こんばんは、あきこまです。
書いては消して、書いたのに消えて、そんな数日でした。
先に言っておきます。なんかめちゃく長いです。ハーメルンで投稿した過去の話の中で断トツ長いです。字数多くなりました。読みづらくてすみません。
というわけでどうぞ。
中川さんに半ば強引にお家へ連れ込まれ、おそらくリビングであろう所で吉川さんと二人並んで正座させられている。
中川さんの隣には先程話していた恐らく残りの二人である希美? さんとみぞれ? さんが座ってた。……名前しかわからんのだがら許して欲しい。
「とりあえず、あんたはなんで比企谷くんに送ってもらってんの?」
「向こう着いたのはいいんだけど……財布とかチケット諸々忘れて……」
「普通確認してから出るよね? まして遠出なんだから尚更」
「入れたと勘違いしてました……」
「思い込みって奴か。完全なヒューマンエラーだねー」
現在は特に吉川さんが中川さんに責め立てられている。
どうでもいいが希美さんの声、ものすごく由比ヶ浜の声に似てるなぁ。
そんなことを考えて現実逃避してる時に俺の足がちょんちょんされる。ちょっと、正座してる人の足をつついてはいけませんよ。大変な事になるんだから。
「私、鎧塚みぞれ。よろしくね?」
「「このタイミングで?!」」
「あ、じゃあ私もー! 傘木希美です! よろしくね!」
「希美まで便乗してるし……」
「あ、ご丁寧にすみません。ひきぃ……比企谷八幡です」
「比企谷くん今変な声出さなかった?」
出てない、決して噛みかけて強引に修正しにかかったのが失敗だったなんて知らない。
「でさ、比企谷くん……どうして、優子に声掛けたの?」
「単純に焦った形相が気になったのと、妙に目につく
「つまり優子の」
「でかいアタマが」
「……ヘドバンでも……してた?」
「どう聞いても頭についてるリボンがって意味でしょうが!! なんでみんなして声揃えて私の頭がでっかいみたいに解釈してんのよ!!」
「頭でっかち……ぷぷ」
「わーらーうーなー!!」
見事なまでの傘木さん・中川さん・鎧塚さんの連携プレー。これも付き合いの長さって奴なのか。
「あ、比企谷くん」
「はい、なんですか?」
「呼び方、みぞれで良いよ。言いづらいでしょ?」
……なんで俺が脳内で呼び方苗字に変えたの知ってんのかなこの人。怖いよ。
「でも、それにしたってよく京都まで乗っけるって事にしたね……」
「自分の運転の練習にもなりますし、免許取ってから関東を出たこと無かったのでいい機会かと」
「本音は?」
「吉川さんが変な男に連れていかれるのはまずいかなと」
「紳士だ」
「かっこいいね」
「……すごい」
「ううぅ///」
ちょっと、なんですかこの空気。ニヤニヤしないでくださいよ約二名。拍手しないでください約一名。下を向いて顔真っ赤にしないでください約一名。
「今日はさ、みんなでお泊まり会にしようよ!」
「いいけど何処で? この人数は私の部屋じゃ収まらないよ?」
どうやら四人でお泊まり会をする話らしい。それなら俺はお役御免だな。どこ観光して帰ろうかなぁ……なんて考えながら帰宅準備をしていると。
「比企谷? 何してんの?」
「え? いや帰る準備を」
「何言ってんの? あんたも泊まるでしょ?」
「……いや初耳ですけど」
「だからお泊まり会を」
「それは聞いてましたよ、俺がそこに入ってるとは思ってなかったんですよ」
中川さんから呼び捨てで呼ばれると、なんかこういいね、うん。
「むしろあんたは今日主役だから参加だよー。明日までに家に帰れればいいんでしょ?」
