メンデルまでの道のりで、アークエンジェルはまたもジャンク屋の艦艇と合流した。一度目の時に渋っていた避難民も戦闘に巻き込まれるよりは良いとし大半は降りたのだが?
「キラ・・・・気にするなよ」
トールに気遣われるキラはかなり滅入っていた。戦闘の疲れもあるが、途中で降りた避難民はこう言っていた。
『コーディネーターなんかがいるから戦争が起きる』
リンの部屋にいるマユとミーアに普通に食事を運びに行ったら聞こえた不満。何故そんな事を言われなければならない、オーブが発展したのはコーディネーターの力を取り入れているからだとはカレッジで悪く言えば都合良く使われていた自分が一例だ。カズィが漏らしてしまったからと言っても、いつの間にか自分とリンがMSを扱って艦を守っているのではなく、最初から関与していた疑惑まで持たれてるのだ。
トールからしたらその辺りをリンに相談しようにも、妹で同じコーディネーターなマユを守る為だけで済まされるだろうからどうしたものかと真剣に悩んでいた。
その光景をカナードは見ていた。クルーとして暫定的に受け入れられて艦内のジュースを飲んで休憩程度は認めらていて目にしたのだが踵を返すだけだった。
(やはり、違う・・・・あんなのが完成品のワケがない・・・・それに、幾ら能力が伸びたとしてもアレでは万全で同じ条件で戦ったら、リンの方が敵としては厄介だ・・・・いや、その前に伸びない方が幸せだよ)
カナードは徐々にだが、自分の私怨が晴れ始めていた。これから起きる事態を避けた方がマシだとまで考えてしまったのだ。
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「ここが、メンデルですか?」
放置されているような外見のコロニー、ユニウスのように崩壊してない以外は巨大な墓場より恐ろしいものに見える。
「ああ、開戦前に『バイオハザード』を起こしたコロニーだよ・・・・案外、どこも避けてるから安全かもしれんぜ・・・・しかし、あのカナード君は俺達が何を連想するかをわかってやってんのかね?」
『バイオハザード』
意味を考えれば、生物災害を始めとした事項の数々・・・・それを考えると行き着いてしまうのは?
「・・・・『S2インフルエンザ』」
「バジルール少尉!」
「どのみち、機を見て地球に向かう時から着いた時にこの艦にいるコーディネーター達は唐突に問われる覚悟をする事の一つです。特にプラントに住んでいたミーア・キャンベルは」
「ああ、何故なら現プラント関係者が『ジョージ・グレン暗殺の報復』として生物兵器による攻撃としてやらかして、死人が出しまくった後に機を見て予め開発してたワクチンの恩恵を売る為の陰謀説まであるからな、最初ラミアス艦長に雷落とされた俺が言えた事じゃないが、いきなり報復に燃える奴に出くわしてもおかしかねえ」
マリューは二人が言い出した事はヘリオポリスからユニウス7迄で頭がいっぱいになっていて考える以前の問題だった。やはり自分は平時ではフラガやナタルに頭の回転は到底及ばないと理解せざるを得ない。
(・・・・今思えば、フラガ大尉がいきなりリンさんとキラ君に対して『君達、コーディネーターだろ?』と言い出したのも、それで何か含むところがあったから?)
