は他の宇宙のよりも遥かにレベルが高いですね。戦闘力は低いですが武術の技術はトップクラスに高いですからね」
「龍技とは何度か闘ったことがあるけどよ。オラ達のとは違う闘い方をしてるのがいくつかあるからな」
「小手先のように見えて実は高度な読み合いでもあるな」
「悟空君とピッコロ君の言う通りです。ですが、それはかなりのリスクでもあります」
「ぬぐううっ!!」
「はぁ…はぁ…!」
龍技はジレンに何度もカウンターをしたり受け流して隙に攻撃したりと優勢になっていると思われる。しかし龍技の額だけでなく身体全体に汗が噴き出ている。
「はあ…はあ…どうした…!随分と息が上がっているな…!」
「はぁ…はぁ…ちっ!」
「やはり流石にキツいですね。いくら身勝手の極意があるとはいえジレンの攻撃を全て見切り受け流すのは相当の体力と精神力が必要ですね」
「はああああっ!!!」
ズガガガガガッ!!!
「ぐっ…!ぐぐぐっ!ぬおおおっ!!」
スルッ!ドゴッ!!ガッガッ!!バキッ!!
「ぐうううっ!!こんなものか!」
「くそっ!」
ババババババッ!!!
「その程度でナメるな!」
「くそっ!」
「ぬおおおおっ!!!」
ドゴオオオッ!!!
「があああっ!!」
龍技の合気、カウンターにジレンの身体は耐えれるようになってきてしまう。徐々に効かなくなっていき対処もできるようになってくる。
何よりも龍技の体力の消耗が激しい。ジレンの猛攻を見切ることは大変。ついに龍技は一撃を与えられてしまう。左の拳打により殴り飛ばされる。
龍技はよろけながらも何とか立ち上がる。
「諦めるわけには、いかねえ…!」
「ふん…!」
ガガガガガッ!!!
「はああああ!!!」
「そこが貴様の限界だ!」
ドゴッ!!ズムッ!!
「ふぐっ!!」
「貴様ではこの俺に勝つことは不可能だ!」
ドガッ!!ズザアアァァッ!!
「ぐぎぎっ!!はっ!ぐあっ!」
ドドドドドッ!!!
「これが俺と貴様の力の差だ!」
「がっ!はっ…!」
「信頼、絆など不要…!力こそ、力こそが!勝利する者の権利だ!」
ドゴオオオンッッ!!!
「龍技ーッ!!」
龍技は岩盤にまで追い詰められてしまう。ジレンは龍技を岩盤に張り付けて拳打の乱打を打ち込んでいく。防御できずに龍技はなすがまま。
そしてトドメの右のパンチが顔面に直撃してしまう。龍は岩盤に背もたれしながらズルズルと倒れ込んでいく。龍技の意識は朦朧としている。
(俺は…このまま、負けるのか…?いや、俺は…負けるわけには…いかねえ…!ジレンの願いを、否定しなければ、ならねえ…!俺は別に、ジレンの願いには、興味ねえ…!俺には、背負ってるもんが…ある…!託された、願いがある…!だから…!)
「…なに?」
「はぁ…はぁ…はぁ…!」
「バカな…!ジレンにあれだけ打ちのめされても立ち上がるだと…!?」
「この俺に、無駄なことをさせるな!」
ドゴッ!!ゴッ!!
「俺、は…!」
ガッ!!
「なに…!?ちっ!」
龍技が立ち上がった。もうかなりボロボロで倒れてもおかしくない風体をしている。ジレンには悪足掻きしてるようにしか見えない。
ジレンはいい加減に倒そうと殴るが龍技も殴り返した。威力は低いが確かに殴り返した。ジレンは反撃するとは思ってなかった。
だからさらに殴る。終わらせる為に。
ドゴオッ!!
(俺は…負けるわけには…いかねえ…!俺には、背負ってるもんがある…!ジレンが、力の信奉してるかもしれねえけど…!俺は…!)
「なぜ…!なぜ倒れん!貴様ごときがこの俺に勝てんのに!無意味で無駄なことなど!するなぁ!!」
バチイッ!!
「俺は…!俺は負けられねえんだ…!」
「なに…!?」
「俺には絆があり、背負ってるもんがあんだよ…!託された…!責任もある…!だから、だからよ!絶対に、負けられねえんだよ!!」
ドゴオオッ!!!