「そうですけど……さすがに女性四人のところに俺一人混じる訳には……」
「紳士な比企谷は私達の事襲ったりしないもんね〜?」
ある意味先程の発言が言質になってると言うものか……。いやその程度信用にもならんだろうに。
「安心してよ、一緒に寝る事になっても多分私だからさ」
「何をもってして大丈夫って言ってんのこの人、おかしいんじゃないの? 倫理観」
「あはは、砕けて喋ると面白いじゃん! まぁなるようになるさ」
話し合いの結果、一人暮らしをしている吉川さんの家が1番都合が良いという事になり今日は全員でお泊まり会をする事に決定した。
「そうと決まれば買い物行こっか! みんなで1品ずつ作りあおうよ」
「本格的なんだね」
「私部屋の片付けしていい? 五人も入れるスペースあったかなぁ」
「……私も、手伝うよ」
「なら、私と希美は買い物だね。比企谷、車だしてもらっていい?」
無言で頷いた俺。買い物班と部屋の整備班に別れ、中川家を出発した。
「え、コレなの? 比企谷の車」
「まぁ、一応」
中川さんが目を輝かせて車を見ている。そんなに不思議なものだろうか。
「夏紀ね、吹奏楽終わってから結構趣味が男の子寄りなの。車に関しても「いつか私は自分のMT車を買う!」って言って免許取るまで早かったよ」
なんと言うか、中川さんはイメージとしてカッコイイが似合うと思う。
「それに対抗して優子も免許を咄嗟にMTの方取ってたっけなぁ、懐かしい」
まさかのあの人の免許取った経緯にそんな背景があったとは、意外だ。
吉川さんとみぞれさんから指定の食料品を追加しつつ、買い物班三人も各々作る料理の材料をカゴに入れていった。
「これ、私達は誰が何作るか大体想像つくね……」
「まぁ……しょうがないかな」
「てか、みぞれ完全に主食作る気満々だよね? これ」
吉川さんとみぞれさんの注文の品々をカゴに入れて行く最中、三人の中で1つの結論が生まれた。
「「「みぞれ(さん)……絶対カレー作る気だ……」」」
白衣を着たみぞれさんがカレー作ってる姿が浮かんだ。 ……なんで白衣?
「じゃあ私は付け合せかな? カレーには必需品だと思うよ」
傘木さんの入れるものは緑系中心。なんか小町もよく、というかカレーの時には絶対付けてた気がする。
「んで、優子のこれを見る限り私と優子は食後の事を考えた方が良さそうだね」
吉川さんの献立、何にするのか知らんけどまぁおおよそ予想がつくのは恐らくお酒を飲みながらつまめそうな軽めの物。みぞれさんのカレーを少なめにし、傘木さんのサラダで調整しつつ 最後は吉川・中川両名で酒のツマミを仕上げる。 ……もはや俺作らなくていいのではないかこれ?
2つ目のカゴには、……というかいつの間にかカートに置かれた2つ目のカゴにお酒類がそこそこ入れられてた。あのーソフトドリンク入れてくださいね? 俺飲めないので。
そんな事より俺はどうしよう……何作っても絶対多いと思う。思案するならば俺もつまみ系に走るか……いっそデザートに走るか……悩み。
買い物も終え、部屋の片付け班も終了したようで全員吉川ルームに集合。
帰りの吉川さん家に行くまでを中川さんが運転したのだが、終始目がキラキラしていた。
「ただいまー!」
「……おかえり」
「遅かったじゃないの」
「まぁ、色々あったのさ!」
「……なんでニヤニヤしてんの? あんた」
吉川さんの家に着いた俺達三人を待っていたのは、キッチンで先に料理をしているエプロン姿の吉川さんと白衣を着たみぞれさん……白衣?