新種の伝染病として流行ったのはC.E54年、つまり自分達の歳が10代になるかならないかくらいの時の事。
そのような事があったのも今のナチュラルとコーディネーターの対立の一因なのだ。
マリューは自分がリンに受けた報復は自業自得としているが、生き延びた代償の予感に身を震わせていた。
「艦長、メンデル内の調査はどうされますか?」
「一般情報ではX線での浄化くらいはしているらしいですが?」
「えっ、そうね・・・・有事に備えて、バイオハザードの噂があった場だからカナード君が休憩から戻って来たら、彼を主軸にしたやり方が安全・・・・よね、耐性の問題でコーディネーターに都合良く頼るのも問題だけど、この際はやむを得ないわ」
いざと言う時の指揮官らしさを認められてるとは知らないマリューの頼りない声色だが、現実が見えてないワケでは無い、反対の意見は出なかった。
そして、戻って来たカナードはリンだけを随員に指名してメンデル内を捜索する事にした。
ーーーーーー。
「如何にもな場ですね」
ミラージュー・フレームでコロニー内の捜索を開始し、研究施設にカナードと一緒に降りたリンは素直な感想を述べた。昔からSFには人口のカプセル等を度々目にしていたが、人が入れるサイズのから何やら小さいものがある。
『人口子宮』
『培養カプセル』
そのようなものが無数にある。ホルマリン漬けにされた臓器類よりは見た目はマシだが、この世界においては怖気を醸し出したものにしか映らないのではないかと思っている。
「まるで、施設が生きているようだ。稼働して研究を再開したがってるようだな」
「研究の再開、何の研究なんですか・・・・そもそも、何を研究していたと言うんです。お化け屋敷にでもする方がマシだと思いませんか?」
「おい・・・・誰と話し・・・・て」
『足音』
トントンと無機質にだが、規則的に綺麗に響く音が聞こえる。
自動空調と無重力施設が残っているだけとカナードは判断していたが、そもそも都合が良すぎないかと気付いた。この場に思うところがあるのが仇になったと気付いた。そして、隣の施設に続く扉が開いた。
「ようこそ・・・・休職中の聖地巡礼のつもりだったが、嬉しい事だよ・・・・カナード・パルスとリン・アスカ・・・・私は『ギルバート・デュランダル』・・・・プラントにおいて、パトリック・ザラが主導するチームで遺伝子関連の仕事に着いていた者だ」
黒髪の理知的そうな研究服姿、何故自分達の名前を知っているのかと疑問だが、わざわざ立場を名乗るし敵意や殺気も感じない、リンからしたら『遺伝子関連』と言い出した辺りからのカナードの方が危険を感じるレベルだから敵対の意思は無いとした。
「ふむ、奥の部屋でお話しをしながらジュースでも如何かな?プラントで育ったリンゴが原料であるが、そのジュース一杯がこの戦争の実態を物語るかもしれない」
『リンゴジュース』
何をふざけているんだとカナードは怒鳴りたくなったが、リンは何となく理解した。プラントのリンゴ・・・・それは、聖書にある果実よりも禁断に近い予感がした。
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言葉通り、二人は何やら薄暗い部屋に通されてリンゴジュースでもてなしを受ける。毒は入っていないようで一口飲んだ。
「おもてなしには感謝をしようか、だがリンゴジュースが戦争にどう関係があるのだ?」
「うむ、カナード君には相性が悪い問い掛けなようだ。リンさんにはどうかな?」
話しを振られたリンは再びジュースを一口飲んで、一息付いた。これから長話で喉が乾くかもしれないからだ。
「つまり、このジュースが『プラント産のリンゴ』を使っていると言うのが問題って事でしょう、味はオーブやヘリオポリスの以上かもしれない。果汁濃い目でこれだから質の良いのがかなり取れてるみたいですね。何となくわかりました。いつから造れてるか次第でお仕舞いとやらです」
「うむ、隠れて育ててたものな一部だが。プラント内は定期的に人口の雨を降らせられるくらいに設備はしっかりしているからね・・・・土と種があれば簡単な家庭菜園やガーデニングくらいなら、民間人でもやれるぞ」
「リン、どういう事だ。俺にわかるように説明しろ!」
「はい、つまり『開戦の原因が真っ赤な嘘だという証拠』になるんです」
「なん、だ・・・・と」
「このリンゴを造れたりデュランダルさんの言うようなのがプラント内の生活基準だとしたら『搾取に苦しんでいたから開戦』と言う前提が崩れますね、想像してみると事前に整えられていたにしても設備がしっかりしたコロニー内で中流くらいの暮らしが出来る人達・・・・それを除いたとしても?」
「ふむ」
デュランダルはスイッチを入れた。
立体映像に映るのは地球で連合の戦車や戦闘機相手に猛威を振るうザフトの各地形に適応した機体。
ディンにバクゥ、地上用の戦艦や航空機。
海中においても、潜グーンとそれを運用する為の機能を備えた潜水艦が連合の水中部隊を蹴散らす。
「宇宙だけじゃなくて地球の各地形で戦えているMSや艦を用意していた国・・・・これのどこが搾取に苦しんでいた国ですか?」
相手に合わせて淡々と語るリンの声色がカナードには恐ろしいものに感じた。デュランダルも想像以上だった事に喜んでリンの話に聞き入らせてもらう事にした。此処は絶好の舞台でもある。
キラのはマガジンZ漫画みたいなのよりはマシな流れが起きてた。
原作で下手したらキラが殺されてた場面でムウさんのコーディネーターだろ発言って、軽口だろうけど。こういうとこがあって思うとこがあったからでしたに出来る設定が有り余ってるんだよな種世界。
リン達の対話?は、まだ始まりです。