「ぐおおおお!!」
ジレンは倒れない龍技に苛立ちが立ち込める。ジレンの大振りのパンチを龍技は片手で受け止める。俯いていた顔が上がりジレンはその瞳に僅かな動揺が走る。
諦めていない瞳だった。焦燥せず、希望を抱き輝く瞳。何よりも身勝手の極意の輝きが更に増していく。龍技の拳がジレンの顔面に直撃。
ジレンは殴り飛ばされる。
「な、なに…!?バカな…もう、力は残されていないはず!」
「言ったはずだ…!負けるわけにはいかねえって!」
「絆、信頼か。そんな不可視かなモノ!力で粉砕してみせる!ぬおおおっ!!」
「いくぞ!ジレン!はああああっ!!」
ドンッッ!!!ドガガガガガツ!!!
「ぬおおおっ!!!はあっ!!」
ガガガガガッ!!!ババッ!!
「でやああっ!!!しゃああっ!!!」
ドドドッ!!!バキャアアッ!!!
「ぐあああ!!」(な、なぜだ!?もうこの男に力は残させれていないはずなのに!なぜ!?これほどの威力が!)
「うおおおお!!!」
「なめるなぁ!!」
ドガッ!!ゴッッ!!!
「がはっ!!ぐううううっ!!!」
ジレンは不可視かな力を否定する為に龍技を叩き潰そうとするが龍技は負けない為に、勝つ為に、希望を背負い立ち向かう。ジレンの方が与えているダメージは多いはずなのに一撃一撃のダメージは龍技の方が上。
もはや龍技もジレンも技ではなく意地で挑んでいる。ラッシュの合間に食らってもすぐに反撃をする。どちらが先に倒れるかの張り合いである。
バキッ!!ドガッ!!
「ぬぐおおおおっ!!!」
ドドドドドッ!!!
「はあああああ!!!」
「ジレン!!」
「負けるな!ジレン!!」
「ぬおおおおお!!!」
ドゴッ!!ズガッ!!
「ぐっ!はあっ!」
「うおおおおお!!!」
「ああああああ!!!」
ドガガガガガツ!!!
「まさに、意地と意地のぶつかり合いですね」
「龍技…!負けるなよ!」
「でりゃあああ!!!」
ズガアァーンッ!!!
「ぐおおっ!!」
龍技もジレンもどちらもいつ倒れてもおかしくないほど殴られ蹴られている。それでも二人は倒れても仰け反られても立ち上がり立ち向かう。
二人の意地のぶつかり合いに技術は不要となった。まさに泥仕合と言っても過言でない。それでも誰もが固唾を飲み見守っている。
誰もが理解していた。この膠着も決着は一瞬だと。それが真だとすぐにわかる。
ドゴオオッ!!!
「ぐぶっ!ぐうっ!おおおおお!!!」
バキイイイッ!!!
「がはああっ!!はあっ…はあっ…はあっ…!」
「はあっ…はあっ…はあっ…!」
「お互い、もう限界のようですね。次で決着です」
「決着〜?どうなるの〜?」
「それはこれからですよ。しかし、私にはわかります。どちらが勝つのかを」
二人は破壊神でも見切るのが難しい程の超高速移動しながらのラッシュのぶつかり合いを何度もしながら殴り飛ばされたり蹴り飛ばされたりしている。
それも終わりに近づいてきた。制限時間も残りわずか、龍技の拳打がジレンを殴るとお返しとばかりに殴り返す。二人は互いに距離を取り荒い息を整えようとしている。
「すげえな龍技は…オラの時はもう身勝手の極意の限界になってるのに。オラよりも長えぞ」
「悟空君は初めて身勝手の極意になったのです。対して龍技君は初めてなった時よりも鍛錬したことで長く持つようになった。それだけの差です。そして、それも限界に近い。龍技君自身もそれが理解しています。それに、相手のジレンも同じ。決着の時です」
「決着の時…!」
「どう、決着がつくの?」
「よく見ていろブロリー。どんな決着だろうとな」
「うん…!」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「はぁ…はぁ…はぁ…!決着の、ようだな…!」
「そのようだ…!互いにもう、限界を超えたからな…!さすがに、次で、終わりだ」
「一撃だ…!この一撃で、ケリをつけるぞ…!」
「…あぁ…!」
龍技は右手、ジレンは左手に力を込める。最後の一撃をありったけ込めて。気が集中し集束されていく。全てが固唾を飲む。
何かの拍子で二人は同時に動く。二人の間の床に亀裂ができる。それが、合図となった!