「エプロンは分かるんだけど……なんで白衣?」
「大学の仮装大会で私が着たものをまだ持ってたみたいで、ないよりはマシでしょ?」
「あー、エプロン代わりか」
どうしよう、コレでみぞれさんがメガネしてれば完璧だったかもしれない……。
「キッチンそんなに人数入らないから私達先作っちゃってるわよ」
みぞれさんはやはりカレーの様で、あとはルーを入れれば行けそうだ。吉川さんはと言うと。
「油と野菜、言われたとおり買ってきましたけどコレだけで良かったんですか?」
「ありがと、これあればおっけー」
油と野菜が到着するまでの間にお米を炊飯器に投入してたらしい。合理的というかなんと言うか。
「あんた達は何作るの?」
「私はみぞれに合わせてサラダ。夏紀はお酒のつまみなんだけど……」
「……けどなによ」
「比企谷くんだけは何かわからないんだよね」
「かったくなに教えてくれなくてさ〜」
「まぁ、お楽しみという事で最後にお出しします」
「ふーん? じゃあ楽しみにしとこうかな」
「うん、そうしよう」
何故かジト目な吉川さんを触れてはいけないと思い流し目でカレー作り中のみぞれさんを見ると目が合った。微笑んでくれた。癒しかな?
俺以外の4人の調理工程が終わり、みんなでテーブルを囲む。
「比企谷、そんなに畏まらなくていいんだよ?」
「いやそうは言っても……」
「私達の方が先輩でも、ここにはそんな細かいこと言うやつ居ないって」
「うん、比企谷くんは、窓開けるの上手いと思う」
……窓? 窓って何。
「私はどっちかと言うと弟みたいかも」
中川さん・みぞれさん・傘木さんがそれぞれ言外に「とにかく気にするな」という意味で伝えてくる。中川さんはほぼ言ってるか。
一応ここの家主さんの顔を伺うと。
「そういう事、そんな事気にするだけ損よ」
といい笑顔で言ってくれる。
上の学年の人達なんてサークルに入ってない俺からしたら過去の城廻先輩くらいしか思い当たる節が無いが、とても器の大きい人が多い様だ。
「じゃあ、メインはみぞれカレーからだね」
各々で吉川さんの炊いたお米を盛り付け順番にみぞれさんの所へ行く。
お米がセルフだからルーもセルフでいいんじゃね? と思ったが吉川さんに「何も考えずに今は流れに任せなさい」と後ろから……ナチュラルに人の思考読むじゃん。
という事で、中川さんの後をついてってカレーの配膳という大変ありがたい行為に身を置き、みぞれさんに皿を渡した。
1.2.3……いや多くね? カレーのルーってだいたい多くてもおたま2回分じゃないの? なんなら4回目行こうとしてるいや多いって!
「あ、あの! みぞれさん?」
「……? なに?」
「皿からルーが溢れかけてませんか?」
「うん、比企谷くんは(これくらい)食べるよね?」
キョトンとした顔で見つめられる。断りずれぇ……と言うか皿に盛られてる時点で断れないよね。対比1:3位の割合で皿に盛られてるカレーライス。当然1はご飯だ。
「今更だけど、みぞれがあそこまで後輩に心開くの珍しくない?」
「黄前ちゃんには開いてたけど……あんなに早かったっけ」
「いや、あの子でもさすがに時間は要したわよ」
「しかも男の子ってのがなお珍しいよね〜」
「あと、名前呼びさせるってかなりレアじゃない?」
「「わかるぅー!!」」
そこの三人、聞こえてるから。ガッツリ聞こえてるから。みぞれさんが表情の変化無さすぎて聞こえてるのかは分からないけど俺にはすげぇ聞こえてるから。井戸端会議開くのやめてください……というかやめろ。
だが言わんとしてることは分からなくは無い。スタンド使いとスタンド使いが惹かれ合うようにぼっちもぼっちと惹かれ合うのは世の常。みぞれさんには謎のシンパシーを感じてるのは事実だ。
結論
みぞれさんのカレー普通に美味かった。四人がわちゃわちゃ会話しながら食べてる所、俺は一人夢中で食べていた。まぁ正直四人の話がほぼ全く分からないってのが一番の理由ではある。訳も知らないのにいきなり「そうだよね?!」とか会話に入ってみろ。地獄でしかないと思う。
たまに話振られることに対してはちゃんと回答するがそれ以外はほぼ無言。
「あれ、比企谷まだ食べれる?」
え? あぁ
ん? 思っている事と喋ってる事が逆な気が。
「よーし、そんな比企谷には私が特別に盛りつけをしてやろう!」
中川さんが笑顔で俺の皿を取りまた盛り付けして帰ってきた。
「いやぁみぞれすごいね〜カレー売り切れだよ」
ニカッという感じの笑顔を出しみぞれさんに対してそう告げた中川さん。それに釣られてみぞれさんにも笑みが出てくる。
カレーはもちろんの事、傘木さんのサラダもそれなりに量があったのがキツかったのかもしれない。まぁ、サラダは多く食べても困ることは無いって言うしね……。
俺のカレーを運んだ後に酒を人数分持って来て「お次は本命だ!」と言い放つ。
……待てよ? 人数分?
