八幡IF   作:あきこま

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だいぶ感覚が開きお久々のあきこまです。楽しみにして頂いてた方々…もしいたら本当にすみませんでした。ハーメルンの世界から飛び立ちpixivで読み専してたとかそんな事実はありませんからね?



一応のどか最終編、この後エピローグで夏紀襲来編書いて次の人に進もうかなと。

前回のヒントでわかった人いますかね?次に出る人。わかったらすげぇと思います。今回のヒントは 響け!ユーフォニアムの誰か です。


長くなりした。ご覧下さい。






3話

 

 

 

 あれからと言うのも、こっちに泊まったり神奈川に帰ったりを繰り返した豊浜。

 

 大学がある日は一緒に行き、レッスンの日は近場まで送り帰るかどうかによって迎えに行く。と言うような日を繰り返してた。

 

 

 

 

 そんなある日、駅前のマリンピアに行った時のこと。夜飯の材料を買っているときだった。

 

 

 

「あら、奇遇ね」

 

 誰か話しかけられてるぞ、早く答えてあげなさい。

 

 そう思いながらそのまま鮮魚コーナーを見てる俺。具体的に言うと秋刀魚を選んでいる。別に時期では無いもののたまに焼いて食べたくなるよね……小骨多すぎて参るよ……。

 

 そんなこと考えていたら右肩に何かが触れられる感触が……というか手だなコレ。

 

「あなたに話しかけているのだけれど、比企谷くん?」

 

 ……うっかり他の人に話してるもんだと思ったんですよ。

 

 

「お、おう。奇遇だな」

 

「ええ本当に、実家を出たと聞いたのだけれどそんな貴方が食料品売り場にいるだなんて……明日は槍が降るのかしら?」

 

「とにかく俺が料理を作るのが珍しいと表現したいことだけはよくわかった」

 

 最初から雨じゃなく槍って表現したぞこいつ……。

 

「だいたい、俺が料理できないなんていつ言ったよ」

「いつぞやの嫁度対決では作っていなかったじゃない」

 

「小町に審査員として止められていたからな。そもそも小町が大きくなるまでは俺が作って居たからな。俺も成長はする」

 

「数年後にあなたが仕事をしているのかとても気になってきたわね」

「数年後には永久就職をしているから安心してくれ」

「誰も専業主夫になれなんて言っていないのだけれど……」

 

 

 

 こめかみに手を添えて溜息をされると「ダメだコイツどうにかしないと」と言われてる気がしてならない。対象が由比ヶ浜か俺かはともかく雪ノ下のこのポーズは割と昔から見てきている。

 

 

「もし良ければなのだけれど、私が教えてあげましょうか? 料理」

 

 まさかのありがたい提案が雪ノ下より出された。ありがたいのだが雪ノ下は自分ができる事を周りに「何故あなたはこれができないの?」と心の中で留めるどころか平気で口に出すやつだ。ソースは由比ヶ浜に教える時の姿。もうマジ鬼教官って感じ。

 

 

「……何か失礼なことを考えているわね?」

「いえいえ、とんでもない。そんな事考えるわけないじゃないですかぁ」

 

 

「それは一色さんの真似かしら? 中途半端に似てるのムカってくるわね」

「そんな簡単にバレるもんかね……」

 

 

 雪ノ下はそのまま俺と並行してカゴを持ち己の買い物をしていた。結局、料理教室(?)に関してはお互いに都合がつく時があればと言う形で可決された。

 

 

「それにしても、やはりあなたが自炊って選択肢を選んだことに驚くのだけれど……なにか理由が?」

 

「……まぁ、色々とな」

 

 

「あ、はちまーん!」

 

 

 やべ、まさか豊浜がこんな所に来るとは。

 

 

 

 

「じゃ、じゃあな雪ノ下! また連絡する!」

 

「あ、ちょっと! まだ話は……比企谷くんには料理を作る相手でもできたのかしら? 小町さんに聞いてみる必要がありそうね」

 

 

 

 

 

 

 

 後ろから色々と訳を聞かせなさいと言わんばかりのオーラを受けつつ豊浜のところに辿り着く。

 

「お前なんでこんなところに?」

「レッスン終わりで駅着いたらアイス食べよっかなと思って、八幡は?」

 

「夕飯の買い出し」

「そっか」

 

 

 一人納得をした豊浜は「ちょっと買ってくるー!」とアイスコーナーに走っていき、ひとつのアイスを買って帰ってきた。買ってきたのはお餅がもちもちしたバニラアイスだ。

 

 

 

「はい、あげる」

「……今運転中なんだけど?」

 

「だから、口開けて」

 