ドンッ!!ドンッ!!
「うおおおおおおお!!!」
「おおおおおおおお!!!」
「ッ!?」(なんだ…!?ヤツが、ほかのヤツラと重なって見える…!これが、絆か…!?信頼の力か…!?)
「「ぅううおおおおおおおっ!!!」」
ドゴオオォォーー〜〜ンッッッ!!!!
二人は同時に駆け出し拳を振ろうとする。その一瞬、ジレンの目には奇妙なのが映り込む。龍技が悟空、ベジータ、悟飯、ピッコロと参加した戦士達が乗り移り重なったかのように見えた。
それはまるで龍技に悟空達の力が貸して合わさったかのように。それでもジレンは止まることはない。それを粉砕してやるかのように龍技の右頬を全力で殴る。
同時に龍技もジレンの左頬を殴る。互いの拳が互いの頬を殴りとんでもない打撃音と衝撃波を作り出す。観客席から見れば体格とリーチのあるジレンの方が有利に見える。
果たして結果は…!
「ぐ…!あ…!」
「勝った!勝ったぞジレン!お前の勝ちだジレン!」
「…ジレン?」
「…これが、第7宇宙の、力、か」
「なあっ!?」
「そ、そんな…!バカな…!ジレン!」
「龍技が、勝ったのか?」
「そのようですね」
「くっ…!はぁ…はぁ…はぁ…!俺の、勝ちだな…!ジレン…!」
「…その、ようだな」
「強かった…本当に強かった。アンタに勝てたのが奇跡に近かった。これほど強いとはな」
「俺は…絶対の力を、手に入れたつもりだった。何者にも屈せず負けず、惨めな思いをしないと。だが、お前達の信頼、絆の力が、俺を上回った。不思議な物だ。後悔はない。悔しさも惨めさもない。むしろ、清々しささえあるほどだ」
「はぁ…はぁ…アンタと闘えたこと、誇りに思う。ジレン」
「…ふ」
「あっ!」
(これでいい。敗者に手を差し伸べる必要など、ない)
龍技は後ろによろけて第11宇宙はジレンの勝ちだと思っていた。しかしよろけてる間にジレンが前のめりに倒れ込み龍技は踏みとどまった。
決着は龍技の勝ちであった。龍技はジレンに手を差し出したがジレンのいる武舞台の方が崩れていき落下していく。ジレンは手を伸ばすのをやめた。
自分は敗者だから。そして観客席へと移動する。
「ジレン!」
「ジレン」
「孫悟空か」
「今回はオラ達の勝ちだ。だけど、次はオラ一人で勝ちてえ。またおめえに挑みてえ。もっともっと強くなってな」
「…ふ。おかしなやつだ。だが、そうだな。次があればな」
「あるさ。だからな」
「第11宇宙、ジレン選手脱落です。よって第11宇宙、消滅にてございます!」
「俺達は敗者だ。ただ消えゆくのみ」
「孫悟空…お前との決着、次回に持ち越しだな」
「ああ、トッポ。次は普通に一対一で勝負しような!」
「おう!」
第11宇宙が全王の手により消滅する。最後に生き残ったのは第7宇宙だ。
「…すごかったな。奴等は」
「あぁ」
「二人とも、悲しでいるときではありませんよ」
「大丈夫だ」
「これにて力の大会は終了となります。それでは最後に生き残った第7宇宙、代表の龍技選手に褒美を与えましょう」
最後の仕上げが残っている。最後まで生き残った第7宇宙には超ドラゴンボールにてどんな願いでも叶えてくれる。果たして、超神龍は龍技の願いを叶えてくれるのか?
次回で力の大会編は終わりです。ガチで時間をかけすぎてしまいました。マジで反省。予想以上に長くしてしまいました。日常編をやりたいマジで。
龍技の身勝手の極意
龍技が身勝手の極意を修得できたのは本当に偶然レベル。龍技は身体に染み込むほど毎日同じような動作を何度も繰り返した。鏡を見ながら何度もチェックするようにしたり組み手も動作を気にしながらと何時間とやめることなく続けた。その結果、身体が適応していきたまたまウィスとの修行中に身勝手の極意を修得してしまった。その瞬間を目撃したウィスとビルスはビックリ。その後は使った後の反発の強さを少しでも軽減することと使用時間の増加をする為に慣れることをした。