「あの中川さん……俺まだ未成年なんですが」
「比企谷の誕生日は?」
「数ヶ月後です」
「変わんない変わんない! 誤差だよそれくらい」
「比企谷に未成年飲酒を強要すんな!」
吉川さんより放たれたチョップはいい軌道で中川さんの後頭部にクリーンヒット。「ちぇーつまらないのー」と言いつつ引き下がってくれた。
「あ、ありがとうございます」
「いいのよ、これくらいしないと止まらないから」
今だけは吉川さんがとても大きく見える。 ……背中の話だよ?
「それじゃあ! 優子のドジっぷりと可愛い後輩誕生を祝しまして! かんぱ〜い!」
「ちょっと! 最初の方要らない言葉よ!」
「「かんぱ〜い! (……乾杯)」」
「二人ともなんか言いなさいよ!」
俺は烏龍茶を貰い、中川さんの音頭で彼女達の飲みがスタートした。約一名だいぶツッコミしかしてなかったけどまぁ気にするのは野暮ってものだ。
ここで出てくるのが中川作のりゅうきゅう。吉川作のごぼうメインの野菜チップスという酒のツマミコンビ。というか……その……。
「いや、二人とも家で作る物にしてはクオリティ高くない?!」
「……私も思った」
「居酒屋でしか見ないようなものが家庭で出てくるとは……」
「お、比企谷居酒屋行くの? 飲めないのに?」
「たまに高校の時の恩師が開く飲み会に付き合うので」
まだ1杯目だと言うのに中川さんはかなり酔ってる様子。もしかしたらアルコールそのものではなくて場に酔ってるのかもしれないが。
「でも中川さんよくりゅうきゅう知ってますね……九州の人なんですか?」
「いいや? 読んでたラノベに出てきて、レシピも載ってたから作れるかなって」
「……もしかして、〇さえですか?」
「お! 比企谷わかる口か! 嬉しいなぁ、周りにこの手の話通じる人居なくてさ」
「……いっちょんわからん」
ちょっと傘木さん、それ博多の言葉じゃないですか? ポニテを解いてショートカット? ボブ? わからんけどヘアピンも付けたら完璧ですね……じゃなくて。りゅうきゅうは大分ですよ。と言うかめちゃくちゃクオリティ高ぇな……美味いし。
「美味いっすねこれ」
「レシピ通りだからそりゃそうだよ〜私もここまで上手く行くとは思ってなかったけどね〜」
そんな俺と中川さんの会話に潜り込もうとしているリボンが一名。
「ん!」
「……なんです?」
「ん!!」
ん! しか言わない吉川さんは野菜チップスからごぼうをこちらに差し出してくる。私のも食べなさいよ的なやつなのかな。
「……優子が妬いてる」
「違います!」
「あれぇ? 私のが褒められてるから悔しくなったのかなぁ? このリ・ボ・ン・ちゃん」
「〜!! ムカつくぅ!!」
なんか目の前で取っ組み合いが始まったんだけど。
「あー気にしなくていいよ、いつもの事だから」
「うん、なんだかんだで、仲良しだから」
「「仲良くない!!」」
しっかりこちら側の会話が聞こえていたらしく反論してくる二名。
「仲良しな中川・吉川……あ、仲良し川か」
「「一括りにすんな!!」」
聞かれてた……相当声抑えたはずなのに……いやもう誰が見ても仲良いですってそれ。
ご飯も終わり、おつまみも消え、今のテーブルにはお菓子類とお酒のみが残ってる。
「で、結局比企谷くんのは何作ってたの?」
「まだ何も作ってないです」
「え? 私達もう食べちゃったけどまさかの作成無し?」
「んなまさか、最後にしてもらったんですからデザートですよ」
「おーデザート! 良いねぇいいチョイスだねぇ」
