枕元でアラーム音を鳴らしてるスマホを手に取って眠い目をこすりながら時間を見る。
2度寝したいなーって考えながら、スマホの充電ケーブルを外してもぞもぞと起きる準備をする。
ちょっとゴロゴロしてからベッドを出てシャワーを浴びるために下着を手に部屋を出る。
ちょっと温めのシャワーを浴びたら体を拭いて、ブラシで梳かしながらヘアドライヤーでしっかりと髪を乾かしていく。
ここまで伸ばした髪は、明るい色も含めてアタシの自慢でもあるけど、お手入れの面倒さだけはいただけない。
変な癖がつかないように丁寧に梳いて、ふわふわになった髪をなびかせながらまた部屋に戻る。
部屋に戻ったら制服に着替えてから鏡の前で軽くメイクをして、髪の毛をいつもどおり後ろにまとめて高い位置でお気に入りの赤いリボンを使って結び、ポニーテールにする。
昔はこの高い位置で結ぶのが難しくって、いつもママに結んでもらってた。
あと髪の毛といえば、ママのきらめくような色より薄いとはいえ、かなり明るい黄色い髪の毛がやっぱり日本人としては珍しくて、学園に入学したとき染めてるのかって注意されかけたけど、入学式に一緒に来てくれてたパパとママを見てママの金髪の遺伝だってわかってもらえて、それ以来注意されることはなかった。でも念のため家族写真はスマホに入れてあるけど。
髪をまとめたら鏡の前で全身をチェック、クルッと回って髪の毛も制服もおかしなところないことを確認してキッチンへと向かった。
キッチンではママがアタシの朝食の準備をして、紅茶を飲みながらくつろいでた。
……やっぱりママっていつも紅茶とセットで居る気がする。
「おはようママ、パパは?」
「おはようリツカ、パパならもう会社へ行っちゃったわよ」
「今日も早いんだね」
そんなことを話しながらテーブルへつくとオーブンが電子音を鳴らした。
「さぁ、ちょうどトーストが焼けたわ。朝食にしなさい」
「はーい」
たぶんアタシが起きてシャワーから出たのを確認して、時間を見計らってトーストを焼いておいてくれたんだろう。
「じゃあいただきまーす!」
焼きたてのトーストにバターを乗せて、スクランブルエッグとサラダ、コンソメスープというたぶんオーソドックスな朝ご飯を食べる。
ママと雑談しながら朝ご飯を食べ終えると、さも当然のようにママが紅茶を出してくれた。
ちなみにアタシは朝には絶対にコヨちゃんの話題を出さない。
もしコヨちゃんのことを話しちゃうと、いくらでも話せちゃって時間が足りなくなるからだ。
ママもそれがわかっていてコヨちゃんのことは話題にしない。……一度ママが止めるのも聞かずに話が止まらなくなって、アタシが遅刻したことがあるからなんだけどね。
紅茶にミルクポットのミルクを入れてミルクティーにして一息ついていると、そろそろ学園に行く時間が近づいてきたから部屋に鞄を取りに行った。
鞄を取って戻ってくるとまだママは紅茶を愉しんでいた。
「ママはまだ行かないの?」
「ええ、今日は午後からしか授業がないから家で昼食を済ませてから行くわ」
ママはうちの学園でALTをしてるから、一緒に登校することも多いけどこういう日も当然ある。
「そっか、じゃ行ってきまーす!」
ママに手を振って家を出る。
駅までちょっと歩いたら電車に乗って、電車から降りてバスに乗り換えると学園のすぐそばにバス停があるから通学は楽なほうだと思う。
リュックタイプの鞄を背負ってもうすぐ暑くなりそうだなーって思いながら、なんとなく小走りで駅へと向かっていった。
「あ、リツカちゃんおっはよー!」
教室に入るとすぐにユキちゃんが挨拶してくれた。
「ユキちゃんもおはよー!」
トコトコと自分の席へ向かいながら挨拶を返す。
自分の席は窓側の真ん中くらい、そこへ自分の鞄を置いたらユキちゃんのトコへ歩いてく。
「ユキちゃん昨日の映画見た?」
「あー、見た見た!すごい迫力だったねー!」
「そーそー、あの列車が爆発するシーンとかさー、見ててハラハラしたもん」
なんでもない会話をしてると登校してきた子が加わったりして、昨日の夜にやってたアクション映画の話で盛り上がってるうちにチャイムが鳴った。
授業が始まるとみんな割と真面目にお勉強をする。
まあ学生だから当然って言われたらそうなんだけど、アタシも一応は真面目に授業を聞いている。
でも、高等部になって最初の中間テストで自分の実力は思い知らされた。
今の世界史の授業にしてもノートは取ってるけど、どこが重要なのかあんまりわかんない。
ここからテスト勉強しても、結局もう一回授業をなぞるだけになって、大事なところとかぜんぜん押さえられなくて、とりあえず平均点は取れるだろうってくらいだ。
