機動戦士ガンダムSEED 赤い瞳の少女   作:くまたいよう

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 今回はカナードが?な回。


ザフトの兵士

 構図は簡単だ。

 

 アークエンジェルをどこに向けようにも、ほぼ正面に一隻、艦の後方からはアルテミスを警戒するザフト艦隊がいつ来ても可笑しくはない。正面を突破してしまえば不用意に追撃は来ないだろうとした時。

 

「敵機は『バスターとデュエル』!後方にローラシア級が微速前進で迫って来てます!」

 

「デブリや小惑星郡を移動しながらにしても、様子見しながら来てる。前回はヘリオポリス崩壊の混乱で切り抜けられたけど、正面からXナンバーと戦うのは初めてね。キラ君にイージスが組み付いたのは取り抑えとく作戦だったようだし」

 

 キラがアスランの事を打ち明けなかったからな誤解であるが、それを知る術は無い。リンがミラージュコロイドを見抜いた理由は何となくとしか言われてない、武道をやってたならではな者の勘にしても不確定だから宛にはできない、そもそもムウ以外は本格的な宇宙での実戦は初めてなのだ。敵機が迫る方向を向いたまま艦を後退させるマリューにカナードは問い掛けた。

 

「どうするんだ艦長、何から何まで不利だがアルテミスに逃げ込むか?」

 

「・・・・ユーラシアは信用出来るの?」

 

「協力するなら命だけは保証してもらえるが、この艦とMSは接収されるな」

 

「バカな、同じ地球軍だろう!」

 

「『同じ』は外せ、地球側なだけだ」

 

 ナタルが口惜しくしている。やはり割り切れてないのだろう・・・・今はザフトに集中するべきだが、正面からやれば良い程度の考えは出来ないと他は見ているが敵は待ってくれない。

 

『艦長・・・・発進はまだですか?デュエルとバスターが近付いてくるぞ』

 

 リンから焦れたような通信が入る。確かに出撃すら遅れていてはどうにもならないとした時、カナードは一計を案じた。

 

「おい、白紫の機体のパイロット。良い案があるんだが乗らないか?」

 

 それの内容を聞いたブリッジクルー達は青ざめたがリンは感心した声で返した。

 

『へえ、そりゃ良いな・・・・上手く行けば、向こうが此方に構った瞬間に勝ちが確定だ』

 

「ほお、印象通りに骨があるな。どうするかな艦長、あっちは乗り気だぜ?」

 

 マリュー自身は決して乗り気では無いが、他に手は無いとした。早くMSを出撃させなければ危険。包囲されてはどのみち撃沈は免れない程度はわかっている。そして、作戦成功にすべく準備が始まる。

 

 

 

 

 ーーーーーー。

 

 

 

 

「エールじゃなくてランチャー?しかも、発進後は・・・・」

 

『言う通りになさい!宇宙での実戦は初めてでしょ!』

 

「は、はい!」

 

 尤もなので発破を掛けられるままにするしかないキラを確認したマリューは指揮を取り始めた。カナードの作戦は初手が上手くいきさえすれば勝てると信じられたのだ。

 

 

『では、作戦開始!リンさん、出撃を!』

 

 

「了解、ではミラージュ・フレーム・・・・行きます!」

 

 此方も本格的な宇宙戦は初めてなのだが、やるしかないとしている。運動性と機動性だけなら頭抜けているが故に作戦に最適な機体が宇宙に飛び出した。

 

 

 

 

 

 ーーーーーーー。

 

 

 

 ザフトからは『足つき』と呼ばれる事になっな戦艦が確認されたが、様子見しつつもMSが来ないとで焦れ始めていたイザークとディアッカであるが。漸く待っていた存在が近付いたのを確認した。

 

「出てきたか・・・・デュエルの右肩をやってくれたお礼だ!受け取れぇぇ!」

 

「シィット!機体が速いからって、過信は禁物だぜえっ?」

 

 射程に間も無くだ。恐らくレーダーと射程の範囲は此方が上だとしてビームで先手を取ったが、シールドで防がれた。

 

 ユニウスでは未使用だったままなソードストライカーのシールドだ。

 

 そのまま正面から向かって来たので二人は集中をした瞬間。

 

 

『勝敗は決した』

 

 

 規格外な速度で急上昇したミラージュフレームに気を取られた次の瞬間にアラームが鳴る。何事かと思った瞬間にデュエルの左腕と足、バスターの両足が『ローエングリン』に消し飛ばされ、凄まじい負荷を掛けられながら慣性で機体がスピンしながら吹き飛ばされた。

 

 これがカナードの策、ザフトの兵士達にはイザークやディアッカ寄りの気質が多いので、正面からミラージュフレームが来たら受けてたつだろう、それに気を取らせつつ射線を隠す形にしてもらいローエングリンを射つ、下手をしたらミラージュ・フレーム毎消し飛ばす事になるが、だからこそ相手からは想定外の不意討ちとなる。

 

 体勢を何とか整えた二人が目にしたのは突撃して自分達を追い越したアークエンジェル。逃がすものかとしたが、艦の後盤に位置するストライクがランチャーを斉射して、武装と構えた腕が反応が遅れて消し飛ばされてしまった。

 

 悔しさに呻き、叫びながら救助を待つ他は無かった。

 

 

 

 

 ーーーーーー。

 

 

 

 

「艦長、交戦に入ったデュエルとバスターは大破したようです!」

 

「何だと!?開始から一分経ってないぞ!」

 

「艦長、足つきが突っ込んで来ます!」

 

「ぬっ、射線を合わせられるな!火力が・・・・っ」

 

 被弾を告げるアラームが鳴った。混乱の隙に離脱したと見せ掛けたミラージュフレームが最大速度で艦の真上に移動してライフルを機関部、主砲に命中させて念入りにブリッジを撃ち抜いた。これにより第二派として待機したジンは出撃する間も無く艦と運命を共にした。

 

 

 

 

 

 ーーーーーー。

 

 

 

 

 ローラシア級の爆発を見送りつつMSの回収が終わり、チャンドラは呆気に取られたように呟いた。

 

「・・・・完勝って奴ですね」

 

「相手が良かったのさ、言ったろ?向こうは相手がナチュラルかそれに組みしたコーディネーターだからにしても作戦で勝つより正面対決で勝ちたがる連中だ。その心理を突けばやりようはあるのさ」

 

 出撃前にマリュー達も一理あると思ったからこそな流れ。

 

 先ずはザフトが持っているのは地球連合=ナチュラルかそれに組みするコーディネーターに対しての軽視、蔑視、差別意識。

 

 そんなのが新型とは言っても、自分達より部分的に勝る部分があると認めた戦術を立てる可能性は低い、その派生で新型もろとも敵を撃ちかねない大胆さも考慮はし難い。

 

 だからこそ、思わぬ手や正面からぶつかったら自分達より勝る要素の餌食になりかねないから避けると言う手は取らないか対応は遅れる。

 

 デュエルはヘリオポリスでリンに被弾させられているので報復に燃えている可能性があるとして、ナタルもカナードの策に賛成した一方でマリューも味方毎撃ち兼ねない手段を取る罪悪感からキラを念入りにアークエンジェルの後盤に配置させると自分なりの配慮をした。

 

 ベストを尽くそうとした側と尽くそうともしなかった側の図だからこその必然的勝利だった。

 

 カナードが提供した情報通りの逃げた先で何があるかを警戒しつつ、アークエンジェルの。

 

『地球に行く方が危険な船旅が始まってしまった』




 カナードは戦術担当でした。
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