普通に喋ってる時も少し男性混じり感あるけど酒飲むともはやおっさんくささが残るなこの人……全然悪い気しないけどさ。
「みなさんは先にお風呂でも入っててください。30分で何とかします」
「いや早いわ!」
「それくらいなら普通に待つよー!」
「女子の風呂は……何かと時間、かかるから」
「……失念してました」
それから四人にはそのままお酒飲んでお話をしてもらいながら待っててもらい、下準備が整ったので最後の工程へ。
「ちょっとそこのコンビニ行ってきます」
「私も付き合おうか?」
吉川さんも行ってくれるとは言うものの……。
「酒入ってるので遠慮しときます」
「ぶぅー」
「……むくれてもダメ」
「じゃーこれ、ここの鍵だから入る時はそれで入って」
「……お預かりします」
さすがにアルコール入った状態で夜歩かせる訳には……いくら慣れた地だとは言え危ない。ついでに言うなら鍵を簡単に渡すのも危ないよ……いや俺は嬉しいけど、それとこれとは別だ。
近所のコンビニでソフトクリームを持ち帰り購入。先程下準備した物にこれを乗っければ完成だ。
預かった合鍵を使い中に入る。
中に入った時に目の前に出た光景は……上半身下着に下は通常の服を着た状態の吉川さんとまだ服をちゃんと来てる中川さんだった。
思わず手提げの紙袋を落としそうになった。
俺が帰ってきた事に気づいた傘木さんがいち早く駆けつけ俺をキッチンに押し込む。
「これ……どういう状況です?」
「あー気にしないで! 何時もの事だから」
「この人達何時もこんな事してんのか……」
後にみぞれさんに聞いたところ、ひょんな言い争いは何時もの事だった。しかし今日は酒に加えて気分が昂ってるらしく野球拳を始めたらしい。勝負がつくまで終わらないだろうから放置すると。
「……とりあえずできたので置いときますか」
「あ、じゃあ私先食べる!」
「……私も」
三人でリビングが見えるキッチンに立ち……正確には俺だけが座りパフェ擬きを食べる。ソフト溶けそうだなぁ……。溶けてもセーフな様に既にソフトをカップからパフェの容器……とは言っても茶碗だが移し替えている。
あれから5分。なかなか決着つかないからと傘木さんもみぞれさんも座って食べていた。今は食べ終わり後のお話をしてたくらい。
「いやぁ美味しかった! 考えたね? ソフトクリーム使うなんて」
「アイスクリームとかでもいいんですけど……せっかくならソフトの方がいいなと思いまして」
「すごく……いいと思う」
少なくとも二人は満足してくれたみたいだ。
「あー! みんなして先に食べてた!」
そこに戦いが終わったのか中川さんがやってきた。……それはいいんだが。
「……服」
「比企谷くん向こう向いて!!」
「言われなくても対策済みです」
勝ったのか負けたのか知らないけど下着姿の中川さんが普通にキッチンに入ってくる。
「比企谷ちゃーん、勝者のご褒美にソレ、食べさせてよ」
これで勝ったのか……て事は吉川さんもっと酷いんじゃ。
「嫌です」
「つれないこと言わないでよー」
「ッ?!」
酔っ払った中川さんが俺の背中に全体体重をかけてくる。下着越しに控えめながらも強調されてる胸の感触が背中に……そもそもの女性特有の肌のやわらかさが全体にしかもいい匂いまずいまずい!
「ふ、服着てくれたら考えようかな?!」
「よし! 言質取った! じゃあよろしく〜」
俺が妥協案を出した瞬間に離れてリビングへ向かう。 ……嵌められた?