センセーがしゃべってることも一応ノートに書いてるけど、センセーが「ここはテストに出る」って言ったところくらいしかポイントを押さえることができない。
そうして勉強してる「つもり」だとどうしても内容が頭に入ってこない。
たまにビビッと来るところはあるけど、そういったところは大抵コヨちゃんから借りた本で読んだりして記憶に残ってるところだったりする。
……学校の授業ももっと要点だけ教えてくれたらいいのになー。
英語の授業なんかは聞かなくてもわかるけど、正直言って授業で教えてくれる英語なんて実際に海外の人と話すとほとんど役に立たない。
アタシはパパの仕事の関係で海外の人と接する機会が他のみんなより多いからわかるけど、ホント学校で教えてくれる内容って、基本に忠実というか応用性がないっていうか、覚えたからといって「役に立つ」って言いにくいと思っちゃう。
……って、いけないけない。そんなことをぼんやり考えてたらセンセーの話を聞き逃しちゃうトコだった。
あんまり頭に入ってこないっていっても聞いてないと何も覚えられなくて、たぶんテストの結果が悲惨なことになっちゃう。
そうなったら、パパとママに怒られはしない……と思うけど、がっかりさせちゃう。
コヨちゃんが「勉強が学生の本分とまでは言わないけど、先生にしてみたら「テストの点数」は自分を計るひとつの物差しだから良いにこしたことはない」って言ってたし、やれるだけのことはやっておかなきゃ。
楽しいことは休み時間や放課後に楽しめばいいから、授業中はちゃんと授業を受けておこう。
そうして何度か息継ぎみたいな休み時間をはさんで午前中の授業が終わってお昼休みになった。
「リツカちゃん一緒にご飯食べよっ!」
前の席のケイちゃんがお弁当を手に振り向いて誘ってくれる。
「ゴメン、今日アタシ学食なんだ」
今日はお弁当を持ってきていなくって学食で食べることにしていた。
学園の学食はお値段の割にそれなりにおいしいご飯を出してくれるから、気が向いたときは利用してる。
ママがお弁当を作ってくれるけど、なんとなく学食で食べたいときとかは前の日にママにお弁当はいらないって伝えてる。
「そっか、残念。あっ、ユキちゃん一緒に食べよっ!」
アタシがお弁当じゃないってわかったケイちゃんがユキちゃんを誘ってるからアタシはユキちゃんに席を譲って学食へと向かう。
学食は同じように昼食を食べに来た生徒で混み出してたからアタシは手早くカレーライスとサラダのセットを券売機で買って受け渡し口へ渡す。
セットにはコーヒーか紅茶が付いてくるんだけど、紅茶はお家の紅茶を飲みなれてると美味しいって思えないから仕方なくコーヒーを選ぶ。
コーヒー用にミルク2つとシュガースティックを3本キープして、渡されるカレーライスのセットを受け取ってちょうど空いてた窓際の席に移動する。
コーヒーはコーヒーで苦手だから元の味がわからなくなるくらいミルクと砂糖でごまかす。
……ホント「コヨちゃんコーヒー」以外は普通に飲むのにも苦労する。
セットにもジュースとか選ばせてくれたら良いのに。
「いただきます」
手を合わせてからフォークを取ってサラダを口に運ぶ。
フレンチドレッシングのかかったサラダをある程度食べたらフォークを置いて、スプーンに持ち替えてカレーライスを口にする。
学食のカレーは結構スパイシーに仕上がっててちょっと辛めでアタシはそれなりに気に入ってる。
カレーライスを食べて残りのサラダも食べ終えたアタシはかなり甘くしたコーヒーを飲みながら、スマホを取り出して動画サイトでいくつか動画をチェックする。
「あ、この曲のPV結構いい感じだ」
それなりに聴いてるグループの新曲のPVを見たアタシの目がとまる。
ポケットからペアリングしてあるイヤホンを取り出して着けるとその楽曲を最初から聴きなおす。
PVだけじゃなくて曲自体も結構アタシ好みのアップテンポな曲で結構気に入っちゃった。
「佐伯さんはもう食べ終わったの?」
そうやって動画サイトやSNSを見てると横から声をかけられた。
「うん、だからのんびりスマホ見てたんだー」
イヤホンを外して横を向くとナミちゃんがサンドイッチとコーヒーをお盆に載せて座ってた。
「そっか。……やっぱりコーヒーをカフェオレみたいにしちゃってるね、佐伯さんって甘党なの?」
「甘党ってほどじゃあないんだけどさー、普通のコーヒーが苦手なの」
そう言うとナミちゃんは小首をかしげた。
「じゃあ紅茶にすればいいんじゃないの?」
「いやぁ、紅茶は……ね?ほら、ママが英国人だから……」
「なるほどね、家で美味しい紅茶を飲んでるから、ここの紅茶じゃ満足できないんだ」