 お前が食った後か……べ、別に間接キスなんて気にしてないんだからね?! 誰向けの需要か分からないツンデレを心の中で発揮しつつ口に放り込まれたものを咀嚼。うん、久々に食べたけど美味いわこれ。

 

 

 

「あ、そうだ八幡。今日買った食材って何日分?」

 

「あまりメニュー浮かんでないからとりあえず今日の分しか買ってないけど。なに? 明日から帰る? 神奈川帰る? そうかそうかなら俺一人分でいいな」

 

 

「アタシを帰らそうとすんな! こっち来てる時は先にお姉ちゃんに言ってるんだから撤回は禁止事項!」

 

 ……帰る家への連絡は二の次か……まぁ向こうさんに迷惑がかからないならそれでいいか。

 

 

「中川さんが来るのは?」

 

「……5日後だな」

 

 

 

「ならちょうど良かった」

「何が?」

 

 

「今日、ご飯食べて少しゆっくりしたら旅に行こうよ!」

「ホテル三日月竜宮城に?」

 

「千葉から離れろっての! ……結構長距離運転してもらう代わりに交通費はアタシが出すから!」

 

 

 

 ほう、豊浜はそこら辺の気遣いできる子なのね。調子乗ってる風に見える見た目だけどそこら辺はしっかりしているとは、人を見た目で判断しては行けませんね、ふぉっふぉっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今あんた失礼な事考えてるでしょ」

 

 

 

 

 

「滅相もございません」

 

 

 本当にエスパーって怖いなぁ……何も考えられないよ。

 

 

 

 

 

「でもまぁ、交通費に関しては別にそこまで気にしなくてもいいぞ。その場合は俺も運転して楽しませてもらってるし」

 

「そうは言っても労力に見合ってないでしょ? 遠慮すんな、アタシから誘ってるし」

 

 

 

 長引きそうだからここは引いといて……絶対に払わせないようにしよう。今の豊浜は自分の夢に向かって金を投資すべきだ。

 

 

 

 

 

 そんなこんなで時間は流れて日付を跨ぐ頃に出発した我々一行が翌朝居た現場は。

 

 

「そういや咲太の友人に居たなぁ……この名前」

「咲太ってどなたよ……」

 

「お姉ちゃんの彼氏」

「……さいですか」

 

 

 仮眠明けの朝7時、高速道路をぶっ飛ばして着いた場所は福島県の国見S A(サービスエリア)。我々は今ひたすら北上しております。

 

 

 

 

 

 どこに行くかは具体的に聞かされてないけど豊浜曰く「アタシがナビするから言われた通り走って」としか言ってくれないの……悲しむなんて疲れるだけよ、何も感じず過ごせばいいさ……。俺の思考はジャックポットなサッドガールの如くダメなリンゴを食べるかもしれない……何言ってんだろうね。

 

 

 

 

 

 とりあえず仮眠も終わった事だしご飯でも食べようという事になった我々一行はフードコートへ向かう。

 

 

 

 

 

「あんたって、本当にラーメン好きよね」

「そういうお前も食べてんじゃん……」

 

「まぁ、嫌いじゃないし。というより朝だからお店の選択肢少ないだけだっつーの」

 

 

 二人して舌鼓を打っているのは牛タン塩ラーメン。まぁせっかく仙台に近づいてるなら食べたいよね。

 

 

 豊浜の言う通り朝早くの食事の為フードコートは一部非営業時間であった。

 

「まぁ、上りの国見をさっき見たけどあっちは牛タン強いみたいだし気になるならまた寄ればいいだろ」

 

「アタシ達は何と戦ってるんだっつの……」

 

 

 

 豊浜から激という名のお話を受けながらさらに北上していく我々一行。

 

 途中の前沢でまたも咲太さん? 関連の話が出てきたが聞いても分からないと思ったから話半分だったのはナイショの話。

 

 

 その後も休憩しながら北上しつつお昼の12時を過ぎたところで走りながら思った。

 

「さすがに目的地が絞られたな」

「まぁ……ここまで来ればわかるのかもね」

 

「当ててやる……青森だろ」

「そ、でも別に青森市に用は無い」

 

「へっ?」

 

「あ、次のIC(インターチェンジ)降りて!」

 

 

 

 言われるがまま降りたICの名前は浪岡だった。ここまで来ても豊浜の目的が読めん……。

 

 そこから走り続ける事10分、1件の建物に辿り着いた。

 

「……ここは?」

「書いてあるじゃん」

「いやわかるけどさ……」

 

 

 違う、そうじゃない。俺もサングラスかけた方がいいかしら? 