「……夏紀、策士だったね?」
「見てたんなら助けてくださいよ……」
「呼び方も、酔ってるからかもだけど、ちゃん付けになってた。……気に入られたね」
「喜ぶべきなんでかねそれ……」
「私は少なくとも、二人しか知らないから」
その言葉、この状況じゃなきゃ嬉しかったんだろうなぁ。
一方の吉川さんはと言うと……やはり剥かれてたみたいで俺がリビングへ向かう前に傘木さんが対策済みだった。本当にこの場に傘木さんいてくれて良かった。
その後は中川さんに対して、マジで俺が食べさせるという事件が発生して吉川さんが「私も──!!!!」とか言ってたのを傘木さんが全力で止めていた。
「……無茶苦茶煽るじゃないですか……」
「敗者にはあれくらいしないとね〜♪」
吉川さんが唸りながらパフェを食べるという器用な事をしていた。ずっとジト目で見られる、俺が、何故?
後片付けを一手に引き受け、その間に皆さんには入浴を済ませてもらう事にした。
キッチン周りに使用した調理器具、テーブルやその他諸々で1時間かからないくらいだろうか。傘木・みぞれペアの入浴が終わり件の二人なのだが……。
「これ、ペアミスったな……」
「私達が二人の介抱しながら入るべきだったね……」
「いいんじゃない? ……気持ちよさそうに寝てるし」
「それもそっか」
いいのかよ……。良いならいいけど。
就寝準備をする事になり、さっきまであったテーブルを片付けて布団を2組敷く。頑なに俺は床でいいと言ったのだが……。
「何言ってんの? 運転手が疲れてないわけないんだからちゃんと寝なさい」
「そうそう。コイツに気を遣う必要なんてないから」
「夏紀の言葉はともかく、ちゃんと寝れる所で寝た方がいいね」
みぞれさんだけ謎のグッドサインを出しているが気にしない。
まぁまだシラフ状態の時に聞いたからその言葉に甘えるとしよう。
と、言うわけで酔っ払いを吉川さんのベッドに押し込むつもり……だったのだが。
「あー! 布団だぁ!! ……Zzz」
「早っ!」
「ミノムシみたいだね」
突然起床したと思ったら目の前の布団に潜り込み……寝てしまった。
やっぱり俺は床になりそうですね。
吉川さんのベッドがある部屋はカーペットも敷いてあるからまだそっちの方が体を痛めずに済むだろうという判断で未だに寝ている家主をベッドに運んでから掛け布団を取りに行く算段となった。
傘木さんに手伝ってもらって吉川さんを抱き抱える。みぞれさんにはベットの掛け布団を捲ってもらい俺はベットに寝かせる。
……待ってくれ、この人離れてくれない。
ついに体制を崩してしまい二人諸共ベットへ入ってしまった。
即座に離脱しようとしたところ抱きつきが先程よりガッチリしている。
「みぞれさん」
「……何?」
「助けてください、ホールド強くて逃げられません」
「……」
みぞれ思考中。
「……b」
真顔で親指立てんな! 助け求めてるんですよ俺!
「希美には言っとくから、平気」
「俺は全然平気じゃないですが?!」
聞く耳持たず、部屋の扉を閉めてしまった。
さて、どうしよう、ホールドされて動けない、見られると死ぬ……気がする。
さりげなく抜けようとする→できたらとっくにやってる。
少し起きてもらう→寝ぼけてる&酒の力でわんちゃんセーフ?
どちらかで言えば後者か……。
「……夏紀」
やっぱり俺を誰かと勘違いしてると思ってたけど、中川さんか。なーんだやっぱり仲良しなんじゃないっすかー。
じゃなくて!
破壊力半端ないんですよ! 俺が言われてる訳でもないのにすげぇ破壊力なんですよ!
この尊すぎる存在どうしてくれよう……。
結果
ひたすら天井を眺めて寝落ちしました。
吉川編は次回で区切り、次のヒロイン(候補)に入ります。
今回もありがとうございました。