ナミちゃんの言葉にそーそーと頷く。
そうしてお昼休みはナミちゃんと雑談して過ごしてるうちに終わっちゃった。
午後の授業も終わってどーしよーかなって考えてるとユキちゃんがこっちへ来た。
「このあとみんなでカラオケ行くんだけど、リツカちゃんも行かない」
「あ、行く行くー!」
カラオケは好きだからユキちゃんのお誘いにふたつ返事で答える。
「オッケー、じゃあいつものお店ね。もうすぐ出るけど一緒に行く?」
「うん、アタシも一緒に行くよー」
そう答えるとユキちゃんが自分の席へ戻ったから、アタシもいそいそと自分の帰り支度をする。
ちょっとしたらユキちゃんを先頭に3人がこっちへ来たからアタシも自分の鞄を持って立ち上がって合流する。
いつも行くカラオケはバスに乗ると違う方向に行っちゃうから歩いていく。
途中の道のりはみんなでワイワイ話しながら歩いてるとあっという間だった。
カラオケでは採点モードをオンにして、みんなでちょっとした点数勝負をした。
アタシは最初お昼に聴いた曲を入れてみたけど、まだほとんど聴いたことない曲だったしあんまりいい点数は取れなかった。
3巡くらいするとみんなちょっと本気になって点数を取れる自分の得意な歌を入れ始めたからアタシも得意な曲に選曲をシフトする。
3時間歌った結果、アタシは2位だった。
途中まではトップだったけど、ユキちゃんが「コレならリツカちゃんに勝てる!」って言って入れた曲で96点を出したから最高が92点だったアタシはあっさりと2位に転落した。
……まさかユキちゃんがあんな必殺技を持ってるとは。
カラオケでいっぱい喉を使ったアタシ達は、そのまま駅前まで歩いて行って、いつものカフェに入って喉を潤すことにした。
みんな思い思いのドリンクを注文してテーブルへ集まっていく、アタシはベジスムージーを注文してその輪の中に入っていった。
「いや~、ユキちゃんのあの点数には参っちゃうなぁ。がんばったけど3位だったし」
「ホントホント!96点なんてまず超えられないよー。私なんか最下位から脱出できなかったし」
「ふっふっふ、いっつもリツカちゃんにトップを取られてるからあの曲は特訓してたんだ!」
「えっ?アタシいつもトップだったっけ?」
はて?自分ではあんまりそんなつもりはなかったけど。
「そーだよ、リツカちゃんほとんど1位だよ」
「うんうん。だいたいコンスタントに90点台の曲1つは出すからね」
「う~ん、自分では考えたことなかったけどそーだったんだ」
「私たちはがんばってなんとか90点台に行くのに、リツカちゃんは普通に90点オーバー出しちゃうからねー」
「えへへー。なんだか褒められちゃってる、アタシ?」
「褒めてもいるけどズルイなーって言ってる」
「だってリツカちゃんってカワイイし歌うまいし、それにテストでも赤点取ることもないし、もう完璧って感じだし」
「そんなことないよー。アタシはワガママだし好き嫌い多いし完璧にはほど遠いよ」
うん。だって、アタシの親友はもっとカワイイしテストではいつも学年で上位にいるし、実はカラオケで99点を取ったこともあるし。
そのままワイワイとみんなで話してるとすぐに時間が経って家に帰る時間になってた。
駅に着くとみんな反対方向だから、私はそこでお別れして反対側のホームへ行く。
ホームへ着くと、ちょうど向こう側に電車が到着するタイミングだったから3人が手を振ってくれるのに手を振り替えす。
カラオケ楽しかったなー。
最低でも月に1回、だいたいは月に3~4回は行ってるせいで、アタシのお小遣いは毎月ピンチになるけど歌うのは好きだしやめられない。
非常時はパパに頼み込んで、パパの口添えでママに臨時のお小遣いをもらっちゃってる。
大抵は新作のコスメが出た時とかくらいだから許してもらえてるけど、もうちょっと計画的にした方が良いかな?
ホームに電車が来たから乗り込んで、空いてた席にリュックを膝に載せて座る。
ん~?なんか忘れてる気がする……。
なんだろうってちょっと考えて思い出した。
そうだ、このままだとテストがピンチな気がするからコヨちゃんに救援要請しようと思ってたんだった!
アタシはスマホを取り出して、コヨちゃんに「助けてー」ってメッセを入れながら電車に揺られて家路についた。
皆さんはゴールデンウィークをどうお過ごしでしたしょうか。
作者は本作の執筆と本来のメインであるミリタリー系プラモデルの塗装とディテールアップで終わった気がします。
さて、長期休暇も明けたのでさらに投稿頻度がまちまちになると思います。
それでも拙作にお付き合いいただける方は気長にお待ちいただけますと幸甚です。