 

 

 

 

 豊浜の案内で休憩や仮眠をしつつ辿り着いたのは青森県の峠の茶屋という店だった。

 

「ここがお前の来たかった場所なのか?」

「合ってるけどここは最終じゃない」

 

「ここは何、飯を食いたかっただけ?」

「メンバーの一人が青森に親戚が住んでるらしくて何回か来たことあるんだって、草だんごが名物で、あとは辛そうな蕎麦が食べたかったの。写真見せられたら凄い美味しそうでさ……今日のこっちに来た理由が無ければ食べれないだろうと思ってたけどね」

 

 

 ……まぁ来る途中ローカル線の駅らしき建物見たけどここは確かに車が無いとしんどいかもしれない。

 

 とりあえず目的の1つだった草団子をテイクアウトで先に注文、イートインではもう1つの目的、旨辛そばを注文した。

 

 

おめ達いがっだの(あんたたち良かったね)、今日最後の団子だ」

 

 ……今なんと? 

 

 

んだの? せばいがった! (そなの? ならよかった!)

 

 ……嘘やん。

 

 

 多分津軽弁なんだろうけど、まさかの豊浜が喋れるとは……俺は一人孤独のレヴュー状態。

 

 

 おばちゃんがニコニコしながら「おそばもうちょい待ってけれ〜」と言い残し厨房に戻って行った。

 

「お前津軽弁なんて喋れたの?」

「ん? おばあちゃんが青森出身だから未だにその喋り方なの。アタシは聞いたことある様な感覚でそのまま通じそうな言葉喋ってるだけ」

 

 

 こちらにピースをしながら微笑みかけるこの女の子は事もあろうかご本家を前にして似非津軽弁で対抗していたという。全然似非感無かったけど。

 

 というより豊浜のおばあちゃんが青森だったことにびっくりしてる。

 

 

 

 その後運ばれて来た旨辛そばに辛さで軽くむせたりしたが舌鼓を打ちつつ無事完食。青森の中心であり新幹線の走ってる青森市は結構ここから近いと言うのに真反対方向走って行った。本当に青森市内何も用無いのね。

 

 

 

 

 言われ続けたルートを走り続けて気づいたら15時になっていた。

 

 

「あ、もうすぐ着くよ」

「それは最終目的地か?」

「そ! 目的の所!」

 

 

 

 そのままルート通りに走って行くと正面に見えたのは三沢駅だった。その交差点を右に曲がると一際目立つ入口の看板が見える。

 

「あ! ここ!」

「……おいマジかよ」

 

 

 看板に書かれていたのは某有名なリゾートホテルの名前だった。

 

 

 

 

 

 

 

 そのまま道を進んで行き、旅館の入口らしき近くでスタッフらしき人が立っていたのでそこまで進む。スタッフ案内の元駐車場に車を停めて受付をし、お土産屋の横やなんかよくわからない擬似桜だらけの道を歩いたり通ったりして部屋に着いた。

 

 

「あれよあれよいう間にと部屋に来てしまった」

 

「部屋着くまで口ずっと開いてたよアンタ」

「いや、まさか自分でも聞いた事あるホテルの名前が出てくるとは思ってなかったもんでな……」

 

「風邪引いた卯月に後で感謝しといて」

 

 

 そもそも俺はその卯月さんとやらと知り合いでもなんでもないんだがコレばかりは感謝かもしれない。小町と二人で「ここ行ってみたいねー」なんて話してたホテルに泊まれるなんて思ってなかった。しかも。

 

 

 

 

「え、部屋に露天風呂あんの?!」

「そーみたい、でも大浴場の露天風呂は夜名物っぽいからそっちは絶対行った方いいかもって受付で言われた」

 

「客室の露天ですらやべぇのにそれで満足するなってか……」

 

 

 あまりにも驚きすぎて若干追いつけてないが豊浜に連れられるまま先程の桜小路を通って外に散歩へ。 途中ホテルの中で浴衣レンタルがあったので借りた。俺はめんどくさいので豊浜にだけ着させようとしたら、

 

「アタシに着ろって勧めて自分だけ逃げるんだ」と圧をかけられたり

「彼氏さんと二人で浴衣カップルな姿を我々も見てみたいです!」とかちょっと訛った標準語で言われ空気的に逃げられなくなったので俺も甚平風のものを着ることになった

 

 何ならホテルの公式サイトに見本として載っけたいですと言われ全力で逃げた。隣の金髪は不服そうな膨れっ面になっており、俺が逃げた後保留にして来たらしい。何故。

 

 

 

 浴衣のまま散歩コースの様なところを1周回る。途中途中彼女のSNSに使えそうな写真を撮りつつ最終的に足湯で落ち着いた。びっくりしたのが足湯の場所に入った後の足ふき用だろうか、大量にタオルが置いてあった。さすが高級リゾート配慮が凄い。

 

 

 

 

「私の浴衣に関しての感想は?」

 

「……すげぇめちゃくちゃ似合ってるとしか」

「ばーか、それを早く言えっての」

 

 笑顔でこちらを振り向いた彼女は微笑みながら足をパシャパシャと掻き回す。

 

「八幡、こっち向いて!」

 

 彼女の号令に従う様に顔を向けると浴衣の豊浜がこちらに接近し携帯の内カメラを向ける。所謂自撮りってやつですか。

 

 携帯を持っている方の手じゃないほうで俺の腕を掴みかなり接近しており俺の鼻腔は豊浜から香るシトラスミントの香りだろうか、とてもいい匂いが駆け回る。というかすごい近い。

 

「まさかそれをSNSに……」

「なわけあるか! コレはお姉ちゃん用」

 

「……いっちょんわからん」

「お姉ちゃんが八幡との2 S(ツーショット)送って欲しいって言ってたから」

 

 割と冗談めかして言ったつもりがどの道送られる事は変わらなかったらしい。

 

 

 

 浴衣のレンタルを終え、一通りお土産を見たあとは食事となった。

 1組1組に必ず係員さんがご飯処の説明を施してくれ席までご案内してくれる丁寧さ。俺の知ってるバイキングとはかなり違うと思う。

 

 今はそんな食事を終えた後の部屋である。

 

 

「……圧巻だったな」

「やっぱ旅館っていいよねー、ビジネスホテルとは大違い」

 

 

 

 なまじ普段ビジネスホテルを使ってるだけ説得力が違う。俺も正直ホテルと旅館の迷わず2択なら旅館を選択する。

 

 ほら、旅館の人って高いところだけかも知れないけど見送りしてくれるじゃん? 実はすげぇ嬉しかったりする。泊まってる間も接客中は笑顔止まらないし。「あの客がこうでさぁ……」とか裏で言われてるかもだけど現場見てないから何も気にしない。

 

 

 

 

 地元の食材を色々使ったり、かっちゃと呼ばれる? この地での母親の言い方なのだろうか、昔ながらの割烹着のようなものを着たスタッフが目の前で囲炉裏焼きの様な物を振舞っていたりとかなり味が出ていた。……感想もっとマシなの無いのかって? こちとら緊張で食べる事だけに集中する他なかったんだよ。強いて言うならば、割烹着姿のスタッフを見ながら先日の傘木さんを思い出してしまった…またあの和食食べたい。

 

 

 

 

 

「アタシ露天行くけど、八幡は?」

「……行くか。せっかくおすすめって言われたし」

 

 俺が言われた訳では無いが、わざわざ受付で言ってくるぐらいなのだ。相当な自信を持ってすすめてるに違いない。

 

 

 身体を洗った後室内風呂へまず着弾。いい湯だな。……基本温泉が天然だろうが源泉だろうが普通のお湯だろうが最初の言葉はそれだろう。俺が今追加で感じた感想は「これ、檜?」という以下にも風呂初心者感満載な感想くらいだ。

 室内風呂を少し味わったところで露天へ出る。

 

 

 

「……すっげ」

 

 思わず声に出てしまった。たまたまみんなご飯の時間にしてたのか今この場には誰も居ないので俺の恥ずかしい声が聞かれることは無いだろう。

 

 

「八幡いるのー?」

「っ!?」

 

 聞かれてた、ガッツリ聞かれてました。しかも知り合いに。

 

「お、おう……いる」

「私今貸切状態だよ! 八幡も……会話するって事はそうだよね?」

 

「何故そう言いきった」

「誰かいたら無視決め込みそうだから」

 

 

 ……俺の事をよくわかっていらっしゃる。

 

「……ご名答です」

「こんな偶然あるものねー」

 

 

 板の向こうには裸の豊浜が……とか想像するだろうか、普通なら。

 あいにくここは普通じゃなく露店が売りとわざわざ直接言ってくるような宿だ。

 

 目の前に広がるのはまるで天の川のような綺麗な灯篭のようなもの達。

 ハッキリと言えないのは俺がその辺に疎いからである。……おいそこ笑うな。

 

「綺麗ねー……お姉ちゃんにも見せてあげたい」

「こればっかしは風呂だし写真撮れんから直接来るしかないだろ」

「わかってるっつの」

 

 

 

 この光景を多少なりとも気心知れた奴と共有できたのは実はかなり贅沢なのではなかろうか。そんな事を考えてる俺に思わず笑みが生まれた。

 

「俺がこんな事言ったら小町の奴フリーズするんじゃねぇかな」

「小町ちゃんがなんだってー?」

「なんでもねぇよ、ぼちぼち上がるわ」

「アタシももう少ししたら出るからお土産でも見て待ってて!」

「あいよ」

 

 

 それから10秒程目を瞑り、若干の覚醒状態になった所で出ようと思い後ろを振り向いた。

 

 

 女の子は風呂上がりにかなり時間がかかる。それはお出かけする時のオシャレやOL達の最低限のマナーも同じ分類に入るだろう。俺は出ると言ったが豊浜はもう少し入ると言った。なら風呂上がりの準備時間に+でもう少しも入るだろう。

 

 俺はそう言い訳をして、目の前の扉を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風呂上がりの水が美味い。散々言い訳をしながら俺は室内風呂の入口である扉……ではなくその隣の扉を開けた。上がろうとした時に見つけたサウナへの扉。 そこを開けると異世界だった。名物のねぶたがでかでか飾られていた。サウナ室がそこそこ大きくない設計だから尚更大きく見えるのだろう。

 

 そこからサウナ・水風呂・外気浴を3セット続け乱れた自律神経を整えた。1セットのつもりがつい3セット……これじゃあ何時ぞやのプロムの時と同じである。

 

 

 

 髪を急いで乾かして外に出るとそこにはお土産屋で一喜一憂している豊浜がいた。

 

「あーやっとでできた!」

「わりぃ、遅れちまった」

「別に時間決めてたわけじゃないし……ただ、こういう待ち合わせみたいなのでアタシの方が先に来たのって初めてじゃない?」

 

「……お前に上がるって言った後にサウナみっけちまってつい3セット……」

「いやサウナーかあんたは! 大方アタシが準備時間かかるだろうからって気ぃ使ったんでしょ」

 

 

 

 

 

 

 

 言えない、その考えはあったけどサウナへの欲が勝ったとか絶対言えない。

 

 

 

 

 

 

 お土産は物色しただけで明日の朝買うからとの事。そのまま我々はでっかく看板が出ていたヨッテマレ酒場へ。いやネーミング怖ぇわ、酔わせる気満々じゃん。

 

 何処ぞのダイビングサークルの様に我々も一応20にはなっている…と言いたい所なのだが19だ。なので我々はりんごジュースをを頼む事にした。余談だがチェックインした時には出てたりんごジュースの出る蛇口、アレに「本日は枯れました」と板が出されていた。……着いた時飲んどいてよかった。

 

 

 

 で、酒場で出されたりんごジュースがとても美味く気に入ってしまい思わずテイクアウトで頼んでしまった。

 

 

 

「酒場に居た時のあの人の雪崩はなんだったんだろうな」

「津軽三味線? とかの披露してたみたい」

 

 地元の芸も備わってるのね、なんでもありじゃんすげぇな青森。

 

 

 部屋で先程のを飲んでやれお姉ちゃんはこれづっきーはなどと喋りの止まらない豊浜。あとテイクアウトのジュース、まさかのサワーでした。店側の間違えっぽいけど…まぁ部屋からあとは出ないだろうから秘匿しておこう。それでなくても口は多い方な豊浜がサワー効果なのかさらに口撃を増やしてるのだからマシンガンがガトリングになったようなものだ。

 

 

 

「あ、アタシお風呂入ってくる!」

「いや唐突……話の腰折りまくったなお前」

「良いじゃん! アタシはお風呂に入るんだからね!」

「はいはい気をつけて」

「気をつけるも何も目の前だし」

「…………あ、部屋の露天か」

「そゆこと、八幡覗くなよ〜?」

「するかバカ」

 

「……昔見た時より成長してるかもだぞ?」

「アホ…いいから早く入ってこい」

 

 

 何処ぞの学生アイドル見たいに笑顔でからかいながら脱衣所に入ったかと思えばわざわざ顔だけ出して追加攻撃とか……しかも追加の方がダメージでかいし。

 

 

 普通に大浴場とかのインパクト強すぎて忘れてた、部屋に露天あんじゃん。

 

 悶々として過ごすのは勘弁……と思っていたのだが運転の疲れに加え、俺にもサワーの効果が来たのかそれらが重なってかなり眠気が来ておりそのまま意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







作者は単純に青森県と石川県の軽い信者であります。話に出した峠の茶屋も実在します。機会があったらぜひどうぞ。ほんとに美味いです。


作中牛タン塩ラーメンは国見で食べてますがもしかしたら前沢だったかもしれません…記憶が曖昧で。ご都合主義お許しあれ。



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